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誓約書を交わす前に知るべき!クーリングオフ対応で企業が注意すべきポイント|一律2万円おてがる契約書.com

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 9月26日
  • 読了時間: 53分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日はクーリングオフについての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。


消費者保護の重要な権利であるクーリングオフ制度について、企業担当者・営業担当者・法務担当者の視点でわかりやすく解説します。契約書や誓約書の作成前に知っておくべき手続き方法や注意点、トラブル回避のポイントまで、具体的な事例を交えて紹介していきます。


  本記事のまとめ:

重要事項

概要

消費者保護制度として、どの契約に適用されるかを正確に把握することが重要です。

書面・電子契約問わず、解除通知の受領確認や返金・商品の回収フローを明確にしておくことがトラブル防止につながります。

特定商取引法の改正や電子契約普及に伴う手続きの変化を理解し、社内マニュアルやチェックリストに反映させることで、安心・安全な対応が可能になります。

🌻契約トラブルやクーリングオフ対応で悩む企業担当者の方々にぜひ読んでいただきたい内容です。実務で役立つ手順や通知方法、電子契約での対応、最新の法改正情報まで網羅しており、これを理解することでトラブル防止・法令遵守・社内マニュアル整備に役立ちます。初心者の方でもすぐに実務に活かせる内容となっています。


クーリングオフ。行政書士が対応。テンプレート雛形(ひな形)

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▼目次



~事例・比較分析紹介~

~番外編~



  1.はじめに


クーリングオフとは何か?

クーリングオフとは、消費者が一定の期間内であれば、理由を問わず契約を解除できる制度です。これは、訪問販売や電話勧誘販売など、消費者が十分な判断をする前に契約してしまうリスクを減らすために設けられた「消費者保護の制度」です。


たとえば、訪問販売で高額な健康器具を契約した場合、消費者は「後で冷静に考えたら必要ない」と思うことがあります。こうしたときに、契約日から数日以内であれば無条件で解約できるのがクーリングオフです。



企業が知っておくべき基本

企業側にとって重要なのは、「クーリングオフの権利は消費者に与えられている」ということです。つまり、知らなかった、または契約書に特別な条件を書いていたとしても、消費者が適切な期間内に意思表示をすれば契約解除は認められます。


例えば、次のようなケースが典型です。

ケース

企業の対応ミス

消費者の権利

訪問販売で契約書に「解約不可」と書いた

誤解を招く表示

契約日から8日以内であれば解除可能

電話勧誘で契約した商品を発送済み

商品を返却拒否

消費者は返送し、支払った代金の返金を請求可能

このように、企業が意図せず法令違反になりうる場面は少なくありません。



なぜ誓約書の前に理解が必要か

営業や契約手続きの現場で、誓約書や契約書を交付する前にクーリングオフのルールを理解しておくことは、次の理由で非常に重要です。

  1. トラブル防止消費者から「契約した覚えがない」「解約したい」とクレームが入る前に、事前に適正な説明や書類作成でリスクを減らせます。

  2. 法的リスクの回避クーリングオフの制度を無視した契約は、消費者が権利を行使した場合に、全額返金や損害賠償の対象となります。

  3. 信頼の維持消費者に誤解なく契約内容を説明することは、企業ブランドの信頼性向上にもつながります。



クーリングオフ対応の基本フロー

初心者にも分かりやすく、クーリングオフの対応フローを図にしてみましょう。

消費者が意思表示 → 企業は受領確認 → 商品・代金の返却・返金 → 契約解除完了

ポイントは以下です。

  • 消費者の意思表示は書面が望ましい電話やメールでも有効ですが、後でトラブルにならないように書面での通知を推奨。

  • 企業は迅速に対応遅延すると消費者からのクレームや行政指導の対象になる場合があります。

  • 返金や商品の回収を確実に「返品期限」「返金方法」を誤ると、さらにトラブルが増えます。



まとめ

はじめに押さえておきたいポイントは次の3つです。

  1. クーリングオフは消費者保護制度消費者は一定期間内なら理由なく契約解除可能。

  2. 企業は知らなかったでは済まされない契約の種類によって、対応義務や期間が法律で決まっている。

  3. 誓約書交付前の理解がトラブル防止に直結契約時の説明や書類作成で法的リスクを大幅に減らせる。


💡 補足例え話

クーリングオフは「試着室のルール」に似ています。服を買う前に試着してサイズや着心地を確認するのと同じように、消費者は契約後に「本当に必要か」を確認する期間が法律で保障されている、と考えると理解しやすいでしょう。



  2.クーリングオフとは


クーリングオフ制度の基本と目的

クーリングオフ制度とは、消費者が契約した商品やサービスについて、一定期間内であれば理由を問わず契約を解除できる権利です。


ポイントは2つです。

  1. 消費者を守るための制度訪問販売や電話勧誘販売など、消費者が十分に判断できない状況で契約してしまった場合でも、後から冷静に考えて契約を取り消すことができます。

  2. トラブル防止の仕組み契約後に「やっぱり不要だった」「誤解して契約した」というトラブルを未然に防ぐため、法律で権利が保障されています。


💡 例え話

クーリングオフは「試着期間」に似ています。服を買うときに、試着してサイズや色を確認する時間がありますよね。契約も同じで、契約後に「本当に必要か」を考える時間が法律で与えられていると考えると分かりやすいです。



消費者に与えられる「冷静な判断期間」

クーリングオフの大きな特徴は、消費者に冷静に考える期間を与えることです。この期間内であれば、消費者は契約を解除する権利を行使できます。

  • 期間の例:

    • 訪問販売:8日以内

    • 電話勧誘販売:8日以内

    • 特定継続的役務(例:エステ、語学教室):契約書受領日から20日以内


⚠️ 企業側が契約を成立させた日や、商品を渡した日ではなく、消費者が契約書面を受け取った日がカウントの起点となる点に注意が必要です。



法的根拠:特定商取引法と消費者契約法

クーリングオフは、日本では主に次の法律に基づいています。

法律

概要

特定商取引法

訪問販売、通信販売、電話勧誘販売など特定の取引を対象に、クーリングオフのルールや表示義務を定めている

消費者契約法

不当な勧誘や誤認に基づく契約を取り消せる権利を定め、消費者の契約解除権を幅広く保護している


💡 補足特定商取引法は「販売側にルールを守らせる法律」、消費者契約法は「消費者が契約を取り消せる権利を守る法律」と覚えると理解しやすいです。



企業視点での注意点

クーリングオフは消費者向けの制度であり、企業は以下の点に注意する必要があります。

  1. 法人契約には原則適用されない会社同士の契約(BtoB取引)では、消費者保護の観点が適用されず、原則クーリングオフは使えません。ただし、小規模事業者や個人事業主が契約する場合、消費者とみなされることもあるので注意が必要です。

  2. 消費者向け取引では適切な対応が必須消費者がクーリングオフを行使した場合、企業は迅速に対応しなければなりません。

    • 返金の手続き

    • 商品の回収

    • 契約解除の通知


💡

訪問販売でエステ契約をした消費者が、契約書受領から10日以内に「解約したい」と申し出た場合、企業は返金義務があります。期間を過ぎると原則解除不可ですが、契約内容や勧誘方法によっては法的責任が残ることもあります。



クーリングオフ対応の図解

契約 → 書面受領 → 消費者が冷静期間中に解約意思表示 → 企業は返金・商品回収 → 契約解除完了

ステップ

企業の対応ポイント

契約

契約書の交付、重要事項の説明を正確に行う

書面受領

消費者が受領した日を正確に記録する

解約意思表示

書面での通知を受け取り、受領確認を行う

返金・商品回収

迅速かつ確実に対応する

契約解除完了

記録を残し、再発防止策を検討する



まとめ

クーリングオフのポイントを整理すると次の通りです。

  1. 消費者に冷静に考える期間を与える権利契約後でも、一定期間内であれば理由を問わず解除可能。

  2. 法的根拠が明確特定商取引法や消費者契約法でルールが定められている。

  3. 企業側は迅速かつ適切な対応が必須特に消費者向け取引では、無視すると法的リスクや信用低下につながる。


💡 補足例え話

クーリングオフは「冷却期間」のようなものです。熱くなった状態(契約時の感情や勢い)を少し落ち着かせることで、消費者が冷静な判断をできる時間を法律が保障している、と考えるとイメージしやすいです。



  3.クーリングオフができる取引・できない取引


クーリングオフができる取引(代表例)

クーリングオフが適用されるのは、主に消費者が契約の判断を急がされやすい取引です。企業担当者としては、「どの取引に制度が適用されるか」を正確に把握することがリスク回避につながります。


1. 訪問販売

  • 消費者の自宅や職場などに営業が訪れて行う販売。

  • 高額な健康器具や化粧品、教材などが代表例。

  • クーリングオフ期間:契約日から8日以内


💡 例え話

訪問販売は「玄関先で急に勧められた商品」に例えられます。消費者は冷静に考える時間が少ないため、法律でクーリングオフが保障されています。


2. 電話勧誘販売

  • 電話で商品やサービスを契約させる販売。

  • クレジット契約や教材販売などで見られる。

  • クーリングオフ期間:契約日から8日以内


3. 連鎖販売取引(マルチ商法)

  • 商品を購入するだけでなく、他人を勧誘して利益を得る仕組み。

  • 高額化粧品や健康食品などが多い。

  • クーリングオフ期間:契約日から20日以内


4. 特定継続的役務提供

  • 契約期間が長く、定期的に役務を提供するサービス。

  • 例:学習塾、エステ、語学教室

  • クーリングオフ期間:契約書受領日から20日以内


💡 ポイント

継続的なサービス契約は、途中で消費者がやめたくなる可能性があるため、長めのクーリングオフ期間が設定されています。


5. 業務提携誘因販売取引(内職商法)

  • 「これを買えば副業で稼げる」と勧誘される取引。

  • クーリングオフ期間:契約日から20日以内



クーリングオフができない取引

次の取引は、原則としてクーリングオフの対象外です。企業は誤解を与えない説明が必要です。

取引

理由・ポイント

店舗販売

消費者が自ら店舗に足を運んで購入するため、冷静判断期間が不要とされる

法人同士の契約

消費者保護の対象外

少額現金取引(3,000円未満)

少額のためトラブルリスクが低い

不動産賃貸契約

生活基盤に関わる契約で、即時解除は混乱を招く

光回線契約、電気・ガス契約

利用開始後の解除はサービス提供側に大きな影響があるため原則対象外


💡 補足例え話

店舗販売は「ショッピングモールで自分で買う商品」に例えられます。消費者は自分の意思で購入しているため、試着や確認の機会が十分にあり、法律上クーリングオフは不要とされています。



企業として知っておくべきポイント

1. 「クーリングオフできない」と消費者に伝える場合の注意

  • 誤解を招く表現は避ける。例えば「絶対に解約できません」と書くと法的リスクあり。

  • 適切には「この取引はクーリングオフの対象外です」と説明する。

  • 契約書や説明書に明示して、後のトラブルを防止する。


2. 適用外ケースでのトラブル防止

  • 消費者は制度を誤解して「解約したい」と言うことがあります。

  • 企業は以下の対応を検討すると安心です:

    • 契約前に口頭・書面で説明

    • 契約書に「本取引はクーリングオフ対象外」と明記

    • 顧客から解約希望があった場合は、柔軟に対応できる内部ルールを整備



クーリングオフ適用・非適用のまとめ表

分類

適用例

期間

備考

適用

訪問販売

8日

高額商品が多い

適用

電話勧誘販売

8日

契約書受領日基準

適用

連鎖販売取引

20日

マルチ商法

適用

特定継続的役務

20日

エステ、学習塾など

適用

業務提携誘因販売

20日

内職商法

非適用

店舗販売

消費者が自ら来店

非適用

法人契約

消費者保護対象外

非適用

少額現金取引

3,000円未満

非適用

不動産賃貸契約

法律上対象外

非適用

光回線契約等

サービス提供影響あり


💡 補足例え話

クーリングオフが「できる取引」は、消費者が「勢いで買ってしまいやすい」契約です。一方「できない取引」は、消費者が自ら選んで購入したり、日常生活に直結する契約のため、法律で解除権が限定されています。



  4.クーリングオフ期間の考え方


クーリングオフ期間の基本と例外

クーリングオフ制度では、消費者が契約を解除できる**期間(クーリングオフ期間)**が法律で定められています。この期間内であれば、消費者は理由を問わず契約を解除できる権利を持っています。


しかし、取引の種類や契約方法によって期間は異なります。また、例外的に延長される場合もあるため、企業担当者は正確な把握が必須です。



主なクーリングオフ期間

取引種類

クーリングオフ期間

補足

訪問販売

8日間

契約書受領日から起算。健康器具・化粧品などが多い

連鎖販売取引(マルチ商法)

20日間

商品購入+勧誘がセットになっている取引

通信販売(カタログ・オンライン)

8日間

契約書面受領日が基準。ネット注文も含む

特定継続的役務提供(例:エステ、学習塾)

20日間

契約書面受領日から起算。役務提供が長期間に渡る場合


💡 補足例え話

クーリングオフ期間は「試用期間」に似ています。購入した商品や契約したサービスを一度試すための猶予期間が法律で保証されている、と考えると理解しやすいです。



電子契約やメール取引時のカウント方法

近年では、オンライン契約やメールでの契約が増えています。この場合、クーリングオフ期間の起算日は契約書面を消費者が確認できる状態になった日です。

  • メールで契約書を受け取った場合:メール受信日が基準

  • PDFや電子署名付き契約の場合:消費者が開封・閲覧可能になった日がカウント開始


⚠️ 注意点電子契約の場合でも、書面と同等に「契約内容が確認できる状態であること」が前提です。未開封の状態でカウントは開始しません。



企業向けチェックリスト

クーリングオフ期間を正しく管理するために、企業担当者は次の項目をチェックしておくと安心です。

チェック項目

詳細

期間開始日

契約日か契約書面受領日かを明確に記録

取引種類

訪問販売、マルチ商法、通信販売など正しく分類

通知方法

書面・電話・メールなど、消費者が意思表示できる手段を確認

期間管理

カレンダーや管理システムで終了日を明示

例外対応

消費者が受領を遅らせた場合の期間延長や特別措置を把握


クーリングオフ期間中の通知受付方法

企業は、期間中に消費者からのクーリングオフ通知を確実に受け取れる体制を整えておく必要があります。

  • 書面での通知

    • 最も一般的で証拠として残る方法

    • 内容証明郵便も活用可能

  • メールやFAXでの通知

    • 受信日時の記録が重要

    • 企業側で「受領確認」を必ず行う

  • 電話での通知

    • 受領内容を記録に残す

    • 後でトラブルになる可能性があるため、書面確認を併用すると安心


💡 例え話

通知受付は「ポストに届いた手紙をちゃんと開封すること」と同じです。受け取った記録が残っていないと、後で「通知があった・なかった」でトラブルになるため、企業側の管理体制が重要です。



クーリングオフ期間まとめ図

契約日
  ↓
契約書面受領日 ← 期間開始
  ↓
8日間 or 20日間(取引種類による)
  ↓
期間終了 → 契約解除可能期間終了

取引種類

期間

起算日

備考

訪問販売

8日

契約書受領日

高額商品など

通信販売

8日

契約書受領日

オンライン注文も含む

マルチ商法

20日

契約書受領日

勧誘+購入セット

特定継続的役務提供

20日

契約書受領日

エステ、学習塾など



まとめ

  1. クーリングオフ期間は取引種類によって異なる訪問販売や通信販売は8日間、マルチ商法やエステなどは20日間。

  2. 期間の起算日は契約書面受領日が原則電子契約やメール契約でも、消費者が確認可能になった日が起算日。

  3. 企業は期間管理と通知受付の体制を整える書面・メール・電話など、すべて記録に残すことでトラブル防止。


💡 補足例え話

クーリングオフ期間は、消費者に与えられた「冷却期間」です。契約直後の熱い気持ち(勢い)を落ち着けて、冷静に判断するための時間を法律が保障している、と考えると分かりやすいです。



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  5.クーリングオフの手続き方法


クーリングオフ通知の方法

クーリングオフを行う場合、消費者は契約解除の意思を企業に伝える必要があります。通知方法は主に3つです。


1. 書面での通知

  • はがきや封書最も一般的な方法で、証拠が残るためトラブル防止に有効です。

  • 内容証明郵便送付日や内容を郵便局が証明してくれるため、期間内通知を立証する際に有効です。

  • FAX送信記録が残るため、書面同等の証拠として扱える場合があります。


💡 例え話

書面通知は「手紙で契約解除を伝えるイメージ」です。ポストに届いた記録が残るので、後から「届いていない」と言われるリスクを減らせます。


2. 電磁的記録での通知

  • メール受信日時が記録として残るため、送信証拠が確認できると有効です。

  • 電子契約サービスのメッセージ機能契約書に紐づいたメッセージで解除意思を通知することも可能です。


⚠️ 注意点

  • 受信者側がメールを確認できる状態になっていない場合、通知として認められないことがあります。

  • 送信記録は必ず保存しておくこと。



クーリングオフ通知書に記載すべき内容

通知書には、最低限以下の情報を明確に書く必要があります。

項目

説明

契約日

契約が成立した日(契約書に記載されている日)

契約内容

商品名・サービス名、数量、金額など

解除の意思表示

「クーリングオフにより契約を解除します」と明確に書く

署名・押印

手書きの場合は署名、法人名義の場合は代表者印も記載


💡 例文

令和○年○月○日
株式会社〇〇御中

私は、令和○年○月○日に貴社と締結した
「〇〇商品の購入契約」を、クーリングオフの権利に基づき解除いたします。
署名:山田太郎
住所:〇〇市〇〇町〇丁目


企業が押さえるべきポイント

クーリングオフ通知を受けた場合、企業は迅速かつ正確に対応する必要があります。


1. 通知の受領確認

  • 書面の場合:到着日時と内容を確認して記録

  • メール・FAXの場合:受信日時をログに残す

  • 電話の場合:口頭確認だけでは不十分。後で書面確認を行う


2. 消費者への返金・商品の回収

  • 返金は原則として全額返金

  • 商品の回収も迅速に行う

  • 返送方法や費用負担も契約書や法律に基づき適切に対応

⚠️ 注意

  • 返金や商品の回収が遅れると、法的リスクやクレームにつながります。


3. 書類・メールの保管

  • 受領した通知書・メール・FAXはすべて記録として保存

  • 保存期間は最低でも契約期間+1年程度を目安

  • 管理体制を整えることで、後日トラブルになった際に証拠として活用可能


💡 例え話

通知の保管は「証拠箱に大事な手紙をしまっておく」イメージです。トラブルが発生したときに「ちゃんと受け取りました」と証明できるため、企業を守ることになります。



クーリングオフ手続きフロー図

消費者が解除意思を通知
        ↓
企業が通知を受領・記録
        ↓
返金・商品の回収手続き開始
        ↓
返金・商品回収完了 → 契約解除確定
        ↓
通知書・記録を保管


まとめ

  1. 通知方法を正しく理解する書面・FAX・メール・電子契約サービスなど、送信証拠が残る方法を推奨。

  2. 通知書に必要な項目を明確に書く契約日、契約内容、解除意思、署名は必須。

  3. 企業は受領確認と返金・回収を迅速に行う遅延や不備がトラブル・法的リスクにつながる。

  4. 書類やメールを必ず保管する後日トラブル時の証拠として活用できる。


💡 補足例え話

クーリングオフ通知手続きは「裁判の前に証拠を揃える準備」と似ています。きちんと送受信記録や書面を残すことで、消費者・企業双方にとって安心できる手続きになります。



  6.クーリングオフ妨害・トラブル対応


消費者から「開封済み」「返品不可」と言われた場合の対応例

クーリングオフの権利は、商品が開封済みでも基本的に消費者に認められます。しかし、消費者が「開封済みだから返品できない」と主張してくるケースがあります。


対応例

  1. 冷静な説明

    • 「クーリングオフは、理由の如何を問わず契約を解除できる制度です」

    • 「商品が開封済みでも、法律に基づき返品は可能です」

  2. 返品手順の提示

    • 返送先、返金方法、送料負担の有無を明確に案内

    • 例:消費者が着払いで送付 → 企業側で受領後に返金処理

  3. 記録の保持

    • 消費者とのやり取り(メール、電話、書面)は全て記録

    • 後日トラブルになった際の証拠として使用可能


💡 例え話

クーリングオフは「試着期間」に似ています。服を試着してタグを外してしまっても、期間内であれば返品できるのと同じです。



悪質事例の紹介

クーリングオフトラブルは、特に次のケースで発生しやすいです。

事例

内容

注意ポイント

訪問販売

高額健康器具の契約後、営業が返品を拒否

法律で期間内返品が可能と明示する

通信販売

オンライン注文後、開封済みと返品拒否

メールや契約書で返品条件を正確に提示

マルチ商法

商品購入+勧誘で解除意思を無視

連鎖販売取引は20日間のクーリングオフが保証される


💡 ポイント

悪質事例では、消費者が権利を行使しても、企業側が誤解や妨害をすることでトラブルに発展します。事前のルール整備が重要です。



企業としての対応策

トラブルを防ぐためには、以下の対応策が有効です。

  1. 事前説明の徹底

    • 契約時にクーリングオフ期間、返品手続き、費用負担などを明確に説明

    • 書面・口頭の両方で記録を残す

  2. 社内フローの整備

    • クーリングオフ通知を受けたら誰が対応するかを明確化

    • 返金・商品回収の責任者を定め、迅速に処理

  3. 妨害を避ける文言

    • 「開封済みでも返品可能」「期間内は理由を問わず解除可能」と明記

    • 消費者が誤解しないよう契約書・チラシ・ウェブに記載



消費生活センターや弁護士への相談

万一、消費者が権利行使を妨害したり、トラブルがこじれた場合は、外部相談が有効です。

  • 消費生活センター

    • 消費者保護を専門とする相談窓口

    • トラブル内容を整理し、中立的立場でアドバイスを受けられる

  • 弁護士

    • 民事トラブル化した場合の法的対応

    • 契約解除の正当性や返金義務などを確認可能



民法・消費者契約法を活用した代替手段

消費者がクーリングオフ権を行使できない場合、企業側も法的手段でトラブルを回避できます。

  1. 民法上の解除権

    • 契約内容に瑕疵(かし:誤認や不当な勧誘)がある場合、民法に基づき契約解除可能

  2. 消費者契約法

    • 不当な勧誘や説明不足による契約は、消費者側が解除可能

  3. 内部対応ルールの作成

    • 「受領日・クーリングオフ期間の記録」「返金・回収のフロー」を社内で標準化


💡 例え話

消費者契約法は「セーフティネット」のようなもの。万一トラブルが起きても、法律のルールを正しく適用することで企業も消費者も守られます。



クーリングオフ妨害対応フロー図

消費者から解除通知
        ↓
開封済み・返品不可の主張があれば
        ↓
①冷静に法律・手順を説明
②返品・返金フローを提示
③記録を残す
        ↓
トラブルが解決しない場合
        ↓
消費生活センターや弁護士に相談
        ↓
民法・消費者契約法を活用して解決


まとめ

  1. 開封済みでも消費者はクーリングオフ可能誤解を避ける説明と記録が重要

  2. 悪質事例を学び、社内フローを整備訪問販売・通信販売・マルチ商法などの事例をもとに事前対応を徹底

  3. 外部相談窓口や法律を活用消費生活センターや弁護士への相談で法的リスクを回避

  4. 民法・消費者契約法を理解して代替手段を準備不当な契約や説明不足には法的対応も可能


💡 補足例え話

クーリングオフ妨害対応は「交通整理」のようなものです。ルールに沿って案内し、記録を残すことで、事故(トラブル)を未然に防ぐことができます。



  7.電子契約とクーリングオフ


電子契約サービスを使う場合の手順

電子契約サービスを利用すると、紙の契約書をやり取りせずに契約を締結でき、作業効率や管理の面で便利です。しかし、クーリングオフ対応の観点から、いくつか注意点があります。

1. 消費者に電子契約の承諾を得る

  • 電子契約は紙の契約書と同等の効力がありますが、まず消費者の承諾が必要です。

  • 承諾がない場合、契約自体が無効になるリスクがあります。


💡 例え話

電子契約は「オンライン上で署名するサイン」に例えられます。紙の署名と同じ効力があるため、必ず同意を得てから手続きを進める必要があります。


2. 電子契約サービスで締結

  • 契約内容を電子化して、署名や押印をオンラインで行います。

  • 契約日時やIPアドレスなどが自動で記録され、証拠として残ります。


3. データの印刷・郵送(必要に応じて)

  • 電子契約だけでも法的効力はありますが、消費者が紙で確認したい場合には印刷して郵送するのも有効です。

  • 特にクーリングオフ期間の起算日を明確にするため、紙面での確認は安心材料になります。


4. 契約書の保存・管理

  • 電子契約データはクラウド上や専用サーバーで保存されます。

  • 消費者とのトラブルや監査に備え、契約書データを一定期間保管する必要があります。

⚠️ 注意

  • 契約期間中およびクーリングオフ期間終了後も、契約データを適切に管理することが義務です。



注意点

電子契約でもクーリングオフ期間は適用される

  • クーリングオフ制度は消費者保護が目的のため、電子契約でも適用されます

  • 期間の起算日は、消費者が契約内容を確認可能になった日です。

    • 例:メールで契約書が届き、消費者が開封した日

  • 開封前に期間を数えることはできません。


記録の保管義務・通知手段の確保

  • クーリングオフ通知が電子で届いた場合も、企業は受領日時や内容を確実に記録する必要があります。

  • 書面・メール・電子サービス内メッセージなど、通知方法を複数確保するとトラブル回避につながります。


💡 例え話

電子契約の管理は「デジタル金庫」に書類をしまうイメージです。必要な時に開けて確認でき、改ざんされないよう安全に保管することが重要です。



電子契約とクーリングオフ手順フロー図

消費者の承諾
        ↓
電子契約サービスで契約締結
        ↓
契約データ保存(クラウド/サーバー)
        ↓
契約書の印刷・郵送(必要に応じて)
        ↓
クーリングオフ期間中の通知受付
        ↓
通知受領 → 返金・商品の回収
        ↓
記録の保管


まとめ

  1. 電子契約は紙と同等の法的効力消費者の承諾を得ることが前提。

  2. クーリングオフ期間は電子契約でも適用期間は消費者が契約内容を確認可能になった日から起算。

  3. 記録管理が企業にとって重要契約データ、通知、返金・回収記録はすべて保管。

  4. トラブル防止には複数の通知手段を確保電子契約・メール・書面の併用で安全に対応可能。


💡 補足例え話

電子契約は「デジタル契約書」という宝箱のようなもの。便利ですが、契約解除やクーリングオフの通知があった場合にすぐ取り出せるように管理しておくことが、企業にとっての安全装置となります。



  8.企業が誓約書作成前に確認すべきポイント


消費者に不利益を与えない契約書の文言

誓約書や契約書を作成する際、消費者に不利益を与える文言は避ける必要があります。法律上、消費者契約は「弱い立場」の消費者を保護する趣旨があるため、不当な条項は無効になることがあります。


注意すべき文言例

NG文言

改善例

解説

「開封済みは返品不可」

「クーリングオフ期間内は理由を問わず解除可能」

消費者の権利を制限している条項は無効

「返金手数料は消費者負担」

「返金手数料は企業負担」

高額商品や役務提供では全額返金が原則

「期間経過後は解除不可」

「適用外取引の場合は明示」

適用外でも説明義務は残る


💡 例え話

契約書の文言は「ルールブック」のようなもの。読んだ人が不公平に感じない内容でなければ、法律上問題になることがあります。



クーリングオフ期間・手続方法の明示

消費者が誤解なくクーリングオフを行えるように、契約書には期間と手続き方法を明確に記載することが重要です。

記載例

  • 「本契約は、特定商取引法に基づき、契約書受領日から8日間以内であれば、理由を問わず解除可能です」

  • 「解除の意思表示は、書面またはメールで当社宛に通知してください」


💡 ポイント

  • 期間の起算日(契約書受領日など)を明確にする

  • 書面・メール・FAXなど複数の通知手段を示すことでトラブル回避



契約解除・返金・商品の回収フローの整備

企業は、クーリングオフ発生時に誰が、どのように対応するかを社内で決めておく必要があります。


具体的なフロー例

1. 消費者から通知受領
        ↓
2. 内容の確認(契約日・商品・金額)
        ↓
3. 返金手続き開始(全額返金、手数料負担)
        ↓
4. 商品の回収(返送・引き取り)
        ↓
5. 記録の保存(書面・メール・受領確認)
  • フローを契約書内で簡単に示すと安心感が増します

  • 社内で役割分担(営業担当、経理、物流)を明確化


💡 例え話

返金・回収フローは「緊急時の避難経路図」のようなもの。誰が何をすべきかを事前に示しておくと、トラブル時に混乱せず対応できます。



適用外取引である場合の説明責任

クーリングオフの対象外取引(例:店舗販売、法人間取引、少額現金取引など)の場合も、消費者に説明する義務があります。

  • 「本取引はクーリングオフ制度の対象外です」

  • 「契約解除や返金は個別対応となります」


💡 ポイント

  • 口頭・書面での説明記録を残す

  • 消費者が誤解しないよう、契約書・チラシ・ウェブサイトに明記



企業が誓約書作成前に押さえるべきチェックリスト

チェック項目

内容

文言の適正

消費者に不利益がないか確認

クーリングオフ期間

適切な期間・起算日を明示

手続き方法

書面・メール・FAXなど、通知方法を明記

返金・回収フロー

社内での対応手順を明確化

適用外取引の説明

消費者に誤解がないよう説明記録を残す


まとめ

  1. 消費者に不利益を与えない文言にする法律違反やトラブル防止のため、契約書は公平・明確に。

  2. クーリングオフ期間と手続き方法を明示消費者が迷わず権利を行使できるように記載。

  3. 契約解除・返金・回収のフローを社内で整備役割分担や手順を明確にして迅速対応。

  4. 適用外取引でも説明責任を果たす消費者が誤解しないよう、契約書や説明文で明示。


💡 補足例え話

誓約書作成前の確認は「設計図をチェックする作業」に似ています。設計段階で不備を直すことで、完成後のトラブルを防ぐことができます。



  9.まとめ


クーリングオフは消費者保護の重要な権利

クーリングオフは、消費者が冷静な判断をするための権利であり、特に訪問販売や通信販売、マルチ商法など、消費者が誤って契約してしまいやすい取引において非常に重要です。

  • 契約から一定期間内であれば、理由を問わず契約を解除できる

  • 開封済み商品やサービスの提供後でも、期間内であれば消費者は権利を行使できる

  • 法律上、企業は「知らなかった」では済まされず、適切に対応する義務があります


💡 例え話

クーリングオフは「購入後の試用期間」のようなもの。試してみて合わなければ返品できる安全装置として、消費者を守る仕組みです。



企業は契約前に誓約書や契約書を法的にチェック

契約書や誓約書は、企業と消費者双方の権利と義務を明確にする重要な文書です。

  • 文言に消費者不利益がないかチェック

  • クーリングオフ期間や手続方法を明記

  • 適用外取引の場合も、説明責任を果たす

  • 電子契約の場合はデータ保存・証拠管理を徹底


💡 ポイント

  • 契約書の不備は後々トラブルの種になります。

  • 法律やガイドラインに沿ったチェックは、企業の「リスク回避策」です。



トラブル防止には手順・書面・電子契約・相談窓口の活用が鍵

トラブルを未然に防ぐためには、次のポイントが重要です。

  1. 手順の整備

    • クーリングオフ通知受領から返金・商品の回収までのフローを明確に

    • 社内で担当者を決め、迅速に対応

  2. 書面・電子契約の活用

    • 書面・FAX・メール・電子契約サービスを適切に利用

    • 記録を残し、後日の証拠として管理

  3. 相談窓口の活用

    • 消費生活センターや弁護士に相談し、法的リスクを事前に把握

    • 特に複雑な契約や悪質事例には専門家のアドバイスが有効



クーリングオフ対応のチェックリスト(企業向け)

項目

内容

文言チェック

消費者に不利益を与えないか確認

期間・手続き

クーリングオフ期間・通知方法の明示

フロー整備

受領・返金・回収の社内フローを明確化

記録管理

書面・メール・電子契約の保存

説明責任

適用外取引も消費者に誤解がないよう説明


💡 例え話

クーリングオフ対応の準備は「防災訓練」のようなもの。トラブル(災害)が起きても、手順・ルール・装置が整っていれば、被害を最小限に抑えられます。



まとめのポイント

  1. クーリングオフは消費者保護のための重要な権利

  2. 企業は契約前に誓約書や契約書を法的にチェック

  3. トラブル防止には、手順・書面・電子契約・相談窓口を活用


企業がこれらを事前に整備することで、消費者との信頼関係を守りつつ、法的リスクを最小限に抑えることが可能です。


💡 最後の補足例え話

クーリングオフ対応は「安全ネット」のようなもの。しっかり準備しておけば、万一消費者から解除通知があっても、企業は安全に対応でき、双方にとって安心な取引環境を作れます。



  10.参考・相談窓口


消費生活センター

消費生活センターは、消費者トラブルやクーリングオフに関する相談を無料で受け付けている公的機関です。


主な役割

  • 契約や商品のトラブルに関する相談受付

  • 消費者と事業者間のトラブル調整

  • 法律やガイドラインに基づいたアドバイス提供


利用方法

  1. 電話相談

    • 各都道府県・市区町村に設置された消費生活センターに電話

  2. 来所相談

    • 直接センターを訪れて相談可能

  3. オンライン相談

    • ウェブフォームやチャットで相談できる場合もあり


💡 例え話

消費生活センターは、消費者トラブルの「交通整理係」のような存在です。迷路のような法律や手続きを整理して、どのように動けばよいかを教えてくれます。



警察署生活安全相談センター

警察署生活安全相談センターでは、特に悪質商法や詐欺など、犯罪性が疑われる取引に関する相談が可能です。


主な役割

  • 悪質訪問販売やマルチ商法、架空請求などの被害相談

  • 事件性がある場合の捜査連絡

  • 消費者への注意喚起・防犯アドバイス


利用方法

  • 最寄りの警察署に電話または直接訪問

  • 生活安全課の相談窓口で相談


💡 例え話

警察署生活安全相談センターは、消費者トラブルの「防犯カメラ」のような存在です。危険信号を早期に察知し、被害拡大を防ぐサポートをしてくれます。



弁護士(企業法務・消費者対応)

弁護士は、クーリングオフや消費者トラブルに関する法的な専門家として相談できます。特に企業側は、誤った対応で訴訟リスクが高まらないよう注意が必要です。


主な役割

  • 契約書・誓約書のチェック

  • 消費者対応の法的アドバイス

  • 訴訟や調停などの代理・対応

  • 返金・回収手続きのリスク管理


利用方法

  • 企業法務に強い弁護士事務所を選ぶ

  • 消費者対応の実務経験がある弁護士が望ましい

  • 初回相談で、クーリングオフ対応フローや契約書のチェックを依頼


💡 例え話

弁護士は「安全設計士」のような存在です。契約や対応に潜むリスクを事前に見つけ、安全な道筋を示してくれます。



相談窓口活用のポイント

窓口

適したケース

相談のメリット

消費生活センター

契約内容や手続きのトラブル全般

中立的立場でのアドバイス、調整

警察署生活安全相談センター

悪質商法・詐欺など犯罪性が疑われる場合

被害防止、事件性の確認

弁護士

法的判断が必要、訴訟リスクがある場合

法的リスクの回避、契約書チェック

💡 ポイント

  • まずは消費生活センターで相談して事実確認

  • 事件性がある場合は警察署に報告

  • 法的判断や企業対応の安全策は弁護士に依頼



まとめ

  1. 消費生活センター

    • 中立的に契約・クーリングオフトラブルを整理してくれる

  2. 警察署生活安全相談センター

    • 悪質商法や詐欺被害を未然に防ぐ

  3. 弁護士(企業法務・消費者対応)

    • 法的リスクを回避し、契約書・誓約書の安全性を確認


💡 補足例え話

相談窓口は「トラブル対応の三種の神器」のようなものです。消費生活センターで状況を把握し、警察で危険を確認、弁護士で安全設計を行うことで、クーリングオフや契約対応を安心・安全に進められます。



~事例・比較分析紹介~



  11.制度理解と適用範囲


クーリングオフが適用される取引と適用外取引の実務差

クーリングオフとは、消費者が契約後に冷静な判断を行えるよう設けられた制度で、一定期間内であれば契約を解除できる権利です。ただし、すべての契約に適用されるわけではありません。


適用される取引の代表例

取引種類

期間

特徴

訪問販売

8日間

営業担当者が自宅や職場を訪問して契約する場合

電話勧誘販売

8日間

電話で契約を誘導する場合

連鎖販売取引(マルチ商法)

20日間

販売組織への加入契約など、消費者の判断が困難な取引

特定継続的役務提供

8日間

学習塾、エステ、語学教室など、長期サービス契約

内職商法(業務提携誘因販売取引)

8日間

内職や副業名目での契約


💡 例え話

クーリングオフは「購入後の試用期間」のようなもの。訪問販売やマルチ商法のように、契約の場で判断が揺れる可能性がある取引ほど、制度が活用されます。


適用外取引の代表例

取引種類

理由

店舗販売

消費者が自ら店に出向いて契約するため、冷静判断が前提とされる

法人同士の契約

法人は専門家としての判断力があるとみなされる

少額現金取引(3,000円未満)

小額取引で消費者保護の必要性が低い

不動産賃貸契約、光回線契約など

特定商取引法の対象外で、別法規の規定がある場合


💡 例え話

適用外取引は「自己責任で購入する商品」とイメージしてください。店舗で買ったジュースや文房具は、消費者の判断力に委ねられるため、クーリングオフの保護対象にはなりません。



消費者向けと法人向け契約の違い

  • 消費者向け契約

    • 個人の生活を目的とした契約

    • クーリングオフの対象になりやすい

    • 法的に保護される弱者として扱われる

  • 法人向け契約

    • 企業・団体同士の契約

    • クーリングオフは原則適用外

    • 法的保護よりも契約自由の原則が優先


💡 例え話

消費者は「初心者プレイヤー」、法人は「経験者プレイヤー」のようなもの。初心者は保護されますが、経験者は自己責任で判断すると考えられます。



電子契約やインターネット通販での適用条件

電子契約やオンライン通販の場合も、クーリングオフは原則として適用されますが、条件が少し複雑です。

ポイント

  1. 契約内容の確認可能日が起算日

    • 契約書やメールで内容が確認できた日から期間がカウントされます

  2. 書面での通知・電子通知が可能

    • 書面(郵送)、FAX、メール、電子契約サービスなど、通知手段が複数認められる

  3. 特定商取引法のオンライン取引の規定に従う

    • 例:訪問販売や通信販売に準じて、8日間の期間設定が必要


💡 例え話

電子契約でのクーリングオフは「オンラインショッピングの返品期間」のようなもの。届いた商品や契約内容を確認してから期間がスタートするため、メールを開封していない状態では期間は始まりません。



図解:適用範囲イメージ

[消費者向け契約] ── クーリングオフ対象
   ├─ 訪問販売
   ├─ 電話勧誘
   ├─ マルチ商法
   └─ 特定継続役務提供

[法人向け契約] ── 原則対象外
[店舗販売] ── 原則対象外
[少額現金取引] ── 原則対象外
[特定法規対象取引] ── 別法規に従う


まとめ

  1. クーリングオフは消費者保護が目的の制度で、すべての契約に適用されるわけではない

  2. 適用される取引は、訪問販売・電話勧誘・マルチ商法・長期役務提供・内職商法など

  3. 適用外取引には、店舗販売、法人契約、少額取引、不動産・光回線などがある

  4. 電子契約やインターネット通販も原則適用され、内容確認日が期間の起算日になる


💡 補足例え話

クーリングオフの適用範囲を知ることは、契約の「安全装置」を正しく理解することに似ています。消費者向けのリスクが高い取引には必ず制度を適用し、適用外取引では誤解を避ける説明を行うことが重要です。



  12.実務上のトラブル事例分析


訪問販売での「開封済み」「返品不可」トラブル

訪問販売では、営業担当者が消費者の自宅や職場に訪問して契約を結ぶため、購入後にクーリングオフを希望する消費者が増えやすい傾向があります。特に「開封済み」「返品不可」と言われた場合にトラブルになりやすいです。


代表的事例

  • 高額美容器具を自宅で試用後に「開封済みのため返品不可」と販売店が主張

  • エステや習い事の契約で、施術開始後に「期間を過ぎたため解約できない」と説明


法的ポイント

  • 開封済みでも、クーリングオフ期間内であれば消費者は理由を問わず契約解除可能

  • 返品不可条項は無効となることが多く、企業側の主張は通らない


💡 例え話

訪問販売での「開封済み=返品不可」は、映画館で映画を途中で観たら返金できないと言われるようなもの。クーリングオフ制度は、消費者が後から冷静に判断できる安全装置です。



インターネット通販での「返品特約」トラブル

オンライン通販では、「返品特約」と書面やウェブ上で表示していても、クーリングオフの権利を無効化できません。特に誤解を招きやすい表現でのトラブルが多いです。


代表的事例

  • 商品ページに「返品不可」と記載したが、特定商取引法に基づく通知後に消費者がクーリングオフを行った

  • 電子契約でサービスを購入したが、消費者が確認後8日以内に解除通知を送信


法的ポイント

  • インターネット通販でも、訪問販売や通信販売の規定に準じて、8日間以内であれば解除可能

  • 「返品不可」など一方的な制限は無効


💡 例え話

通販サイトの「返品不可」は、飛行機のチケットを買ったら絶対にキャンセルできないと言われるようなもの。しかし、クーリングオフは法律で定められた例外的なキャンセル権です。



マルチ商法や押し買いなど悪質商法の解除事例

悪質商法では、消費者が誤解や圧力で契約してしまうケースが多く、解除請求が頻発します。


代表的事例

  • マルチ商法で「初期費用は必ず回収できる」と説明された契約を、消費者が20日以内に解除

  • 押し買いで不要な商品を買わされたが、クーリングオフ期間内に通知して契約解除


法的ポイント

  • マルチ商法は、クーリングオフ期間が20日間と通常より長い

  • 押し買い・詐欺的勧誘は、民法上の取消権や消費者契約法上の解除権も活用可能


💡 例え話

悪質商法は「強引なセールスマンが家に押しかけるゲーム」のようなもの。クーリングオフはそのゲームに途中で降りられる「安全出口」です。



誓約書や契約書にサイン後のクーリングオフ請求対応事例

契約書や誓約書に署名済みでも、クーリングオフ期間内であれば解除可能です。実務では「署名があるため解除不可」と誤認するケースがあります。


代表的事例

  • 家庭教師契約で誓約書に署名済みでも、開始後5日で解除を希望した消費者

  • 高額化粧品の契約書にサイン済みでも、クーリングオフ通知により全額返金・商品の回収


法的ポイント

  • サインの有無は関係なく、期間内の解除権は法律上有効

  • 企業は受領確認、返金、回収フローを速やかに行う必要


💡 例え話

署名後の解除は「契約書にサインしたけど、購入後に気が変わった」という状態。法律は消費者の判断ミスを修正できる仕組みを保証しています。



図解:トラブルと対応のイメージ

[訪問販売・通販・マルチ商法]
       │
       ▼
  消費者からクーリングオフ通知
       │
       ▼
  企業対応フロー
  ├─ 受領確認
  ├─ 返金処理
  ├─ 商品回収
  └─ 記録保存

まとめ

  1. 開封済み・返品不可条項は無効

    • 訪問販売でも通販でも、期間内なら解除可能

  2. 悪質商法は解除期間が長く、法律で保護される

    • マルチ商法は20日間、押し買いは取消権活用

  3. 誓約書・契約書署名後でも解除可能

    • サインの有無に関わらず、期間内の解除権は有効


💡 補足例え話

クーリングオフ対応は「契約の安全ネット」です。誤った契約や押し付け契約でも、法律に沿った手続きを行えば、消費者も企業も安心して解決できます。



  13.通知方法・手続きの現場課題


書面(はがき・内容証明・FAX)でのトラブルと対策

クーリングオフの通知は、基本的に書面で行うことが最も確実とされています。書面には、はがき・内容証明・FAXなど複数の方法がありますが、それぞれでトラブルが発生することがあります。


書面別の特徴とトラブル例

書面種類

特徴

よくあるトラブル

はがき

手軽で簡単

受領証明がないため、到達日や受領を証明できない

内容証明

郵便局が内容・送付日を証明

書き方が不適切だと受理されない、費用がかかる

FAX

即時送信可能

送信完了だけでは相手が読んだか確認できない、誤送信リスク


💡 例え話

はがきは「手紙をポストに投函する」だけの簡単さ、内容証明は「送付の証拠付きレター」、FAXは「メールの原始版」と考えるとイメージしやすいです。


トラブル回避策

  • 内容証明を利用して、送付日と内容を証拠化

  • FAXは送信報告書を保存

  • はがきの場合は、受領確認を電話やメールで補完



電磁的記録(メール・電子契約)での記録保持の重要性

近年では、電子メールや電子契約サービスを使った通知も増えています。しかし、電子的通知の場合は証拠としての保全が課題です。


電子通知の現場課題

  1. メール送信だけでは受領確認が不十分

    • 迷惑メールフォルダに入った場合、消費者が見ていない可能性がある

  2. 電子契約サービスの履歴保存が必須

    • 契約日時・内容・解除通知の記録が改ざんされない形で保存される必要


対策例

  • 電子契約サービスで通知を送信、履歴をクラウド保存

  • メール送信後に開封確認機能を活用

  • PDFなどの形で送信記録を保存して、後日証拠として提出可能にする


💡 例え話

電子通知は「ネット銀行の振込明細」のようなもの。送っただけでは不十分で、履歴や証拠が残っていることが重要です。



消費者への通知受領確認方法の実務比較

通知方法によって、消費者に確実に届いたか確認する方法が異なります。

通知手段

受領確認方法

メリット

デメリット

はがき

消印確認、電話で確認

シンプル

到達日不確定

内容証明

郵便局で送付日・内容証明

法的証拠力が高い

費用がかかる

FAX

送信報告書

即時送信

相手が読んだか不明

メール

開封通知、返信確認

手軽

迷惑メールに埋もれる可能性

電子契約

システム履歴、クラウド保存

改ざん不可、法的証拠

初期導入コストがかかる

💡 ポイント

  • 現場では**「通知した=届いた」ではない**ことを前提に対応する

  • 書面・電子いずれでも、受領確認や証拠保存をセットで運用することが重要



図解:通知方法と受領確認のイメージ

[消費者への通知]
      │
      ├─ はがき → 郵便受領 or 電話確認
      ├─ 内容証明 → 郵便局記録で証拠化
      ├─ FAX → 送信報告書保存 + 電話確認
      ├─ メール → 開封通知・返信確認
      └─ 電子契約 → クラウド履歴で証拠化

💡 例え話

通知手段は「手紙・電話・オンラインメッセージ」の違い。どれを使うにしても、相手が確実に受け取り、記録が残る仕組みが大事です。



まとめ

  1. 書面通知は証拠力が高いが、到達確認の補助が必要

  2. 電子通知・メールは便利だが、履歴保存や開封確認が必須

  3. 受領確認は手段ごとに違うため、複数の方法で補完することがトラブル防止につながる


💡 補足例え話

クーリングオフ通知は「契約解除の合図」です。手段がどれでも、届いた証拠と受領確認の仕組みを作っておくことで、消費者・企業双方が安心して手続きを進められます。



  14.法務リスクと防止策


「クーリングオフ妨害」とみなされる行為と回避策

クーリングオフは消費者の権利です。企業が不適切な対応をすると、「クーリングオフ妨害」とみなされ法的リスクが発生します。


妨害行為の例

行為

解説

法的リスク

消費者に解約手続きを教えない

「契約解除はできません」と説明

消費者契約法違反、行政指導の対象

開封済み・使用済みだから返金不可と主張

実際の権利を否定

無効、損害賠償請求の可能性

強引な説得・圧力行為

「今解約したら損する」と心理的圧力

民法上の詐欺・強迫に準ずる対応とみなされる


💡 例え話

クーリングオフ妨害は「安全ネットを切る行為」と同じ。消費者が安心して契約解除できる権利を奪うと、企業も転倒してしまうリスクがあります。


回避策

  • 契約時にクーリングオフ制度の説明を明確にする

  • 消費者から解除申請があれば、理由を問わず受け付ける

  • 受領確認・返金・商品の回収フローをマニュアル化



誓約書に盛り込むべき文言・入れ方の注意点

誓約書や契約書に記載する文言は、消費者保護と企業リスク回避のバランスが重要です。

盛り込むべき文言例

  • クーリングオフ期間の明示「本契約は契約日より8日間以内であれば、消費者は理由を問わず解除可能です」

  • 手続き方法の明示「解除は書面(郵送、FAX、メール)により通知してください」

  • 返金・商品の回収フロー「解除後、代金は返金され、商品は回収されます」


注意点

  • 「返品不可」「解約不可」といった文言は無効

  • 消費者が誤解する表現は避ける

  • 法律で定められた権利を侵害する内容は盛り込まない


💡 例え話

誓約書は「遊園地の安全ルール表」のようなもの。利用者がルールを理解できる範囲で明記し、無理な制限は法律上認められません。



消費者契約法や民法を使った代替的解決策

万が一トラブルが発生した場合、法律上の別ルートで解決できます。

消費者契約法の活用

  • 錯誤・誤認による取消

    • 消費者が事実と異なる説明を受けて契約した場合、解除可能

  • 不当な勧誘による契約解除

    • 強引な勧誘や圧力で締結された契約は無効


民法上の活用

  • 詐欺・強迫による取消権

    • 意思表示が自由でなかった場合、契約を取り消せる


💡 例え話

法律を使った代替手段は「救命ロープ」のようなもの。万が一トラブルが起きても、消費者も企業も安全に解決できます。



社内規程やマニュアルで対応を標準化する方法

企業は個別対応ではなく、社内ルール化してトラブルを防ぐことが重要です。

標準化ポイント

  1. 契約前チェックリスト

    • クーリングオフ説明、契約書文言、誓約書内容の確認

  2. 通知・返金・回収フロー

    • 書面・電子通知の記録方法

    • 返金処理・商品の回収手順

  3. 従業員教育

    • 妨害行為の禁止

    • 受領確認の徹底

  4. 定期的な法務レビュー

    • 特定商取引法・消費者契約法の改正対応


図解:社内マニュアル運用イメージ

[契約前] → チェックリスト確認
      │
[契約中] → クーリングオフ制度の説明
      │
[契約後] → 通知受付・受領確認
      │
[解除]   → 返金・商品回収・記録保存

💡 例え話

マニュアルは「航空機の操縦マニュアル」と同じ。どんなトラブルが起きても、手順に従えば安全に対応できます。



まとめ

  1. クーリングオフ妨害は法的リスクにつながるため、理由を問わず受け入れる体制が必須

  2. 誓約書や契約書には、期間・手続方法・返金・回収フローを明確に盛り込む

  3. トラブル時は、消費者契約法・民法の解除権を活用できる

  4. 社内規程・マニュアル化で対応を標準化し、従業員教育を行うことが予防策の基本


💡 補足例え話

法務リスク管理は「家庭の火災警報器」のようなもの。設置(規程作成)と運用(教育・マニュアル)を徹底すれば、万が一の事故(トラブル)も最小限に抑えられます。



  15.クーリングオフ後の企業対応


返金・商品の回収・契約解除処理のフロー

クーリングオフが成立した場合、企業は速やかに契約解除・返金・商品の回収を行う必要があります。適切なフローを作ることで、トラブルを未然に防げます。


基本フロー

  1. 解除通知の受領確認

    • 書面・FAX・メール・電子契約で通知を受け取ったら、日付を記録

  2. 契約解除処理

    • 契約システムに「解除済み」と登録

    • 契約書・誓約書のコピーを整理

  3. 返金処理

    • 銀行振込・クレジット返金など方法を確認

    • 返金日時・金額を記録

  4. 商品の回収

    • 郵送返送・宅配回収・引き取りなど

    • 回収日・状態を記録


図解:クーリングオフ後の対応フロー

[解除通知受領] 
        │
        ▼
[契約解除処理] 
        │
        ▼
[返金処理] ←──┐
        │       │
        ▼       │
[商品回収]─────┘
        │
        ▼
[記録保存・報告完了]

💡 例え話

フローは「返却・払い戻しのワンストップサービス」。消費者が安心して契約解除できるよう、順番に手順を踏むことが大事です。



トラブル回避のための記録保存(書面・電子データ)

クーリングオフ後は、すべての対応を記録として残すことが重要です。後日、トラブルや行政調査に備えるためです。

保存すべき記録

記録種類

保存例

ポイント

通知書・メール

書面・PDF

日付・内容が明確

受領確認

FAX送信報告書、メール開封履歴

相手に届いた証拠

返金処理

銀行振込明細、クレジット返金履歴

金額・日時が確認できる

商品回収

返送伝票、回収写真

状態・日時を証拠化


💡 例え話

記録保存は「領収書や保証書」のようなもの。何かトラブルが起きても、証拠があれば説明できて安心です。



クレーム・再契約防止のためのフォロー施策

クーリングオフ後、消費者が不満を持ったままになると、クレームや再契約トラブルにつながることがあります。

フォロー施策の例

  1. 対応完了報告の送付

    • 「返金・商品回収を完了しました」と書面やメールで通知

  2. 感謝・お詫びの表現

    • 「このたびはご迷惑をおかけしました」と丁寧に記載

  3. 問い合わせ窓口の案内

    • 万が一の質問・相談用に窓口を明示

  4. 再契約防止策

    • 再勧誘禁止ルールを従業員に周知

    • システム上で再契約フラグを設定


💡 例え話

フォロー施策は「お客様を安心させるお茶出しサービス」のようなもの。対応が丁寧であれば、消費者の不満が大きな問題に発展しにくくなります。



まとめ

  1. 契約解除・返金・商品回収はフロー化し、順序を守って実施

  2. すべての対応記録を保存し、トラブルや行政調査に備える

  3. フォロー施策で消費者の不満を解消し、再契約・クレームリスクを低減

  4. 書面・電子データ・電話履歴を組み合わせ、証拠と安心を両立させることが重要


💡 補足例え話

クーリングオフ後の対応は「事故後の保険手続き」に似ています。対応フローを決め、記録を残し、フォローを丁寧に行うことで、企業も消費者も安全・安心を確保できます。



  16.相談窓口とサポート体制


消費生活センター・弁護士・警察生活安全相談の活用法

クーリングオフや契約トラブルに直面した場合、外部の相談窓口を適切に活用することが、企業としてのリスク回避につながります。


代表的な相談窓口

窓口

役割・活用例

注意点

消費生活センター

消費者と事業者の間のトラブル解決をサポート。相談・調停・助言が可能

行政指導の対象になる場合もあるため、企業は対応内容を記録しておく

弁護士(企業法務・消費者対応)

法的観点から契約書・誓約書のチェック、解除対応、紛争予防策をアドバイス

初期相談料・着手金がかかる場合あり

警察生活安全相談

悪質商法・詐欺まがいのトラブル対応。刑事リスクがある場合に相談

刑事事件としての判断は警察次第。民事解決の助言は限定的


💡 例え話

消費生活センターは「街の相談窓口」、弁護士は「法律の専門医」、警察生活安全相談は「安全パトロール」。用途に応じて、どこに相談するかを使い分けるイメージです。


活用のポイント

  1. 早めに相談することでトラブル拡大を防ぐ

  2. 記録を残す(相談日時、相談内容、指導内容)

  3. 社内で情報共有し、再発防止策に活かす



社内法務担当者の役割と実務チェックリスト作成

企業内に法務担当者がいる場合、外部窓口との連携や社内ルール整備を統括する役割があります。

法務担当者の主な役割

  1. 契約書・誓約書の事前チェック

    • クーリングオフ条項の明記や誤解を招く文言の修正

  2. トラブル発生時の対応窓口調整

    • 消費生活センター・弁護士との窓口役

  3. 社内マニュアル・チェックリスト作成

    • 解除通知受付フロー、返金・回収フローの標準化

  4. 従業員教育

    • 妨害行為の禁止、受領確認・記録保存の徹底


実務チェックリスト例

チェック項目

実施方法

確認者

契約書にクーリングオフ条項があるか

文言確認

法務担当

通知書の受領確認方法が明確か

書面・電子

法務担当

返金・商品の回収フローが整備されているか

社内マニュアル確認

法務担当

外部窓口への相談ルートが明示されているか

社内掲示・教育

法務担当

記録保存方法(書面・電子データ)が確立されているか

システム・ファイル確認

法務担当


💡 例え話

チェックリストは「飛行機の点検表」のようなもの。どのステップも抜けると事故(トラブル)が起きやすくなるため、法務担当者が管理して全体を見守ります。



図解:相談窓口と社内サポート体制のイメージ

[消費者からのクーリングオフ通知]
          │
          ▼
[社内法務担当者] ──────────┐
          │                   │
          ▼                   ▼
[外部窓口]             [社内対応フロー]
  │                        ├─ 契約解除処理
  │                        ├─ 返金・商品回収
  │                        └─ 記録保存・報告
  │
  ├─ 消費生活センター
  ├─ 弁護士(法務相談)
  └─ 警察生活安全相談

💡 補足例え話

社内法務担当者は「オーケストラの指揮者」のような役割。外部窓口や各部署(営業・経理・配送)を調整し、スムーズに対応が進むよう指揮します。



まとめ

  1. 外部窓口を使い分けることで、法的リスクやトラブルを早期に回避

  2. 社内法務担当者が中心となって契約チェック・対応フロー・記録保存を統括

  3. チェックリストやマニュアル化で、従業員教育とトラブル防止を標準化

  4. 記録保存とフォロー体制を組み合わせることで、企業も消費者も安心できる対応が可能


💡 補足例え話

相談窓口と社内サポート体制は「救急隊と救急室」の関係。現場で迅速に対応し、必要に応じて専門家を呼ぶことで、大きな被害やトラブルを最小化できます。



  17.最新情報・法改正の影響


特定商取引法の改正点と企業対応

特定商取引法は、消費者保護を目的に企業の取引行為を規制する法律です。最近の改正により、企業は契約時・契約後の対応に注意する必要があります。


主な改正ポイント

改正内容

影響・対応

クーリングオフの説明義務の強化

契約書・誓約書に期間・手続方法を明記することが必須

電子商取引(ECサイト・メール)対応の明確化

電子契約・メール契約でもクーリングオフ適用。手続方法を明示する必要

連鎖販売取引(マルチ商法)規制強化

契約時の説明義務や解除手続の明示が義務化

訪問販売・電話勧誘販売の不適切勧誘への罰則強化

強引な勧誘や説明不足は行政指導・罰金リスク


💡 例え話

法律改正は「道路標識の変更」のようなもの。以前通用していたルートでも、標識が変わったら正しい道順に従わないと事故(トラブル)になります。企業もルールを最新化する必要があります。


企業対応策

  • 契約書・誓約書の文言を最新の法規制に合わせる

  • 従業員教育で改正ポイントを周知

  • 電子契約やメール通知の手順を見直し



電子契約の普及によるクーリングオフ手続きの変化

電子契約サービスやオンライン取引が増える中、クーリングオフ手続きも紙から電子へ変化しています。


主な変化と注意点

項目

従来(紙契約)

電子契約・メール契約

契約書保管

紙の原本

PDFやクラウド上で保管

解除通知

郵送・FAX

メール、電子契約サービスで通知可能

受領確認

消印・FAX受信報告

開封確認・送信記録の保存が必須

クーリングオフ期間

契約日または書面受領日

電子契約サービスで契約完了日や通知日を基準に計算


💡 例え話

電子契約は「オンラインショッピングのカート操作」と似ています。手続きはクリック一つでも、記録が残るように保存・確認ルールを整える必要があります。


実務上の注意点

  • 契約完了日時や通知受領日時をシステムで記録

  • 消費者が手続きに迷わないよう、手順を明示

  • 電子データの改ざん防止とバックアップを確保



事例に基づく最新の実務上の注意点

ケース1:ECサイトでの誤解による解除請求

  • 商品説明に「返品不可」と明記していたが、法改正でクーリングオフ適用

  • 企業は返金・回収を速やかに対応。記録保存でリスク回避


ケース2:電子契約での通知漏れ

  • 電子契約サービスで契約した消費者が解除通知

  • 受領確認の記録が不十分でトラブル発生

  • 対策:メール開封確認・ログ保管を標準化


ケース3:マルチ商法での説明不足

  • 強引な勧誘により消費者が契約

  • 解除請求が発生、行政指導対象に

  • 対策:契約前説明のチェックリスト化・従業員教育の徹底


💡 図解:最新法改正・電子契約対応のフローイメージ

[契約前] → 法改正チェック・説明義務の確認
      │
[契約中] → 電子契約手順・クーリングオフ期間明示
      │
[契約後] → 解除通知受付・受領確認・返金・回収・記録保存
      │
[フォロー] → クレーム防止・再契約禁止・教育・マニュアル更新


まとめ

  1. 特定商取引法の改正は契約前・契約後の説明義務や電子契約対応を強化

  2. 電子契約・メール契約でもクーリングオフは適用され、手続き・記録保存が重要

  3. 最新事例を参考に、契約書文言・従業員教育・社内フローを見直す

  4. 社内マニュアル・チェックリスト化で、トラブルを未然に防ぐ


💡 補足例え話

法改正と電子契約の普及は「道路標識の変更と車の自動運転化」のようなもの。新しいルールに合わせて運転(契約業務)を調整すれば、安全に目的地(トラブル回避)に到達できます。



   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。



専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。


具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。



行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。


具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。


具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。



依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


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