誓約書で罰金・違約金を設定する方法｜一律2万円おてがる契約書.com｜【テンプレート・ひな形付き】無効リスクを回避する完全ガイド
- 代表行政書士 堤
- 9月13日
- 読了時間: 39分
更新日：9月15日
🌺こんにちは！おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
本日は罰金・違約金に関する誓約書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。
罰金・違約金付きの誓約書は、契約違反を防ぐための強力な手段ですが、法律上の制限や裁判での扱いを知らずに作成すると、思わぬトラブルにつながることがあります。本コラムでは、初心者の方でも理解できるように、誓約書の基本知識から実務上のポイントまで、具体例やケーススタディを交えて解説します。安心して契約書を作成・運用できるための知識を、ぜひこの機会に身につけてください。
本記事のまとめ：
重要事項 | 概要 |
|---|---|
高額すぎる罰金や法令違反条項は無効になることがあり、社会通念に沿った金額設定が重要です。 | |
対象行為・金額・支払条件を明確にし、公平性・具体性を重視することで、裁判でも認められやすくなります。 | |
自己判断で作るとリスクがあります。弁護士や行政書士によるレビュー、公正証書化で証拠力・執行力を強化できます。 |
🌻「罰金・違約金付きの誓約書って聞いたことはあるけれど、実際にどう使えば良いのかわからない」という方にこそ読んでほしい内容です。作り方や運用方法を誤ると、違約金が無効になったり、裁判で請求できないリスクもあります。このコラムを読むことで、初心者でも安全かつ有効に誓約書を作成するポイントを理解でき、トラブル防止や裁判対応にも役立てられます。
また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律２万円で作成しています。作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。
弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。
▼目次
～事例・比較分析紹介～
～番外編～
1．はじめに
罰金・違約金付きの誓約書とは何か
罰金・違約金付きの誓約書とは、契約や約束に違反した場合に、あらかじめ決められた金額を支払うことを定めた書面のことです。たとえば「もし約束を破ったら10万円を支払う」というように、金額や条件が具体的に明記されています。
初心者の方にわかりやすく言うと、これは「もしルールを守らなかったら、あらかじめ決められた罰をお金で払います」という約束を書面にしたものです。日常生活で例えると、友達と「飲み会に遅れたら500円を払う」という軽い約束を紙に書いたものが、社会的に効力を持つバージョンと考えると理解しやすいです。
契約書・念書・誓約書との違い
誓約書は、契約書や念書と似ていますが、法律上の位置付けや使われ方に違いがあります。初心者の方でも混乱しやすいので、簡単に表で整理してみましょう。
書面の種類 | 主な目的 | 法的効力 | 例 |
契約書 | 双方の権利・義務を明確にする | 原則として強い効力あり | 売買契約、賃貸契約 |
念書 | 一方の意思を簡単に確認 | 強制力は弱い場合がある | 借用書、借金返済の約束 |
誓約書 | 一方または双方の約束を明確化し、違反時の措置を定める | 違反時の金銭請求などの効力が認められることが多い | 罰金・違約金付きの誓約書 |
ポイントは、誓約書は「約束を破った場合の対応」を明確にすることに特化している点です。契約書より簡易で柔軟ですが、金銭的な取り決めがある場合は強い効力を持つ場合があります。
実務でよく見られるシーン
罰金・違約金付きの誓約書は、日常的な生活やビジネスシーンでも意外と多く見られます。以下のようなケースです。
不倫トラブル配偶者や相手方と「不倫が発覚した場合には金銭を支払う」と取り決める場合。→ これは感情的な問題を金銭で解決する手段として使われます。
退職時の早期退職罰金会社が社員に対して「入社後1年未満で退職する場合、研修費や初期費用として○○万円を支払う」と定める場合。→ 会社側の負担を軽減するために用いられます。
業務委託契約での違反防止フリーランスや外注業者に「納期遅延の場合は○万円の違約金」という形で契約に組み込む場合。
このように、罰金・違約金付きの誓約書は「約束を守らせるための抑止力」として活用されます。
2．誓約書とは？基本知識
誓約書の定義と目的
誓約書とは、特定の約束や義務を守ることを、書面として明確に記録する文書のことです。口頭での約束は忘れたり誤解が生じたりしやすいため、「書面に残す」ことでお互いの意思を確認することができます。
初心者向けに言えば、誓約書は「これから守ります、と書いておく紙」です。ビジネスでも日常生活でも、重要な約束は紙に残すことで後々のトラブルを防ぐ役割があります。
誓約書の目的は大きく分けると以下の2つです：
約束内容の明確化→ 口頭ではあいまいになりやすい約束を、誰が何をするか明確にします。
トラブル発生時の証拠確保→ 約束を守らなかった場合に「こういう約束をしていた」と証明する手段となります。
約束内容を明文化する文書
誓約書は、単なる「言った言わない」のやり取りではなく、具体的な内容を文章で示すことが重要です。
例えば「無断で退職しない」という約束だけだとあいまいですが、次のように書くと明確になります：
私は入社後1年間は自己都合で退職せず、万が一退職する場合は会社が負担した研修費用10万円を支払うことを誓約します。
このように金額や期間など具体的に記載することで、後から争いになった場合でも裁判所での証拠として使いやすくなります。
法的効力が限定的である点
誓約書は契約書ほど強い法的効力があるわけではありません。法律上は、あくまで「約束の意思表示を示すもの」と位置付けられています。
ポイントは次の通りです：
項目 | 説明 | 例 |
強制力 | 基本的には強制力は弱い。ただし、金銭請求などの条項は裁判所で認められる場合がある | 違約金を支払わなければならない旨を記載した場合 |
適用範囲 | 約束の内容が公序良俗（社会的に不適切な内容）に反していないことが前提 | 「違法行為をしなければ罰金」といった内容は無効 |
証拠力 | 約束の存在を示す証拠として有効 | 「退職前に金銭を支払う旨の約束があった」ことの証明 |
初心者向けにいうと、「誓約書は万能ではないが、約束を記録しておくためには非常に有効」というイメージです。
誰が作成するのか、誰が署名・押印するのか
誓約書は、**約束を守る人（債務者）が作成または署名するのが一般的です。ただし、内容によっては約束を受ける側（債権者）**も署名して同意を示すことがあります。
署名・押印は、以下の役割があります：
署名：本人が自分の意思で誓約することを示す
押印：署名よりも形式的に本人確認や意思確認を強化する手段
例：社員が会社の規則に従う旨を誓約する場合は社員が署名・押印、会社側も受領印を押すことが多いです。
作成の必要性
誓約書を作成する必要性は主に以下の点にあります：
トラブル防止→ 口頭だけだと「言った言わない」の争いになることがありますが、誓約書を作れば記録として残るため、無用な争いを避けやすくなります。
損害賠償の根拠確保→ 違約金や損害賠償を請求する際に、書面として残っているかどうかで裁判所での証明力が変わります。
心理的抑止力→ 書面に残すことで「破ったらどうなるか」を相手が意識しやすくなり、約束遵守の確率が高まります。
トラブル防止、損害賠償の根拠確保
誓約書は単なる形式だけでなく、実務的に大きな役割を果たします。以下の図にまとめるとわかりやすいです。
効果 | 説明 | 具体例 |
記録化 | 約束内容を明確に書面に残す | 「退職時に研修費10万円を支払う」 |
証拠力 | 万が一のトラブル時に裁判所で証拠として使える | 社員が違約金の支払いを拒否した場合 |
抑止力 | 約束違反を防ぐ心理的効果 | 無断退職や納期遅延の抑止 |
損害賠償根拠 | 違約金や損害賠償を請求する法律的根拠になる | 契約違反による金銭請求 |
このように、誓約書は法的効力が限定的であっても、トラブル防止や損害回収の重要なツールとして活用されます。
3．罰金・違約金条項の法的性質
民法上の位置づけ
罰金・違約金条項は、法律上「損害賠償予定」として民法に位置付けられています。簡単に言えば、契約違反があった場合にあらかじめ決めておいた金額を支払うことを定めたものです。
民法では、契約自由の原則に基づき、当事者同士で約束した違約金の額は基本的に尊重されます。しかし、無制限に効力を持つわけではなく、社会的に許容される範囲であることが条件です。
民法90条：公序良俗違反
民法第90条は、「公の秩序または善良な風俗に反する法律行為は無効」と規定しています。初心者向けに言うと、社会的に不適切な約束は無効というルールです。
例えば：
不倫相手に「慰謝料として1000万円支払え」と高額な違約金を設定する
非現実的・暴利な金額で相手を脅す
これらは公序良俗に反するとして、裁判所では無効になる可能性があります。
民法420条：損害賠償予定（違約金）
民法第420条は、契約で定めた違約金を「損害賠償の予定」として認めています。つまり、違約金条項は契約違反時に損害賠償として請求できるというルールです。
ポイントは以下の通りです：
違約金額は、実際の損害額と必ずしも同額でなくてもよい
裁判所は「高額すぎる」と判断した場合、減額を命じることができる（民法421条）
例：業務委託契約で納期違反に対し「10万円の違約金」と設定。実際の損害が5万円でも、原則として違約金の支払いは有効。ただし裁判所が「不相当」と判断した場合は減額される可能性があります。
有効と無効となるケース
罰金・違約金条項は、次のようなケースで有効・無効が分かれます。
ケース | 有効/無効 | 補足 |
通常の契約違反に対する合理的な違約金 | 有効 | 契約自由の原則に基づき、合意が尊重される |
高額すぎる違約金 | 無効または減額可能 | 裁判所が「不当利得・暴利」と判断する場合 |
公序良俗に反する違約金 | 無効 | 不倫相手への高額慰謝料など |
労働者の退職に対する罰金 | 無効 | 労働基準法16条に違反するため |
高額・過大な罰金 → 無効の可能性
違約金があまりにも高額で、契約違反による実際の損害を大きく超える場合、裁判所は無効または減額を認めます。
例えば、退職前に支払う罰金として「年収の半分以上」を設定した場合、裁判所は「過大」と判断し、減額または無効とするケースがあります。
労働基準法16条違反の事例（退職罰金無効）
労働基準法第16条は、「賃金の前借や退職罰金など、不当な損害賠償を課すこと」を禁止しています。そのため、会社が社員に「1年以内に退職したら100万円支払え」と定めた場合、法的には無効です。
ポイント：労働者保護の観点から、雇用契約上の違約金は制限されます。労働基準法の範囲を超える罰金は無効になるということです。
不倫相手への高額違約金 → 暴利行為として無効
前述した通り、不倫相手への高額な違約金は「暴利行為」として無効とされやすいです。
裁判例では、相手の収入や生活状況を無視して過大な金額を請求することは、社会通念上認められないと判断されます。
例：不倫の慰謝料として数千万円を設定 → 裁判で減額されることが一般的。
判例・実務上の問題点
罰金・違約金付き誓約書は、次のような実務上の問題があります：
金額の妥当性→ 高すぎると減額される、低すぎると抑止力が弱い。
条項の明確性不足→ 「不正行為をしたら罰金」だけでは争いになる可能性あり。具体的に何を違反とするか明記が必要。
法律違反のリスク→ 労働契約や公序良俗違反の場合は無効。
証拠力の確保→ 書面に署名・押印がないと、裁判での証拠能力が弱くなる。
罰金・違約金条項は合理的な範囲で明確に設定することが重要です。過大な金額や違法な内容は無効になる可能性があり、初心者でも「適正な金額・明確な条件・法令順守」が基本のポイントです。
4．誓約書に罰金条項を盛り込む際の注意点
記載すべき基本事項
罰金付き誓約書を作成する際は、**「誰が」「何を」「いつまでに」「どのように守るか」**を明確に記載することが基本です。初心者向けに言うと、「誰が」「何をしたら」「いくら払うのか」をハッキリ書くイメージです。
記載すべき基本事項は以下の通りです：
項目 | 内容 | 補足例 |
当事者 | 誓約する人（債務者）と相手方（債権者） | 社員と会社、契約当事者の氏名・住所 |
対象行為 | どの行為が違反に該当するか | 「無断退職」「納期遅延」「秘密情報の漏洩」 |
罰金額 | 違反時に支払う金額 | 「10万円」「損害額の実費」など具体的に明記 |
支払条件 | いつ、どのように支払うか | 「退職日から30日以内に振込」 |
署名・押印 | 本人の意思を示すため | 当事者双方の署名・押印、日付 |
罰金額、支払条件、対象行為の明確化
罰金条項で最も重要なのは、具体性です。曖昧な表現は後で争いの元になります。
具体例：
NG例：「契約違反したら罰金を支払うこと」→ 何を違反とするか明確でないため無効の可能性あり
OK例：「業務委託契約の納期を守らなかった場合、1週間遅延ごとに10,000円を支払う」→ 対象行為、罰金額、計算方法が明確
支払条件も明確にしておくと、後でトラブルになりにくくなります。
注意すべき落とし穴
罰金条項を盛り込む際には、以下の点に注意が必要です：
曖昧な表現
「不適切な行為」「迷惑行為」など抽象的な言葉は避ける
具体的な行動や条件を明示することが重要
公序良俗違反
高額すぎる罰金や社会的に不適切な内容は無効
例：不倫相手への数千万円の違約金 → 暴利行為として無効
法令違反
労働契約上の退職罰金などは労働基準法違反で無効
他の法律に抵触する可能性もあるので注意
公正証書化のメリット
罰金付き誓約書は、公正証書にすることで法的効力をさらに強化できます。
公正証書化のメリット：
メリット | 説明 |
証明力 | 書面が裁判所での証拠として非常に強力 |
執行力 | 支払いが履行されない場合、すぐに強制執行可能 |
安全性 | 偽造や紛失のリスクを減らせる |
公正証書は、公証役場で作成する正式な文書です。費用はかかりますが、特に高額な罰金や重要な約束の場合は非常に有効です。
証明力・執行力の強化
誓約書は通常、契約当事者間での証拠力しか持ちません。しかし、公正証書にすると以下のように扱われます：
裁判なしで差押えや強制執行が可能
相手が「書いてない」と争っても、公証人の証明により効力が認められやすい
金銭の回収を確実にしたい場合は特に有効
初心者向けに例えると、普通の誓約書は「手書きの約束メモ」、公正証書は「公の機関で作った公式文書」と考えると分かりやすいです。
まとめ
罰金条項を盛り込む際は、以下のポイントを意識することが重要です：
具体的に書く：対象行為・金額・支払条件を明確に
法令・公序良俗を守る：過大な金額や違法内容は無効
署名・押印を必ず行う：証拠力を確保
必要に応じて公正証書化：証明力・執行力を強化
これらを守ることで、罰金付き誓約書は「約束を守らせる強力なツール」として活用できます。
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5．誓約書を守らなかった場合のリスクと対応
請求できるもの
誓約書に違反した場合、債権者（約束を受けた側）が請求できる金銭は以下のような種類があります。
種類 | 説明 | 具体例 |
違約金 | 約束違反に対してあらかじめ定めた金額 | 契約違反1件につき10万円 |
損害賠償 | 実際に発生した損害を請求 | 納期遅延による売上損失5万円 |
遅延損害金 | 支払いが遅れた場合の利息 | 支払いが1日遅れるごとに1000円 |
裁判費用・弁護士費用 | 回収のためにかかった費用 | 弁護士に依頼した場合の費用 |
初心者向けに言うと、「約束を守らなかったら払うお金は、元々決めていた金額＋実際にかかった損害＋遅延の利息＋必要な手続き費用」まで請求できる可能性があります。
対処法
誓約書が守られなかった場合、まずは冷静に段階を踏むことが大切です。
1. 話し合い・交渉
まずは口頭やメールで事実確認と支払い要求
多くの場合、穏便に解決できることもあります
例：納期遅延の場合、「いつまでに支払うか」などの再確認
2. 弁護士相談
交渉で解決できない場合は弁護士に相談
弁護士が内容証明や裁判の手続きを代行してくれる
例：支払督促、損害賠償請求の書面作成
3. 内容証明郵便や裁判による請求
内容証明郵便：相手に「請求した内容」を正式に通知する方法
裁判：最終手段として金銭請求の訴訟を起こす
裁判で認められれば強制執行が可能（給与差押えや預金差押え）
初心者向けにいうと、「まずは話し合い、それでもダメなら法律の専門家に相談し、必要なら正式に請求する」という段階を踏むイメージです。
注意点
誓約書違反に対して請求する際には、違法行為をしてはいけない点に注意が必要です。
暴言や脅迫、暴行 → 違法行為で逆に処罰される可能性
無理な取り立て → 強制力のない手段でお金を取り立てることは犯罪になる
裁判で認められない場合もある → 公序良俗違反や法令違反の内容は請求できない
具体例
不倫相手に暴言を浴びせて違約金を回収 → 脅迫罪や名誉毀損で訴えられる可能性
退職罰金で労働基準法違反 → 裁判所で支払いを認めてもらえない
初心者向けまとめ
誓約書違反のリスクと対応を整理すると次の通りです。
請求できるもの
違約金、損害賠償、遅延損害金、裁判費用など
対応の順序
話し合い → 弁護士相談 → 内容証明郵便 → 裁判
注意点
暴言・暴行・脅迫は違法
法令違反や公序良俗違反の誓約書は裁判で認められない
初心者でも理解できるポイントは、「まず冷静に交渉し、無理な取り立ては絶対にしない」ということです。法律の専門家を介することで、安全かつ確実に回収できる可能性が高まります。
6．トラブルを防ぐためのポイント
罰金・違約金付き誓約書は、しっかり作り込まないと後々トラブルになりやすい書類です。ここでは、安全かつ有効に運用するためのポイントを整理します。
誓約書の作成時に確認すべきこと
誓約書を作成する際は、以下の点を必ず確認しましょう。
確認項目 | ポイント | 具体例 |
対象行為の明確化 | 曖昧な表現は避け、具体的に書く | 「無断退職」「納期遅延」など |
罰金・違約金の額 | 高額すぎないか、現実的か | 契約違反1件につき10万円 |
支払条件 | 支払期限・方法を明記 | 「退職日から30日以内に振込」 |
法令遵守 | 労働基準法や公序良俗に反していないか | 退職罰金や過大な慰謝料は無効の可能性 |
当事者の明示 | 誰が債務者で誰が債権者かを明確に | 氏名、住所、会社名など |
公正証書で作成
罰金・違約金付き誓約書は、公正証書にすることで法的効力が強化されます。
公正証書のメリット
メリット | 説明 |
証明力 | 書面が裁判での証拠として強力 |
執行力 | 支払いが滞った場合、すぐに強制執行が可能 |
安全性 | 偽造や紛失のリスクを減らせる |
初心者向けに例えると、普通の誓約書が「手書きの約束メモ」なら、公正証書は「公の機関で作った公式文書」です。
ペナルティ条項の明確化
罰金・違約金条項は、誰が何を守らなかった場合に、いくら支払うのかを明確にする必要があります。
曖昧な条項の例
NG：「不適切な行為をした場合は罰金」→ 何を違反とするか不明確で無効になる可能性あり
明確な条項の例
OK：「業務委託契約の納期を守らなかった場合、1週間遅延ごとに10,000円を支払う」→ 対象行為・金額・計算方法が明確
弁護士によるチェック
作成した誓約書は、必ず専門家にチェックしてもらうことが重要です。理由は次の通りです：
法令違反や公序良俗違反がないか確認
文章の曖昧さや争いになりやすい表現を修正
裁判での証拠力を確保するための文言調整
初心者向けにいうと、「書いた内容が法律的に問題ないか、プロに確認してもらう」イメージです。
適切な署名・押印の実施
署名・押印は、誓約書の効力を支える重要な要素です。
署名：本人が自らの意思で誓約したことを示す
押印：形式的に本人確認・意思確認を補強
両方を行い、日付も明記することで、後で「書いてない」と争われるリスクを減らせます。
法的に無効になるケースを事前に回避
事前に無効リスクを把握することで、トラブルを未然に防げます。主な無効リスクは次の通りです：
無効になるケース | 回避策 |
高額・過大な罰金 | 適正な金額に設定 |
公序良俗違反 | 社会通念に反する内容は避ける |
法令違反（労働契約等） | 労働基準法などの関連法を確認 |
曖昧な表現 | 具体的な行為・金額・条件を明記 |
まとめ
トラブルを防ぐためのポイントは次の通りです：
作成前に対象行為・金額・支払条件・法令遵守を確認
公正証書化して証明力・執行力を強化
ペナルティ条項を明確に記載
弁護士によるチェックで安全性を確保
署名・押印を適切に実施
無効リスクを事前に回避
これらを守ることで、罰金・違約金付き誓約書は「約束を守らせる有効なツール」として安全に運用できます。
7．実務・事例紹介
罰金・違約金付き誓約書は、実務の中で様々な場面で活用されています。しかし、ケースによっては裁判で無効や減額が認められることもあります。ここでは代表的な事例を紹介し、ポイントを整理します。
不倫トラブル型：高額違約金請求と裁判結果
不倫トラブルで「慰謝料・違約金」を誓約書に盛り込むケースがあります。
事例
ある事例では、不倫相手に対して5000万円の違約金を設定
当事者間で署名・押印済みの誓約書あり
支払いが滞ったため裁判に発展
裁判結果
裁判所は「社会通念上、過大で暴利的」と判断
減額され、最終的に請求可能金額は数百万円に
ポイント
高額・過大な違約金は公序良俗違反で無効になる可能性
誓約書があっても、裁判で金額が減額されることがある
事前に現実的な金額設定が重要
労働トラブル型：早期退職罰金無効の判例
労働契約上で「短期退職時の罰金」を設定した場合の代表例です。
事例
会社が社員に「入社1年未満で退職した場合、100万円を支払う」と誓約書で取り決め
社員が早期退職をしたため、会社が違約金請求
裁判結果
労働基準法第16条に違反するため、罰金は無効
社員に支払い義務なしと判断
ポイント
労働契約に基づく退職罰金は法律違反で無効
労働者保護の観点から、契約上の約束も認められない
事前に法令に抵触しない内容で作成する必要あり
接触禁止条項型：違約金請求が争われた事例
接触禁止条項とは、特定の人物や顧客との接触を禁止する条項です。違反した場合に罰金を設定することがあります。
事例
ある取引先担当者との接触禁止を定め、違反時に50万円の違約金
元社員が取引先と連絡を取ったとして会社が請求
裁判結果
裁判所は「条項自体は有効だが、違反行為による損害額が50万円に満たない」と判断
違約金の一部が減額されて支払い義務は認められる
ポイント
違約金は損害賠償の予定であり、実際の損害と極端にかけ離れてはいけない
条項の内容を具体的にし、損害額の根拠を示すことが重要
各ケースでのポイント整理
ケース | 成功/失敗の要因 | 事前にできる対策 |
不倫トラブル | 高額過ぎて減額 | 社会通念上妥当な金額設定 |
労働トラブル | 法令違反で無効 | 労働基準法等に抵触しない内容にする |
接触禁止条項 | 損害額との乖離で減額 | 違反行為と損害額を具体的に明記 |
初心者向けまとめ
高額違約金は公序良俗違反で減額・無効になることがある
労働契約上の罰金は法律違反で無効
損害額とのバランスを意識して具体的に条項を設定
誓約書があっても裁判で減額・無効になるリスクを理解すること
初心者の方でも理解できるポイントは、「誓約書は万能ではない」「現実的かつ法的に問題ない範囲で設定することが重要」ということです。
8．専門家に相談するメリット
罰金・違約金付き誓約書を作成・運用する際には、専門家に相談することが大きな安心につながります。ここでは、相談するメリットや手順、費用感などを初心者向けに整理します。
弁護士・行政書士の違い
誓約書の作成やチェックを依頼する場合、主に弁護士と行政書士が関わります。それぞれの特徴を整理すると以下の通りです。
専門家 | 主な業務 | メリット | 注意点 |
弁護士 | 契約書作成チェック、紛争対応、訴訟代理 | 法的リスクの確認、裁判での代理、交渉力 | 費用は高め |
行政書士 | 契約書・誓約書の作成、書面の整備 | 作成費用が比較的安価、形式チェックが得意 | 裁判代理は不可、法的紛争対応は限定的 |
初心者向けに例えると、行政書士は書類の専門家、弁護士はトラブル解決の専門家というイメージです。
作成・チェックを依頼する流れ
専門家に依頼する場合、一般的な流れは以下のようになります。
相談・ヒアリング
どのような誓約書を作成したいか、背景や目的を説明
ドラフト作成
専門家が内容を整理してドラフトを作成
確認・修正
当事者が内容を確認、必要に応じて修正
最終チェック
法的リスクや表現の曖昧さを最終確認
署名・押印・公正証書化（必要に応じて）
必要であれば公証役場で正式文書化
初心者向けにいうと、「まず相談 → 書いてもらう → 内容確認 → 署名・押印」の順で進めるイメージです。
費用感の目安
専門家に依頼する場合の費用は、依頼内容や専門家によって異なります。
項目 | 目安費用 | 備考 |
行政書士による作成 | 3～10万円程度 | 簡単な誓約書なら安価 |
弁護士による作成・チェック | 5～20万円程度 | 内容の複雑さや金額に応じ変動 |
公正証書化 | 1～5万円程度（公証人手数料） | 金額や条項数によって変動 |
費用はかかりますが、無効リスクやトラブル回避の安心料として考えるとコストパフォーマンスは高いです。
無効リスクの事前回避
専門家に相談する最大のメリットは、事前に無効リスクを回避できることです。
高額・過大な罰金 → 社会通念上妥当な金額に調整
法令違反 → 労働契約や消費者契約など法規制を確認
曖昧な表現 → 対象行為・金額・支払条件を明確化
公序良俗違反 → 過剰請求や不適切内容を修正
初心者向けに言うと、「素人が作るとあとで裁判で無効になる可能性が高い条項も、専門家に確認すれば安全に使える書類になる」ということです。
まとめ
専門家に相談することで得られるメリットは次の通りです。
法的リスクを事前に確認できる
書面内容の曖昧さやトラブル要素を修正できる
裁判や交渉に備えた強力な証拠文書を作れる
無効リスクを回避でき、安全に運用できる
初心者でも理解できるポイントは、「費用はかかるが、誓約書の安全性と有効性を確保できる」ということです。特に高額な罰金や重要な約束を盛り込む場合は、専門家のチェックがほぼ必須と言えます。
9．まとめ
罰金・違約金付きの誓約書は、約束を守らせるための強力なツールですが、「常に有効」ではないという点を理解することが非常に重要です。ここでは、ポイントを整理して初心者でもわかりやすくまとめます。
1. 罰金条項付き誓約書は常に有効ではない
高額すぎる罰金や社会通念に反する内容は、裁判で無効または減額される可能性があります。
労働契約上の退職罰金など、法令に違反する条項は無効です。
例
不倫トラブルで5000万円の違約金 → 裁判で減額
入社1年未満の早期退職に100万円請求 → 労働基準法違反で無効
初心者向けに言うと、「誓約書があっても、法律や社会のルールに反していれば意味がない」と覚えておきましょう。
2. 法律上の制限・判例を理解することが重要
民法の規定（公序良俗、損害賠償予定）や労働基準法などの関連法規を押さえることが大切です。
判例を確認することで、どの程度の罰金や条件なら裁判で認められやすいかの目安を知ることができます。
参考判例ポイント
ケース | ポイント |
不倫違約金 | 高額過ぎると減額 |
退職罰金 | 労働契約では無効 |
接触禁止条項 | 実際の損害額との乖離で減額 |
3. 作成前・署名前に専門家へ相談することが推奨
弁護士や行政書士に相談することで、無効リスクの事前回避や条項の明確化が可能です。
公正証書化も検討すると、証拠力・執行力が格段に向上します。
初心者向けに言うと、「自己流で書くとあとで揉める可能性が高いので、プロにチェックしてもらう」と安心です。
4. 違反時の対応法とトラブル防止策の整理
違反時の請求対象：違約金、損害賠償、遅延損害金、裁判費用など
対応の流れ：まず話し合い → 弁護士相談 → 内容証明郵便 → 裁判
注意点：暴言や無理な取り立ては違法、裁判で認められない場合もある
トラブル防止のポイント
ポイント | 対策 |
条項の曖昧さ | 対象行為・金額・支払条件を明確に |
法令違反 | 労働法、消費者契約法などを確認 |
高額・過大 | 社会通念上妥当な金額に設定 |
証明力不足 | 公正証書化、署名・押印を適切に実施 |
初心者向けまとめ
罰金条項付き誓約書は万能ではなく、法律や社会通念に従う必要がある
判例や法規制を理解して、過大請求や無効リスクを避ける
作成前・署名前に専門家に相談し、安全で明確な書面を作る
違反時は、冷静に段階を踏んだ対応を心がける
罰金・違約金付き誓約書は、正しく作成・運用すれば「約束を守らせる有効なツール」になります。しかし、法律の知識や実務経験がないまま作成すると、思わぬトラブルや無効リスクが生じることもあるため、慎重な作成と専門家への相談が不可欠です。
10．参考・関連情報
罰金・違約金付き誓約書を作成・運用する際には、テンプレートや判例データベースを活用することで、作業効率や安全性を高めることができます。ここでは初心者向けにポイントを整理します。
誓約書テンプレート・ひな形紹介
罰金・違約金付き誓約書は、基本構成が決まっているため、テンプレートやひな形を参考にすると作成が簡単になります。
代表的な構成例
項目 | 内容 |
表題 | 「罰金付き誓約書」「違約金誓約書」など |
当事者情報 | 氏名、住所、会社名など |
約束内容 | 守るべき行為・禁止行為の具体的記載 |
罰金・違約金 | 金額、算定方法、支払期限 |
違反時の対応 | 支払請求方法、遅延損害金の有無 |
署名・押印 | 当事者双方の署名・押印、日付 |
公正証書化 | 必要に応じて公証人による認証 |
初心者向けポイント
「何を守るか」「罰金はいくらか」「支払方法は？」を明確にすることが最優先
曖昧な表現や総額だけの記載は、裁判で認められないリスクがある
市販書籍や行政書士・弁護士提供のテンプレートを参考にすると安心
判例・事例データベースの活用方法
実務で誓約書を作成する際、判例や事例データベースを確認することで、裁判で認められやすい条項や無効になるリスクを事前に把握できます。
判例・事例データベース例
データベース | 内容 | 利用方法 |
最高裁判所裁判例検索 | 日本の最高裁判例を全文検索 | キーワード「違約金」「罰金」「誓約書」で検索 |
法務省・裁判所ウェブサイト | 下級裁判所や判例の要旨 | 重要判例をピックアップして学習 |
弁護士ドットコム・リーガルニュース | 実務ニュース・判例解説 | 事例ごとに解説付きで確認可能 |
初心者向けポイント
「自分が作ろうとしている誓約書は、過去の判例でどう扱われたか」をチェック
高額違約金や退職罰金など、法律違反や減額リスクのあるケースを把握
判例を参考に「現実的かつ裁判で認められやすい条項」を設定する
テンプレート活用時の注意点
コピペではなくカスタマイズ
当事者情報や対象行為、罰金額は必ず自分のケースに合わせる
専門家によるチェック推奨
行政書士や弁護士にドラフトを確認してもらうことで、法令違反や無効リスクを回避
公正証書化の検討
書面だけでなく、公証人による認証を行うと証拠力・執行力が強化される
まとめ
テンプレート・ひな形：作成を簡単にし、条項の漏れを防ぐ
判例・事例データベース：無効リスクや裁判での判断を事前に把握
注意点：コピペではなくカスタマイズし、専門家チェックで安全性を確保
初心者でも、これらの資料を活用すれば、安全で有効な罰金・違約金付き誓約書を効率的に作成することができます。
～事例・比較分析紹介～
11．基本理解・概念編
罰金や違約金は、誓約書に盛り込むことで「約束を守らせる力」を持たせるための重要な条項です。しかし、言葉の意味や法的な位置づけを正しく理解しておかないと、思わぬトラブルや無効リスクにつながることがあります。ここでは、初心者でもわかるように丁寧に解説します。
罰金・違約金とは何か？法的な定義と誓約書での役割
まず、罰金・違約金の基本的な意味を整理します。
用語 | 意味 | 誓約書での役割 | 補足説明（初心者向け） |
罰金 | 契約違反や義務違反に対する制裁金 | 違反行為を抑止する | 「やってはいけないことをしたら支払うお金」と考えるとわかりやすい |
違約金 | 契約に定めた約束を守らなかった場合の損害賠償予定額 | 約束履行を促す・損害賠償の根拠 | 実際の損害額に関わらず、事前に決めた金額を支払う |
誓約書での役割
約束の強制力を高める
違反時の損害賠償の根拠を明確にする
トラブル防止（後で「言った言わない」の争いを避ける）
「罰金」と「違約金」の違いを徹底解説
罰金と違約金は似た意味で使われることがありますが、法律上の性質や使い方には違いがあります。
項目 | 罰金 | 違約金 |
法的根拠 | 民法上の直接規定なし（契約自由の原則で認められる場合も） | 民法420条「損害賠償の予定」として明文化 |
目的 | 違反行為を抑止する | 約束の履行を促す・損害賠償の事前設定 |
裁判での扱い | 高額・過大は無効になりやすい | 過大でも裁判で減額可能、合理的範囲なら有効 |
典型例 | 不倫や退職早期解除に伴う制裁金 | 契約違反時のペナルティ金、納期遅延損害金 |
初心者向け例え
罰金：ゲームでルールを破ったら罰として500円払う
違約金：レンタル契約で返却期限を守らなかったら1000円払う
誓約書で罰金・違約金を設定するメリットと注意点
メリット
約束履行の抑止力
金額が設定されていることで、違反を思いとどまらせる効果
損害賠償の根拠確保
後で「いくら請求できるか」を明確化できる
トラブル防止
曖昧な口約束よりも、裁判でも証拠として使える
注意点
高額すぎる罰金や違約金は無効の可能性
社会通念上の妥当な範囲で設定する必要あり
法令違反リスク
労働契約や消費者契約での不当な罰金設定は無効
条項が曖昧だと裁判で認められない
「不倫したら罰金」ではなく「不倫により慰謝料として○○円支払う」と明確化
表：初心者向けチェックリスト
チェック項目 | ポイント |
金額 | 社会通念上妥当か |
対象行為 | 具体的で曖昧でないか |
支払条件 | 支払期限・方法が明確か |
法令 | 労働基準法・消費者契約法違反ではないか |
証拠力 | 署名・押印、公正証書化の検討 |
まとめ（基本理解編）
罰金は「制裁」、違約金は「損害賠償の事前設定」と覚える
誓約書に明記することで、約束履行の抑止力や請求根拠を確保できる
高額・曖昧・法令違反の条項は無効リスクがあるため注意が必要
初心者は、まず「誰が、何を、いくら、いつまでに」を明確に書くことが第一歩
12．法的観点・効力編
罰金や違約金は、誓約書に明記しても必ず裁判で認められるわけではありません。ここでは、裁判での扱いや無効になる条件、法的な上限・算定基準についてわかりやすく整理します。
誓約書に定めた罰金・違約金は裁判で認められるか？
誓約書で罰金・違約金を設定した場合、裁判でその金額が認められるかどうかは、民法上の損害賠償予定（違約金）制度に基づき判断されます。
ポイント
民法420条「損害賠償の予定」
契約であらかじめ損害賠償の金額を決めておくことができる
実際の損害額より多くても、裁判所が「過大」と認める場合は減額される
裁判所の判断基準
違反による実際の損害額
社会通念上の妥当性
過去の判例
初心者向け例え
例：レンタルスペースで返却期限を守らなかった場合に1日1万円の違約金を設定→ 実際の損害は1日500円でも、裁判所は「高すぎる」と減額する可能性あり
違法となるケース・無効とされる条件の具体例
罰金・違約金が無効・違法とされるケースには次のようなものがあります。
ケース | 無効理由 | 具体例 |
高額・過大な罰金 | 社会通念に反する | 不倫で5000万円請求 |
法令違反 | 労働基準法、消費者契約法に違反 | 退職早期解除に100万円罰金（労働契約） |
公序良俗違反 | 社会的倫理に反する | 強制的な人格侮辱条項や過剰な接触禁止条項 |
曖昧な条項 | 何をしたら違反か明確でない | 「常識に反する行為をしたら罰金」 |
ポイント
「高額＝自動的に無効」ではなく、裁判所が社会通念上妥当かどうかで判断
労働契約や消費者契約における罰金は、特に法令違反になりやすい
罰金・違約金の上限や算定基準に関する法的ガイドライン
実務では、罰金・違約金の金額設定の目安を知っておくことが重要です。
観点 | 法的ガイドライン | 初心者向け解説 |
上限 | 明確な法定上限はなし（民法420条） | 過大すぎると裁判で減額される |
算定基準 | 実際の損害額・逸失利益・社会通念 | 「損害を補填する範囲」で妥当な金額に設定 |
労働契約 | 労基法16条により、退職罰金は禁止 | 会社が設定しても無効 |
契約解除・不履行 | 事前に約束した金額を違約金として請求可能 | 実際の損害と大幅に乖離すると減額リスク |
初心者向け例
契約書で「納期遅延1日ごとに5万円の違約金」→ 実際の損害が1日1万円なら裁判で1万円程度に減額される可能性あり
重要なのは「過大すぎず、損害と合理的に連動する金額設定」です
裁判で認められるためのポイント
対象行為を具体的に明記
「不倫」「退職」「納期遅延」など具体的に
金額の合理性
過去の判例や実際の損害を参考に設定
支払条件を明確に
支払期限、支払方法、遅延損害金も書く
署名・押印、公正証書化
証拠力・執行力が強化される
まとめ（法的観点編）
誓約書の罰金・違約金は裁判で必ず認められるわけではない
高額・曖昧・法令違反の条項は無効のリスクあり
金額設定は「損害と合理的に連動しているか」「社会通念に沿っているか」が重要
労働契約や消費者契約は特に法的制限に注意
明確な条項と専門家チェック、公正証書化で裁判で認められやすくなる
13．実務・ケーススタディ編
罰金・違約金付きの誓約書は、実務上どのように使われているのでしょうか。ここでは、匿名事例や契約種類ごとの違い、トラブル防止のための文言の書き方まで整理します。
契約違反時に罰金・違約金が発生した実例（匿名事例）
事例1：業務委託契約での納期遅延
内容：フリーランスに業務委託を依頼、納期を守らなかった場合に1日1万円の違約金を設定
結果：納期遅延が発生 → 違約金として2万円を請求
ポイント：事前に金額・支払条件を明確にしていたため、交渉なしで支払い完了
事例2：賃貸契約での早期解約
内容：賃貸契約に「解約時に家賃1か月分の違約金を支払う」と記載
結果：入居者が契約期間の半年前に退去 → 違約金を請求
ポイント：金額が社会通念上妥当で、契約書に明記されていたため裁判不要で解決
事例3：雇用契約での競業避止義務違反
内容：従業員が退職後6か月間、競合企業での就業禁止条項に違反した場合に違約金10万円
結果：従業員が競合企業で勤務 → 和解で5万円を支払う
ポイント：競業避止義務の範囲と違約金額の合理性が重要
契約種類別の違約金設定の比較
契約の種類によって、罰金・違約金の設定方法や裁判で認められやすい条件が異なります。
契約種類 | 違約金の設定ポイント | 裁判での認められやすさ | 注意点 |
雇用契約 | 競業避止義務や機密保持違反 | 制限あり（労働法遵守必須） | 退職罰金は無効、過大請求は減額 |
賃貸契約 | 早期解約・損傷・滞納 | 社会通念上妥当なら有効 | 金額が過大だと減額される可能性 |
業務委託契約 | 納期遅延・契約不履行 | 明確に金額・対象行為を設定すれば有効 | 曖昧な条項は無効、交渉で調整されることも |
初心者向け解説
雇用契約は労働法制の制約が強いため、退職罰金は基本的に無効
賃貸契約や業務委託契約は、社会通念上妥当な範囲なら違約金条項は認められやすい
「曖昧」「過大」「法令違反」の3つは裁判で無効リスク
トラブル防止のための誓約書文言の書き方・注意点
トラブルを避けるには、条項を明確かつ合理的に記載することが重要です。
ポイント
対象行為を具体的に記載
×「不適切な行為」
○「契約期間中に同業他社での就業」
罰金・違約金の金額と算定方法を明確化
支払額・支払期日・遅延損害金を記載
法令や社会通念に沿った金額設定
高額すぎる場合、裁判で減額される可能性
署名・押印、公正証書化で証拠力を強化
初心者向け例文（業務委託契約）
第○条（違約金）受託者が納期までに成果物を提出しない場合、受託者は1日につき1万円を発注者に支払うものとする。支払期限は納期から7日以内とする。
実務上のまとめ
具体的な金額・行為を明確にすることがトラブル防止の第一歩
契約の種類によって有効性や法的制約が異なる
曖昧・過大・法令違反の条項は、裁判で無効のリスク
公正証書化や専門家チェックで裁判でも認められやすい誓約書を作成可能
14．作成・運用編
罰金・違約金付きの誓約書は、作るときの注意点や運用方法を押さえないと、後で無効になるリスクやトラブルにつながる可能性があります。ここでは、チェックリストや文言作成のポイント、専門家レビューの重要性まで解説します。
誓約書に罰金・違約金条項を盛り込むときのチェックリスト
誓約書に罰金や違約金を盛り込む際は、次の項目を確認することが重要です。
チェック項目 | ポイント | 初心者向け解説 |
対象行為 | どの行為で違約金が発生するか明確か | 曖昧な表現（例：「不適切な行為」）は無効になりやすい |
金額 | 社会通念上妥当か | 過大だと裁判で減額される、低すぎると抑止力がない |
支払条件 | 支払期限・方法・遅延損害金 | 「遅延したらいつまでにどう支払うか」を明記 |
法令遵守 | 労働法・消費者契約法など違反がないか | 退職罰金や消費者契約での過大違約金は無効 |
公平性 | 当事者双方が納得しているか | 一方に不利すぎる条項は公序良俗違反になる可能性 |
証拠力 | 署名・押印、公正証書化の検討 | 口頭や電子メールだけでは裁判で弱い |
誓約書作成で押さえておくべき「公平性」と「具体性」のポイント
1. 公平性
両当事者が納得できる内容であること
片方に過剰に不利な条項は公序良俗違反とされる場合があります
例：業務委託契約で、受託者の遅延に罰金10万円、発注者の遅延は無罰→ 不公平として減額や無効リスクあり
2. 具体性
何をしたら罰金・違約金が発生するのか明確にする
曖昧な表現は裁判で認められない可能性
例：
×「不適切な行為をした場合」
○「納期を過ぎた場合、1日あたり1万円を支払う」
初心者向けポイント
「誰が・何を・いくら・いつまでに」を必ず書く
金額や条件を具体化することで、裁判でも証拠として有効
自己判断で作るとリスク？専門家によるレビューの重要性
自己判断で誓約書を作ることは可能ですが、以下のリスクがあります。
リスク例
法令違反になる条項を作ってしまう
例：労働契約での退職罰金 → 無効
過大・曖昧な金額設定で裁判で減額される
証拠力が弱く、裁判で請求できない
専門家に依頼するメリット
専門家 | メリット |
弁護士 | 法的効力の確認、裁判で認められやすい文言作成 |
行政書士 | 契約書や誓約書のドラフト作成、公正証書化支援 |
流れの例
自分でドラフト作成
専門家にレビュー・修正
当事者署名・押印、公正証書化（必要に応じて）
実務上のまとめ
チェックリストを活用して対象行為・金額・支払条件・法令遵守・公平性・証拠力を確認
条項は具体的で公平に設定する
自己判断のみでは無効リスクがあるため、専門家によるレビューが重要
公正証書化や署名・押印で裁判で認められやすい誓約書を作成可能
契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい？
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか？」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形（テンプレート）はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは？
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士：契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士：法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万～10万円、リーガルチェック1万～3万 |
弁護士 | 契約書作成10万～30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ：契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング：依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正：専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品：完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律２万円で作成しています。作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。
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