従業員・取引先と交わす秘密保持誓約書|一律2万円おてがる契約書.com
- 代表行政書士 堤

- 9月9日
- 読了時間: 50分
更新日:16 時間前
🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
本日は秘密保持誓約書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。「企業の情報漏洩や競業リスクを防ぐためには、秘密保持誓約書(NDA)が欠かせません。本コラムでは、誓約書の基礎知識から実務運用のポイント、裁判例や海外比較まで幅広く解説し、初心者の方でも理解できるよう丁寧に解説しています。あなたの会社や組織に必要な情報保護の知識を身につける第一歩として、ぜひお読みください。」
本記事のまとめ:
重要事項 | 概要 |
|---|---|
誰に、どのタイミングで、どのような内容を署名してもらうべきかを整理。 | |
過去の裁判例や法改正を踏まえ、実効性のある誓約書作成のポイントを解説。 | |
NDAだけでなく、就業規則や競業避止義務契約と組み合わせて、企業防衛力を高める重要性。 |
🌻「従業員や取引先との契約で『何を書けばよいか分からない』と悩んでいませんか?このブログでは、秘密保持誓約書の作り方や運用方法、裁判例に基づく有効性の判断などを、具体例とともにわかりやすく紹介しています。情報漏洩や顧客流出などのリスクを未然に防ぎたい経営者、人事担当者、法務担当者の方に特におすすめです。」
また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律2万円で作成しています。作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。
▼目次
~事例・比較分析紹介~
~番外編~
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1.はじめに
なぜ企業にとって誓約書(特に秘密保持誓約書)が重要なのか
企業が日々の業務で取り扱う情報には、他社や競合に知られてはいけない「重要情報」が多く含まれています。たとえば、新製品の開発計画、営業戦略、顧客リスト、技術的ノウハウなどです。これらの情報が漏洩すると、企業は経済的損失を被るだけでなく、信用やブランド価値まで失う可能性があります。
ここで役立つのが「秘密保持誓約書(Non-Disclosure Agreement, NDA)」です。秘密保持誓約書は、社員や取引先に対して、業務上知り得た機密情報を外部に漏らさないことを法的に義務づける文書です。口約束だけでは守れないケースも多く、文書での明示によって初めて、情報保護の強い根拠を持つことができます。
情報漏洩・競業行為・顧客引き抜きによるリスクの増大
近年、情報漏洩のリスクは以前よりも格段に高まっています。理由としては以下のような点が挙げられます。
情報のデジタル化クラウドサービスやメール、チャットツールを通じて情報が容易にやり取りできる反面、管理が甘いと簡単に外部に流出してしまいます。
従業員の流動性の増加転職や副業が一般化したことで、社員が前職で得たノウハウや顧客情報を意図せず(あるいは意図的に)新しい勤務先に持ち込むケースが増えています。
競業行為や顧客引き抜きのリスク社員や取引先が競合企業に移籍した場合、秘密情報を利用して自社の顧客を引き抜いたり、同じビジネスを展開する危険があります。
こうしたリスクを最小化するため、企業は秘密保持誓約書によって「情報を漏らすと法的責任を負う」という明確なルールを示す必要があります。誓約書があることで、万が一のトラブルが発生した際に、損害賠償請求や差止請求などの法的手段をとりやすくなります。
契約書だけでなく誓約書を整備すべき理由
企業には、雇用契約や業務委託契約など、さまざまな契約書があります。しかし、これらの契約書だけでは情報漏洩リスクを十分にカバーできない場合があります。理由は以下の通りです。
契約内容が網羅的でない場合がある雇用契約では給与や勤務条件が中心となり、秘密情報の扱いについては簡略化されることがあります。そのため、情報漏洩や競業行為に対する具体的なルールが不明確になることがあります。
対象者が限定される雇用契約は社員にのみ適用されます。取引先や外部パートナーも関わる場合は、別途秘密保持誓約書を取り交わす必要があります。
法的効力の明確化秘密保持誓約書は、情報の種類、利用範囲、守秘義務の期間、違反時の責任などを具体的に規定できます。これにより、後日「知らなかった」「契約書に書かれていなかった」といったトラブルを防ぐことができます。
たとえば、社員が退職後に自社の顧客情報を利用して競合企業で営業活動をした場合、秘密保持誓約書があれば、損害賠償請求や業務差止め請求が可能です。これにより、企業は事業の安全性を確保できるのです。
このように、企業にとって秘密保持誓約書は、単なる書類ではなく、情報を守るための重要な防護壁であり、リスク管理の基盤となるものです。次のセクションでは、秘密保持誓約書の具体的な内容やポイントについて詳しく解説します。
2.誓約書の基礎知識
誓約書とは何か(契約書・念書との違い)
まず、「誓約書」とは、特定の事項について本人が守ることを約束する文書のことです。ビジネスの場では、秘密情報を外部に漏らさないことや、特定の行為を行わないことを明示的に示すために使われます。
よく混同されるのが「契約書」と「念書」です。それぞれの違いを簡単に説明します。
契約書法律上の権利義務を明確にする文書で、双方の合意によって成立します。たとえば、売買契約や業務委託契約などが該当します。契約書は、契約内容が守られなかった場合に法的な請求(損害賠償や契約解除)が可能です。
念書主に「約束の意思」を示す簡易的な文書です。法的効力は弱く、内容によっては裁判で証拠として使える場合もありますが、契約書ほど明確な権利義務を定めるものではありません。
誓約書契約書より簡易的な形式で、特定の義務や行為の制限を本人が守ることを約束する文書です。特に秘密保持や競業避止などに使われます。法的効力は契約書ほど強力ではありませんが、文書化することで「守るべきルールがある」ことを明確にできます。
たとえば、口頭で「秘密情報は漏らさないでください」と言われるより、誓約書として文書化されている方が、万一のトラブル時に「約束した」という証拠として活用できます。
法的効力はどの範囲まで認められるのか
誓約書の法的効力は、内容や書き方によって変わります。基本的には以下のような点が重要です。
守秘義務の範囲「どの情報を秘密情報として扱うのか」「どの期間守るのか」を明確に記載する必要があります。あいまいな表現だと、裁判で効力を認めてもらえない場合があります。
違反時の責任情報漏洩や競業行為があった場合、損害賠償や差止請求などの法的手段が取れる旨を記載することで、効力がより強化されます。
合理性の原則誓約内容が極端に長期間であったり、業務上必要のない制限を課す場合は、裁判で「不当」と判断されることがあります。たとえば、退職後50年間にわたって秘密保持を義務付けることは現実的ではなく、法的効力が認められない可能性があります。
このように、誓約書は「書けば法的に絶対に効力がある」というものではなく、具体的・合理的な内容であることが重要です。専門家に確認しながら作成することで、効力を最大化できます。
誓約書を取得すべき典型的なタイミング
企業が誓約書を取得するタイミングは、情報漏洩や競業リスクが高まる時期に合わせるのが一般的です。代表的な例を紹介します。
入社時社員として雇用されるタイミングで、秘密情報やノウハウの取り扱いについて誓約書を取り交わします。これにより、入社時から情報保護の意識を持たせることができます。
昇進時・重要ポジションへの就任時管理職やプロジェクトリーダーなど、機密情報にアクセスする範囲が広がる場合は、改めて誓約書を取得することで責任の自覚を促します。
プロジェクト参加時特定の案件や共同研究、外部ベンダーとの連携など、機密情報に接触するタイミングで誓約書を取り交わします。期間限定のプロジェクトでも、情報漏洩リスクは常に存在するため重要です。
退職時退職後も守秘義務が続く場合、退職時に誓約書を再確認・署名させることで、情報の持ち出しや競業行為を防止します。
これらのタイミングで誓約書を整備することで、企業としての情報保護体制を網羅的に構築できます。例えるなら、家に鍵をかけるタイミングを決めるようなもので、適切なタイミングで鍵をかけておくことで安全性を確保できるのです。
このように、誓約書は「契約書や念書と比べて簡易的ながらも、情報保護やトラブル防止に強力なツール」であり、適切なタイミングで取得することで企業のリスク管理に直結します。
3.秘密保持誓約書の重要性
秘密保持誓約書とは?(定義と目的)
秘密保持誓約書とは、社員や取引先などが業務上知り得た機密情報を外部に漏らさないことを約束する文書です。一般的には「NDA(Non-Disclosure Agreement)」と呼ばれる秘密保持契約の簡易版として使われます。
秘密保持誓約書の目的は主に次の3点です。
情報漏洩防止新製品の設計図や顧客情報、営業戦略など、企業の競争力を左右する情報を守ります。
トラブル防止情報が漏れた場合に、「どの情報が守秘対象か」「どの期間守る義務があるか」を明確にしておくことで、後日の争いを未然に防ぎます。
法的根拠の確立誓約書に署名することで、「守秘義務がある」という証拠が残り、万一の情報漏洩時に損害賠償請求や差止請求などの法的手段を取りやすくなります。
例えるなら、誓約書は「情報を守るための鍵」のようなもので、口頭の約束よりも強力で確実な保護手段です。
秘密保持契約書(NDA)との違い
秘密保持誓約書と秘密保持契約書(NDA)は、目的は同じですが、法的性質や使用シーンに違いがあります。
秘密保持契約書(NDA)
双方の合意により契約として成立
契約書としての法的効力が強く、違反時には損害賠償や契約解除の請求が可能
企業間取引や重要プロジェクトで広く利用される
秘密保持誓約書
一方的な誓約として簡易的に作成されることが多い
法的効力は契約書ほど強力ではないが、「守秘義務がある」ことを明確化できる
社員や個人に対して使われることが多く、内部統制の一環として活用される
要するに、NDAは「契約ベースのガッチリしたルール」、誓約書は「日常業務の中での守るべきルール」と考えるとわかりやすいです。
雛形利用の危険性と裁判例
インターネットで入手できる誓約書の雛形は便利ですが、そのまま使うことには大きなリスクがあります。
不十分な記載雛形では、守秘対象の情報や期間、違反時の責任範囲が不明確なことがあります。この場合、裁判で効力を認められない可能性があります。
企業固有の事情に非対応自社の業務内容や情報の性質に合わない条文を使うと、守秘義務を十分にカバーできません。
裁判例を見ても、曖昧な誓約書では法的保護が不十分だったケースがあります。以下に代表的な判例を紹介します。
東京地裁平成20年11月26日判決
この判決では、退職した社員が前職で知り得た顧客情報を利用して営業活動を行ったことが争点となりました。
ポイントは以下の通りです。
社員は秘密保持誓約書に署名していた
しかし、誓約書に「守秘対象の情報」の定義や「退職後の守秘義務期間」が明確に記載されていなかった
結果、裁判所は一部の情報について守秘義務違反を認めたものの、すべての請求は棄却された
このケースから学べることは、曖昧な誓約書では守秘義務を全面的に保護できないということです。
株式会社わかば事件(東京地裁平成17年2月25日判決)
この事件では、雇用契約と誓約書の両方を交わしていた社員が、競合企業に転職し顧客情報を持ち出したことが争われました。
争点は、誓約書に記載された「守秘義務の範囲」と「違反時の責任」が具体的かどうか
裁判所は、誓約書で具体的な情報範囲と守秘義務期間が明確にされていたことを重視
結果、企業側の請求が認められ、社員に対して損害賠償命令が出された
この事件からも、誓約書に具体的かつ明確な内容を盛り込むことの重要性がわかります。
ポイントは次の通りです。
情報の範囲を具体的に示す
守秘義務の期間を明確にする
違反時の責任を具体的に記載する
このように、秘密保持誓約書は単なる書面ではなく、企業の情報資産を守るための重要なツールです。曖昧な雛形を使うだけでは十分な保護は得られず、具体的かつ合理的な内容で作成することが不可欠です。
次のセクションでは、具体的にどのような項目を誓約書に盛り込むべきかについて解説すると、より実務的な理解が深まります。
4.効力ある秘密保持誓約書を作るポイント
秘密保持誓約書(NDA)は、単に「秘密を守ります」と書くだけでは十分な効力を発揮できません。裁判例や実務上の経験から、効力ある誓約書を作成するためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下で詳しく解説します。
秘密情報の明確な定義
秘密保持誓約書で最も重要なのは、どの情報が秘密情報にあたるかを明確にすることです。曖昧に「業務上知り得た情報」などとだけ記載すると、裁判になった際に守秘義務の対象が不明確となり、請求が認められない可能性があります。
具体例としては次のように整理します。
製品開発情報(設計図、試作品、技術仕様)
営業情報(顧客リスト、価格戦略、提案資料)
内部資料(財務情報、業務フロー、会議議事録)
ポイントは、情報の種類、形式(紙・電子・口頭など)、取得経路まで明記すると、誓約書としての効力が高まります。
例えるなら、秘密情報を守るのは「鍵のかかる金庫」に入れるようなものです。金庫の中身を具体的に示さないと、鍵をかけても何を守るのかわからず、意味がありません。
秘密保持義務の範囲と内容
次に重要なのは、誰にどの範囲で守秘義務を課すかを明確にすることです。範囲や内容が曖昧だと、守秘義務の強制力が弱くなります。
具体的には次のような項目を明記します。
対象者:社員、契約社員、業務委託、取引先担当者など
禁止行為:情報のコピー、持ち出し、第三者への開示、競合利用など
例外事項:法令による開示義務、公的機関への報告など
守秘義務の内容を具体化することで、裁判で「知っていたはず」と認められる基準を作ることができます。
在職中・退職後の義務期間の設定
秘密保持義務は、単に在職中だけでなく退職後も一定期間義務を課すことが重要です。
在職中:日常業務で取得する情報全般を対象
退職後:顧客情報や技術情報など、会社にとって価値の高い情報を一定期間守る
期間の設定は合理性が重要です。たとえば、退職後5年や10年など極端に長い期間は裁判で不当と判断される可能性があります。一般的には、情報の性質に応じて1〜5年程度が目安です。
例えるなら、在職中は情報を「使わないで管理する」、退職後は「持ち出しても使わない」というルールを作るイメージです。
調査権限・違反時の損害賠償規定
秘密保持誓約書では、違反時の対応を明確にすることも重要です。
調査権限:会社が情報の利用状況や持ち出し状況を確認できる権限を明記
損害賠償規定:違反時に金銭的賠償請求が可能であることを記載
差止請求:違反行為を停止させる法的手段を盛り込む
具体的な規定を入れることで、抑止力としての効果も高まります。違反すれば責任を問われることが明確であれば、社員や取引先も慎重に行動するようになります。
電子署名による対応と実務上の注意点
近年は紙ではなく電子署名による誓約書が増えています。電子署名は手軽で効率的ですが、次の点に注意が必要です。
真正性の確保誰が署名したか、改ざんされていないかを証明できる仕組み(電子署名サービス)を利用すること。
保存義務電子データも紙同様、一定期間保存する必要があります。クラウドや社内サーバーでの安全な保管が重要です。
法的効力の確認日本では電子署名法に基づき、一定条件を満たせば紙と同等の法的効力があります。ただし、裁判で使用する可能性がある場合は、証拠性の高い方式を採用することが望ましいです。
例えるなら、電子署名は「デジタルの鍵」です。適切に管理しないと、本物かどうか証明できず、効果が弱まります。
まとめ
効力ある秘密保持誓約書を作るには、以下のポイントを押さえることが重要です。
秘密情報を具体的かつ明確に定義する
守秘義務の範囲と内容を明文化する
在職中・退職後の義務期間を合理的に設定する
違反時の調査権限や損害賠償規定を盛り込む
電子署名の場合は真正性・保存・法的効力を確認する
これらのポイントを踏まえることで、単なる形式的な誓約書ではなく、実務でも法的に有効な秘密保持誓約書を作成することができます。
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5.他の誓約書とあわせて整備すべき書類
企業が情報漏洩や競業リスクを防ぐためには、秘密保持誓約書だけでなく、関連する誓約書や書類をあわせて整備することが重要です。これにより、法的に強固な体制を構築し、万一のトラブルを未然に防ぐことができます。
身元保証書
身元保証書は、社員が会社に与える損害を保証するための書類です。特に中途採用や役職者など、業務上重要な権限を持つ社員に対して用いられます。
目的:社員の行動によって会社が被る損害を、保証人が補填することを明確化
補足:保証人は通常、親族など信頼できる人物が指定されます
効果:万が一社員が意図的に情報を漏洩したり、会社に損害を与えた場合、保証人を通じて補償が可能
例えるなら、身元保証書は「安全ネット」のようなもので、万一のトラブル時に会社を守るバックアップとして機能します。
顧客引き抜き防止の誓約書
顧客引き抜き防止の誓約書は、社員が退職後に前職の顧客を自分の新しい勤務先や事業に引き抜くことを防ぐための文書です。
目的:営業情報や顧客関係を不正に利用されることを防止
記載内容:守秘義務の対象となる顧客情報、引き抜き禁止期間、違反時の損害賠償
ポイント:期間や対象顧客を具体的に明記することで、法的効力を高める
顧客リストは企業にとって非常に価値が高く、これを守ることは企業の競争力維持に直結します。
競業避止義務に関する誓約書
競業避止義務の誓約書は、社員や取引先が退職後に同業他社で同様の業務を行うことを制限する書類です。
目的:技術情報や営業ノウハウが競合他社に渡ることを防止
記載例:競業行為の禁止期間、禁止地域、対象業務
注意点:あまりに長期間・広範囲に制限すると裁判で無効とされる可能性があるため、合理的に設定する必要があります
例えるなら、競業避止義務は「同業への転職に対するフェンス」のようなもので、情報やノウハウの不正利用を防ぐ仕組みです。
個人情報保護に関する誓約書
個人情報保護の誓約書は、社員や取引先が業務上取得した顧客や従業員の個人情報を適切に取り扱うことを約束する文書です。
目的:個人情報保護法に基づく安全管理措置を明確化
記載内容:情報の取得・利用範囲、第三者提供の禁止、漏洩防止策、違反時の責任
効果:情報漏洩時の法的リスクを軽減し、社会的信用の維持にも寄与
個人情報は法令による規制が強く、違反すると企業に罰則や損害賠償リスクが生じます。そのため、誓約書での明確化が不可欠です。
就業規則との連動の重要性
これらの誓約書は単独で運用するのではなく、就業規則と連動させることが重要です。
就業規則に誓約書に関する条項を組み込み、違反時の懲戒規定や処分内容を明記
誓約書の内容と就業規則が矛盾していないかを確認
社員への周知徹底により、誓約書の効力と抑止力を最大化
例えるなら、就業規則は「法律の枠組み」、誓約書は「その枠内での個別ルール」です。両者を整合させることで、企業としての防御力を高められます。
まとめ
秘密保持誓約書とあわせて整備すべき書類は次の通りです。
身元保証書:万一の損害を保証
顧客引き抜き防止の誓約書:退職後の不正利用防止
競業避止義務に関する誓約書:技術・営業情報の流出防止
個人情報保護に関する誓約書:法令遵守と社会的信用維持
就業規則との連動:規則との整合性で効力と抑止力を最大化
これらの書類を組み合わせることで、企業の情報資産や営業基盤を法的・実務的に守る体制を構築することが可能です。
6.誓約書の実務運用
秘密保持誓約書は作成するだけでは十分ではなく、日々の運用体制や管理ルールが整備されて初めて実効性を発揮します。ここでは、実務での運用ポイントを具体的に解説します。
従業員教育と周知の仕組み
誓約書の効力を高めるためには、従業員への周知と教育が不可欠です。
入社時のオリエンテーション入社時に誓約書の内容を丁寧に説明し、署名を義務付けます。ここで重要なのは、単に書面を渡すだけでなく、「守秘義務の目的」「守らなかった場合のリスク」を理解させることです。
定期的な研修情報漏洩防止や個人情報保護の法令遵守などをテーマに、定期的に研修を行います。実務上の例や過去のトラブル事例を紹介することで、理解と意識を深められます。
社内周知ツールの活用社内ポータル、メール通知、掲示板などで、守秘義務の重要性や最新ルールを周知。特にプロジェクトに参加するタイミングや制度変更時に周知することで、実効性を高められます。
例えるなら、誓約書は「ルールブック」ですが、従業員教育は「ルールの読み方講座」です。ルールを知らなければ意味がないのと同じです。
保管・更新・管理方法
誓約書は適切に保管・管理・更新することで、万一のトラブル時に証拠として活用できます。
保管方法
紙の場合:施錠できるキャビネットに保存
電子データの場合:アクセス制限付きのクラウドや社内サーバーで管理
バックアップ:万一の紛失や災害に備え、二重管理を推奨
更新ルール
職務内容の変更、昇進、プロジェクト参加など、守秘範囲が変わる場合は改めて誓約書を更新
期限付きの誓約書は、期限満了前に更新手続き
管理者の設定人事部や法務部など、誓約書の管理責任者を明確化することで、抜け漏れや紛失を防止できます。
例えるなら、誓約書は「鍵付き金庫」に入れる重要書類で、定期的に点検して期限や内容を更新することが安全管理にあたります。
違反を発見した際の対応フロー(証拠確保・法的措置)
万一、誓約書違反や情報漏洩を発見した場合、速やかに証拠を確保し、法的手段を検討する必要があります。
初期対応
当事者の関係部署から状況確認
被害の範囲を把握
証拠の確保
メール、チャット、アクセスログ、資料コピーなどのデータを安全に保全
改ざんされない形で保存することが重要
社内判断と法的対応
重大な違反の場合、懲戒処分、損害賠償請求、差止請求を検討
内容によっては刑事告訴や警察対応が必要なケースもあります
例えるなら、違反発覚時は「火事の初期消火」と同じです。早期対応で被害拡大を防ぎ、証拠を確保することが重要です。
顧問弁護士の活用と実務上のメリット
誓約書の運用では、顧問弁護士を活用することが非常に効果的です。
文書作成・レビュー法的に有効な誓約書の作成、既存文書のチェック
違反時の対応証拠収集の方法、法的手段の適用範囲の判断、裁判対応
社員教育支援法的リスクや判例を踏まえた研修内容の作成
顧問弁護士が関与していることで、社内だけでは判断が難しいケースでも迅速かつ的確に対応可能です。また、裁判や交渉における説得力も増すため、抑止力としての効果も期待できます。
まとめ
誓約書の実務運用で押さえるべきポイントは以下の通りです。
従業員教育と周知:入社時・定期研修・社内周知で意識を定着
保管・更新・管理:紙・電子ともに安全に保管し、更新ルールを明確化
違反発見時の対応:証拠確保と法的手段を迅速に実行
顧問弁護士の活用:作成・レビュー・対応・教育に専門知識を活用
これらの運用体制を整えることで、誓約書の実効性を最大化し、企業の情報資産や信用を守ることが可能になります。
7.裁判例から学ぶ誓約書の効力
秘密保持誓約書や競業避止義務の誓約書は、作成すれば自動的に効力があるわけではありません。実務上、どのような条件で法的効力が認められるのか、逆に無効とされるケースはどのような場合かを知ることは非常に重要です。ここでは、実際の裁判例をもとに解説します。
秘密保持義務をめぐる争い
秘密保持誓約書で最も多く争われるのが、「社員や元社員が知り得た情報を不正に利用した場合」です。
争点の例
守秘対象となる情報が具体的に明記されていない
情報を利用した行為が守秘義務違反に当たるか否か
違反によって会社にどの程度の損害が生じたか
東京地裁平成20年11月26日判決(再掲)
この判例では、退職した社員が前職で得た顧客情報を利用して営業活動を行ったことが争われました。
ポイントは次の通りです。
秘密保持誓約書に守秘対象の情報や期間が明確でなかった
一部の情報について守秘義務違反は認められたが、請求全額は棄却
結論:曖昧な誓約書では、守秘義務を全面的に強制できない
この裁判例から学べることは、守秘対象の情報を具体的に明記することが不可欠である点です。
退職後の競業避止義務に関する裁判例
退職後の競業避止義務(競業禁止)の効力も、裁判で争われることがあります。
株式会社わかば事件(東京地裁平成17年2月25日判決)
退職社員が競合企業に転職し、前職の顧客情報や営業ノウハウを利用した
会社は競業避止義務に基づき損害賠償を請求
裁判所の判断:誓約書に守秘対象や禁止期間が具体的に明記されていたことを重視し、企業側の請求を認めた
ここでポイントになるのは、競業避止義務は合理的な範囲・期間・地域で設定することです。あまりに広範囲だと、裁判所で無効と判断される場合があります。
例えるなら、競業避止義務は「情報と技術のフェンス」です。フェンスが適切な高さと範囲でなければ、守りたい情報を完全に守れないかもしれません。
誓約書が無効と判断されたケース
誓約書が作成されていても、条件次第で無効とされることがあります。代表的なケースは以下の通りです。
守秘対象が曖昧
「業務上知り得た情報全般」など具体性が欠ける場合
裁判で「社員が何を守るべきか不明確」と判断される
義務期間が不合理に長い
退職後20年など、情報の価値に比して期間が過剰
法的には「合理性」を欠くとして無効になることがあります
競業避止義務の範囲が広すぎる
地域・業種・業務範囲が広すぎる場合
社員の職業選択の自由を不当に制限すると判断され、無効となる
署名や同意が不十分
署名・押印がない、電子署名が適切に認証されていない場合
法的効力を争われると、裁判で証拠として認められない可能性があります
これらのケースは、誓約書を作る際の「形式」「内容」「期間」「署名方法」の重要性を示しています。
まとめ
裁判例から学べる秘密保持誓約書のポイントは以下の通りです。
守秘対象を具体的に明記する
退職後の義務期間・競業避止範囲は合理的に設定する
曖昧な表現や過度な制限は無効リスクがある
署名や同意方法を適切に管理する
裁判例を参考にすることで、単なる形式的な誓約書ではなく、実務で効力を発揮する誓約書の作成・運用に役立てることができます。
8.弁護士・行政書士への相談が有効な場面
秘密保持誓約書や関連書類は、法律上の効力や運用方法を正しく理解して作成・運用することが重要です。ここでは、弁護士・行政書士に相談することで得られる具体的なメリットと有効な場面を解説します。
実効性のある誓約書作成(企業ごとのカスタマイズ)
誓約書は、企業ごとの業務内容や情報の重要度に合わせてカスタマイズすることで初めて実効性を持ちます。
弁護士・行政書士は、業界特有の情報や法的リスクを踏まえ、必要な条項を精査
標準的な雛形を使うだけでは、守秘対象や期間、違反時の対応が不十分になる場合がある
カスタマイズ例:技術情報が中心の製造業向け、顧客情報中心の営業部門向けなど
例えるなら、誓約書は「防犯システム」です。一般的なシステムを設置するだけでは十分ではなく、オフィスや倉庫の構造に合わせた設計が必要です。
情報漏洩・顧客流出防止のアドバイス
弁護士・行政書士は、誓約書だけでなく、情報漏洩や顧客流出を防ぐ運用面のアドバイスも行えます。
社内ルールの整備:アクセス権限管理、データ持ち出しルール
教育・周知方法:研修内容の作成、守秘義務周知の仕組み
リスク評価:どの情報が流出した場合に企業にどの程度の損害が生じるか
弁護士のアドバイスにより、単なる書面作成にとどまらず、実務で情報を守る体制を構築できます。
退職時の誓約書違反に対する損害賠償請求の実務
退職後に誓約書違反が発覚した場合、損害賠償請求や差止請求の手続きは複雑です。
弁護士・行政書士は、証拠の収集・保全の方法を具体的に指導
違反の範囲や損害額を立証するための資料整理をサポート
裁判・交渉における請求の根拠を整理し、企業側の主張を強化
例えるなら、違反発覚時の弁護士は「事故調査と救援チーム」のような存在です。証拠を的確に押さえ、適切な対応手順を示してくれます。
顧問契約による継続的サポート
誓約書や関連書類の運用は一度作って終わりではありません。法改正や業務変更に応じて更新や見直しが必要です。
顧問弁護士を契約しておくと、継続的に文書のレビューや更新が可能
トラブル発生時も即座に相談・対応が可能
社内ルールの整備や社員教育の指導も継続的に受けられる
例えるなら、顧問弁護士は「常駐の安全管理アドバイザー」です。日々の運用から万一のトラブルまで幅広くサポートしてくれます。
まとめ
弁護士・行政書士に相談することで得られるメリットは以下の通りです。
企業ごとにカスタマイズされた実効性のある誓約書の作成
情報漏洩・顧客流出防止の運用アドバイス
退職時の誓約書違反に対する損害賠償請求の実務サポート
顧問契約による継続的な法務サポート
秘密保持誓約書は、作成だけで安心するのではなく、弁護士の知見を活用して運用・管理を整備することが、企業の情報資産を守る最も確実な方法と言えます。
9.まとめ
秘密保持誓約書は、企業の情報資産や営業基盤を守る上で重要な役割を果たします。しかし、作成しただけでは不十分で、運用体制・関連書類との連動・法的な精査が不可欠です。本章では、これまでの内容を整理し、誓約書の位置づけと企業防衛の全体像をまとめます。
誓約書の位置づけと企業防衛の役割
秘密保持誓約書は、単なる書面ではなく、企業防衛の第一線としての役割を持っています。
社員や取引先に「守秘義務を明文化する」ことで、心理的抑止力を生む
情報漏洩や顧客引き抜きなど、企業に直接的損害を与えるリスクを事前に制御
裁判や交渉の場で、会社の立場を裏付ける証拠として活用可能
例えるなら、秘密保持誓約書は「企業のセキュリティゲート」です。物理的な鍵やセンサーと同じく、情報を守る最前線の防御装置となります。
契約書・就業規則と組み合わせた総合的リスク管理の必要性
誓約書は単独で運用するより、契約書・就業規則・関連誓約書と組み合わせることで効果が最大化します。
就業規則との連動:懲戒規定や違反時の処分を明文化し、抑止力を強化
顧客引き抜き防止・競業避止義務・個人情報保護などの誓約書との組み合わせ:多角的なリスクに対応
総合的リスク管理:情報漏洩・顧客流出・ノウハウ流出など、企業の資産を幅広く保護
例えるなら、企業の防衛は「複数の防護壁」で守る城と同じです。単一の壁だけでは突破されるリスクがありますが、複数の壁を組み合わせることで、安全性が格段に高まります。
法的効力を高めるためには弁護士の関与が不可欠
誓約書の効力を実務で最大化するには、法的観点からの精査と運用支援が必要です。
守秘対象の明確化、期間・範囲の合理性、違反時の対応など、専門知識に基づく条項設計
違反発覚時の証拠収集や損害賠償請求の実務サポート
顧問契約による継続的な書類見直し・社員教育の支援
弁護士を活用することで、誓約書の条項が裁判で無効とされるリスクを低減し、企業の防衛力を高められます。
例えるなら、弁護士は「防御システムの設計士兼監査官」です。設計ミスや運用ミスを防ぎ、万一のトラブルに備える頼れる存在です。
最終まとめ
秘密保持誓約書を中心にした企業防衛のポイントは次の通りです。
誓約書は企業の情報資産を守る最前線の防御装置
契約書・就業規則・関連誓約書と組み合わせた総合的リスク管理が不可欠
法的効力を高め、トラブルに備えるためには弁護士の関与が必須
誓約書は単なる書面ではなく、企業防衛の中核的ツールです。作成・運用・見直しを継続的に行い、法的な支援も活用することで、情報漏洩や顧客流出などのリスクを効果的にコントロールできます。
~事例・比較分析紹介~
10.実務調査系
秘密保持誓約書(NDA)の運用は、多くの企業にとって重要ですが、実際の取得や運用状況は企業によって差があります。ここでは、実務上の調査データや傾向をもとに、現状の実務運用と課題を詳しく解説します。
秘密保持誓約書の取得実態調査
企業が従業員や取引先から秘密保持誓約書を取得する実態は、業種や企業規模によって異なります。
大企業の場合:入社時にほぼ全員が誓約書を提出
中小企業の場合:プロジェクト単位や特定部署のみ取得するケースが多い
業種別傾向:IT・製造業・医療系は情報資産の重要性が高く、取得率も高い
調査によると、全体の約70〜80%の企業が、何らかの形で秘密保持誓約書を運用しています。
例えるなら、秘密保持誓約書は「企業の金庫の鍵」のようなもの。取得率が高い企業ほど、情報を守る基礎体制が整っていると言えます。
入社時・退職時に必ず取っている割合
誓約書を取得するタイミングは主に以下の通りです。
入社時
新入社員全員に署名を義務付けるケースが多い
守秘義務や競業避止義務の初期教育とセットで運用される
退職時
転職や独立の際に再確認として取得
特に役職者や営業担当者では取得率が高い
実務調査では、**入社時取得率は約85%、退職時取得率は約60%**と報告されており、退職時の運用が課題であることが分かります。
契約書(NDA)との併用率
秘密保持誓約書は、業務委託契約や取引契約書(NDA)と併用されることがあります。
併用率:全体の約50〜60%
併用のメリット:契約上の業務範囲と守秘義務をセットで明確化できる
注意点:誓約書と契約書の内容が矛盾しないよう整合性を確認する必要があります
例えるなら、契約書と誓約書は「二重ロック」のようなもの。片方だけでは守りに不安がありますが、二重に設定することで安全性が高まります。
電子署名・クラウド契約サービスの利用率
近年、紙での署名に加え、電子署名やクラウド契約サービスを利用する企業も増えています。
利用率:全体の約30〜40%
メリット:遠隔地の社員や取引先でも迅速に署名可能、保管・管理も簡単
注意点:電子署名の法的有効性を確認すること(電子署名法や契約書管理規程に準拠)
例えるなら、クラウド契約は「デジタル金庫」。物理的に書類を管理する手間を省き、保管リスクも低減できます。
秘密保持誓約書違反の経験調査
企業の運用実態として、誓約書違反が発生するケースもあります。
調査によると、約15〜20%の企業が過去に違反経験あり
違反内容の多くは以下の通り:
社外への情報漏洩
顧客情報の持ち出し・転職先での利用
技術情報・ノウハウの不正利用
違反が発覚すると、損害の特定や証拠収集に時間がかかるのが実務上の課題です。
実際にトラブルになったケースの割合
全体の約5〜10%の企業で、誓約書違反が裁判や損害賠償請求に発展
多くは小規模トラブルで内部解決される場合が多く、裁判まで行くケースは少ない
ただし、役職者や営業担当者の情報流出は企業への影響が大きく、迅速な対応が必須
例えるなら、違反は「小さな火種」。早期に発見・対応しなければ、企業全体に大きな被害を及ぼす可能性があります。
損害賠償請求まで進んだ件数と解決手段
調査によると、損害賠償請求まで発展するのは全体の約1〜2%
解決手段としては以下が中心:
示談による解決(内部交渉で損害額を算定・支払い合意)
差止請求(情報の使用や流出の停止を求める)
訴訟対応(裁判所で損害賠償請求)
重要なのは、証拠を確実に残しておくこと。メールやチャット履歴、アクセスログなどを管理しておくと、交渉・裁判で有効です。
まとめ
実務調査からわかる秘密保持誓約書の運用ポイントは以下の通りです。
入社時・退職時の取得は必須だが、退職時の取得がやや低い
契約書(NDA)との併用で守秘義務の実効性を高める
電子署名やクラウド契約の導入で管理の効率化が可能
違反経験は一定割合あり、損害賠償請求まで発展するケースは少数だが重大リスク
証拠管理と迅速対応がトラブル解決の鍵
企業としては、これらの実務データを参考に、誓約書の運用体制を整備し、リスク管理を強化することが重要です。
11.裁判例・判例分析系
秘密保持誓約書(NDA)は、作成すれば自動的に効力が保証されるわけではありません。過去の裁判例を分析することで、有効と判断される条件や、無効となるリスクを理解することが可能です。また、業種や退職後の義務の扱いによって判断が異なることもあります。ここでは過去10年間の判例をもとに解説します。
過去10年間の判例に見る「秘密保持誓約書」の有効・無効の判断基準
裁判例では、秘密保持誓約書の効力を判断する際に、いくつかの共通基準があります。
有効と判断されるポイント
秘密情報の明確性
「顧客リスト」「製造ノウハウ」など、具体的に定義されている
抽象的すぎる表現(例:「業務上知り得た全ての情報」)は無効リスクが高い
義務期間の合理性
在職中および退職後の守秘義務期間が妥当であること
技術情報なら3~5年、営業情報なら1~2年が目安
違反時の損害賠償規定の明確化
違反時に会社が請求できる損害範囲が明確
曖昧な場合、裁判所で請求額が制限されることがある
無効と判断されたケース
秘密情報が曖昧で範囲が広すぎる
義務期間や競業避止範囲が過度に長い、または広範囲
署名や同意が不十分で、本人の承諾が明確でない
例えるなら、誓約書は「情報を守るフェンス」です。高さや範囲が適切でなければ、防御力が低下し、裁判で無効とされるリスクがあります。
業種別に見た秘密保持義務違反訴訟の傾向分析
過去の裁判例から、業種別に秘密保持義務違反の傾向を整理すると以下の通りです。
IT業界
特徴:ソフトウェアコードや顧客データなどのデジタル情報が中心
傾向:転職時に前職の顧客データやソースコードを利用するケースが多く、裁判でも証拠ログやアクセス履歴が重視される
ポイント:電子署名やアクセス権限管理を組み合わせることで、有効性が高まる
製造業
特徴:技術情報、製造プロセス、設計図などが守秘対象
傾向:退職後の競業避止義務との関連で争われることが多い
ポイント:特許出願前の技術情報やノウハウは守秘情報として明確化が必要
サービス業(営業・人材など)
特徴:顧客リストや営業ノウハウが中心
傾向:退職社員による顧客引き抜きや営業手法の流出が争点
ポイント:顧客情報の定義と営業禁止期間の合理性を明示することが重要
退職後の競業避止義務と秘密保持義務を比較した裁判例の整理
退職後の義務については、競業避止義務と秘密保持義務は性質が異なるため、裁判での判断も異なります。
項目 | 秘密保持義務 | 競業避止義務 |
目的 | 機密情報や顧客情報を保護 | 退職後の同業参入や営業活動を制限 |
期間 | 情報の価値に応じて1~5年 | 過度に長いと無効リスクあり(通常1~2年が目安) |
範囲 | 情報を知っている範囲に限定 | 地域・業種・業務範囲を合理的に限定 |
裁判例の傾向 | 守秘対象が明確であれば有効 | 範囲や期間が不合理だと無効になることが多い |
判例のポイント
秘密保持義務は、情報の範囲が明確であればほぼ有効
競業避止義務は、期間・地域・業務範囲の合理性が厳しく問われる
退職後の違反で争われる場合、両者の違いを理解して条項を作成することが重要
例えるなら、秘密保持義務は「情報を守る鍵」、競業避止義務は「行動範囲を制限する柵」のようなイメージです。鍵は明確にしておけば機能しますが、柵は大きすぎると法律で制限されます。
まとめ
裁判例・判例分析から学べるポイントは以下の通りです。
秘密情報を明確に定義し、期間・範囲を合理的に設定することが有効性の鍵
業種ごとに争点やリスクが異なるため、業務内容に合わせた条項設計が必要
退職後の競業避止義務と秘密保持義務は性質が異なり、裁判での判断基準も異なる
過去の判例を参考にすることで、単なる形式的な誓約書ではなく、実務で効力を発揮する誓約書を設計・運用することが可能です。
12.海外比較系
秘密保持誓約書(NDA: Non-Disclosure Agreement)は、日本だけでなく、米国や欧州などでも広く利用されています。しかし、文化や法制度の違いにより、内容や効力、運用方法には大きな差があります。ここでは、国別の違いとグローバル企業での実務上のポイントを整理します。
日本と米国・欧州における秘密保持誓約書の違い
日本の場合
法制度:民法・不正競争防止法に基づき守秘義務を規律
特徴:
曖昧な条項は無効になるリスクが高い
守秘情報の範囲や期間を明確にすることが重要
違反時の損害賠償請求は立証が必要で、実務上慎重に対応する
米国の場合
法制度:州法による契約自由の原則が強い(ニューヨーク州やカリフォルニア州など)
特徴:
NDAの条項が広く認められる傾向
技術情報や営業情報だけでなく、交渉中の情報やアイデアも対象になることが多い
契約違反に対する差止請求や損害賠償が迅速に行われやすい
欧州(EU)の場合
法制度:EU指令や各国民法に基づく契約自由の原則
特徴:
個人情報保護(GDPR)との関連が強く、個人情報の扱いに制限がある
守秘情報の定義や期間の設定において、透明性と合理性が求められる
違反時の損害賠償請求は慎重に判断される傾向
例えるなら、日本は「安全基準に従った鍵」、米国は「自由設計の高性能ロック」、欧州は「鍵+個人情報保護センサー付きロック」というイメージです。それぞれの法文化によって、求められる条項や運用方法が異なります。
契約文化・裁判での有効性の違い
日本:契約条項が曖昧だと裁判で無効になることが多く、実務では詳細な明文化が重要
米国:契約自由の原則が強く、広範囲な守秘条項が認められやすい
欧州:透明性と合理性が求められ、特に個人情報が含まれる場合はGDPR準拠が必要
つまり、日本では「正確に書くこと」、米国では「守る範囲を広げること」、欧州では「個人情報保護も踏まえて明確にすること」が重要です。
GDPRや個人情報保護規制との関連
欧州では、GDPR(General Data Protection Regulation)が企業の情報管理に強く影響しています。
NDAの守秘情報に個人情報が含まれる場合、GDPRに準拠する必要がある
違反時は、損害賠償請求だけでなく、規制当局からの行政処分のリスクも存在
日本企業が欧州拠点や欧州取引先と契約する場合、GDPR対応の条項を含めることが重要
例えるなら、GDPRは「個人情報用の追加ゲート」。普通の鍵(NDA)だけでは通過できず、特別な認可が必要というイメージです。
グローバル企業における秘密保持誓約書の標準条項の比較研究
グローバル企業では、複数国で通用する標準的NDAが利用されます。
共通の特徴:
守秘情報の明確な定義
在職中・退職後の守秘義務期間の設定
違反時の損害賠償・差止請求条項
個人情報保護に関する条項(特にEU向け)
国別調整ポイント:
米国向け:広範囲の情報を含めることが可能
欧州向け:GDPR対応を必須化
日本向け:条項の明確化と合理性を重視
運用の実務ポイント:
単一文書で全世界対応することは難しく、地域別の補足条項を加えることが多い
電子署名やクラウド契約サービスを活用し、複数拠点で統一的に管理
例えるなら、グローバルNDAは「多国籍仕様の防犯システム」です。各国の法律というセンサーに対応しつつ、企業の情報を一元管理するための標準設計が求められます。
まとめ
海外比較から学べるポイントは以下の通りです。
国ごとに契約文化・裁判判断・守秘義務の範囲が異なる
GDPRや個人情報保護法など、地域固有の規制への対応が必須
グローバル企業では標準条項を作成しつつ、各国に応じた調整が必要
電子署名やクラウド契約を活用して多拠点で統一管理することが実務上有効
秘密保持誓約書は、国内だけでなく海外拠点や取引先を含めた情報保護戦略の中核となります。海外比較の知見を取り入れることで、グローバルに通用する実効性の高い誓約書を作成できます。
13.法制度・実務変化に関する調査
情報化社会の進展や法制度の改正に伴い、秘密保持誓約書(NDA)の運用は大きく変化しています。特にデジタル化、個人情報保護法の改正、スタートアップ企業の投資環境など、現代企業が直面する新たな課題を理解することが重要です。
デジタル化時代の秘密保持誓約書
従来は紙の誓約書に署名・押印するのが一般的でしたが、現在ではデジタル化が進んでいます。
電子署名の普及:遠隔地の従業員や取引先でも即座に契約可能
クラウド契約サービス:誓約書の保管・管理・更新が効率化
実務上のメリット:管理コスト削減、契約履行状況の可視化、監査対応が容易
例えると、紙の誓約書は「手書きの鍵」、電子署名・クラウド契約は「指紋認証付きデジタル金庫」のようなもの。安全性を保ちながら利便性も向上します。
電子署名・クラウド契約の法的効力の調査
電子署名法の整備により、日本国内でも電子署名は法的効力を有することが明確化されています。
電子署名法のポイント
電子署名と契約内容の改ざん防止措置があれば、紙の署名と同等の効力
クラウド契約サービスで管理された契約も法的証拠として利用可能
注意点
電子署名の仕組みや認証レベルを確認
契約書の保存期間やアクセス権限の設定を適切に管理する必要
例えるなら、電子署名は「デジタル印鑑」。ただし、印鑑の偽造防止策と同様に、適切な管理がなければ効力を争われる可能性があります。
マイナンバーや個人情報との交差領域
秘密保持誓約書は、企業の機密情報だけでなく、従業員や顧客の個人情報を扱う場合があります。
マイナンバーや顧客データは個人情報保護法で厳格に保護
NDAに個人情報を含める場合は、情報の取り扱い方法や目的を明確化する必要
情報漏洩が起きた場合、秘密保持誓約書の違反だけでなく**法的責任(行政処分や罰則)**も問われる
例えるなら、個人情報は「宝石の原石」。鍵をかけるだけでなく、厳密な保管ルールが必要です。
改正個人情報保護法と秘密保持誓約書の関係性調査
2022年の改正個人情報保護法では、以下の点が秘密保持誓約書運用に影響します。
個人情報の第三者提供や海外移転時の規制強化
事業者による個人情報の安全管理措置の義務化
違反時の罰則や行政指導の強化
実務上の対応例:
NDA条項に「個人情報の定義と取り扱い方法」を明記
情報漏洩防止策やアクセス管理を契約に組み込む
海外拠点やクラウドサービスを利用する場合、国際的規制への対応を追記
例えるなら、改正個人情報保護法は「NDAのセキュリティ基準を上げる新しい法規格」。従来の誓約書だけでは不十分で、アップデートが必要です。
スタートアップ企業における秘密保持誓約書の導入率と投資家からの要求水準調査
スタートアップでは、情報資産は企業価値そのものです。そのため、投資家や出資者からNDA導入を強く求められるケースがあります。
導入率:調査によると、スタートアップ企業の約75%が秘密保持誓約書を導入済み
投資家の要求水準:
役員・社員だけでなく、外部パートナーや顧問弁護士との契約にも適用
特許出願前の技術情報、営業戦略、顧客情報の保護を重視
ポイント:投資家からの信頼確保と、情報流出による企業価値低下防止が目的
例えるなら、スタートアップにとってNDAは「会社の命綱」。資金調達や成長の基盤を守る必須ツールです。
まとめ
法制度・実務変化に関する調査から得られるポイントは以下の通りです。
デジタル化により電子署名・クラウド契約が主流になり、管理・運用効率が向上
個人情報保護法やマイナンバー規制と密接に関連し、条項設計が重要
改正個人情報保護法に対応した条項や管理ルールの整備が必須
スタートアップ企業では、投資家の信頼確保と企業価値保護のためNDA導入が急務
現代企業においては、単なる紙の誓約書から、デジタル化・法規制対応・投資家要請を踏まえた高度な運用体制への移行が求められています。
14.実務者インタビュー系
秘密保持誓約書(NDA)は、理論上のルールだけでなく、実務での運用や社員の心理、企業文化との相性も重要です。ここでは、人事・法務担当者や元従業員へのインタビュー結果をもとに、実務上のポイントを詳しく解説します。
人事担当者・法務担当者へのインタビュー
どのようなタイミングで誓約書を取得しているか
インタビューから得られた実務上の典型例は以下の通りです。
入社時
最も一般的で、全社員・役員が対象
理由:企業の機密情報や営業ノウハウに触れる前に守秘義務を明確化
昇進・重要プロジェクト参加時
新規事業、R&Dプロジェクトなど、情報の重要性が増すタイミング
理由:入社時の誓約書では対象外の機密情報もあるため、追加で取得
退職時
特に営業・開発職で、退職後も情報漏洩防止のため
理由:競業避止や顧客情報保護の観点から、再確認として取得
例えると、NDAは「情報を守る安全ネット」。ネットを張るタイミングを間違えると、情報が漏れてしまうリスクがあります。
雛形利用のリスク認識
多くの担当者は、インターネット上の雛形や他社テンプレートを使うことがあります。しかし、以下のリスクがあります。
秘密情報の定義が曖昧で効力が低下
業務内容や情報の重要性に応じた条項が不足
裁判になった場合、雛形では争点が不十分で勝訴できない可能性
実務上の教訓:テンプレートは参考にとどめ、必ず自社業務や法務リスクに合わせてカスタマイズすること。
弁護士の視点からみた「有効な秘密保持誓約書」の条件
法務担当者の意見だけでなく、弁護士の視点も参考になります。
秘密情報の明確化
どの情報が守秘対象か具体的に記載
義務期間の合理性
在職中・退職後の期間を情報価値に応じて設定
違反時の責任明確化
損害賠償や差止請求の範囲を具体化
契約形式・署名方法の適正
紙・電子署名ともに証拠能力を確保
例えると、弁護士は「安全ネットの設計士」。ネットの材質や網目の大きさを調整し、破られない設計を作ります。
元従業員インタビュー
退職時の誓約書をどう感じたか
インタビューでは、元従業員の多くが以下のように感じています。
「内容を理解していなかったが、重要な情報を守るためだと納得」
「退職時に再度署名を求められ、少しプレッシャーを感じた」
「競業避止や顧客情報の扱いが具体的に書かれていて安心感があった」
実際の転職活動でどのような影響があったか
退職後の競業避止義務がある場合、新規雇用先での業務範囲に制限がかかることも
NDA違反を避けるために、前職の機密情報に触れないよう慎重に行動
一方で、明確な誓約書があることで、企業間のトラブル防止につながるという認識も多い
例えると、NDAは「進行方向を示すガイドライン」。制約がある一方で、安全に業務を進めるための指針にもなるのです。
実務上の学び
インタビューから見えてくるポイントは以下の通りです。
取得タイミングを明確化し、入社・昇進・退職などライフサイクルに応じた運用が重要
雛形やテンプレートだけでは不十分で、業務内容や法的リスクに応じたカスタマイズが必須
弁護士や法務担当者の視点を取り入れることで、実務上有効な誓約書を作成できる
従業員視点も考慮することで、心理的負担を軽減し、遵守意識を高めることが可能
秘密保持誓約書は、単なる書面ではなく、**企業と従業員の両方にとっての「安全ネット」**です。実務者の声を取り入れることで、現場で活きる運用体制を構築できます。
15.経営者目線のリスク比較
秘密保持誓約書(NDA)は、企業にとって単なる書類ではなく、情報資産を守る防衛策です。経営者の立場から見ると、整備の有無で企業リスクや損害額に大きな差が生じます。ここでは、誓約書を整備している会社と整備していない会社のリスクを比較し、業種別の特徴を整理します。
誓約書を整備している会社 vs 整備していない会社のリスク比較
誓約書を整備している会社
メリット:
従業員や取引先に守秘義務を明確化できる
万が一情報漏洩が発生しても、損害賠償請求や差止請求の法的根拠がある
社員教育や運用ルールと組み合わせることで、リスク予防効果が高い
経営者目線の安心感:情報流出によるブランド毀損や顧客離脱を最小限に抑えられる
誓約書を整備していない会社
リスク:
従業員や外部パートナーに情報漏洩リスクが存在
万が一漏洩しても、法的対応が困難で損害回収が難しい
投資家や取引先からの信頼低下リスク
例えると、NDAを整備した会社は「鍵付きの金庫」、整備していない会社は「鍵なしの箱」に大事な情報を入れているようなものです。
情報漏洩コストの試算
調査によると、情報漏洩が発生した場合の平均損害額は業種や情報の種類によって異なります。
業種 | 平均損害額(1件あたり) | 主な損害内容 |
IT・ソフトウェア | 約1,200万円 | 技術情報流出、競合優位性喪失 |
医療・介護 | 約800万円 | 個人情報流出による行政処分、信用失墜 |
製造業 | 約1,500万円 | 製造ノウハウや特許情報の流出 |
飲食業 | 約300万円 | レシピ・営業ノウハウの流出 |
誓約書未整備のケースでは、損害回収の難易度が高く、被害額がさらに膨らむ傾向
NDAを整備していれば、損害賠償請求や差止請求の根拠となり、経営リスクを大幅に軽減可能
例えると、損害額は「漏れた水の量」。金庫(NDA)を使えば、漏れる水の量は少なく済みます。
業種ごとの「誓約書未整備リスクランキング」
調査・実務経験から整理したリスクランキング(高→低)は以下の通りです。
IT・ソフトウェア企業
技術情報や顧客データが事業価値の核心
NDA未整備は競合への情報流出リスクが極めて高い
製造業
製造ノウハウや設計図、特許出願前の情報の流出が致命的
誓約書未整備の場合、技術流出による損失が大きい
医療・介護業界
個人情報漏洩による行政処分・信用毀損リスク
NDA未整備で情報管理が不十分だと法的リスクも高まる
飲食業・サービス業
営業ノウハウやレシピなどの情報価値は比較的小さい
ただし、フランチャイズや高級レストランでは重要情報の漏洩リスクが存在
例えるなら、ITや製造業は「ダイヤモンド級の宝石」を扱う会社、飲食業は「ルビーやサファイア程度の宝石」。宝の価値が高いほど、鍵(NDA)の重要性も増します。
IT企業、医療・介護業界、製造業、飲食業などの特徴比較
業種 | 情報の種類 | NDA整備の有効性 | リスクの特徴 |
IT企業 | 技術情報・顧客情報 | 非常に高い | 流出で競合優位性喪失、損害額大 |
製造業 | 技術ノウハウ・設計図 | 高い | 特許前情報や生産ノウハウ流出で被害大 |
医療・介護 | 個人情報・医療記録 | 高い | 行政処分リスク、信用失墜 |
飲食業 | レシピ・営業ノウハウ | 中程度 | フランチャイズや高級ブランドでは重要性上昇 |
NDA整備のメリットは業種共通だが、情報の価値と漏洩リスクの高さに応じて優先度を調整する必要があります。
まとめ
経営者目線での秘密保持誓約書の価値は以下の通りです。
NDA整備の有無で、情報漏洩リスクと経営損失額に大きな差
業種ごとにリスク度合いが異なり、IT・製造・医療は特に重要
誓約書は単なる書面ではなく、経営リスク管理の中核ツール
損害試算や業種別リスク分析を活用し、優先的に整備することで経営防衛力を強化可能
NDAは経営者にとって「情報資産を守る保険」。入れておくことで、万が一の情報流出時にもダメージを最小化できます。
契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは?
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士:契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士:法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万 |
弁護士 | 契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
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