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未成年が署名した示談書は成立するのか|民法の結論をわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 2 日前
  • 読了時間: 43分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。


未成年が関わる示談書は、一見成立しているように見えても、後から法的に問題になることがあります。本コラムでは、民法のルールに基づき、未成年の署名だけで示談が成立するのか、親権者の同意が必要な理由、実務で注意すべきポイントまで、わかりやすく解説します。法律用語が苦手な方でも理解できるよう、具体例や図表も交えてご紹介しています。



  本記事のまとめ:

重要事項

概要

親権者の同意がない示談書は、民法上「取消可能」とされることがあります。

双方署名や清算条項の記載で、将来の紛争リスクを大幅に減らせます。

公証人の確認を得た示談書は、私文書より安全性が高く、裁判上も有効性が認められやすいです。

🌻「未成年だから大丈夫」と思って示談書を作ったら、後でトラブルになることも。親権者の署名や条項の書き方一つで、示談の効力は大きく変わります。このコラムを読めば、未成年が署名する示談書のリスクと安全に成立させる方法をしっかり理解できます。示談に関わる保護者や関係者の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。


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▼目次



~事例・比較分析紹介~



~番外編~




  1.未成年が署名した示談書は成立するのか【結論】


示談書は、トラブルを当事者同士で解決するための合意書です。しかし、署名した人が未成年の場合、法律上どのような扱いになるのでしょうか。結論から言うと、未成年者が単独で署名した示談書は、取り消される可能性があります。以下で詳しく解説します。



原則:未成年者単独の示談書は取り消される可能性がある

民法では、未成年者(原則として20歳未満、2022年4月1日以降は18歳未満)が単独で行った法律行為は、「取り消すことができる」と定められています(民法第5条、第7条)。


例えば、未成年者が親の同意なしに示談書に署名してしまった場合、後で「やっぱり同意していなかったので示談を取り消したい」と主張することが可能です。

これは、未成年者を法律上守るための規定で、本人が不利な契約や合意を強制されないようにするためのものです。



「無効」と「取消可能」の違い

ここでよく混同されるのが「無効」と「取消可能」の違いです。簡単に表で整理してみましょう。

用語

意味

未成年が署名した場合の扱い

無効

最初から法律効果が発生しない

適用されない場合が多い

取消可能

当事者の意思表示で後から取り消せる

未成年者が後で取り消せる可能性がある

つまり、未成年者が署名した示談書は「最初から効力がない」のではなく、「後から取り消すことができる」という扱いになります。取り消さなければ有効として扱われることもあります。



実務で問題になるポイント

未成年者が関わる示談では、次のような点が注意点になります。

  1. 親権者の同意があるかどうか示談書に署名する前に、親権者の同意を得ていれば、原則として取り消される心配はありません。実務では「親権者の署名・押印」を同時に取得することが多いです。

  2. 取り消し期間の問題民法では、未成年者は成年に達してから一定期間内(通常は成年に達してから2年以内)に取り消すことができます。期間を過ぎると取り消せなくなります。

  3. 示談金の支払いや条件の確認支払い済みの示談金がある場合でも、未成年者が取り消した場合は返還請求が生じることがあります。これが実務上トラブルになりやすいポイントです。

  4. 書面の明確化未成年者の署名だけでは不安な場合、署名箇所に「親権者同意済み」などの注記を入れることで、後日のトラブルを防ぐことが可能です。


未成年者が関わる示談書は、一見成立していても、法律上取り消せる可能性があることを理解しておくことが重要です。実務では、親権者の同意をしっかり得ることで、安心して示談を進められます。



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  2.民法上の基本ルール|未成年者の法律行為


示談書は法律上の「契約」に近い性質を持つため、未成年者が関わる場合は民法のルールを理解しておく必要があります。ここでは、未成年者の定義や示談書の位置づけ、親権者の同意が必要な理由について解説します。



未成年者とは何歳までか

民法では、未成年者は「成年に達していない者」と定義されています。

  • 2022年4月1日以降の民法改正により、成年年齢は18歳になりました。

  • つまり、18歳未満の人は法律上「未成年者」とされ、契約や示談などの法律行為について制限があります。

例えば、17歳の高校生が交通事故の示談書に署名しても、原則として親権者の同意がなければ取り消しが可能です。



民法上の「法律行為」と示談の位置づけ

法律行為とは、法律上の権利や義務を発生させる行為を指します。

  • 契約を結ぶ

  • 贈与する

  • 示談書に署名する

これらはすべて法律行為にあたり、未成年者単独で行うと取り消せる可能性があります。


示談書は法律行為に該当する理由

示談書は、例えば「損害賠償としていくら支払うか」「今後請求しないことを約束する」といった内容を明確に文書化するものです。これはまさに「法律上の権利義務の調整」にあたるため、民法上の法律行為に分類されます。


例えるなら、未成年者が署名した示談書は「本人が勝手に契約書にサインしたようなもの」と考えるとわかりやすいです。本人だけの意思で成立させると、後で取り消されるリスクがあります。



法定代理人(親権者)の同意が必要な理由

未成年者が法律行為を行う場合、民法では法定代理人(通常は親権者)の同意が必要とされています。理由は以下の通りです。

  1. 未成年者の保護未成年者は経験や判断力が十分でないため、不利な契約や合意から守る必要があります。

  2. トラブル防止親権者が関与することで、示談内容が公平で妥当かどうかチェックできます。例えば、示談金の金額が不当に少ない場合、親権者が同意しなければ契約自体が無効になり、後日のトラブルを避けられます。

  3. 取り消しリスクの回避親権者の同意を得ることで、未成年者が後から「同意していなかった」と取り消す可能性を防げます。


親権者同意の例

項目

未成年者

17歳の高校生

示談書内容

自転車事故による損害賠償5万円を支払う

同意の有無

親権者が署名・押印

法的効果

同意があれば取り消せない、同意なしなら取り消し可能


このように、親権者の同意があるかどうかで、示談書の効力が大きく変わります。

未成年者が示談書に関わる場合は、必ず親権者の同意を得ることが重要です。これを怠ると、せっかく合意した示談も「取り消せる示談書」となり、後日のトラブルの原因になりかねません。



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  3.親権者の同意がある場合・ない場合の法的効果


未成年者が示談書に署名する場合、親権者の同意があるかどうかで法律上の効力が大きく変わります。ここでは、同意の有無による違いや、事後に効力を認める「事後追認」について解説します。



親権者の同意がある示談書の効力

親権者の同意がある場合、未成年者が署名した示談書は基本的に有効です。

  • 民法では、未成年者が法定代理人(親権者)の同意を得て行った法律行為は、取り消すことができません(民法第5条)。

  • つまり、示談内容に基づく損害賠償の支払いや、今後請求しない約束も効力を持ちます。


具体例

項目

未成年者

17歳の高校生

示談書内容

自転車事故による損害賠償5万円

同意の有無

親権者が署名・押印

法的効果

示談書は有効、取り消せない

このように、親権者の同意があることで、示談書の効力が安定し、後から「やっぱり無効」と言われるリスクを避けられます。



同意がない場合に起こるリスク

逆に、親権者の同意がない場合、示談書は**未成年者による「取り消し可能な法律行為」**とされます。

  • 未成年者は、成年に達してから一定期間(原則2年以内)に示談を取り消すことが可能です。

  • 取り消された場合、示談金の支払い義務や、今後請求しない約束も無効となります。


リスクの例

リスク

内容

支払いの返還請求

既に支払った示談金を未成年者が返してほしいと主張する場合がある

追加請求

示談書の効力がなくなるため、損害の追加請求が可能になる場合がある

トラブルの長期化

示談で解決したと思っても、取り消しによって再度交渉や訴訟が必要になる

このように、親権者の同意なしに示談書を作成すると、実務上トラブルが再発する可能性が高くなります。



事後追認は可能か

未成年者が署名後に親権者の同意を得た場合や、成年に達して自分で同意することを**「事後追認」**と言います。

  • 事後追認が行われると、最初は取り消し可能だった示談書も有効に変わります

  • ただし、事後追認には注意点があります。


事後追認の注意点

  1. 期間の制限成年に達してから2年以内に追認しないと、取り消すことができなくなる場合があります。

  2. 内容の変更は不可追認する場合、示談書の内容そのままを承認する必要があります。途中で金額や条件を変えると、新たな契約として扱われる可能性があります。

  3. 文書化の推奨口頭で追認するだけでも有効ですが、後日の証明のために書面で追認したことを記録しておくと安心です。


親権者の同意の有無で、未成年者が署名した示談書の効力は大きく変わります。安全に示談を進めるには、事前に親権者の同意を得るか、後で追認できる体制を整えておくことが重要です。



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  4.親権者の署名は誰が必要?両親それぞれの扱い


未成年者が示談書に署名する場合、親権者の同意が必須ですが、「両親それぞれの署名が必要なのか?」という疑問がよくあります。ここでは、原則と例外を含めて詳しく解説します。



原則:親権者全員の同意が必要

民法では、未成年者に対して親権を持つ者(父母)全員の同意が必要です。

  • 未成年者が法律行為を行う際に、親権者全員の同意があれば、その行為は原則として取り消せません。

  • これは、どちらか一方の親が反対した場合でも、未成年者を保護するために効力を制限できるようにするためです。


具体例

項目

未成年者

16歳の中学生

示談書内容

自転車事故による損害賠償3万円

親権者

父・母

同意

父のみ署名 → 取り消し可能


父・母両方署名 → 有効

このように、両親の署名が揃わないと、示談書は取り消される可能性があります。



父母双方の署名が必要となるケース

両親が共同で親権を持っている場合は、原則として父母双方の署名・押印が必要です。

  • 共同親権とは、離婚前の夫婦や離婚後の合意による共同親権の場合に該当します。

  • 実務では、片方の署名だけだと、もう片方が「同意していない」と主張できるため、示談書の効力が不安定になります。


  • 離婚前の両親が子どもの交通事故の示談を行う場合→ 父母両方の署名が必要

  • 片方の親が署名して示談金を受け取っても、もう片方が同意していなければ取り消される可能性があります。



例外的に一方の署名で足りる場合(単独親権など)

一方の親が単独で親権を持っている場合や、家庭裁判所の許可により単独で行える場合は、一方の署名のみで足ります


例外ケースの具体例

ケース

説明

単独親権

離婚後、父または母が単独で親権を持つ場合

裁判所の許可

共同親権でも裁判所の許可により、一方の親だけで示談が可能な場合

法定代理人が明確な場合

例えば児童相談所や特別後見人が代理する場合

この場合、示談書は署名した親権者の同意に基づき、有効とされます。


親権者の署名は、原則として父母双方が必要ですが、単独親権の場合や裁判所の許可がある場合は、一方の署名でも示談書を有効にできます。示談書作成時には、親権の状態を確認し、署名の漏れがないよう注意することが重要です。



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  5.未成年本人のみが署名した示談書のリスク


未成年者が示談書に単独で署名すると、法律上さまざまなリスクが生じます。ここでは、なぜ危険なのか、典型的な取り消し例、そして実務で起こりやすい「示談金を払ったのに終わらない」事態について詳しく解説します。



単独名義署名がなぜ危険か

未成年者だけが署名した示談書は、民法上「取り消すことができる法律行為」とされます。

  • 未成年者本人には、契約や示談を不利に進められないよう保護するルールがあります(民法第5条、第7条)。

  • そのため、親権者の同意がなければ、後で示談書の効力を否定される可能性があります。

例えるなら、未成年者が単独署名した示談書は「本人だけで契約書にサインした状態」。後で「やっぱり同意していなかった」と言われると、取り消されるリスクがあります。



後から取消される典型例

実務でよく見られる、未成年者署名の示談書が取り消されるパターンは以下の通りです。

典型例

内容

交通事故示談

16歳の高校生が単独署名 → 成年になってから示談取り消し

学校内トラブル

未成年が損害賠償に署名 → 後日親が反対して無効化

万引きなどの軽微犯罪

未成年者が示談金支払いに署名 → 親が同意していなければ取消可能

これらはすべて、親権者の同意なしで示談書が作成された場合に起こる典型例です。



「示談金を払ったのに終わらない」事態

未成年者単独署名の示談書では、示談金を支払ったとしてもトラブルが終わらないケースがあります。

  • 例えば、未成年者が示談書署名後に「やっぱり同意していなかった」と取り消すと、支払った示談金の返還を求められることがあります

  • さらに、示談書が無効になると、損害の追加請求や再交渉が発生し、トラブルが長引く原因になります。


具体例

状況

結果

17歳の高校生が交通事故の示談書に署名、親の同意なし

示談金5万円支払い済み

成年後に取り消し主張

支払った5万円の返還請求が発生


再度損害賠償の請求もあり得る

実務上の影響

示談成立と思ってもトラブル解決にならない


このように、未成年者単独署名は一時的に示談が成立したように見えても、法的リスクが非常に高いのです。


未成年者が署名した示談書を安全にするためには、必ず親権者の署名を入れること、あるいは事後追認を可能にする形で作成することが重要です。



  6.年齢別にみる示談成立の実務判断


未成年者が関わる示談書では、年齢によって法的リスクや成立の可能性が変わります。ここでは、責任能力や年齢別の考え方を整理し、実務上の判断ポイントを解説します。



責任能力が問題になる年齢帯

民法上、未成年者の責任能力には差があります。一般的に以下のように分けられます。

年齢帯

法的責任の目安

実務上の示談判断

0~6歳

行為能力なし

示談成立はほぼ親権者の判断に依存

7~12歳

制限あり(民法・刑法上の制限)

示談書作成には親権者同意必須、本人の意思は補助的

13~17歳

制限付き責任能力(中高生)

本人の署名だけでは取り消される可能性が高い

18歳以上

成年(民法改正後)

親権者同意不要、本人の署名で基本的に有効

未成年者のうち、13~17歳は責任能力が限定されるため、示談書の署名だけでは法的効力が不安定です。



中学生・高校生の場合の考え方

中学生(12~15歳)や高校生(16~17歳)の場合は、以下の点を意識して示談書を作成します。

  1. 親権者の同意が必須

    • 単独署名では後で取り消されるリスクがあります。

    • 示談金の支払いや「請求しない約束」も、親権者同意なしでは安定しません。

  2. 示談内容を簡単にする

    • 損害額や支払い条件をわかりやすく書くことで、後日のトラブルを減らせます。

  3. 署名の補助

    • 未成年者本人の署名に加え、親権者の署名・押印を必ず取得することが実務上の基本です。


具体例

年齢

状況

署名者

法的効果

14歳

自転車事故で損害賠償3万円

本人のみ

後で取り消される可能性あり

16歳

学校で物品破損

本人+親

示談書は有効、取り消しリスク低い



18歳・19歳(成年)との違い

2022年4月1日以降、成年年齢は18歳になりました。これにより、18歳・19歳は原則として親権者の同意なしでも法律行為が可能です。

  • 18歳以上は「成年」とみなされるため、示談書も本人単独署名で基本的に有効。

  • ただし、契約内容があまりにも不当な場合や、詐欺・脅迫があった場合は無効や取消が認められることがあります。


18歳以上と未成年の比較

項目

16歳(高校生)

18歳(成年)

親権者同意

必須

不要

取り消し可能性

高い

低い

示談書の安定性

親権者署名で確保

本人署名だけで確保


このように、年齢によって示談書の成立可能性やリスクは大きく変わります。実務では、未成年か成年かをまず確認し、親権者同意や署名の有無を適切に管理することが重要です。



  7.未成年が関わる示談書作成時の具体的注意点


未成年者が関わる示談書は、法律上のリスクが高いため、作成時には慎重な対応が必要です。ここでは、署名・記載方法から将来の請求リスクを防ぐ工夫まで、具体的な注意点を解説します。



当事者の正確な記載方法

示談書では、当事者を正確に記載することが重要です。

  • 未成年者本人の氏名・年齢は必ず明記する

  • 住所や学校名など、連絡先情報も記載すると、後日のトラブル防止になります


具体例

項目

記載例

未成年者

山田太郎(16歳・〇〇中学校在学)

親権者

山田一郎(父)、山田花子(母)

示談相手

鈴木次郎(住所〇〇)

このように、未成年者と親権者を明確に分けて記載することで、後日「誰が署名すべきだったのか」の争いを避けられます。



親権者の立場(法定代理人/連帯保証人)

親権者は法律上の代理人として示談書に関与します。

  1. 法定代理人として署名

    • 未成年者本人の意思を法的に承認する立場

    • 親権者の署名があることで、示談書の取り消しリスクを大幅に減らせます

  2. 連帯保証人として署名

    • 示談金の支払いを確実にするため、親権者が保証人になることも可能

    • もし未成年者が支払えない場合でも、親権者が責任を負う形になります


署名例

未成年者本人:山田太郎法定代理人(父):山田一郎法定代理人(母):山田花子

これにより、示談書は未成年者単独署名より格段に安全になります。



清算条項の重要性

清算条項とは、**「この示談をもって当事者間の一切の請求は終了する」**と明記する条項です。

  • 未成年者が将来取り消しを主張する場合でも、示談金を含めたすべての権利義務を明確化できる

  • 後日、損害賠償や慰謝料などの追加請求を防ぐ効果があります


清算条項の記載例

「本示談書に基づき、示談金〇〇円の支払いをもって、当事者間における一切の請求権は消滅するものとする。」


将来請求リスクを防ぐための工夫

未成年者が関わる示談では、将来請求リスクを減らすための工夫が重要です。

  1. 親権者署名・押印を必ず取得

    • 署名漏れがあると、後日取り消しや追加請求の原因になります

  2. 示談内容を具体的に記載

    • 支払金額、支払期限、支払方法などを明確に

    • 「〇〇に対して請求しない」条項を加える

  3. 事後追認の方法を明記

    • 成年に達してから取り消しできないように、親権者の署名や承認の形式を記録する


実務チェックリスト

項目

チェックポイント

当事者の氏名・年齢

正確に記載されているか

親権者署名

法定代理人・保証人として署名済みか

示談金・支払方法

金額・期限・方法が明確か

清算条項

すべての請求が終了する旨が明記されているか

事後追認

成年に達しても取り消されない措置があるか


未成年者が関わる示談書は、親権者の署名、清算条項、将来請求リスクの回避策を組み込むことで、実務上の安全性が大幅に向上します。これにより、「示談金を支払ったのにトラブルが終わらない」といった事態を防ぐことができます。



  8.よくあるQ&A|未成年と示談書


未成年者が関わる示談書は、法律上のルールや親権者の関与が複雑なため、実務ではさまざまな疑問が生じます。ここでは、よくあるQ&A形式で整理して解説します。



親が後から「知らない」と言ったら?

未成年者が署名した示談書に対して、後日親権者が「知らなかった」と主張することがあります。

  • 民法上の取り扱い未成年者単独署名は原則取り消し可能です。親権者が署名していない場合、示談書は無効または取消可能になる可能性があります。


具体例

状況

リスク

16歳の子が示談書に署名

親が署名していない場合、後日「同意していない」と取り消せる

支払済みの示談金

返還請求が発生する場合がある

ポイント:未成年者が署名する場合は、必ず親権者の署名を確認してから示談書を締結することが重要です。



両親が別居・離婚予定の場合は?

両親が別居中、または離婚予定の場合は、親権者の署名や同意が特に重要になります。

  • 共同親権の場合原則として父母両方の署名が必要です。片方だけの署名では取り消されるリスクがあります。

  • 単独親権の場合署名は単独親権者のみで可能ですが、示談内容を両親間で共有しておくとトラブル防止になります。


具体例

状況

署名が必要な親

法的効果

離婚前の両親

父・母両方

有効にするには両方署名が望ましい

離婚後、母が単独親権

母のみ

示談書は有効、父の署名は不要



口約束の示談は成立する?

未成年者の場合、口約束だけの示談は非常にリスクが高いです。

  • 民法上の扱い未成年者単独での口頭約束は、法的効力を主張しにくく、後日取り消される可能性があります。

  • 実務上のリスク支払済みでも「口約束では証拠が不十分」とされ、トラブルが長引くことがあります。

結論:必ず書面化し、親権者署名を添えることで初めて安全性が高まります。



公正証書にするべきか?

示談書を公正証書にすることで、未成年者や親権者の署名漏れ・将来請求のリスクをさらに減らせます。

  • メリット

    1. 公証人が署名・内容を確認するため、法的効力が明確

    2. 支払遅延時に強制執行可能

    3. 取り消しリスクが低減

  • 注意点

    • 未成年者本人だけの署名では、公正証書でも取り消される可能性あり

    • 親権者署名は必須


実務上の使い分け

方法

使う場面

効果

一般的な書面示談書

軽微なトラブル(小額の損害)

署名が揃っていれば基本的に有効

公正証書

高額損害・トラブル再発リスクが高い場合

強制執行可能、法的安定性が高い


未成年者が関わる示談書は、書面化・親権者署名・場合によって公正証書化が安全策の基本です。これにより、後日「知らなかった」「取り消す」といったトラブルを大幅に防ぐことができます。



  9.弁護士・専門家に相談すべきケースとは


未成年者が関わる示談書は、作成方法や署名状況によって法的リスクが大きく変わります。安全に示談を成立させるためには、場合によって弁護士や専門家への相談が不可欠です。ここでは、相談が特に推奨されるケースを整理します。



示談が無効になると致命的な場面

示談書が無効になった場合、損害賠償や慰謝料の請求が再度発生することがあります。

  • 高額損害の場合交通事故や学校内での重大な損害など、示談金が大きい場合は、後で取り消されると経済的負担が増大します。

  • 将来請求のリスク未成年者単独署名や親権者署名漏れがある場合、示談が取り消されて二重の請求や再交渉が発生する可能性があります。


具体例

状況

リスク

高額示談金(50万円以上)を未成年単独署名で支払

後日取り消され、返還請求+再度の損害請求が発生

学校事故の物品破損

示談成立と思ったが親権者の同意なしで無効化

このようなケースでは、弁護士に相談して署名漏れや条項の不備を事前に防ぐことが重要です。



刑事事件と絡む場合の注意

未成年者が関わる示談で、刑事事件が絡む場合は特に注意が必要です。

  • 少年事件や軽犯罪の場合示談金の支払いだけで刑事責任が免れるわけではありません。

  • 示談書の内容確認刑事処分との関係を考慮した条項や、支払い・謝罪の手続きが必要になる場合があります。


実務ポイント

  1. 弁護士や法務専門家が刑事・民事の両面を確認

  2. 示談書で「民事上の解決」と明記して、刑事責任とは切り分け

  3. 未成年者本人の署名と親権者の同意を確実に取得

これにより、刑事手続き中の混乱や後日の争いを防ぐことができます。



自分で作成する限界点

簡単な示談書であれば、自分で作成することも可能ですが、未成年者が関わる場合は注意点が多く、限界があります。

  • 単独署名のリスク取り消し可能性が高いため、自作では安全性が低い

  • 親権者署名の確認漏れ両親の署名や押印を正確に記載する必要がある

  • 清算条項・将来請求防止条項の不備書き方次第で示談の効力が不安定になる


まとめ表

ケース

自分で作成OKか

弁護士推奨か

小額トラブル(例:壊したものが数千円)

高額損害(例:交通事故、学校事故)

刑事事件絡み

×

親権者署名が複雑(別居・離婚予定)


未成年者が関わる示談書は、高額損害、刑事事件絡み、親権者署名が複雑な場合には、自分で作成せず弁護士や専門家に相談することが安全策です。これにより、後日「取り消された」「示談金を返せ」といったトラブルを防げます。



  10.まとめ|未成年の示談書は「署名者」で結果が決まる


未成年者が関わる示談書は、誰が署名しているかで法的効力が大きく変わるのが特徴です。ここでは、記事全体の要点整理、よくある失敗パターン、そして安全に示談を成立させるための結論をまとめます。



記事全体の要点整理

  1. 未成年者単独署名の示談書は取り消し可能

    • 民法では、未成年者が親権者の同意なしに行った法律行為は取消可能とされます。

  2. 親権者署名があれば取り消しリスクは大幅に低減

    • 父母双方の署名が必要な場合もあり、単独署名では安全性が不十分です。

  3. 年齢による判断が重要

    • 13~17歳は取り消しリスクが高く、18歳以上(成年)は基本的に本人署名だけで有効です。

  4. 示談内容の明確化が必須

    • 清算条項や支払い条件を具体的に記載することで、将来の請求リスクを減らせます。


要点まとめ表

ポイント

説明

署名者

未成年単独:取り消しリスク高


親権者署名あり:安全性高

年齢

13~17歳:取り消し可能


18歳以上:原則有効

示談内容

支払額、期限、清算条項を明確化

公正証書化

高額・リスク高い場合に推奨



最も多い失敗パターン

実務で特に多いのは、未成年者が単独署名したまま示談を成立させてしまうケースです。

  • 支払った示談金が後日返還請求される

  • 「親が署名していない」と取り消される

  • 口約束だけでトラブルが長引く


典型例

失敗例

結果

16歳の高校生が交通事故示談書に単独署名

後日取り消され、示談金返還+再度請求が発生

親権者署名なしで物品破損の示談

示談成立と思ったが効力不十分で再交渉



安全に示談を成立させるための結論

未成年者が関わる示談書を安全に成立させるためには、以下のポイントを必ず押さえる必要があります。

  1. 親権者の署名を必ず取得

    • 両親が共同親権の場合は双方の署名が望ましい

  2. 示談内容を具体化

    • 支払額、期限、方法、清算条項を明確にする

  3. 高額損害や刑事関与の場合は専門家に相談

    • 弁護士や行政書士に依頼して条項チェック、署名確認

  4. 必要に応じて公正証書化

    • 強制執行可能で、取り消しリスクも低減


未成年者が署名する示談書は、署名者の組み合わせで法的効力が決まるのが最大の特徴です。安全に示談を成立させたい場合は、必ず親権者署名を取得し、内容を明確化することが最も重要なポイントになります。



~事例・比較分析紹介~



  11.未成年が署名した示談書が「争われた裁判例」の結論整理


未成年者が関与する示談や契約をめぐり、実際に争われた裁判例を見ると、裁判所がどんな点を重視して有効/無効を判断したのかが理解できます。以下では、判例をわかりやすくまとめました。



未成年者が当事者となった示談書・和解契約が争点になった裁判例を抽出

日本の裁判例では、「未成年者の法律行為は取り消しできる」という民法の原則に基づき、未成年者が親権者の同意なく行った行為が争われることがあります(民法第5条)。※契約全般の取消権は未成年者が自己または法定代理人である親権者が主張可能です。


実際に争われた裁判例として代表的なものが未成年者の契約取消権を巡る訴訟例です。裁判例では「内容や法定代理人の同意の有無、未成年者の利益保護があるかどうか」などが争点になっています。

※「示談書」そのものを対象とした公開判例は個別具体的な事例が必ずしも一般公開されませんが、未成年者の契約取消しに関する判例がその判断基準を理解する上で参考になります。


争点(取消・無効主張)の内容

未成年者の法律行為を争う際の主な争点は以下の通りです。

  • 法定代理人(親権者)の同意の有無実務・裁判例で最も重要視されるのが「未成年者が親権者の同意を得ているかどうか」です。親権者の包括的な同意がある場合、裁判所は示談・契約の取消しを認めない判断をすることがあります。※ある契約取消訴訟判決では、未成年者に包括的な同意があったと認定され、取消しを認めなかった判決があります。

  • 未成年者取消制度の目的未成年者取消権は、未成年者の利益を保護するための制度であるという考え方が裁判でも明確にされています(最高裁判決文で確認可能)。※未成年者取消は、未成年者の利益保護が目的とされ、それに基づき取消が認められることが多いです。

  • 未成年者の詐術・偽装がないか未成年者が「成年である」と偽って示談書に署名していた場合など、詐術行為があるか否かも争点となります。近時の判例集では、未成年者の取消権を制限する詐術要件に関する判例が紹介されています。



裁判所が有効/無効を分けた決定的要素

裁判所が示談書や契約の有効性についてどのように判断したかを整理すると、以下が決定的な要素として挙げられます。


親権者の同意があったかどうか

裁判例で示談・契約が取り消し不成立(有効)と判断されるケースは、未成年者本人だけでなく、親権者の同意があったと認定された場合です。例えば、取引や法律行為の際に親権者が包括的な同意を与えたと認められた判決では、未成年者取消は認められませんでした。※原審が未成年者取消を認めたものの、控訴審で親権者同意があったと判断され、取り消しが否定された事例があります。


合理的な説明・予見可能性

示談書や契約内容が未成年者にとって重大な不利益を伴う場合、内容が合理的に説明されていたかどうかも判断のポイントになります。裁判例では、契約当事者側が重要事項を故意に説明しなかったとして取消し主張が却下された例もあります(未成年者取消ではなく消費者契約法の趣旨で判断された例ですが、示談内容説明が重要だった点が共通しています)。


詐術・欺罔行為の有無

未成年者が成人であると偽ったり、相手方が未成年であることを隠して意思決定を誤らせた場合、取消しが認められない反面、詐術によって取り消しを制限する判例も存在します。この点は、示談書作成時にも「未成年であることを隠して署名させた」などの状況があると、裁判で争われる可能性があります。



裁判例に関するまとめ表

判例ポイント

有効/取消し

決定的要素

親権者同意あり

有効

包括的同意を裁判所が認定

親権者同意なし

取消し可能

未成年者取消権の主張が認められる

重要事項説明不足

取消し可能(内容により)

内容が未成年者に不利益

詐術・偽装あり

状況により制限

民法詐術要件で取り消し否定例あり


裁判例を見ると、示談書や契約書の有効性は「形式(署名・同意)」だけでなく、「内容説明の合理性」「取消権行使の正当性」など総合的に判断されることがわかります。


これらのポイントは、実務的に示談書を作成する際にも重要となるため、未成年者が署名する場合は特に慎重な対応が必要です。



  12.親権者の関与の仕方別に見る「示談の有効性」整理


未成年者が関わる示談書は、親権者の関与の有無や形態によって有効性が大きく変わります。ここでは、代表的なケースを整理し、民法理論と実務上の評価を比較して解説します。



① 親権者が署名したケース

未成年者と親権者双方が署名した場合、示談書は基本的に有効と評価されます。

  • 民法上の評価民法第5条により、未成年者は親権者の同意があれば、単独行為と同等の効力を持つとされます。

  • 実務上のポイント

    • 署名・押印が揃っていること

    • 支払い条件や清算条項が明確であること


具体例

署名者

効力

ポイント

未成年本人 + 両親

有効

取り消しリスクほぼなし、裁判で争われにくい



② 同意書のみ提出されたケース

未成年者が署名し、親権者が署名せずに「同意書(別紙)」を提出する場合です。

  • 民法上の評価親権者の同意が文書として明確に示されれば、法的効力は認められます。ただし、署名が直接示談書にない場合、後日の証明が必要になることがあります。

  • 実務上の注意点

    • 同意書が示談書と一体であるかを明確にする

    • 同意内容の具体性(全額支払い、条件等)が記載されていること


具体例

署名者

効力

ポイント

未成年本人 + 親権者同意書別紙

有効

証拠性を高めるため、示談書に「別紙同意書あり」と明記すると安全



③ 事後追認されたケース

未成年者単独署名で示談書を作成した後、親権者が事後に追認する場合です。

  • 民法上の評価民法第5条・第120条により、事後追認は未成年者行為を有効化します。追認があれば、取り消し権は消滅します。

  • 実務上のポイント

    • 追認の意思表示は文書で残すことが望ましい

    • 支払い済みの示談金も追認時点で法的安定性が確保される


具体例

署名者

効力

ポイント

未成年単独署名 → 親権者追認

有効

追認文書を添付することで、裁判でも取り消しを防ぎやすい



④ 未成年単独署名のケース

未成年者のみが署名し、親権者の同意も追認もない場合です。

  • 民法上の評価原則として取消可能です。裁判例でも、親権者の同意がない未成年者署名は取り消しリスクが高いと判断されます。

  • 実務上のリスク

    • 示談金支払い後も、後日取り消され返還請求が発生

    • 口約束や条項不備があると裁判で争われやすい


具体例

署名者

効力

ポイント

未成年本人のみ

取消可能

最もリスクが高く、示談書としての安全性は低い



まとめ比較表

ケース

親権者関与

民法評価

実務リスク

① 親権者署名あり

署名

有効

ほぼなし

② 同意書提出

文書同意

有効

証拠保全が必要

③ 事後追認

単独署名→追認

有効

追認文書を残すと安全

④ 単独署名

なし

取消可能

高リスク、裁判で争われやすい


このように、親権者の関与の仕方によって示談書の有効性は大きく変わることがわかります。未成年者が署名する示談書は、署名者・同意の形態・追認の有無を正確に整理することが、安全な示談成立の鍵となります。



  13.「無効」と誤解されやすい示談書パターンの実態分析


未成年が署名した示談書は、よく「無効だ」と誤解されることがあります。しかし、民法上は ほとんどの場合「取消可能」にすぎず、条件を満たせば有効になる 場合もあります。ここでは、実務上の誤解や裁判例の事例を整理して解説します。



実際は「無効ではなく取消可能」にすぎないケースの整理

未成年者が親権者の同意なしで署名した示談書は、民法上「無効」ではなく 取消可能 です。

  • 取消可能とは未成年者本人や法定代理人(親権者)が希望すれば契約を取り消せるが、取り消さなければ有効なままになる状態です。

  • 無効との違い無効は最初から効力がなく、第三者に対しても効力が及びません。取消可能は、取り消すまでは通常通り効力があるため、支払いや履行が進むことがあります。


具体例

ケース

状態

説明

16歳が単独署名

取消可能

親権者が取り消しを主張可能、だが放置すれば有効

18歳以上の署名

有効

成年者は取消権なし

親権者署名あり

有効

取り消しリスクほぼなし


なぜ一般人が「全部無効」と誤解するのか

多くの人が「未成年者署名=無効」と思い込む理由は以下です。

  1. 法律用語の混同「無効」「取消可能」の違いを知らず、どちらも「効力がない」と誤認するケースが多いです。

  2. ニュースやネット情報の影響取り消しが認められた判例が紹介される際に、無効と表現されることがあるため誤解が広がります。

  3. 示談書自体のイメージ「未成年が自分で署名したら何も効力がない」と単純に考えがちです。


補足例え話

取り消し可能な契約は、「未完成の契約書」のようなものです。放置すればそのまま効力があるが、未成年者や親権者が「やっぱり取り消す」と言えば無効化できる、というイメージです。


無効主張が通らなかった事例の共通点

実務では、未成年者が署名しても無効と認められなかったケースもあります。共通点は以下の通りです。

  1. 親権者の暗黙・明示の同意がある

    • 同席や文書での同意があった場合、裁判所は取り消しを認めません。

  2. 示談内容が合理的・公正

    • 支払額や条件が常識の範囲で、公平性がある場合は取り消しが難しいです。

  3. 未成年者が事情を理解できる状況

    • ある程度の年齢で、示談内容やリスクを理解して署名した場合、裁判所は取り消しに慎重になります。


事例整理表

判例・事例

結果

理由

16歳が署名、親同席あり

無効主張却下

暗黙の同意が認められた

17歳署名、支払条件明確

取消し却下

内容が合理的で公正

15歳署名、説明不足

取消し認められた

未成年者の利益保護優先


まとめると、**「未成年署名=全部無効」は誤解であり、実際には多くの場合『取消可能』**です。示談書の安全性を高めるためには、親権者の署名・合理的内容・説明の明確化が重要であることが裁判例からも明らかです。



  14.年齢別(12歳未満/12〜17歳/18・19歳)の実務扱いの違い調査


未成年者が署名した示談書の効力や扱いは、年齢によって大きく異なります。これは、民法上の責任能力や取消権の範囲が年齢ごとに違うためです。ここでは、年齢別に実務上の対応の違いと理由をわかりやすく解説します。



責任能力の有無と示談書の扱い

民法上、年齢によって責任能力や取消権の行使に差があります。

年齢

責任能力

示談書扱い

12歳未満

原則なし(民法41条)

契約・示談は原則無効扱い。ただし、利益供与や慰謝料支払など、親権者の同意があれば有効化可能

12〜17歳

制限あり

取消可能。親権者の同意がなければ取り消されるリスクあり

18・19歳

成年に達していないが制限なし(2022年民法改正で18歳成年化)

親権者同意は原則不要。示談書は基本的に有効


補足解説

  • 12歳未満は「意思能力が十分でない」とされるため、単独署名は効力を持ちにくい

  • 12〜17歳は責任能力はあるが、親権者の保護下にあるため、示談書の効力は取消可能

  • 18・19歳は成年に近いため、親権者の同意なしでも示談書は成立するケースが多い



年齢ごとに実務上「必須」とされる対応の違い

実務上は、年齢ごとに次の対応が求められます。


12歳未満

  • 必須対応:親権者が署名・同意すること

  • 理由:未成年単独では意思能力が不十分なため、示談書を成立させるには法定代理人の関与が不可欠


12〜17歳

  • 必須対応:親権者同意の確認、示談内容の説明

  • 理由:取消権が存在するため、後日取り消されないよう証拠として文書化が重要

  • 実務例:示談書に「親権者同意済」と明記する、同席または同意書を添付する


18・19歳

  • 必須対応:本人署名のみでも成立可能

  • 注意点:未成年であるため、例外的に取り消しが問題になるケース(騙されて署名した場合など)に備え、証拠を残すと安全



同じ未成年でも扱いが変わる理由

未成年の示談書で年齢によって扱いが異なる理由は主に以下です。

  1. 民法上の責任能力の差

    • 12歳未満は意思能力が不十分とされ、単独行為の効力が弱い

    • 12〜17歳は限定的に自己責任で契約可能

  2. 親権者による保護の必要性

    • 12〜17歳は取消権により親権者が関与することで、未成年者の利益を守る制度

  3. 成年化との接続

    • 18・19歳は成年に近く、実務上は本人判断で示談書を成立させる余地が大きい


補足例え話

12歳未満は「まだ保護者と一緒でないと契約できない子ども」、12〜17歳は「ある程度自分で判断できるけど、保護者のフォローが必要な子ども」、18・19歳は「ほぼ大人扱いだが、注意が必要な若年成人」というイメージです。


年齢別実務対応まとめ表

年齢

示談書単独署名

親権者関与

実務上のポイント

12歳未満

× 無効扱い

必須

親権者署名・同意書が不可欠

12〜17歳

△ 取消可能

必須

同意確認・同席・文書化が重要

18・19歳

○ 有効

任意

本人署名で成立可能、証拠は残すと安全


このように、未成年者の年齢によって示談書の成立要件やリスクが大きく変わるため、年齢に応じた対応を正確に行うことが、安全に示談を成立させるためのポイントです。



  15.未成年示談トラブルで「後から問題化した理由」分析


未成年者が関与する示談は、一見成立したように見えても、後からトラブルになるケースが少なくありません。ここでは、再請求や取消、紛争化の原因を整理し、事前に防ぐポイントを解説します。



示談後に再請求・取消・紛争化したケースの原因分類

未成年の示談が後から問題になる主な原因は、次の3つに分類できます。

  1. 署名者に関する問題

    • 未成年単独署名で親権者の関与がない場合、取消権行使の対象になりやすい

  2. 書面・条項の不備

    • 清算条項や将来請求禁止条項が不明確

    • 支払条件や範囲が曖昧

  3. 事情説明・同意不足

    • 示談内容を未成年や親権者が十分に理解していなかった



書面構造・署名者・条項不足の観点で分析

1. 署名者の問題

  • 典型例:16歳の未成年者が単独署名 → 後日親権者が取消

  • 問題点:親権者不在のため、民法上「取消可能」と判断される

  • 防止策:親権者署名・同意書添付で安全性を確保


2. 書面構造の不備

  • 典型例:示談書に「全ての請求権を放棄」とのみ記載、具体的な金額や範囲の記載なし

  • 問題点:後日「支払っていない部分がある」と争われる

  • 防止策

    • 支払額・支払期限・清算条項を明確化

    • 将来請求禁止条項を具体的に記載


3. 条項不足・説明不足

  • 典型例:未成年に説明せず署名 → 後日「わからなかった」と取消請求

  • 問題点:未成年者の理解不足により、裁判所が取消を認める場合あり

  • 防止策

    • 示談内容を口頭で丁寧に説明

    • 文書に理解確認欄を設ける



防げたはずのポイントの整理

未成年示談でトラブルを避けるには、以下のポイントを押さえることが重要です。

観点

トラブル防止策

署名者

未成年+親権者署名必須、事後追認も文書化

書面構造

支払額・支払期限・範囲を明確に記載

条項

清算条項・将来請求禁止条項を具体化

説明

未成年者・親権者に内容を丁寧に説明、理解確認


補足例え話

示談書は「橋」と同じです。未成年単独署名は橋に穴が開いている状態。親権者署名や条項明確化はその穴を塞ぐ補強材。補強がないまま渡ると、後で橋が崩れてトラブルになります。

まとめると、後から問題になる原因のほとんどは、署名者・書面構造・条項不足によるものです。事前に親権者の関与と条項の具体化、理解確認を行えば、示談後のトラブルは大幅に防げます。



  16.親権者が複数いる場合(両親)の同意要否に関する実務整理


未成年が関わる示談書では、親権者が複数いる場合(通常は父母双方)に誰の同意が必要かが問題になることがあります。ここでは、実務上の取り扱いを整理し、判断基準を解説します。



両親双方の同意が必要とされた場面

原則として、未成年者の法定代理人である親権者全員の同意が必要です。

  • 理由:民法上、未成年者の法律行為には法定代理人の同意が必要であり、親権者は共同で未成年者を保護する立場にあるため

  • 典型例

    • 16歳未成年が示談書に署名したが、父母双方の署名なし → 後日母が取り消しを主張し、有効性が争われたケース

    • 両親が同居しており、どちらか一方の署名では安全性が低いと判断される場合


実務ポイント

  • 双方の署名や同意書を添付することで、取消しリスクをほぼ排除可能

  • 示談書本文に「父母双方の同意済」と明記するのが一般的



一方の署名で足りるとされた例

例外的に、父または母の一方だけの署名で足りる場合もあります。

  • 単独親権の場合

    • 離婚や裁判上の親権確定で、一方の親が単独で親権を持つ場合は、その親の署名のみで成立

  • 親権者の行方不明・同意困難な場合

    • もう一方の親が連絡不能や意思表示不能である場合、裁判所の判断で一方署名でも安全とされるケース


補足例え話

両親が共同で親権を持つ場合は「二重の鍵」が必要な金庫のようなもの。単独親権者の場合は「一つの鍵」で開けられるイメージです。


離婚・別居・単独親権時の判断基準

親権者が別居中や離婚予定の場合、実務では以下のような判断基準が用いられます。

状況

同意要否

実務上の対応

両親が同居中

両方必要

双方署名・同意書を必ず取得

両親が別居中

原則両方必要

離婚協議中でも両方の署名を確認。難しい場合は弁護士の介入で書面化

単独親権者確定済

一方で可

単独親権者の署名・同意のみで成立

片方連絡不能

事情により一方署名可

裁判所や専門家の確認を推奨


実務上の注意点

  • 別居・離婚中のケースでは、署名だけでなく証拠として同意書やメール確認も添付すると安全

  • 将来、もう一方の親から取消や請求が出ないように、文書化と証拠保全が重要


まとめると、両親双方の親権が存在する場合は原則として両方の同意が必要です。ただし、単独親権や連絡困難などの例外もあり、実務では状況に応じた対応が求められます。未成年が関わる示談書を安全に成立させるには、署名者の確認と証拠の明確化が最も重要なポイントです。



  17.未成年が関与する示談書で「公正証書化」が有効だったケース分析


未成年者が関わる示談では、単なる私文書では後から取消されるリスクが高いことがあります。そこで、公正証書化することで争いを防げる場合があります。ここでは、公正証書の効果と限界を実務例を交えて整理します。



公正証書にしたことで争いを防げた事例

公正証書は、公証人が作成・証明する文書であるため、以下の効果があります。

  • 私文書よりも証拠力が高い

  • 将来の支払い義務を明確化できる

  • 取り消し・再請求のリスクを減らせる


事例

  • 15歳未成年が示談書に署名したケース

  • 親権者も同席し、公正証書化して支払条件・清算条項を明記

  • 後日、被害者側が追加請求しようとしたが、裁判所で**「公正証書による示談内容が優先される」と判断され、争いを防げた**


補足解説

公正証書化により、「未成年+親権者署名+公証人確認」という三重の安全策が整い、取消権の行使や誤解によるトラブルを避けやすくなります。



逆に公正証書でも防げなかった限界

ただし、公正証書化しても万能ではありません。

  • 例1:騙されて署名した場合

    • 未成年が不正な情報を与えられ、納得せず署名 → 取消が認められることあり

  • 例2:親権者の同意なしで作成

    • 未成年単独署名で公正証書化しても、親権者の取消権が行使されれば無効になる場合


補足例え話

公正証書は「堅固な扉」のようなもの。しかし、扉を閉める前に鍵を間違えて渡してしまうと、後から簡単に開けられてしまうこともあります。


私文書示談書との比較

項目

私文書示談書

公正証書示談書

証拠力

低い

高い(裁判でも優先)

取消リスク

高い(未成年+親権者署名不足で取消可能)

低め(親権者同意+公証人確認で安全)

費用・手間

安価・簡単

手数料・作成手間あり

強制執行

別途裁判が必要

支払督促や強制執行可能(条項明記時)


補足解説

  • 公正証書は、私文書より安全性が高く、未成年示談でのトラブル防止に有効

  • ただし、親権者の同意や未成年の意思確認が不十分な場合は、効果が限定的


まとめると、未成年者が関わる示談では、公正証書化が最も安全な方法の一つです。しかし、公正証書化だけで安心せず、署名者の確認、親権者同意、条項の明確化をセットで行うことが重要です。



   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。



専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。


具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。



行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。


具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。


具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。



依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


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