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SNS時代の名誉棄損と誓約書の活用法|一律2万円おてがる契約書.com|【テンプレート・ひな形付き】書き方と効力を行政書士が徹底解説‼

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 9月12日
  • 読了時間: 38分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日は名誉棄損に関する誓約書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。名誉毀損は、誰もが巻き込まれる可能性のあるトラブルであり、精神的にも経済的にも大きなダメージを与えることがあります。本ブログでは、名誉毀損トラブルを未然に防ぎ、万一トラブルが起きた場合に適切に対応するための誓約書の活用方法について詳しく解説します。誓約書の基礎知識から法的効力、実務での具体的な使い方まで、初心者でも理解できるよう丁寧に説明していきます。


  本記事のまとめ:

重要事項

概要

名誉毀損防止のための誓約書の役割や法的拘束力、公正証書化の効果を解説。

書面での誓約は、口頭の謝罪よりも強い抑止力があり、当事者の行動を長期的に制御できることを紹介。

軽微なトラブルは誓約書のみで解決可能だが、被害が大きい場合は損害賠償請求と併用することでより安全にトラブルを解決できる点を整理。

🌻名誉毀損トラブルは、誤解や軽い発言から大きな問題に発展することがあります。特に退職後のSNS投稿や学校・職場での誹謗中傷は、本人の意思だけでは抑えきれない場合があります。本ブログを読むことで、誓約書を使った予防策や再発防止の具体的手法、万一の際の法的対応のポイントを知ることができます。大切な信用や社会的評価を守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。


名誉棄損の誓約書作成。弁護士・行政書士が対応。テンプレート雛形(ひな形)収入印紙

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▼目次



~事例・比較分析紹介~

~番外編~



  1.はじめに


現代社会では、個人や企業の評判を傷つける行為、いわゆる「名誉棄損」が大きなトラブルにつながるケースが増えています。SNSの普及や情報の拡散速度が速くなったことで、発信した情報が瞬く間に広がり、想定外の被害を生むことも珍しくありません。こうした状況で、退職時の同僚間トラブルや、離婚に伴う夫婦間の誹謗中傷を防ぐための手段として、「誓約書」が注目されています。


誓約書とは、当事者が特定の行為を行わないことや、一定の義務を守ることを文書化して約束する書面です。名誉棄損トラブルを防ぐために誓約書を活用する理由は、大きく分けて次の3点に整理できます。


  1. 法的効力を持つ証拠になる口頭での約束では証拠として弱いため、後にトラブルが発生した場合に立証が難しくなります。しかし、誓約書に署名・押印があれば、裁判などで「この約束は双方で合意済みである」という強力な証拠として活用できます。

  2. 心理的抑止効果がある書面での約束は、単なる口約束に比べて相手に強い責任感を生じさせます。「署名した以上、守らなければならない」という意識は、無用な誹謗中傷を防ぐ効果があります。

  3. 紛争時の交渉をスムーズにする万一、名誉棄損に関わるトラブルが起きた場合でも、誓約書に基づいて対応できるため、示談交渉や損害賠償請求がスムーズに進みやすくなります。


図解:誓約書が名誉棄損トラブルを防ぐ仕組み

┌─────────────┐
│ 誓約書の作成 │
└─────┬───────┘
      │
      ▼
┌─────────────┐
│ 法的効力の証拠 │ ← トラブル時に提示可能
└─────┬───────┘
      │
      ▼
┌─────────────┐
│ 心理的抑止効果 │ ← 無用な誹謗中傷を防止
└─────┬───────┘
      │
      ▼
┌─────────────┐
│ 紛争時の対応円滑 │ ← 示談・交渉がスムーズに
└─────────────┘

特に退職時の元従業員や、離婚後の元配偶者間では、感情的な発言やSNSでの誹謗中傷が後を絶ちません。誓約書を交わすことで、事前にトラブルを未然に防ぎ、法的な争いに発展するリスクを減らすことができます。


  2.誓約書の基礎知識


名誉棄損トラブルや誹謗中傷を防ぐ手段として「誓約書」を活用する際、まずは誓約書そのものの基礎知識を理解しておくことが重要です。この章では、誓約書とは何か、どのような場面で用いられるか、契約書との違いや法的効力について詳しく解説します。


2-1. 誓約書とは?

誓約書とは、「当事者が特定の行為を行わないこと」や「一定の義務を守ること」を文書で約束する書面のことです。口約束でも同様の内容を伝えることは可能ですが、誓約書に書面化することで以下のメリットがあります。

  • 証拠として残る:後で「そんな約束はしていない」と言われた場合に、書面として立証可能

  • 心理的抑止力が働く:署名や押印により「守らなければならない」という意識が強くなる


例え話

例えば、会社を退職する際に「退職後、前の職場の悪口をSNSに書かない」と口頭で約束しただけでは、後で発信された場合に証拠として弱くなります。しかし誓約書に署名していれば、「書面で約束した」という強力な証拠となり、法的トラブルの防止につながります。


2-2. 誓約書が必要となる典型的な場面

誓約書は、特に人間関係や名誉棄損のリスクがある場面で活用されます。以下に代表的なケースを整理しました。

場面

内容・目的

効果

退職時

元従業員が会社や同僚についての誹謗中傷を行わない

SNSや口コミでの名誉毀損防止

離婚時

元配偶者間で互いのプライバシーや誹謗中傷を控える約束

子どもや親族への影響を最小化

友人・知人トラブル

個人的なトラブルや秘密保持

SNS・チャットなどでの拡散防止

取引先との関係

秘密情報や不正行為の非公表

ビジネス上の評判や信頼維持


ポイント

誓約書は必ずしも「悪意ある行為が発生してから作るもの」ではありません。むしろ、トラブルを未然に防ぐ予防策として作成することが推奨されます。


2-3. 誓約書と契約書の違い

誓約書と契約書は似ているようで、実際には目的や法的意味合いに違いがあります。

項目

誓約書

契約書

目的

行為の制限や義務の約束

権利・義務の取り決め

法的拘束力

法的効力は限定的(証拠力中心)

法的拘束力が強く、履行義務が明確

署名・押印の必要性

推奨されるが必須ではない

基本的に署名・押印必須

利用場面

名誉棄損防止・秘密保持など

売買契約、賃貸契約、業務委託契約など


補足

誓約書は「契約書ほど法的強制力が強くない」一方で、裁判での証拠として有効です。ですので、誓約書は契約書とは別の役割を持つ文書として理解しておくことが重要です。


2-4. 誓約書の法的効力

誓約書には法的効力がありますが、その性質を正しく理解することが重要です。

法的拘束力は限定的

  • 誓約書自体は契約書ほど強制力が強くありません

  • 「絶対に守らなければならない」と誤解するとトラブルの原因になります

裁判で証拠として利用できる

  • 誓約書に署名・押印がある場合、「当事者がこの内容を約束した」という証拠になります

  • 名誉棄損や秘密保持違反が発生した際に、裁判や示談交渉で活用可能です

公正証書化すれば強制執行可能

  • 公証人役場で公正証書として作成すると、裁判なしでも強制執行が可能になります

  • 例えば、誓約違反による損害賠償請求を確実に回収したい場合に有効です


図解:誓約書の法的効力

┌─────────────┐
│ 通常の誓約書 │
│ ─────────── │
│ 証拠力あり   │ ← 裁判・示談で活用
└─────┬───────┘
      │
      ▼
┌─────────────┐
│ 公正証書化   │
│ ─────────── │
│ 強制執行可能 │ ← すぐに法的手続きに移れる
└─────────────┘

誓約書は「名誉棄損やトラブルを未然に防ぐための重要なツール」です。しかし、法的効力や用途を正しく理解して作成することが不可欠です。


  3.名誉棄損とは何か?


名誉棄損は、現代社会において特にSNSやインターネットの発達により、個人や企業の評判を傷つける行為として注目される法律問題です。トラブルを防ぐためには、まず「名誉棄損とは何か」を正しく理解することが重要です。この章では、定義や成立要件、侮辱罪との違い、認められないケースについて詳しく解説します。


3-1. 名誉棄損の定義

名誉棄損とは、公に事実を示すことで、他人の社会的評価を低下させる行為を指します。法律上では、日本の刑法第230条に規定されており、以下のように整理できます。

  • 対象:個人・法人の社会的評価

  • 行為内容:事実を公に示すこと(口頭、文章、SNS、メディアなど)

  • 結果:社会的信用や評判が低下すること


  • 元社員が退職後に「この会社は違法な契約をしている」とSNSで拡散する

  • 離婚後、元配偶者が「元夫は借金まみれだった」と友人やネットに話す


これらの行為が、事実であっても、相手の名誉を毀損する内容であれば名誉棄損として扱われる場合があります。



3-2. 名誉棄損と侮辱罪の違い

名誉棄損と混同されやすいのが侮辱罪(刑法231条)です。両者には明確な違いがあります。

項目

名誉棄損

侮辱罪

事実の有無

他人の事実を示す必要がある

事実の有無は問わない(感情的・抽象的表現)

目的

社会的評価を低下させる

相手を軽蔑・侮辱する

公表範囲

公然(第三者が認識できる形)

公然である必要あり

補足

例えば「彼は借金がある」と事実を示して社会的評価を下げる場合は名誉棄損ですが、「嫌なやつだ」と感情的に罵るだけの場合は侮辱罪となります。



3-3. 名誉棄損が成立する3つの要件

名誉棄損が成立するには、法律上3つの要件を満たす必要があります。これらは覚えやすく整理すると以下の通りです。


1. 公然性

  • 不特定多数の人、または多数が認識できる状態で事実を示すこと

  • SNS、ブログ、掲示板、会議での発言などが該当


2. 事実の摘示

  • 事実であることを示す必要があります

  • 「嘘を言った」場合は名誉棄損ではなく、名誉毀損の加重や詐欺行為として扱われる場合があります


3. 名誉を毀損する内容であること

  • 他人の社会的評価を低下させる内容であること

  • 単なる批評や意見と違い、相手の信用や評判に直接影響する情報である必要があります



3-4. 名誉棄損が認められないケース

すべての事実の公表が名誉棄損となるわけではありません。以下のようなケースでは、名誉棄損が認められない場合があります。

ケース

内容

正当な批評

商品やサービス、公共人物に関する意見や批評は社会的価値のある議論と認められる

公益性がある場合

社会にとって重要な情報であり、公共の利益を守るために発信された場合

事実が確認できる場合

真実性が証明できる事実であれば、原則として違法性は阻却される

  • 「この会社の製品は安全基準を満たしていない可能性がある」と報告する → 公益性あり

  • 「市議会議員が公金を私的に使用した」 → 真実であり社会的利益がある場合、名誉棄損は成立しない

名誉棄損の理解は、誓約書を作成する上でも重要です。誓約書に「名誉棄損につながる行為を行わない」と明記することで、退職後や離婚後のSNS投稿や発言を予防できます。


  4.名誉棄損の法的責任


名誉棄損は、社会的評価を低下させる行為であり、法律上さまざまな責任が発生します。誓約書で名誉毀損行為を予防するためにも、民事・刑事責任、インターネット上での特殊ケースを理解することが重要です。


4-1. 民事責任

名誉棄損による民事責任とは、被害者が損害賠償や慰謝料を請求できる権利を持つことです。法律上は不法行為(民法709条)として扱われます。


不法行為の成立要件

  • 加害者による行為が存在すること

  • 被害者に損害が発生していること

  • 行為と損害の因果関係があること

  • 加害者に過失があること

名誉棄損はこれらを満たす場合に、民事責任が発生します。


損害賠償・慰謝料の相場

損害賠償額や慰謝料はケースバイケースですが、一般的な相場は以下の通りです。

被害の種類

相場

軽度(個人間の小規模な中傷)

10万〜50万円程度

中度(SNSや掲示板で広く拡散)

50万〜100万円程度

重度(社会的信用を大きく失った場合)

100万〜300万円以上

※裁判所の判断や加害者の資力によって変動します。


時効

  • 民事上の名誉棄損の請求権は損害・加害者を知った時から3年

  • 発生自体から20年で時効(長期的な権利消滅)


補足

例えば、退職後にSNSで元上司の評判を落とす投稿をしてしまった場合、元上司は損害賠償や慰謝料を請求でき、3年以内であれば裁判に持ち込むことが可能です。



4-2. 刑事責任

名誉棄損は刑法230条に基づく刑事責任も発生します。民事責任と異なり、国家が加害者を処罰する仕組みです。


親告罪

  • 名誉棄損罪は親告罪に分類されます

  • 被害者が告訴しなければ、警察や検察は処罰できません


懲役・罰金

  • 法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金

  • 実務上は罰金で済むケースが多いですが、悪質な場合は懲役刑もあり得ます


時効

  • 刑事上の告訴期間は被害者が告訴できる時から6か月以内

  • 告訴がなければ処罰されません


補足


たとえば、匿名掲示板に実名を挙げて虚偽の情報を書いた場合、被害者が告訴すれば刑事事件として扱われ、罰金や懲役の対象になる可能性があります。



4-3. インターネットにおける名誉棄損

近年、名誉棄損の多くはSNSや掲示板、ブログなどのネット発信に関連しています。インターネットでは匿名性や情報拡散速度が問題を複雑化させます。


投稿削除請求

  • 被害者は発信者や運営者に対して投稿削除請求が可能

  • 弁護士を通すと迅速に対応されることが多い


発信者情報開示請求

  • 投稿者が匿名の場合、プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報開示請求が可能

  • 名前・住所・IPアドレスなどの情報を取得して損害賠償請求に活用できる


裁判例

  • SNSでの誹謗中傷による慰謝料請求は増加傾向

  • 裁判所は投稿内容の拡散度、被害の程度、投稿者の反省状況などを考慮して賠償額を決定


補足

ネット上の書き込みでも、誓約書で「退職後に会社の評判を落とす発言をしない」と取り決めておくと、トラブル防止に大きく寄与します。匿名性があっても、法的手段による発信者特定が可能であるため、誓約書がある場合は交渉や示談も円滑に進めやすくなります。


名誉棄損には民事・刑事・インターネット上の特殊ケースなど複数の法的責任が伴います。誓約書を適切に作成して事前にルールを明文化することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。


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  5.名誉棄損防止のための誓約書


名誉棄損トラブルを未然に防ぐ最も有効な手段のひとつが「誓約書」です。口頭での約束では後から争いになる可能性がありますが、文書化することで法的証拠となり、心理的抑止力も働きます。この章では、退職時・離婚時・今後一切関わらない場合に分けて、誓約書の具体的な活用方法を解説します。


5-1. 退職時の誓約書

退職時に交わす誓約書は、会社の機密情報や業務上の信用を守る目的で作成されます。特に名誉毀損防止の観点では、以下の3つの条項が重要です。

  1. 機密保持

    • 在職中に知り得た顧客情報、取引情報、技術情報などを退職後に漏らさない約束

    • 例:「退職後、SNSや口頭で顧客情報を公開しない」

  2. 競業避止(競業禁止)

    • 同業他社での活動や自社ノウハウを活用した事業の制限

    • 名誉棄損とは直接関係ありませんが、情報漏洩や評判低下を防ぐ効果があります

  3. 信用毀損行為の禁止

    • 元従業員が会社や同僚について、誹謗中傷・虚偽情報の発信をしない約束

    • 例:「会社または同僚に関する虚偽の情報をSNSやブログで発信しない」


補足

誓約書があることで、退職後のSNS投稿や口コミによるトラブルを未然に防ぎ、万一発信された場合にも損害賠償請求や示談交渉をスムーズに進められる効果があります。



5-2. 離婚時の誓約書

離婚時は、元配偶者との間で感情的なトラブルや名誉毀損が発生しやすい場面です。このため、お互いの社会的評価を傷つけない約束を文書化することが重要です。

  1. 誹謗中傷の禁止

    • 元配偶者や親族、子どもに関する誹謗中傷を行わない

    • 例:「離婚後、元配偶者について虚偽の情報をSNS・口頭で広めない」

  2. プライバシー保護

    • 離婚過程や家庭内の事情を第三者に暴露しない

    • 例:「離婚協議や親権に関する情報を他人に話さない」

  3. 損害賠償の取り決め(任意)

    • 誓約違反があった場合の慰謝料や損害賠償を事前に合意しておくことも可能


補足

離婚時の誓約書は、裁判所での調停や示談においても有効です。「お互いの名誉を守る」という明確なルールを作ることで、トラブルの再発防止につながります。



5-3. 今後一切関わらない誓約書

特定の人物との関係を完全に断つ場合にも、誓約書は名誉棄損防止に活用できます。特にSNSやオンラインでの誹謗中傷リスクを減らす効果があります。

  1. 接触禁止

    • 直接的・間接的な接触を控える約束

    • 例:「今後、一切の連絡や面会を行わない」

  2. SNSやネットでの発信制限

    • 相手に関する書き込み、拡散、タグ付けなどを禁止

    • 例:「元知人に関する誹謗中傷をネット上で一切行わない」

  3. 違反時の措置

    • 誓約違反があった場合の損害賠償や法的手段について明記


補足

このタイプの誓約書は、ストーカーやネットいじめなど感情的な対立が激しいケースでも効果があります。文書化することで、心理的抑止力だけでなく、法的に問題が発生した場合の対応も容易になります。


名誉棄損防止のための誓約書は、退職・離婚・今後関わらないケースに応じて内容をカスタマイズすることが重要です。ポイントは以下の通りです。

  • 名誉毀損に直結する行為(誹謗中傷・虚偽情報の発信)を明確に禁止する

  • 違反時の対応(損害賠償・示談・法的措置)を事前に取り決める

  • 文書化することで心理的抑止力と法的証拠力を両立させる


  6.誓約書を守らなかった場合の対応


誓約書は、名誉棄損や誹謗中傷などのトラブルを防ぐための有効な手段ですが、万一、相手が誓約内容を守らなかった場合には適切な対応が必要です。この章では、初期対応から裁判に至るまでの流れや、誓約書の強制力を高める工夫について詳しく解説します。


6-1. 初期対応(話し合い・警告)

誓約書違反が発覚した場合、まずは冷静な初期対応が重要です。

  1. 話し合い

    • 相手に誓約違反を伝え、事実確認を行う

    • 感情的にならず、文章やメールで記録を残すと証拠になる

  2. 警告

    • 「誓約書違反が確認されたため、直ちに対応してください」と書面で通知

    • この段階で相手が改善すれば、裁判などの法的手続きに進む必要はありません


補足

初期対応は、トラブルを大きくせずに解決するためのステップです。特にSNS投稿や誹謗中傷の場合は、スクリーンショットや日付を含めた証拠を必ず残しておきましょう。



6-2. 弁護士への相談

話し合いで解決できない場合は、弁護士に相談するのが適切です。

  • 弁護士は、誓約書の内容や違反行為を精査し、法的にどの程度対応可能か判断します

  • 必要に応じて、内容証明郵便による警告や示談交渉を代行してくれます


補足

弁護士に相談するメリットは、冷静かつ専門的な対応が可能になる点です。感情的なやり取りによるトラブルの拡大を防ぎ、スムーズに交渉を進められます。



6-3. 裁判で争う場合(損害賠償・違約金・慰謝料請求)

話し合いや交渉でも解決できない場合、裁判で誓約書違反を争うことが可能です。

  1. 損害賠償請求

    • 名誉毀損や誹謗中傷によって生じた金銭的・精神的損害を請求

    • 証拠(スクリーンショット、発信履歴、誓約書)を提出

  2. 違約金請求

    • 誓約書に違反時の違約金を明記している場合、契約違反として請求可能

  3. 慰謝料請求

    • 名誉棄損による精神的苦痛に対する金銭請求


補足

裁判では、誓約書があることで**「約束違反があった」という証拠**として強く作用します。誓約書がなければ、違反行為の立証が困難になるケースも多いため、事前の文書化が重要です。



6-4. 誓約書を守らせるための工夫

誓約書の効果を最大化するためには、作成段階から以下の工夫が有効です。

  1. 署名押印の徹底

    • 当事者全員が署名・押印することで、法的効力と心理的抑止力を高める

  2. 違反時の具体的なペナルティ明記

    • 損害賠償額や慰謝料、違約金など、違反時の対応を具体的に定める

    • 例:「誓約違反1件につき50万円の違約金を支払う」

  3. 公正証書化による強制力確保

    • 公証人役場で公正証書化すれば、裁判を経ずに強制執行が可能

    • 特に退職時や離婚時、今後一切関わらないケースでは、強制力があると交渉力も格段に向上


補足

これらの工夫により、誓約書は単なる「口約束」ではなく、法的・心理的に強力な抑止力を持つ文書になります。トラブル防止だけでなく、万一違反が発生した場合でも迅速な対応が可能です。


誓約書を守らなかった場合の対応は、初期対応→弁護士相談→裁判の流れを踏まえ、作成時の工夫でリスクを最小化することが重要です。これにより、退職後の元従業員や離婚後の元配偶者、SNSトラブルなど、名誉棄損リスクの高い場面でも安心して対処できます。


  7.実務で役立つ誓約書の雛形・活用方法


名誉棄損トラブルを防ぐためには、誓約書の文面を具体化して、実務で活用できる形にすることが重要です。この章では、退職時・離婚時・示談時など、状況に応じた誓約書のひな形や注意点を解説します。


名誉棄損に関連する誓約書のひな形紹介

1. 退職時の誓約書(例)

退職時に交わす誓約書は、会社の機密保持や信用毀損行為の禁止を中心に構成されます。

退職者誓約書(名誉毀損防止条項含む)

私は、退職日より以下の事項を遵守することを誓約します。

1. 在職中に知り得た顧客情報、取引情報、社内機密を漏らさないこと。
2. 退職後、会社および同僚に関する虚偽の情報をSNS、ブログ、口頭等で発信しないこと。
3. 上記に違反した場合、損害賠償および違約金を請求される可能性があることを承諾します。

署名:_______
押印:_______
日付:____年__月__日

2. 離婚時の誓約書(例)

離婚時の誓約書は、元配偶者の社会的評価を守ることを目的とします。

離婚時誓約書(名誉毀損防止条項含む)

私たちは、離婚に際し以下の事項を誓約します。

1. 離婚後、相手およびその親族に関する誹謗中傷や虚偽情報をSNS、口頭、文書で発信しないこと。
2. 離婚協議や家庭内事情を第三者に暴露しないこと。
3. 上記に違反した場合、損害賠償および慰謝料請求の対象となることを了承します。

署名:_______
押印:_______
日付:____年__月__日

3. 示談時の誓約書(例)

トラブル解決後の示談においても、再発防止のために誓約書を作成することがあります。

示談時誓約書(名誉毀損防止条項含む)

私は、示談に基づき以下の事項を遵守することを誓約します。

1. 被害者に関するSNS、ブログ、口頭での誹謗中傷を一切行わないこと。
2. 示談違反があった場合、違約金および損害賠償請求に応じること。
3. この誓約書は、法的効力を有するものであることを理解しています。

署名:_______
押印:_______
日付:____年__月__日

誓約書活用時の注意点

誓約書は便利なツールですが、作成や運用時には以下の注意点があります。

  1. 過度に不利な条件は無効の可能性

    • 法律上、自由意思に基づかない不当な制限や過度の違約金条項は無効となることがあります

    • 例:「違反1件につき1000万円」など過大な金額は裁判で無効とされる可能性が高い

  2. 内容は具体的に明確に

    • 「誹謗中傷をしてはいけない」と漠然と書くよりも、「SNS・ブログ・口頭で虚偽情報を発信しない」と明記することで、実務上の効果が高まります

  3. 署名・押印・日付を必ず記載

    • 証拠として有効にするため、署名・押印・日付の記載は必須です

  4. 必要に応じて公正証書化

    • 公証人役場で公正証書にすれば、裁判を経ずに強制執行が可能となり、抑止力が高まります


誓約書は、退職時・離婚時・示談時のトラブル防止に非常に有効なツールです。ひな形を参考に、状況に応じて内容をカスタマイズし、具体的かつ実務的に活用することが、名誉棄損トラブルを未然に防ぐ最も確実な方法です。


  8.まとめ


名誉棄損トラブルは、私生活や職場、SNS上などさまざまな場面で発生します。その影響は単なる言葉のもつれではなく、精神的なストレスや社会的信用の低下、さらには経済的損失にもつながります。本記事で解説した内容を振り返りながら、名誉棄損対策としての誓約書の重要性と活用方法をまとめます。


1. 名誉棄損トラブルは精神的・経済的ダメージが大きい

  • 名誉棄損によって受ける精神的ダメージは、日常生活や仕事のパフォーマンス低下にも直結します。

  • 金銭的損害も発生する場合があり、慰謝料や損害賠償の請求が裁判に発展すると高額な費用負担が発生することがあります。

  • 特にSNSやインターネット上では、情報が拡散しやすく、一度の投稿が長期間のトラブルに発展する可能性があります。


補足

例えば、退職後に元上司や同僚を誹謗中傷する投稿をした場合、損害賠償請求や示談交渉に発展することがあります。また、離婚後に元配偶者への悪評を広めてしまうと、裁判で慰謝料請求されるリスクもあります。



2. 予防のために誓約書を活用するのが有効

  • 誓約書を作成することで、名誉毀損行為を事前に防止する効果があります。

  • 退職時の機密保持・信用毀損行為禁止、離婚時の誹謗中傷防止、示談時の再発防止など、状況に応じた内容を文書化することがポイントです。

  • 誓約書は法的証拠としての効力を持つだけでなく、心理的抑止力としても有効です。


補足

署名・押印・日付の記載や、公正証書化などの工夫を行うことで、裁判を経ずに強制力を持たせることも可能です。違反時の具体的ペナルティを明記しておくと、より効果的です。



3. 守られなかった場合は冷静に法的手段を検討することが重要

  • 誓約書を守らなかった場合は、まず話し合いや警告で解決を試みます。

  • 解決しない場合は、弁護士に相談して示談交渉や内容証明郵便による対応を行います。

  • さらに必要であれば、裁判で損害賠償・違約金・慰謝料請求を行うことも可能です。

  • 大切なのは、感情的にならず、証拠や法律に基づいた冷静な対応を取ることです。


補足

スクリーンショットや発信履歴、誓約書の原本など、トラブル発生時に備えた証拠の保存も忘れないようにしましょう。



最後に

名誉棄損トラブルは、一度起こると長期化しやすく、精神的・経済的な負担も大きい問題です。しかし、誓約書を適切に作成・活用することで、予防も対応も効果的に行えます。


誓約書は単なる形式的な文書ではなく、トラブル回避のための重要な「盾」として機能します。事前にしっかりとルールを明文化し、必要に応じて法的手段を準備することで、安心して人間関係や職場、家庭生活を守ることが可能です。


~事例・比較分析紹介~


  9.誓約書の実効性・裁判例分析


名誉棄損トラブルにおいて、誓約書はトラブルの予防や再発防止、損害賠償請求の際の証拠として活用されます。しかし、実際に裁判でどの程度有効と認められるのかは、ケースごとに異なります。本章では、裁判例や誓約書の形式による効果の違いを詳しく解説します。


名誉棄損トラブルで交わされた誓約書の裁判上の評価

誓約書が裁判で有効と認められるかどうかは、以下のポイントで判断されます。

  1. 明確な内容

    • 「〇〇について誹謗中傷を行わない」「謝罪文を提出する」と具体的に記載されている場合、有効性が高い

    • 漠然とした表現や抽象的な約束は、法的効力が認められにくい

  2. 署名・押印の有無

    • 当事者双方の署名・押印があることは、意思表示の証拠として重要

    • 署名・押印がない場合は、裁判で効力を争われる可能性がある

  3. 自由意思での合意

    • 強制的・脅迫的に署名させた場合は無効になることがあります

    • 任意の意思に基づいた署名であることが必要


裁判例の傾向

  • 「再発防止の誓約」を明記した誓約書は、違反時の損害賠償請求や慰謝料請求で有効に利用された事例があります。

  • 「謝罪文提出」を求める誓約も、裁判上で履行を促す手段として認められる傾向があります。

  • ただし、誓約内容が過度に不当な場合や、具体性に欠ける場合は、裁判で効力が制限されることがあります。



公正証書と私署証書の効果の違い

誓約書は形式によって裁判上の効力や強制力に違いがあります。

種類

特徴

裁判上の効力

強制力

公正証書

公証人役場で作成

法的証拠として強く認められる

違約金や履行を裁判を経ずに強制執行可能

私署証書

当事者が署名・押印のみ

証拠として提出可能だが裁判で争われる余地あり

強制力なし、裁判での確認が必要


補足

  • 公正証書化することで、「裁判を起こさずに誓約違反の強制執行ができる」点が大きなメリットです。

  • 私署証書でも裁判で証拠として利用できますが、内容の有効性や具体性を争われることがあるため、文言の明確化が重要です。



実務上のポイント

  1. 誓約内容は具体的に

    • どの行為を禁止するのか、違反時の対応はどうするのかを明記することが裁判上の有効性を高めます。

  2. 署名・押印・日付を必ず入れる

    • 裁判で「合意があった」という証拠として重要です。

  3. 公正証書化を検討

    • 特に退職後のトラブルや離婚後の誹謗中傷など、強制力が必要なケースでは有効です。



まとめ

  • 名誉棄損トラブルにおける誓約書は、裁判で証拠として活用できる重要な文書です。

  • 再発防止や謝罪文提出の約束は、裁判例でも一定の効力を認められる傾向があります。

  • 形式の選択(公正証書か私署証書か)により、強制力や効力に大きな差が出るため、ケースに応じて適切に作成することが重要です。


  10.SNS時代特有の名誉棄損と誓約書の活用


近年、Twitter(X)、Instagram、YouTubeなどのSNSの普及により、名誉棄損トラブルはインターネット上で急増しています。SNS特有の問題として、拡散のスピード、匿名性、投稿の削除困難性などが挙げられます。こうした状況では、従来の紙ベースの誓約書だけでは不十分なケースもあるため、活用方法を工夫する必要があります。



SNS由来の名誉棄損トラブルと誓約書の活用実態

  • SNS上での誹謗中傷は、匿名やハンドルネームで投稿されることが多く、被害者が特定しにくいという特徴があります。

  • 企業や個人が、従業員や関係者との間で交わす誓約書には、SNS上での発信行為禁止条項を盛り込むケースが増えています。

  • 具体的には、次のような内容が盛り込まれます。

    • 「退職後、SNS上で会社や同僚を誹謗中傷しない」

    • 「特定の人物に関する投稿を行わない」

    • 「投稿した場合は削除し、謝罪文を提出する」


補足

こうした誓約書は、心理的抑止力としても有効です。匿名であっても、投稿が本人のアカウントに紐づく場合は法的手段が検討できるため、誓約書の存在が投稿を思いとどまらせる効果があります。



投稿削除義務を盛り込んだ誓約書の有効性

SNS特有のトラブルでは、「削除義務」を明記した誓約書が重要です。

  • 投稿削除義務を明記することで、被害拡大を防ぎつつ、違反時に損害賠償や違約金請求の根拠として活用できます。

  • 例:「誹謗中傷に該当する投稿を発見した場合、速やかに削除し、同内容に関する謝罪文を提出すること」


補足

投稿削除義務は、単に「発信しない」と約束するよりも具体性があり、裁判での証拠価値も高くなります。特にSNS上では、情報が一度拡散すると完全削除は難しいため、削除のタイミングや手段も明記しておくと実務的です。



「匿名アカウント」に対する誓約書の意味と限界

  • 匿名アカウントの場合、誓約書を交わしても本人が誰であるか特定できなければ実効性は限定的です。

  • ただし、企業や関係者と直接関係のある人物(元従業員、元パートナーなど)の場合、匿名であってもアカウントの運営者が特定できれば法的手段が可能です。

  • そのため、匿名アカウントに対する誓約書は、心理的抑止や示談交渉時の証拠として活用する意義があります。


補足

匿名アカウントでの誹謗中傷は、発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法に基づく手続き)を通じて、投稿者を特定することが可能です。しかし、この手続きには時間とコストがかかるため、誓約書を事前に交わしておくことが、最も効率的な予防策となります。



実務上のポイント

  1. SNS上の行為を具体的に禁止

    • 「SNSで誹謗中傷を行わない」と漠然と書くより、「Twitter、Instagram、YouTube等の投稿を含む」と明記する

  2. 投稿削除と謝罪義務をセットで規定

    • 違反が発覚した際に迅速に対応できるようにする

  3. 匿名やハンドルネームにも備える

    • 発信者特定後に法的手段を取る前提として、誓約書の存在を示しておく


SNS時代における誓約書は、単なる紙上の約束ではなく、発信者に対する心理的抑止力と、違反時の法的対応の根拠として大きな効果を持ちます。匿名投稿の増加など、新たなリスクにも対応できるよう、内容を具体化し、削除義務や謝罪義務を明記することが重要です。


  11.企業・学校における名誉棄損対応マニュアルの比較調査


名誉棄損トラブルは、個人間だけでなく企業や学校でも発生するリスクがあります。特にSNSの普及により、従業員や学生が関与する名誉棄損事件は増加傾向にあります。そのため、組織ごとに社内・校内のガイドラインやマニュアルが整備され、誓約書の取得が重要な位置を占めるケースがあります。本章では、大手企業・学校・公的機関の取り組みを整理して比較します。



大手企業における誓約書の位置付け

  • 多くの大手企業では、従業員の入社時・退職時に名誉棄損や機密情報漏洩防止の誓約書を交わすことが一般的です。

  • 社内ガイドラインでは以下のような位置付けになっています。

項目

内容

効果

入社時誓約書

SNS利用に関する注意事項や名誉毀損禁止条項を記載

社員への抑止力、違反時の法的根拠

退職時誓約書

機密情報・顧客情報の保持、信用毀損行為禁止

退職後のリスク低減

社内規程

SNSポリシー、懲戒規程との連動

組織全体でのトラブル予防


補足

実際の運用では、誓約書だけでなく、社内研修やマニュアルでの教育も併せて行うことで、名誉棄損リスクの抑止力を高めています。



学校における誓約書活用事例

学校でも、いじめや誹謗中傷トラブルへの対応として誓約書が活用されるケースがあります。

  • 中学・高校

    • いじめ行為やSNSでの誹謗中傷を行った生徒に対して、加害生徒・保護者に誓約書を提出させることがあります。

    • 例:「今後一切、被害者に対して中傷や接触を行わない」

  • 大学

    • 学生間のSNSトラブルや研究室内の名誉毀損に対し、学生本人と保護者(必要に応じて)に誓約書を取得

    • 学則や懲戒規程と連動して、再発防止や謝罪義務の明確化に利用されます。


補足

学校の場合、法的強制力は限定的ですが、心理的抑止力や指導・処分の根拠として誓約書は有効です。特にSNS上での投稿は拡散力が強いため、誓約書と同時に投稿削除や謝罪指導を行うことが多いです。



公的機関(自治体・教育委員会)の対応マニュアル

  • 自治体や教育委員会は、名誉毀損・いじめ・誹謗中傷対応マニュアルを公開している場合があります。

  • 主な内容は以下の通りです。

機関

マニュアル内容

誓約書の活用

教育委員会

学校内SNSトラブル対応、相談窓口設置

被害生徒・加害生徒双方の確認事項として誓約書を利用

自治体

職員のハラスメント・名誉毀損防止ポリシー

入退職時に誓約書を取得、SNS利用規程と連動

全国的ガイドライン

インターネットトラブル防止指針

学校・企業での誓約書活用のモデル例を示す


補足

公的機関のマニュアルでは、誓約書はあくまで予防・抑止の手段として位置付けられています。強制力よりも、関係者に対する注意喚起・再発防止の根拠としての価値が重視されます。



実務上の比較ポイント

  1. 企業

    • 法的拘束力を重視

    • 入退社時に取得、懲戒規程と連動

  2. 学校

    • 心理的抑止力を重視

    • いじめ・SNS投稿への迅速対応に活用

  3. 公的機関

    • 予防・指針の明示を重視

    • 誓約書はモデル事例として提示されることが多い


補足

どの組織でも共通して重要なのは、誓約書だけでなく運用体制や教育、マニュアルとの連動です。誓約書はあくまでツールであり、単独で名誉棄損リスクを完全に防ぐことはできません。


  12.誓約書と損害賠償請求との関係性


名誉棄損トラブルでは、誓約書による予防や再発防止だけで解決できる場合もあれば、損害賠償請求と併用する必要がある場合もあります。本章では、誓約書と損害賠償請求の関係性、実務上の有効性、弁護士や司法書士が推奨する使い分けについて解説します。


誓約書だけで済ませるケースと損害賠償請求を併用するケース

  • 誓約書だけで解決するケース

    • 加害者が誓約書に署名・押印し、違反しない意思が明確な場合

    • 被害が軽微で精神的苦痛や社会的影響が限定的な場合

    • 例:退職後のSNS投稿防止や、学校内の軽微ないじめに関する約束

  • 損害賠償請求を併用するケース

    • 名誉毀損による被害が大きく、慰謝料や損害金が発生する場合

    • 誓約書に署名はあったが違反が疑われる場合

    • SNSや公開媒体で拡散した場合、精神的苦痛や社会的信用の回復を求める場合


実務調査

  • 企業・学校・個人間トラブルの事例では、誓約書だけで解決するケースは約6割、残りの4割は損害賠償請求も併用して対応される傾向があります。

  • 特にインターネット上での名誉毀損では、損害賠償を併用するケースが多く見られます。



誓約書に「違反時の損害賠償額」を明記した場合の有効性

  • 誓約書に違反時の損害賠償額(違約金)を具体的に明記すると、裁判上でも有効な証拠として利用されやすくなります。

  • 例:「SNS上で本契約に反する投稿を行った場合、○○円を違約金として支払う」


補足

  • ただし、明記した金額が過大であったり、現実的な損害と乖離している場合は、裁判で無効や減額の判断を受ける可能性があります。

  • 実務上は、予防・抑止力として合理的な範囲の金額を設定することが推奨されています。



弁護士や司法書士が推奨する実務的な使い分け

  1. 軽微なトラブルや心理的抑止が目的の場合

    • 誓約書のみで十分

    • 明確な禁止事項・削除義務・謝罪義務を記載

  2. 被害が拡大している場合や将来的な訴訟リスクがある場合

    • 誓約書 + 損害賠償請求の併用

    • 事前に弁護士に内容を確認して、損害額や違約金の妥当性を検討

  3. 公正証書化の活用

    • 誓約書を公正証書化することで、違反時の強制執行が可能

    • 弁護士の助言を受けて公正証書化すると、裁判外でも損害賠償請求が現実的に行える


実務上のポイント

  • 証拠の保存:スクリーンショット、投稿履歴、誓約書原本など

  • 違反時対応フローの明確化:誓約書に違反があった場合の手続きや対応を事前に規定



まとめ

  • 名誉棄損トラブルにおける誓約書は、単独でも一定の抑止力や解決効果がありますが、被害の程度によっては損害賠償請求と併用することが多いです。

  • 違反時の損害賠償額を明記した誓約書は、裁判上の証拠として有効ですが、金額設定や文言の具体性が重要です。

  • 弁護士や司法書士は、誓約書の形式、内容、公正証書化の有無を踏まえて実務的に使い分けることを推奨しています。


  13.誓約書の心理的効果と再発防止率


名誉毀損トラブルにおいて、誓約書は単に法的な効力を示す文書だけでなく、当事者の心理に働きかける重要なツールでもあります。本章では、誓約書がもたらす心理的効果や再発防止率、口頭謝罪との違いについて解説します。


誓約書による再発防止事例と失敗事例

  • 再発防止につながった事例

    1. 退職後の元従業員にSNS投稿禁止の誓約書を取得 → 投稿違反なし

    2. 学校でいじめ加害者に誓約書を提出させ、同時に謝罪文提出を義務化 → トラブル再発ゼロ

    3. 企業内でハラスメント防止誓約書を署名させ、社内研修とセットで運用 → 問題行為の減少

  • 失敗事例

    1. 誓約書の内容が漠然としており、禁止行為の範囲が不明確 → 違反が発生

    2. 署名押印のみで説明や教育が不足 → 当事者が心理的に軽視

    3. 違反時のペナルティが明示されていない → 抑止力が弱く、再発


補足

再発防止に成功するケースの共通点は、具体的な禁止行為の明示と違反時の対応策が明確であることです。逆に曖昧な誓約書は、心理的抑止力を十分に発揮できません。



誓約書提出後の当事者の心理的変化

誓約書を交わすことで、当事者には以下の心理的変化が見られます。

  1. 責任意識の向上

    • 「署名した以上は約束を守らなければならない」という心理が働く

  2. 行動の抑止

    • 法的効力や違約金条項の存在により、問題行為の再発を自制しやすくなる

  3. 心理的整理・反省の促進

    • 書面化することで、自分の行為の重大性を客観的に認識できる

  4. 第三者への説明責任意識

    • 誓約書は上司や学校、関係者に提出されるため、行動が見られているという意識が強まる


実務調査

  • 企業・学校の調査では、誓約書提出後に再発率が約7割低下した事例が報告されています。

  • ただし、心理的効果は誓約書の内容や運用方法によって大きく変動します。



「口頭での謝罪」と「書面での誓約」の重み

項目

口頭での謝罪

書面での誓約

法的証拠性

ほぼなし

あり(私署証書、公正証書)

心理的抑止力

低い~中程度

高い(署名・押印による自己拘束感)

再発防止効果

一時的

持続的

違反時対応

言い訳・争点化されやすい

明確な違反条項で法的対応可能

  • 口頭謝罪は瞬間的な反省の意思表示にとどまることが多く、長期的な抑止力は弱い

  • 書面化した誓約書は、自分の意思と責任を形として残すため、再発防止の効果が格段に高い


補足

例えば学校のSNSトラブルでは、口頭で「もうやめます」と言っただけでは翌日また投稿するケースもあります。一方、署名押印した誓約書を提出させると、心理的に行動を抑制する効果が高まり、再発率は明確に低下します。



実務上のポイント

  1. 誓約書は具体的に

    • どの行為を禁止するか、違反時のペナルティや削除義務を明記する

  2. 提出時に説明を行う

    • 書面の意味や法的効力を理解させることで心理的効果を最大化

  3. 教育・運用とセット

    • 社内研修や学校の指導と併せて活用することで、再発防止率が向上



まとめ

  • 誓約書は法的効力だけでなく、心理的抑止力として非常に有効です。

  • 再発防止率を高めるには、具体性、署名押印、違反時対応の明記、説明・教育が重要です。

  • 口頭謝罪と比較すると、書面での誓約は長期的かつ確実な再発防止効果を発揮します。


   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。


専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。

具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。


行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。

具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。

具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。


依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


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