示談書の必要事項を完全網羅|1つでも欠けると危険な条項とは
- 代表行政書士 堤

- 1 日前
- 読了時間: 52分
🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。
「示談書さえ作っておけば、もう安心」
そう思っていたのに、後日また請求された、話が蒸し返された、裁判になってしまった――。実務の現場では、このような相談が後を絶ちません。原因をたどると、多くの場合「示談書に書くべき必要事項が抜けていた」「書いてあるつもりでも、法的に不十分だった」という共通点があります。本コラムでは、示談書が“紙切れ”になってしまう典型的な落とし穴を避けるため、実務視点で本当に必要な条項を一つひとつ整理して解説します。
本記事のまとめ:
重要事項 | 概要 |
|---|---|
1つでも欠けると再請求や再紛争のリスクが一気に高まる | |
分野(交通事故・刑事・不倫・金銭トラブルなど)によって、共通事項に加えて特有の必須条項が存在する | |
示談書は「あるか・ないか」ではなく、「どう書かれているか」が結果を大きく左右 |
🌻インターネット上には示談書のテンプレートや書き方解説が数多くありますが、「なぜその条項が必要なのか」「欠けると何が起こるのか」まで踏み込んだ情報は意外と多くありません。このブログでは、実際にトラブルが再燃した事例や、裁判で争われたケースをもとに、“形式だけ整った示談書”と“本当にトラブルを終わらせる示談書”の違いを明らかにしています。示談書をこれから作る方も、すでに署名してしまった方も、後悔しないためにぜひ最後までお読みください。
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▼目次
~事例・比較分析紹介~
~番外編~
1.示談書とは何か|なぜ「必要事項」がこれほど重要なのか
示談書とはどのような書類か
示談書とは、当事者同士で起きたトラブルや紛争について、話し合いで解決した内容を書面にまとめたものです。金銭トラブル、男女問題、交通事故、近隣トラブル、業務上のトラブルなど、裁判に至る前段階で作成されることが多い書類です。
「もうこれで終わりにしましょう」という合意内容を、後から争いにならないよう証拠として残す役割を持っています。
示談と契約書の法的位置づけ
示談書は、法律上は**民法上の「契約書」**に該当します。特別な名称だからといって、法的効力が弱いわけではありません。
示談=当事者の合意
示談書=その合意内容を記した契約書
という関係です。
つまり、内容が明確であれば、裁判でも「有効な契約」として扱われる可能性があります。一方で、必要事項が欠けていると、契約として不完全と判断されるリスクもあります。
口約束ではなく書面にする意味
「言った・言わない」のトラブルは、紛争が再燃する典型例です。口約束の場合、以下のような問題が起きやすくなります。
口約束の問題点 | 実務上のリスク |
証拠が残らない | 裁判で立証できない |
記憶が食い違う | 内容を巡って再紛争 |
条件が曖昧 | 解釈の違いが生じる |
示談書にすることで、合意内容・条件・範囲を明確に固定でき、後日の争いを防止できます。
示談書が果たす「紛争終結」の機能
示談書の最も重要な役割は、トラブルを完全に終わらせることです。
特に重要なのが、「これ以上、お互いに請求や主張をしない」という意味合いを持つ条項(清算条項など)です。
これが適切に入っていれば、
追加請求を防げる
再度の話し合いや裁判を回避できる
精神的な負担から解放される
といった効果があります。
逆に言えば、**示談書は「終わらせるための書類」**であり、その目的を果たせない内容では意味がありません。
示談書の必要事項が欠けると起きる典型的トラブル
示談書に必要事項が欠けていると、次のようなトラブルが実際に多く発生します。
当事者の特定が不十分なケース
氏名や住所が曖昧だと、「この示談書は誰との合意なのか」が争われます。同姓同名や法人・個人の取り違えが問題になることもあります。
金額や支払条件が不明確なケース
いくら払うのか
いつまでに払うのか
一括か分割か
これらが書かれていないと、「支払った」「いや、まだだ」という争いが生じます。
清算範囲が曖昧なケース
「この件について解決した」という表現だけでは、
何が対象なのか
将来の請求も含まれるのか
が分からず、後から追加請求されるリスクがあります。
署名・押印がないケース
示談書の存在自体は認められても、「本当に合意したのか」「本人が作成したのか」という点で争われる原因になります。
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2.示談書の法的効力|有効になる場合・無効になる場合
示談書は法的に有効なのか
結論から言うと、示談書は法的に有効になる場合が多い書類です。示談書という名称自体に特別な魔法があるわけではありませんが、中身が民法上の契約として成立していれば、裁判でも効力を認められます。
よくある誤解として、「示談書は裁判外の話し合いだから効力が弱い」というものがあります。しかし実務上は、裁判所でも示談書が証拠・契約として扱われるケースは非常に多いのが実情です。
示談書が契約として成立する要件
示談書が有効な契約として認められるためには、基本的に次の要件が満たされている必要があります。
当事者間の合意があること
最も重要なのは、双方が内容を理解し、納得したうえで合意していることです。どちらか一方が内容を知らなかった、勘違いしていたという場合、後から効力が争われます。
合意内容が特定できること
何について、どのように解決したのかが明確でなければなりません。例えば、
どのトラブルを対象にしているのか
いくら支払うのか
それで何が解決するのか
といった点が読み取れない示談書は、契約として不完全と判断されやすくなります。
違法な内容でないこと
内容が法律に反していないことも必要です。違法行為を前提とした示談や、社会的に許されない内容は、後述する「無効」の問題につながります。
示談書の効力が否定される主なケース
示談書が存在していても、必ずしも無条件に効力が認められるわけではありません。実務上、効力が否定されたり、争いの対象になりやすい代表的なケースを見ていきます。
強迫・詐欺・公序良俗違反
強迫による合意の場合
「サインしなければ不利益を与える」と脅された状態で署名した場合、自由な意思による合意とは言えません。例えば、
大声で怒鳴られ続けた
帰らせてもらえない状況で署名した
といった事情があれば、後から無効や取消しが主張される可能性があります。
詐欺による合意の場合
重要な事実を隠されたり、虚偽の説明を受けたうえで示談書に署名した場合も問題になります。「これにサインすれば他に請求は一切ない」と説明されたが、実際には別の請求権が存在していた、というようなケースです。
公序良俗に反する内容
社会的に許されない内容の示談は、たとえ当事者が合意していても無効とされることがあります。例えば、
犯罪行為を隠すことを条件とする示談
過度に一方だけを縛る内容
などは、公序良俗違反として問題になります。
内容が不明確・特定できない場合
示談書の内容が曖昧すぎると、「何を約束したのか分からない」と判断されます。
よくある例としては、
「誠意をもって対応する」
「十分な金額を支払う」
といった表現です。これらは一見もっともらしく見えますが、金額や範囲が特定できないため、解釈の違いが生じやすい表現です。
その結果、示談書の一部、あるいは全部の効力が争われることになります。
必要事項の欠落が「無効・争点化」を招く理由
示談書に必要事項が欠けていると、次のような流れでトラブルが拡大します。
必要事項の欠落 | 起きやすい問題 |
当事者の記載不足 | 誰との合意か分からない |
対象トラブルの特定不足 | 別件まで含むか争われる |
金額・支払条件の不明確さ | 支払義務の範囲が争点化 |
清算範囲の記載不足 | 追加請求が発生する |
示談書は「あるか・ないか」よりも、「中身が整っているか」が決定的に重要です。必要事項が揃っていなければ、無効と判断されたり、裁判で激しく争われる原因になります。
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3.【完全網羅】示談書の必要事項一覧
当事者の特定に関する事項
示談書で最初に重要になるのが、「誰と誰が示談したのか」を明確にすることです。ここが曖昧だと、示談書全体の効力が疑われる原因になります。
氏名・住所・連絡先
個人同士の示談では、次の情報を正確に記載します。
氏名(戸籍上の正式名称)
住所(住民票上の住所)
連絡先(電話番号など)
通称やニックネームだけでは、「本人かどうか」が争われるおそれがあります。例えるなら、宛名のない郵便物と同じで、誰に向けた合意か分からなくなってしまいます。
法人の場合の法人名・代表者
相手が会社の場合は、個人とは書き方が異なります。
正式な法人名
本店所在地
代表者の氏名・肩書
「会社の担当者」とだけ書いてしまうと、会社としての責任なのか、個人の責任なのかが不明確になります。
本人確認が不十分な場合のリスク
本人確認が甘い示談書では、次のような問題が起きがちです。
不十分な記載 | 起きやすいトラブル |
氏名のみ | 同姓同名の別人と主張される |
住所なし | 本人特定ができない |
法人名の省略 | 契約当事者が否定される |
示談書は**「誰が責任を負うのか」を確定させる書類**である点を意識する必要があります。
紛争・事故・事件内容の特定
次に重要なのが、何について示談したのかを特定する部分です。
発生日時
年月日
可能であれば時間帯
「いつ起きたトラブルなのか」を明確にすることで、別件との混同を防止できます。
発生場所
具体的な住所
店舗名・施設名など
場所が曖昧だと、「別の出来事も含まれるのか」が争われる原因になります。
具体的な事実関係
事実関係は、感情的にならず、客観的に起きた出来事を簡潔に記載します。
何が起きたのか
誰が関与したのか
詳細すぎる必要はありませんが、「内容が想像できる程度」には書くことが重要です。
原因・経緯の記載の重要性
原因や経緯を書くことで、
どの範囲まで責任を認めているのか
示談の対象がどこまでか
が明確になります。これは後の追加請求防止にもつながります。
合意内容の中核となる事項
示談書の中心部分が、金銭や解決条件に関する合意です。
示談金(損害賠償金・慰謝料)の金額
金額は数字で明確に記載します。
金○円
消費税の有無(必要な場合)
「相当額」「十分な金額」といった表現は、後の争いのもとです。
支払期限
いつまでに支払うのか
日付を特定する
期限がなければ、「まだ支払う義務は確定していない」と主張される余地が生まれます。
支払方法(一括・分割・振込先)
支払方法も具体的に定めます。
一括か分割か
振込先口座
振込手数料の負担者
これらを決めておくことで、実務上の混乱を防げます。
金額を曖昧に書く危険性
金額が曖昧だと、次のようなリスクがあります。
曖昧な表現 | 実務上の問題 |
「誠意として支払う」 | 金額が確定しない |
「後日協議する」 | 示談が未成立と判断される |
「相当額」 | 解釈の争いが生じる |
示談書は、条件を確定させるための書類であることを忘れてはいけません。
示談成立後の義務・誓約事項
示談金の支払いだけでなく、将来の行動についての約束も重要です。
再請求をしない旨
「本件に関して、今後一切請求しない」という趣旨の条文です。これがないと、後から別名目で請求される可能性があります。
紛争を蒸し返さない旨
SNS投稿や第三者への言いふらしなど、紛争を再燃させる行為を防ぐ役割を持ちます。
接触禁止・行為禁止条項(必要な場合)
男女問題や近隣トラブルなどでは、
直接・間接の接触禁止
特定行為の禁止
を定めることがあります。必要性がない場合まで入れると過剰になるため、事案に応じた判断が重要です。
清算条項(最重要)
清算条項とは何か
清算条項とは、「この示談で全て解決した」ことを確認する条文です。示談書の中でも、最も重要な部分といえます。
なぜ「1文」で将来の請求権が消えるのか
清算条項は、当事者双方が、
既に発生している請求権
将来発生し得る請求権
を含めて、互いに放棄する意思を示すものです。例えるなら、家計簿を締めて「これ以前の支出は全て精算済み」と宣言するようなイメージです。
清算条項がない場合に起きる実務上の問題
清算条項がないと、次のような事態が起こります。
清算条項なし | 起きやすいトラブル |
請求範囲が不明 | 追加請求される |
解決の範囲が不明 | 別件と主張される |
紛争終結が不完全 | 再交渉・裁判に発展 |
日付・署名・押印
示談成立日
示談が成立した日付を明記することで、
いつから効力が発生するのか
時効や期限との関係
を明確にできます。
双方の署名押印
署名と押印は、「確かに合意した」という意思表示です。実印でなくても有効ですが、本人が署名したことが重要です。
署名押印がない場合のリスク
署名押印がないと、
本人の合意を否定される
下書き扱いされる
といったリスクがあります。示談書は、最後に署名押印して初めて完成する書類であることを押さえておく必要があります。
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4.1つでも欠けると危険な条項とは?実務で特に問題になりやすいポイント
清算条項がない示談書の危険性
示談書で最も欠けてはいけない条項が、清算条項です。清算条項がない示談書は、「とりあえずお金を払っただけ」の状態に近く、紛争を終わらせる力が弱い書類になってしまいます。
清算条項がない場合、相手から次のような主張が出てくることがあります。
「今回は一部だけの解決にすぎない」
「別の名目での請求は残っている」
「想定していなかった損害が後から分かった」
これは、示談書の中で請求権をどこまで整理したのかが書かれていないために起こります。
清算条項の有無 | 実務上の結果 |
あり | 原則として追加請求を防げる |
なし | 後日の請求・再交渉のリスク大 |
示談書は「終わらせるための書類」である以上、清算条項がないのは致命的といえます。
示談金の支払条件が不明確なケース
金額が書いてあっても、支払条件が不明確だとトラブルになります。
よくある問題例は以下のとおりです。
支払期限が書かれていない
一括か分割か分からない
振込先や手数料負担が未記載
その結果、
「いつまでに払えばいいのか分からない」
「分割払いのつもりだった」
「手数料を引いた金額で足りると思った」
といった主張が生じます。
示談金の支払いは、示談成立の核心部分です。条件を細かく書くことは、揉めるためではなく、揉めないための予防策です。
事故・行為内容の特定不足
示談書に記載された事故や行為の内容が曖昧だと、「どの出来事についての示談なのか」が分からなくなります。
例えば、
日時が書かれていない
場所が特定されていない
行為内容が抽象的
といったケースです。
このような示談書では、
別の事故やトラブルも含まれるのか
一部の行為だけが対象なのか
が争点になります。
例えるなら、修理対象が書かれていない見積書のようなもので、後から「そこは含まれていない」と言われかねません。
当事者の特定ミスによる無効主張
当事者の書き方を間違えると、「そもそも契約当事者ではない」と主張されるリスクがあります。
実務で多いのが次のようなケースです。
個人名だけ書いたが、実際は会社の行為だった
担当者名で示談したが、会社の代表者ではなかった
法人名を略称で記載していた
この場合、相手から、
「その示談書は、会社としては関係ない」「権限のない人が署名している」
と主張される可能性があります。
記載ミス | 想定される主張 |
法人名の省略 | 法人の合意ではない |
代表者未記載 | 権限がない |
住所不備 | 当事者特定不能 |
当事者の特定は、示談書の土台であり、軽視できないポイントです。
「ひな形流用」による落とし穴
インターネット上のひな形をそのまま使うこと自体が、直ちに違法になるわけではありません。しかし、内容を理解せずに流用することには大きな危険があります。
よくある落とし穴として、
自分の事案に不要な条文が入っている
逆に必要な条文が抜け落ちている
表現が古く、現在の実務に合っていない
といった点が挙げられます。
ひな形は、白紙の地図のようなものです。目的地(トラブルの内容)に合わせて書き込まなければ、正しい場所にはたどり着けません。
示談書は「形式」よりも「中身」が重要です。1文1文が何を意味しているのかを理解し、事案に合わせて調整することが、トラブルを確実に終わらせるための鍵となります。
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5.示談書作成時の注意点|締結後に後悔しないために
一度締結した示談書は原則撤回できない
示談書は、当事者双方が合意して成立する契約書です。そのため、一度署名押印して締結すると、原則として「やっぱりやめたい」は通用しません。
気持ちの問題ではなく、法律上は「その内容で解決することを約束した」という扱いになるためです。
例えるなら、売買契約を結んだあとに気が変わったとしても、自由に白紙には戻せないのと同じです。
後から「知らなかった」は通用しない
示談書について、実務で非常に多い後悔が、
「そんな意味だとは思わなかった」「そこまでの効力があるとは知らなかった」
というものです。
しかし、示談書に署名押印した以上、
内容を理解していた
納得して合意した
と推定されます。
たとえ専門用語が含まれていても、「読まずに署名した」「よく分からなかった」という事情だけで、示談を無効にすることは困難です。
示談書は、読めば理解できる内容かどうかを事前に確認する責任が、当事者自身にあると考えられています。
示談内容は原則として覆せない
示談書によって合意した内容は、原則として後から変更できません。
特に注意すべきなのが、
清算条項による請求権放棄
将来請求の禁止
紛争蒸し返し禁止
といった条文です。
これらが入っている場合、後から新たな事情が見つかっても、
「もう示談で終わっている」
として請求が認められない可能性があります。
よくある後悔 | 実務上の結論 |
思ったより損害が大きかった | 原則、再請求不可 |
後から証拠が出てきた | 覆すのは困難 |
感情的に署名した | 無効理由にはなりにくい |
示談書は、「最終結論」としての重みを持つ書類であることを強く意識する必要があります。
示談金不払いリスクへの備え
示談書を作っても、相手が約束どおり支払わないというリスクはゼロではありません。
そのため、作成段階で次のような備えを検討します。
支払期限を明確にする
分割払いの場合は回数・金額を特定する
遅れた場合の対応を定める
場合によっては、
遅延損害金
期限の利益喪失
といった条項を入れることで、支払いを促す効果が期待できます。
これは、支払わない前提で疑うというより、万一の保険と考えると理解しやすいでしょう。
公正証書にすべきケース・すべきでないケース
示談書は、必ずしも公正証書にしなければならないわけではありません。ただし、ケースによっては公正証書にすることで、大きなメリットがあります。
公正証書にすべきケース
高額な示談金が分割払いになる
相手の支払い能力に不安がある
確実に回収したい
この場合、公正証書に強制執行認諾条項を入れておくと、支払いが滞った際に、裁判を経ずに強制執行が可能になります。
公正証書にすべきでないケース
金額が少額
一括払いで即時支払われる
当事者間の信頼関係がある程度ある
このような場合まで公正証書にすると、費用や手間が過剰になることがあります。
項目 | 通常の示談書 | 公正証書 |
作成コスト | 低い | 高め |
強制執行 | 不可 | 可能 |
手続負担 | 軽い | やや重い |
示談書は、「万能な形式」を選ぶのではなく、事案のリスクに見合った形を選択することが、締結後に後悔しないための重要なポイントです。
6.公正証書との違い|示談書を強化する方法
示談書と公正証書の法的な違い
示談書と公正証書は、どちらも当事者の合意内容を書面にしたものですが、法的な位置づけと効力には大きな違いがあります。
示談書は、当事者同士で作成する私文書です。一方、公正証書は、公証役場で公証人が作成する公文書にあたります。
この違いにより、
作成の手軽さ
証明力
支払いが滞った場合の対応
に差が生じます。
項目 | 示談書 | 公正証書 |
書類の性質 | 私文書 | 公文書 |
作成者 | 当事者 | 公証人 |
信頼性 | 内容次第 | 高い |
手続の簡便さ | 高い | 低め |
示談書は柔軟で使いやすい反面、相手が約束を守らない場合の強制力には限界がある点を理解しておく必要があります。
強制執行力の有無
両者の最大の違いは、強制執行力があるかどうかです。
通常の示談書には、直接的な強制執行力はありません。相手が示談金を支払わない場合、原則として、
裁判を起こす
判決や和解調書を得る
その後に強制執行
という手順を踏む必要があります。
一方、公正証書に強制執行認諾条項が入っている場合は、話が変わります。この条項があると、「支払わない場合は、すぐに差押え等を受けても構わない」という意思表示が記録されるため、裁判を経ずに強制執行が可能になります。
例えるなら、
示談書:鍵はあるが、開けるにはもう一段階必要
公正証書:最初からマスターキーが付いている
というイメージです。
公正証書に向いているケース
すべての示談を公正証書にする必要はありませんが、次のようなケースでは有力な選択肢になります。
示談金が高額
分割払いが長期間に及ぶ
相手の支払い能力や信用に不安がある
確実に回収する必要性が高い
特に分割払いの場合、途中で支払いが止まるリスクは現実的です。その備えとして、公正証書は非常に効果的です。
ケース | 公正証書の適性 |
高額・長期分割 | 非常に高い |
一括即日払い | 低い |
信頼関係が薄い | 高い |
費用・手間とのバランス
公正証書にはメリットだけでなく、コストと手間も伴います。
公証人手数料がかかる
公証役場に出向く必要がある
書類準備に時間がかかる
そのため、少額の示談や即時一括払いのケースでは、費用倒れになる可能性もあります。
観点 | 示談書 | 公正証書 |
費用 | ほぼ不要 | 数万円程度〜 |
作成時間 | 短い | 長め |
抑止力 | 限定的 | 高い |
重要なのは、「公正証書が優れているかどうか」ではなく、**「その示談にどれだけのリスクがあるか」**です。
リスクが高い場合は公正証書で強化し、リスクが低い場合は示談書で十分、というように、状況に応じて使い分けることが、合理的な示談書作成につながります。
7.ケース別|示談書の必要事項が特に重要になる場面
交通事故の示談書
交通事故の示談書では、対象範囲の特定と清算条項が特に重要になります。
交通事故は、治療が長引いたり、後から後遺症が判明することがあるため、
どの事故を対象にするのか
どこまで補償するのか
を明確にしておかないと、紛争が再燃しやすくなります。
特に注意すべき必要事項は次のとおりです。
事故発生日時・場所
事故態様(追突、接触など)
治療費・休業損害・慰謝料の内訳
清算条項の文言
「本件事故に関して生じた一切の損害」という表現が入っていないと、後遺障害や通院費を巡って追加請求が問題化することがあります。
刑事事件の示談書
刑事事件の示談書は、被害届や処罰感情との関係が絡むため、特に慎重な作成が求められます。
刑事事件の示談書で重視されるのは、
被害事実の特定
示談金の支払い確認
処罰感情に関する意思表示
です。
ただし、「必ず不起訴にする」「処罰しないことを約束する」といった表現は、法的に保証できない内容であり、記載の仕方を誤るとトラブルの原因になります。
注意点 | 実務上の考え方 |
不起訴の確約 | 記載すべきでない |
被害届の取下げ | 意思表示にとどめる |
清算条項 | 民事上の請求に限定 |
刑事と民事は別物であることを前提に、示談書の効力範囲を誤解させない表現が重要です。
不倫・男女トラブルの示談書
不倫や男女トラブルでは、金銭だけでなく将来の行動制限が重要な意味を持ちます。
特に重視される必要事項は、
不貞行為や交際の内容の特定
慰謝料の金額・支払条件
接触禁止・連絡禁止
口外禁止
です。
内容が抽象的だと、「どこまでが禁止なのか」を巡って争いになります。
例えば、「今後一切関係を持たない」という表現だけでは、SNSの閲覧や第三者を通じた連絡が含まれるかが不明確です。
具体的な行為レベルまで落とし込むことが、再トラブル防止につながります。
金銭トラブル・貸し借りの示談書
金銭トラブルでは、金額・支払条件・残債の有無が最重要ポイントです。
よくあるのが、
既に一部返済されている
利息や遅延損害金をどうするか
元の借用書との関係
が曖昧なまま示談してしまうケースです。
示談書では、
いくらが残っているのか
今回の支払いで全て清算されるのか
を明確に記載します。
記載漏れ | 起きやすい問題 |
残債の明示なし | 二重請求・未払い争い |
清算条項なし | 後から利息請求 |
支払期限不明 | 支払い遅延の言い訳 |
金銭トラブルこそ、数字を曖昧にしないことが重要です。
労働問題・ハラスメント案件
労働問題やハラスメント案件の示談書では、請求権の範囲整理が極めて重要になります。
未払い残業代
解決金
退職条件
など、複数の権利関係が絡むためです。
特に注意すべきなのは、
どの請求を放棄するのか
将来の請求まで含めるのか
という点です。
また、労働者に一方的に不利な内容は、後から無効と判断される可能性もあります。
観点 | 注意点 |
清算条項 | 請求範囲を限定的に記載 |
口外禁止 | 表現を過度にしない |
強制性 | 自由意思を確保 |
労働分野では、一般的な示談以上に、内容のバランスと適法性が求められます。
8.示談書に関するよくある質問(Q&A)
示談書に決まった形式はある?
示談書には、法律で定められた決まった形式はありません。タイトルが「示談書」でなくても、内容が合意を示していれば、法的には示談書として扱われます。
ただし、形式が自由だからといって、何を書いてもよいわけではありません。重要なのは、これまで解説してきたような必要事項が漏れなく記載されているかです。
例えるなら、料理に決まった盛り付けはなくても、材料が欠けていれば料理として成立しないのと同じです。
示談書は手書きでも有効?
示談書は、手書きでも有効です。パソコンで作成しなければならないという決まりはありません。
ただし、実務上は次の点に注意が必要です。
読みにくい字は誤解を生む
修正跡が多いと信頼性が下がる
書き間違いのリスクが高い
内容自体が明確で、双方が署名押印していれば有効ですが、後日の証拠性を考えると、パソコン作成が無難といえます。
電子契約でも示談書は成立する?
結論として、電子契約でも示談書は成立します。電子署名や電子契約サービスを利用し、双方の合意が確認できれば、紙の示談書と同様に扱われます。
ただし、
本人確認が適切に行われているか
データの改ざん防止措置があるか
といった点が重要です。
特に紛争性の高い案件では、後から「本人ではない」と争われにくい方法を選ぶことが大切です。
自分で作成しても問題ない?
示談書は、自分で作成しても違法ではありません。実際、軽微なトラブルや少額の示談では、当事者同士で作成されることもあります。
しかし、次のようなリスクがある点は理解しておく必要があります。
必要事項の記載漏れ
表現の曖昧さ
不利な条文に気づかない
自作示談書の特徴 | リスク |
手軽に作れる | 法的抜け漏れ |
費用がかからない | 後日トラブル |
形式自由 | 解釈争い |
「作れた」と「安心して使える」は別物だという点が重要です。
専門家に依頼すべき判断基準
専門家に依頼すべきかどうかは、トラブルの重さと将来リスクで判断します。
次のような場合は、専門家への相談・依頼を強く検討すべきです。
示談金が高額
分割払いや長期支払いがある
清算条項の影響が大きい
刑事事件や不倫、労働問題など紛争性が高い
示談書は、一度締結するとやり直しがきかない書類です。例えるなら、安易に作った地図で長距離ドライブに出るようなもので、途中で引き返すことはできません。
「少しでも不安がある」「この文言で本当に大丈夫か分からない」そう感じた時点で、専門家のチェックを受ける価値は十分にあります。
9.まとめ|示談書は「必要事項の完成度」で結果が決まる
示談書は書いた時点ではなく「後で」効いてくる
示談書は、作成した瞬間に効果を実感できる書類ではありません。本当に意味を持つのは、数か月後・数年後にトラブルが再燃したときです。
たとえば、
「追加でお金を請求された」
「そんな約束はしていないと言われた」
「裁判を起こされた」
こうした場面で、示談書の文言がそのまま証拠として使われます。そのため、作成時に軽く考えていた一文や、入れ忘れた条項が、後になって大きな差を生みます。
必要事項の抜けは最大のリスク
示談書において最も危険なのは、「何かを書き間違えること」よりも「書くべきことを書いていないこと」です。
よくある抜け漏れとしては、
清算条項(これ以上請求しない約束)がない
支払期限や支払方法が曖昧
どのトラブルについての示談なのか特定できない
違反時の対応(遅延損害金・解除など)が決まっていない
これらが欠けていると、「示談したつもりだったのに、また揉める」という事態になりかねません。示談書は、トラブルを終わらせるための書類であり、火種を残す内容では意味がないのです。
テンプレートよりも内容の精度が重要
インターネット上には多くの示談書テンプレートがありますが、テンプレートをそのまま使えば安心、というわけではありません。
テンプレートはあくまで「骨組み」にすぎず、
誰と誰の間の示談か
何が原因で、何を解決するのか
金銭の支払いがあるのか、ないのか
将来の請求や紛争をどう扱うのか
といった点は、個別の事情に合わせて調整する必要があります。
料理で例えるなら、テンプレートはレシピ、内容の精度は材料と味付けです。レシピ通りでも、材料を間違えれば失敗するのと同じです。
不安がある場合は専門家チェックが最善
示談書は自分で作成することも可能ですが、少しでも次のような不安がある場合は、専門家にチェックを依頼する価値があります。
不安の内容 | 専門家チェックが有効な理由 |
将来また請求されないか心配 | 清算条項や免責条項の精度を確認できる |
相手が強硬で信用できない | 不利な文言が入っていないか判断できる |
金額や条件が妥当か分からない | 実務上の相場やリスクを踏まえて助言できる |
裁判になった場合が不安 | 証拠として通用する内容か確認できる |
示談書は「揉めてから作り直す」ことが難しい書類です。だからこそ、完成させる前のチェックが最も重要になります。
最終的に、示談書の価値を決めるのは書類の枚数や形式ではありません。必要事項がどれだけ正確に、抜けなく盛り込まれているか——その完成度こそが、後の安心を左右します。
~事例・比較分析紹介~
10.実際に無効・争点化された示談書を分析|欠けていた「必要事項」ランキング
裁判例・紛争事例・相談事例から見える共通点
示談書は「書いてあれば安心」と思われがちですが、実務や裁判の現場では示談書があるにもかかわらず争われているケースが少なくありません。裁判例、紛争事例、専門家への相談内容を見ていくと、争点化された示談書には共通した特徴があります。
それは、「形式」ではなく必要事項が欠けている、または曖昧だという点です。以下では、実際に問題となったケースをもとに、「どの必要事項が欠けていたのか」をランキング形式で整理します。
欠けていた必要事項ランキング【実務ベース】
第1位:清算条項(これ以上請求しないという合意)
最も多いのが、清算条項がない、または内容が不十分なケースです。
清算条項とは、「本件に関して、これ以上お互いに請求しない」と確認する条文のことです。これがないと、示談後に次のような主張がされやすくなります。
「慰謝料とは別に損害が見つかった」
「精神的苦痛が後から大きくなった」
「この請求は示談の対象外だ」
実際の裁判でも、「清算条項がない以上、追加請求を否定できない」と判断された例があります。示談書が“一区切り”にならず、再請求の入口を残してしまう典型例です。
第2位:示談の対象となるトラブルの特定不足
次に多いのが、「何についての示談なのか」がはっきり書かれていないケースです。
たとえば、
いつの出来事なのか
どこで起きたトラブルなのか
どの行為を問題としているのか
これらが曖昧だと、「この件は示談に含まれていない」と主張されやすくなります。実務では、「同じ当事者間で複数の問題がある場合」に特に争点化しやすい部分です。
第3位:金額・支払条件の不明確さ
金額は書いてあっても、
支払期限がない
支払方法が決まっていない
分割か一括か不明
といった示談書も少なくありません。
この場合、「いつまでに払えばいいのか分からない」「まだ支払義務は確定していない」といった争いになります。裁判では、「合意内容が特定できない」として、示談書の効力が限定的に解釈されることもあります。
第4位:当事者の表示ミス・特定不足
意外に多いのが、当事者の記載が不正確なケースです。
本名ではなく通称のみ
法人なのに代表者名がない
住所が省略されている
一見すると軽微なミスに見えますが、「本当にこの人との合意なのか」が争われる原因になります。特に裁判では、誰と誰の契約なのかが極めて重要です。
第5位:署名・押印の欠如
署名や押印がない、または一方だけしかしていない示談書も、争点化されやすいです。
示談書は契約書の一種なので、必ずしも押印がなければ無効というわけではありません。しかし、署名押印がないと、
合意した事実そのもの
内容を理解していたか
が争われやすくなります。結果として、「証拠としての価値が弱い示談書」になってしまいます。
欠けていた必要事項の分類一覧
以下は、実際に問題となった必要事項を整理した表です。
分類 | 欠けていた内容 | 争点になりやすい理由 |
権利関係 | 清算条項 | 追加請求を止められない |
対象特定 | トラブルの内容・範囲 | 示談の範囲外主張が出る |
金銭条件 | 金額・期限・方法 | 支払義務の確定性が弱い |
当事者 | 氏名・住所・立場 | 合意当事者が不明確 |
形式面 | 署名・押印 | 合意の事実が争われる |
「一応書いた示談書」が最も危険
これらの事例に共通しているのは、「とりあえず示談書は作った」という点です。内容を詰めきらないまま形だけ整えた示談書ほど、後から争われやすくなります。
示談書は、感情が落ち着いた後にこそ効力を発揮する書類です。だからこそ、実際に争われた事例から逆算して、「欠けてはいけない必要事項」を意識することが重要になります。
11.テンプレート示談書10本を精査|“そのまま使うと危険”な抜け漏れ検証
実務でもネット上でも、示談書のテンプレート(ひな形)が多数公開されています。こうしたテンプレートは「書き方が分からない人にとって助けになる」というメリットがありますが、そのまま使うだけではリスクがあると指摘されています。
ここでは、Web上で公開されているテンプレートを収集し、「法的観点から必要事項が満たされているか」を検証した結果を紹介します。なお、テンプレートの収集対象は、交通事故・不倫慰謝料・一般示談といった複数ジャンルの公開資料です。
Web上で公開されているテンプレートの傾向
まず全体の傾向として、Web上に公開されているテンプレートには次の特徴が見られました。
全体の構成や基本的な流れは押さえてある
当事者の氏名・日付・金額といった基本項目は入っている
ただし事案ごとの詳細な必要事項が抜けていたり、柔軟性がないものが多い
これは、テンプレートが一般化された書式であるため、個別のトラブル事情を反映しきれない構造になっているためです。言い換えると、「示談書の目的を達成するための最低限の枠組み」はあるものの、当事者ごとの精度を担保するものではないということです。
検証したテンプレートで不足しがちな必要事項
以下の表は、10本のテンプレートを精査した結果、抜け漏れが目立った必要事項をまとめたものです。
抜けやすい記載内容 | どう危険なのか | 代表的なテンプレ例 |
清算条項の明示 | 後から追加請求される余地が残る | 清算条項未記載 |
支払条件の詳細 | 支払い時期・方法で争いに | 支払期限なし |
事故・行為内容の特定 | 示談対象が曖昧になる | 事案の抽象記載 |
違約条項(遅延損害金等) | 支払遅延対応が曖昧 | 遅延対応なし |
当事者特定の補足情報 | 誰の合意か争点化 | 住所等省略 |
抜け漏れ項目ごとの具体的な問題点
清算条項の不備
テンプレートには「示談金を支払う」という文言があっても、清算条項(これでもう一切の請求をしない)が明確に盛り込まれていないものが多く見られました。清算条項は、示談の目的である紛争の完全な終了を裏付ける条項のため、これがないと後日の請求を許す解釈が出てしまいます。
支払条件の不明確さ
多くのテンプレートで、示談金額は記載されているのに対して、支払期限・支払方法・分割条件などが曖昧・未記載です。この場合、支払義務の履行時期が確定できず、「いつまでに払えばよいのか」という争いの原因になります。
事故・行為内容の抽象記載
テンプレートでは、「一切の損害について」といった抽象的な表現が多く、事案ごとの詳細な発生日時・場所・行為の内容が記載されていない場合があります。これでは、どの出来事について示談したのかが不明瞭になり、範囲をめぐって争点化します。
違約条項がない
支払遅延や不履行が発生した場合の違約金・遅延損害金に関する条項が欠けているテンプレートも散見されました。こうした条項は、支払を促す効果だけでなく、履行義務の強制力を高める役割も持ちますが、テンプレートでは割愛されがちです。
当事者特定の補足
基本的な氏名や住所は書かれていても、**実体関係の説明(法人の代表者名、肩書)**や、連絡先・本人確認の補足が記載されていないものもあります。これがないと、後から「本当に合意した当事者か」という争いになる可能性があります。
テンプレートを安全に使うためのポイント
テンプレートはスタート地点としては有効ですが、そのまま使うと抜け漏れが法律的リスクになります。次のような視点でチェックすることが重要です。
清算条項の有無と内容
支払条件(期限・方法・遅延対応)
争いの対象となる出来事の明確な特定
当事者の明確な特定・補足説明
これらはテンプレートによくある抜け漏れ項目であり、後から争われやすいポイントとして実務的にも注目されています。
まとめ:テンプレートは「使いかた」が重要
テンプレート示談書は、示談書作成の道しるべとしては有効ですが、そのまま使うと危険です。必要事項が完璧に含まれていることはまれで、個別の事情に合わせて補強する必要があります。
テンプレートは、**「完成品」ではなく「ひな形」**として捉え、内容の精査と修正を必ず行うことが安全な示談書作成につながります。
12.示談書トラブル再燃事例の共通点分析|“最初に欠けていた一文”
示談書は「これで終わりにする」ための書類ですが、締結後に再請求や再トラブルが起きるケースは少なくありません。実務上よく見ると、こうした再燃事例には共通する欠落ポイントがあります。ここでは、示談成立後に問題が蒸し返された事例を類型化し、「最初に欠けていた一文」が何だったのかを分析します。
示談成立後に再請求・再トラブルになった事例を収集
再燃事例は、交通事故・男女トラブル・金銭紛争など分野を問わず発生しています。共通するのは、示談自体は成立しているが、解釈の余地が残っていたという点です。
典型的な再燃パターン
示談金を支払った後に「別の損害が見つかった」と追加請求された
支払期限が曖昧で「遅れても違反ではない」と主張された
示談の対象外だと主張され、別件として再度請求された
当事者の一方が「その合意は自分の意思ではない」と争った
これらはすべて、最初の示談書に“決定的な一文”が欠けていたことが原因で起きています。
再燃の原因となった条項欠落を分析
再トラブルを招いた条項の欠落は、ある程度パターン化できます。以下の表は、実務で特に多い欠落項目と、その結果起きた問題を整理したものです。
欠けていた条項・文言 | 何が起きたか | なぜ再燃したのか |
清算条項 | 追加の慰謝料請求 | 「これで全て終わり」が明記されていない |
対象特定条項 | 別件扱いで再請求 | どの出来事の示談か不明確 |
支払期限・方法 | 支払遅延トラブル | いつ・どう払うかが決まっていない |
再請求禁止の明記 | 名目を変えた請求 | 請求放棄の範囲が曖昧 |
署名押印 | 合意自体の否定 | 本人の同意が証明できない |
最も多い原因は「清算条項の欠落」
再燃事例で圧倒的に多いのが清算条項の欠落です。清算条項とは、「本示談により、本件に関して当事者間にはこれ以上の債権債務が存在しない」などと記載する一文です。
この一文がないと、相手は次のように主張できます。「今回は一部について示談しただけで、他の請求権は残っている」
初心者向けに例えると、レジで会計をしたのに“これで全部です”と言っていない状態です。後から「実はこれもあります」と言われても、反論しにくくなります。
対象の特定不足による“別件扱い”
示談書に、発生日時・場所・行為内容が具体的に書かれていないと、「その示談は別の日の出来事の話だ」と主張されることがあります。
例えば、「不貞行為に関する示談」とだけ書かれている場合、別の時期・別の相手との行為については対象外だと争われる余地が生まれます。
支払条件の不明確さが火種になる
金額だけ書いて、支払期限や方法が曖昧な示談書も再燃しやすいです。「いつまでに払うのか」が決まっていないと、支払が遅れても違反かどうか争いになります。
結果として、
支払を巡る新たな紛争
強制的に回収できない状態に発展することがあります。
共通点の結論|トラブルは「悪意」より「抜け」で起きる
再燃事例を分析すると、相手が最初から悪意を持っていたケースは多くありません。多くは、「そこまで細かく決めていなかった」「テンプレート通りに作っただけ」という条項の抜け・甘さが原因です。
示談書は、感情的な話し合いの延長で作られがちですが、後から効いてくるのは書かれていない部分です。再トラブルを防ぐためには、「今は問題なさそう」ではなく、後から争われる可能性がないかという視点で、一文一文を確認することが重要です。
13.示談書と公正証書を比較検証|“必要事項”の網羅性に差はあるのか
示談書を作成する際、「公正証書にした方が安全なのか?」という疑問を持つ方は多いです。確かに公正証書には強い法的効果がありますが、必要事項の網羅性そのものにどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、同一の事案を前提に、①通常の示談書②公正証書で作成した場合を比較しながら検証します。
比較の前提|同一事案で2種類を作成した場合
前提とするのは、よくある金銭トラブルの示談です。
当事者AとBの間で金銭トラブルが発生
BがAに対し示談金100万円を支払うことで解決
分割払いはなく、一括支払い
将来の追加請求を防ぎたいケース
この条件をもとに、通常の示談書と公正証書を作成した場合の「記載事項」を比較します。
記載事項の比較一覧
まずは、必要事項がどこまで網羅されるかを一覧で見てみましょう。
項目 | 通常の示談書 | 公正証書 |
当事者の特定 | 任意(書き方に差) | 厳格に必要 |
事案内容の特定 | 曖昧でも作成可能 | 不明確だと作成不可 |
金額・支払条件 | 任意記載 | 必須・詳細 |
清算条項 | 入れ忘れが多い | 原則として明記 |
強制執行に関する文言 | 記載不可 | 必須(執行認諾文言) |
公的チェック | なし | 公証人が確認 |
表から分かる通り、公正証書の方が必要事項を落としにくい構造になっています。
通常の示談書の特徴と限界
記載の自由度が高い反面、抜けが生じやすい
通常の示談書は、当事者同士の合意で自由に作成できます。そのため、
清算条項を入れ忘れる
支払期限を「できるだけ早く」など曖昧に書く
事案内容を簡略化しすぎるといったミスが起こりがちです。
初心者向けに例えると、チェックリストのない契約書を自分で作るようなもので、重要項目を飛ばしてしまうリスクがあります。
必要事項は「意識しないと」網羅できない
通常の示談書でも、理論上はすべての必要事項を盛り込めます。しかしそれは、
何が必要事項かを理解している
過去のトラブル事例を知っている場合に限られます。
テンプレートを流用しただけでは、必要事項の完成度にばらつきが出やすいのが実情です。
公正証書の特徴|必要事項が自然に揃う理由
公証人によるチェック機能
公正証書の場合、作成過程で公証人が関与します。公証人は、
当事者の特定が十分か
内容が具体的か
法律上無効な内容が含まれていないかを確認します。
そのため、必要事項が欠けていると、そもそも完成しない仕組みになっています。
強制執行を前提とした構造
公正証書には、「支払いがなされない場合は直ちに強制執行を受けても異議がない」という文言が入ります。この文言を入れるためには、
金額
支払期限
支払方法が明確でなければなりません。
結果として、支払条件が曖昧な公正証書は存在しにくいのです。
網羅性の結論|差が出るのは「仕組み」
結論として、
法律上の必要事項そのものは、示談書も公正証書も同じ
しかし、網羅性に差が出るのは作成プロセスと言えます。
通常の示談書は、作成者の知識と注意力に依存します。一方、公正証書は、制度上「抜けを許さない構造」になっています。
どちらを選ぶべきかの考え方
最後に、選択の目安を整理します。
重視する点 | 向いている形式 |
手軽さ・スピード | 通常の示談書 |
必要事項の網羅性 | 公正証書 |
不払いリスク対策 | 公正証書 |
費用を抑えたい | 通常の示談書 |
重要なのは、「どちらを選ぶか」ではなく、必要事項が完全に書かれているかです。通常の示談書を選ぶ場合でも、公正証書レベルの網羅性を意識して作成することが、トラブル防止の鍵になります。
14.分野別に違う「示談書の必須事項」|交通事故・刑事・不倫・金銭トラブル比較
示談書に必要な基本事項は共通していますが、**分野によって「特に重視される必須事項」**は異なります。同じ示談書でも、交通事故と不倫トラブルでは、入れておかないと危険な条項がまったく違います。
ここでは、代表的な4分野について示談書を分析し、すべての示談書に共通する必須事項と、分野ごとに特有の必須事項を整理します。
まず押さえるべき「共通必須事項」
どの分野でも、以下の事項が欠けていると示談書として不安定になります。
共通必須事項 | 内容のポイント |
当事者の特定 | 氏名・住所・法人の場合は代表者 |
事案の特定 | いつ・どこで・何が起きたか |
合意内容 | 何をもって解決とするか |
示談金・支払条件 | 金額・期限・方法 |
清算条項 | 将来請求を遮断する一文 |
日付・署名押印 | 合意の成立証拠 |
これらは、どの分野でも共通して必要な土台です。以下では、この土台に加えて「分野特有で欠かせない事項」を見ていきます。
交通事故の示談書で特に重要な必須事項
交通事故では、損害の範囲をどう確定するかが最大のポイントです。
事故内容・損害項目の具体化
事故発生日時・場所
車両・人身の別
治療費・休業損害・慰謝料の内訳
これらを曖昧にすると、「まだ治療が終わっていない」「後遺障害が出た」として再請求される可能性があります。
治療費・後遺障害に関する整理
「本示談は、後遺障害等が発生しないことを前提とする」といった前提条件の有無が重要です。例えるなら、ゴールラインをどこに引くかを明確にする作業です。
刑事事件の示談書で特に重要な必須事項
刑事事件では、民事上の解決と刑事手続との関係がポイントになります。
被害届・告訴に関する条項
被害届を取り下げる意思があるか
告訴をしない、または取り下げる意思表示
これがないと、「示談したのに刑事手続が進んだ」という誤解が生じます。
宥恕文言(許す意思の明確化)
宥恕とは「許す」という意味です。「被害者は加害者を宥恕し、今後刑事責任を追及しない」という文言が、量刑判断に影響することがあります。
不倫・男女トラブルの示談書で特に重要な必須事項
不倫や男女トラブルでは、金銭よりも行為の制限が重要になることが多いです。
接触禁止・行為禁止条項
今後一切連絡しない
SNSでの接触・投稿をしない
第三者を通じた接触も禁止
これがないと、「連絡はしたが請求されるとは思わなかった」というトラブルが起きます。
違約金条項の重要性
禁止条項には、違反時の違約金をセットで定めることが多いです。違約金がない禁止条項は、罰則のないルールと同じで、実効性が弱くなります。
金銭トラブル・貸し借りの示談書で特に重要な必須事項
金銭トラブルでは、支払確保と回収手段が最重要です。
支払スケジュールの明確化
一括か分割か
各支払日の金額
振込先
ここが曖昧だと、支払遅延を責められません。
遅延損害金・期限の利益喪失条項
期限の利益喪失とは、「分割払いに遅れたら残額を一括請求できる」という仕組みです。ローン契約をイメージすると分かりやすいでしょう。
分野別必須事項を一覧で比較
最後に、分野ごとの違いを表で整理します。
分野 | 特に重要な必須事項 |
交通事故 | 損害内訳・治療範囲・後遺障害 |
刑事事件 | 被害届・告訴・宥恕文言 |
不倫・男女 | 接触禁止・違約金 |
金銭トラブル | 支払条件・遅延対策 |
まとめ|「共通+分野特有」の視点が不可欠
示談書は、「共通必須事項」だけでは不十分です。分野ごとに争点になりやすいポイントを先回りして押さえることが、再トラブル防止につながります。
テンプレートを使う場合でも、「この分野特有の必須事項は入っているか?」という視点で見直すことが、安全な示談書作成の近道です。
15.示談書チェック実務の裏側|専門家が「赤入れ」するポイント公開
示談書のチェック業務では、「一見まともに見える示談書」ほど危険なことがあります。専門家の実務では、ゼロから書き直すよりも、既存の示談書に赤字修正(赤入れ)をする場面が非常に多く、その過程で共通した修正ポイントが浮かび上がります。
ここでは、実際にチェックされた示談書をモデル化し、修正前/修正後で何がどう変わるのかを分かりやすく解説します。なお、内容は実務ベースですが、個人情報はすべて匿名化・一般化しています。
実際にチェックした示談書をモデル化
まずは、よくある「相談時点の示談書(修正前)」のモデルです。
修正前の示談書モデル(抜粋)
当事者AとBは、本件トラブルについて話し合いの結果、以下のとおり示談する
BはAに対し、示談金として50万円を支払う
本示談に基づき、双方は誠意をもって対応する
一見すると、「合意している」「金額も書いてある」ため問題なさそうに見えます。
しかし、専門家の目から見ると、赤を入れるポイントだらけです。
専門家が最初にチェックするポイント
「何のトラブルか」が分からない
まず最初に赤が入るのは、事案の特定です。
いつ起きたトラブルか
どこで起きたのか
どの行為についての示談か
これが書かれていないと、「この示談は別の出来事についてのものだ」と後から争われる余地が生まれます。
初心者向けに例えると、日付のない領収書のような状態です。
修正前/修正後の比較(核心部分)
以下は、実務でよく行われる修正の比較です。
チェック項目 | 修正前 | 修正後 |
事案の特定 | 本件トラブル | ○年○月○日、○市において発生した○○行為 |
金額 | 示談金50万円 | 示談金50万円(税込) |
支払期限 | 記載なし | ○年○月○日限り |
支払方法 | 記載なし | 指定口座への振込 |
清算条項 | 記載なし | 本件に関し、今後一切の請求をしない |
署名押印 | 名前のみ | 署名および押印 |
赤入れで必ず追加される「3大ポイント」
清算条項の追加
ほぼすべてのチェック案件で追加されるのが清算条項です。これは、「この示談で完全に終わりにする」という意思を文章で固定する役割があります。
この一文がない示談書は、終わったつもりの話し合いにすぎません。
支払条件の具体化
金額だけ書いてある示談書は非常に多いですが、
いつ
どうやって払うのかが書かれていないと、履行を求めにくくなります。
専門家は、「支払期限」「支払方法」「振込先」を必ずセットで確認します。
当事者特定の補強
氏名だけでなく、
住所
法人なら代表者を明記することで、「誰が責任を負うのか」を明確にします。
これは、後から『その人ではない』と言わせないための保険です。
専門家が見ているのは「今」ではなく「後」
示談書チェックで重要なのは、「今、当事者が納得しているか」ではありません。
数か月後
数年後
関係が悪化した後
その時に争われる余地があるかどうかを基準に赤入れが行われます。
感情が落ち着いている今だからこそ、「そこまで細かくしなくてもいいのでは」と思われがちですが、実務では逆です。
まとめ|赤入れは「ケチ」ではなく「保険」
専門家の赤入れは、揚げ足取りではありません。将来の紛争を予防するための作業です。
自分で作った示談書やテンプレート示談書がある場合、
清算条項は入っているか
事案は特定できるか
支払条件は誰が見ても同じ理解になるか
この視点で見直すだけでも、示談書の安全性は大きく変わります。不安が残る場合は、赤入れチェックを受けること自体が最大のリスク回避になります。
16.「必要事項は書いてあるのに負けた」裁判例の分析
示談書に「当事者・金額・署名押印」などの必要事項が一通り書いてあっても、裁判でその効力が否定または大きく限定されるケースは実際に存在します。実務では、「形式的には整っているのに、なぜ負けたのか」が問題になることが少なくありません。
ここでは、一見すると必要事項を満たしている示談書が、裁判でどのように評価され、なぜ効力が制限されたのかを共通点ベースで分析します。
裁判所が見ているのは「形式」ではなく「意味」
まず重要なのは、裁判所は「必要事項が“書いてあるか”」ではなく、「その記載がどこまでの合意を意味しているか」を重視するという点です。
そのため、条項が存在していても、解釈が分かれる・前提が不明確な場合には、示談書の効力が限定されることがあります。
典型パターン① 清算条項があっても請求が認められたケース
表面的には清算条項が存在していた
裁判例の中には、「本件に関し、今後一切の請求をしない」といった清算条項が記載されていたにもかかわらず、追加請求が一部認められたケースがあります。
なぜ効力が限定されたのか
理由は、
清算条項の対象となる「本件」が何を指すのか不明確
当時、当事者が想定していなかった損害まで含むかが争点になったためです。
例えるなら、「全部片付けた」と言ったが、どの部屋を指すのか決めていなかったような状態です。
典型パターン② 事案特定が甘く、示談の範囲が狭く解釈されたケース
事故・行為内容は書いてあったが…
発生時期が曖昧
行為内容が抽象的
継続的な行為の一部か全部か不明
といった示談書では、裁判所が「この示談は、そのうちの一部についてのみ成立している」と解釈することがあります。
結果として起きたこと
示談済みだと思っていたのに
別時点・別態様の請求が認められた
これは、「事案特定が書いてあるか」ではなく、第三者(裁判官)が読んで一義的に理解できるかが基準になるためです。
典型パターン③ 任意性が否定され、示談の効力自体が争われたケース
署名押印はあるが有効とされなかった
署名押印があっても、
強い心理的圧迫
交渉状況の不均衡
内容理解が不十分なまま署名といった事情があると、示談の有効性自体が争われます。
裁判所の判断軸
裁判所は、「本当に自由な意思で合意したのか」というプロセスの公正さを見ます。
つまり、書面が整っていても、合意形成の過程に問題があれば弱くなるということです。
典型パターン④ 金額は合意していたが、範囲が限定されたケース
「慰謝料として支払う」としか書いていない
示談書に「慰謝料として○円を支払う」と書いてあっても、
どの損害に対する慰謝料か
他の損害(治療費・逸失利益など)を含むか
が明記されていないと、「慰謝料部分のみの示談」と解釈されることがあります。
これは、金額が決まっている=すべて解決とは限らない典型例です。
「必要事項があるのに負けた」ケースの共通点
裁判で効力が否定・限定された示談書には、次の共通点があります。
共通点 | 問題点 |
文言が抽象的 | 解釈が割れる |
前提事情が書かれていない | 想定外の請求が残る |
対象範囲が曖昧 | 一部示談と扱われる |
合意経緯が不透明 | 任意性が疑われる |
これらはすべて、「必要事項はあるが、精度が足りない」状態と言えます。
裁判例が示す実務的な教訓
裁判例から分かる最大の教訓は、示談書はチェックリスト的に項目を埋めれば安全になるものではないという点です。
清算条項は「あるか」ではなく「どこまで及ぶか」
事案特定は「書いたか」ではなく「限定できているか」
合意内容は「合意したか」ではなく「誤解の余地がないか」
が問われます。
まとめ|「形式クリア=勝てる」ではない
「必要事項は全部書いてあるのに負けた」裁判例は、示談書の怖さと奥深さを示しています。
示談書で本当に重要なのは、将来、争う気満々の相手と裁判官が読んだときにどう解釈されるかという視点です。
形式を整えるだけでなく、「この一文で、本当に争いは終わるか?」という問いを持って作成・チェックすることが、負けない示談書につながります。
契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは?
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士:契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士:法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万 |
弁護士 | 契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
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