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その示談書、本当に有効?示談書の法的効力と無効になるケース

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 2 日前
  • 読了時間: 43分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。


示談書を作成したからといって、安心してはいませんか?実務では「署名があるのに後で争われた」「支払われなかった」といったトラブルが少なくありません。本コラムでは、示談書の法的効力や無効になる典型的なケースを、初心者でも理解できるように分かりやすく解説します。示談書のリスクと正しい作り方を知り、安心できる合意を目指しましょう。



  本記事のまとめ:

重要事項

概要

署名があっても法的効力には限界があり、無効・争いになるケースも多い。

当事者特定、事案の内容、金額・支払方法・期限、清算条項の正確な記載がトラブル防止の鍵。

即日署名や精神的動揺下での合意、LINEや口頭のみの合意は無効リスクを高めるため、冷静に条文を確認し必要に応じて専門家に相談することが推奨される。

🌻示談書に関する知識が不十分だと、後々裁判や請求トラブルに発展する可能性があります。本記事では、無効になりやすい条文パターンや交渉過程の注意点、専門家に依頼すべきケースなどを詳しく解説。自分で示談書を作る前に知っておくべきポイントが詰まっています。トラブル防止のためにも、ぜひ最後まで読んで実践してください。


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▼目次



~事例・比較分析紹介~



~番外編~




  1.示談書とは何か?―「サインすれば安心」という誤解


そもそも「示談」とは何か

示談とは、トラブルや紛争が起きた際に、裁判を起こさず当事者同士で話し合い、解決策を決めることを指します。簡単に言えば「話し合いによる解決」です。


例えば、交通事故で軽いケガをした場合、加害者と被害者が話し合って損害賠償の金額や支払い方法を決めるのも示談です。裁判に比べて時間や費用がかからず、柔軟な条件で解決できるのがメリットですが、口約束だけでは後でトラブルになることもあります。



示談書とはどんな書類か(契約書との位置づけ)

示談書は、示談内容を文書にまとめたものです。「こういう条件で解決する」という合意を記録する契約書の一種と考えればわかりやすいです。

ポイントは以下の通りです:

項目

説明

目的

示談で合意した内容を記録して後で争いにならないようにする

法的性質

契約書と同じく当事者間での約束であり、署名や押印で効力が生じることが多い

損害賠償金額、支払い期限、和解条件などを明記

つまり、示談書があれば「口約束よりも証拠として強い」という利点がありますが、内容や作り方によっては後で「無効」とされることもあるので注意が必要です。



口頭示談・念書・合意書との違い

示談に関する書類には、似たような名前のものがいくつかあります。違いを整理するとわかりやすいです。

書類の種類

特徴

注意点

口頭示談

口頭で示談内容を確認するだけ

証拠が残らず、後で争いになる可能性大

念書

「〜することを誓います」といった簡単な書面

法的効力は限定的で、強制力が弱い場合が多い

合意書

双方の合意を明記した文書

示談書とほぼ同義だが、細かい条件まで書かないこともある

示談書

示談内容を具体的に文書化したもの

条件を明確にし、署名・押印すれば法的証拠として強い

初心者が見落としがちなのは、どの書類も「書いてあるだけで絶対安心ではない」という点です。特に口頭や簡易的な念書では、後で履行を求めるのが難しくなることがあります。



なぜ「示談書があるのに揉める」ケースが多いのか

示談書を作ったのにトラブルになるケースは意外と多く、その理由はいくつかあります。

  1. 内容が不明確「○○円支払う」だけで、支払い方法や期限、違約時の対応が書かれていないと、解釈の違いで揉めます。

  2. 法的要件を満たしていない未成年者や認知能力に問題がある人が署名した場合、無効になることがあります。また、脅迫や騙しによる署名も無効です。

  3. 公正証書にしていない示談書は民事上の契約書ですが、強制執行力(裁判所を通じて強制的にお金を回収できる力)はありません。支払われない場合は裁判が必要になることもあります。

  4. 口約束や別条件との矛盾署名後に「実は口頭でこう約束された」と主張するケースもあり、証拠として争いが生じます。


こうした点から、「サインしたから安心」と考えるのは危険です。示談書は作成して終わりではなく、内容を正確に、法的にも有効な形で整えることが重要です。



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  2.示談書の法的効力の正体


示談書は法律上どんな効力を持つのか

示談書は、当事者同士の合意内容を文書化したもので、法律上は「契約」として扱われます。そのため、示談書に署名・押印をした場合、原則としてその内容は当事者間で守られるべき約束となります。


つまり、示談書があることで、口約束よりも「証拠としての強さ」が増します。裁判で「こういう約束をした」と主張するときに、示談書は重要な証拠になります。

ただし注意点があります。示談書はあくまで当事者間の合意を証明するものであり、自動的に支払いを強制できる力はないことです。強制力を持たせたい場合は、公正証書として作成するなど別の手続きが必要になります。



当事者間に生じる効力(債務・請求権の確定)

示談書が効力を持つ最大のポイントは、当事者間の権利・義務を明確化することです。

例えば、交通事故で損害賠償金について以下の示談書を作ったとします。

項目

内容

支払額

50万円

支払期限

2026年2月28日

支払方法

銀行振込

この場合、加害者は「50万円を期限までに支払う義務」が生じ、被害者は「支払いを受ける権利(債権)」を持ちます。示談書があることで、後から「金額は口頭で違ったはず」と主張されにくくなります。


このように、示談書は債務と請求権を確定させる効果があります。ただし、あくまで当事者間での効力である点は忘れてはいけません。



第三者・裁判に対する効力の限界

示談書は当事者間では強い効力を持ちますが、第三者や裁判に対しては限界があります。

  • 第三者への効力:示談書の内容は基本的に当事者間の約束です。たとえば、加害者の家族や保険会社など第三者に対して自動的に効力を及ぼすわけではありません。

  • 裁判における効力:裁判所は示談書を証拠として重視しますが、内容が違法・不明確・脅迫下で作られた場合などは無効と判断されることもあります。

つまり、示談書は万能ではなく、「強制力や第三者効力は限定的」という点を理解しておく必要があります。



刑事事件・民事事件それぞれにおける位置づけ

示談書の効力は、事件の種類によっても異なります。

事件の種類

示談書の位置づけ

ポイント

刑事事件

加害者の処罰を免れるわけではないが、検察が起訴を見送る参考になることがある(不起訴理由の1つ)

示談が成立しても刑事責任は免れない

民事事件

損害賠償などの請求権の根拠となる

示談書があると裁判で証拠として有効、ただし不明確な内容は争点になる


たとえば、暴行事件の被害者との示談書があった場合、検察は「被害者と和解済み」という事実を考慮して処分を軽くすることがありますが、犯罪自体の成立は変わりません。一方、民事では損害賠償請求に直結します。



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  3.示談書が「無効・取り消し」になる典型ケース


示談書は当事者間の合意を証明する強力な文書ですが、作り方や状況によっては無効や取り消しの対象となることがあります。ここでは、典型的なケースを具体例とともに解説します。



内容が不明確・特定できない場合

示談書の内容が曖昧だと、「どの条件で合意したのか不明」と裁判で判断され、効力が認められないことがあります。


例:

  • 「後日支払う」「適切な金額を支払う」とだけ書かれている

  • 支払い方法や期限が記載されていない

このような場合、示談書があっても後でトラブルになりやすく、裁判でも証拠として弱くなる可能性があります。


対策

  • 支払金額・期限・方法を明確に記載する

  • 条件や範囲を具体的に特定する

項目

良い例

悪い例

金額

「50万円」

「適当な額」

支払期限

「2026年2月28日」

「後日」

支払方法

「銀行振込」

「相談の上」



公序良俗違反・強行規定違反

示談書の内容が法律や社会のルールに反している場合、無効になります。


例:

  • 犯罪行為を隠すための示談書(窃盗や暴行の示談)

  • 違法な契約条件(明らかに不当な損害賠償や契約解除条件)

法律で定められた強行規定(絶対に守らなければならないルール)に反している内容は、たとえ署名しても効力が認められません。



錯誤・詐欺・強迫による合意

示談書の署名・押印が誤解・騙されて・脅されて行われた場合も取り消しの対象です。

  • 錯誤:内容を誤解して署名した場合(例:「支払額を50万円だと思ったが実は500万円だった」)

  • 詐欺:相手にだまされて署名した場合

  • 強迫:暴力や脅迫で署名させられた場合

この場合、後で「合意は無効です」と裁判で主張できる余地があります。



当事者の特定ミス・権限のない者の署名

示談書に署名した人物が当事者でない、または署名権限がない場合も無効の原因となります。


例:

  • 会社の代表権がない社員が会社を代表して署名

  • 法定代理人の同意が必要な未成年が単独で署名

こうした場合、示談書の効力は法的に認められないことがあります。



電子契約・LINE合意で問題になりやすい点

近年では、LINEやメール、電子契約で示談を交わすケースも増えています。しかし、電子的なやり取りは署名押印がないため、効力が争われやすいことがあります。

  • メッセージだけでは「合意内容が明確か」「署名の意思があったか」が不明確

  • 改ざんや消去の可能性があり、証拠としての信用度が低くなる


対策

  • 可能であればPDFや電子署名を活用して署名の意思を明確にする

  • 重要な示談は公正証書にすることで、強制執行力も持たせる


示談書の無効リスクを理解していれば、後々のトラブルを防ぐことができます。



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  4.示談書があっても「請求・訴訟される」ケース


示談書は当事者間の合意を記録した重要な書類ですが、作ったからといってすべてのトラブルが完全に防げるわけではありません。ここでは、示談書があっても請求や訴訟につながる典型的なケースを解説します。



清算条項が不十分な場合

示談書には「今後、一切の請求をしない」といった清算条項(全ての権利義務が解決したことを明記する条項)を盛り込むことが重要です。


不十分な例

  • 「損害賠償については合意した」だけで、その他の請求権について触れていない

  • 「今回の件はこれで解決」と書かれているが、具体的な範囲や条件が曖昧

この場合、後になって当事者が「別の損害も請求したい」と主張すると、裁判で争いになることがあります。


対策

  • 清算条項は具体的に明記する

  • 「今回の示談により発生したすべての損害について、当事者間で完全に解決する」と明記

想定外の損害が後から発覚した場合

示談書作成時には、まだ分かっていなかった損害や費用が後から発生することがあります。


例:

  • 交通事故後に後遺症が判明し、治療費が増えた

  • 商品事故で当初見積もり以上の損害が判明した

示談書に「現時点で判明している損害のみを対象」と記載されていると、後から追加請求が可能になる場合があります。逆に、「すべての損害について解決済み」と明記していれば、追加請求のリスクは低くなります。



示談の対象範囲が限定的だった場合

示談書の対象が一部の事項や特定の損害だけに限定されている場合も、他の権利や損害について請求されることがあります。

対象範囲

請求リスク

損害賠償金のみ

治療費・慰謝料・逸失利益など追加請求される可能性

契約違反のみ

損害賠償や慰謝料は別途請求される可能性

すべての損害・権利を網羅

請求リスクは最も低い

示談書を作成する際は、どこまでが対象かを明確にすることが重要です。



刑事事件での示談と不起訴の誤解

示談が成立した場合、被害者は加害者に対する民事上の請求を取り下げることができますが、刑事事件の処分には直接的な影響はありません

  • 被害者との示談が成立しても、検察官が犯罪事実を確認すれば起訴される場合がある

  • 示談が不起訴の条件になるわけではない


つまり、「示談書があれば刑事事件も終了する」と誤解すると危険です。被害者の同意は重要ですが、最終判断は検察や裁判所に委ねられます。


このように、示談書を作成しても、請求や訴訟の可能性は完全には排除できません



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  5.示談書と公正証書の決定的な違い


示談書は便利な書類ですが、万能ではありません。特に「支払いを強制できるかどうか」や「法的効力の確実性」という点で、公正証書とは大きな差があります。ここでは両者の違いを詳しく解説します。



私文書である示談書の弱点

示談書は、当事者が作成する私文書です。つまり、作成や署名は当事者同士で行い、法的機関が関与していません。


弱点の例

  1. 強制執行力がない示談書があっても、相手が支払わない場合は、裁判を起こして判決を取る必要があります。

  2. 内容の解釈で揉めやすい曖昧な表現や条件不足だと、「この条項はこういう意味だ」と争われる可能性があります。

  3. 偽造や改ざんのリスク当事者が私文書を変更したり、署名の有効性を争うことも可能です。



公正証書とは何か

公正証書は、公証役場で公証人が作成する公文書です。法律上、極めて信頼性が高く、内容が証明力を持ちます。


特徴:

  • 公証人が内容を確認・作成する

  • 署名押印と同等に法的効力が強い

  • 原本は公証役場に保管されるため、改ざんがほぼ不可能

つまり、公正証書は示談書よりも法的に安全で強力な書類といえます。



強制執行力の有無の違い

最大の違いは、相手が合意を守らなかった場合に、直接強制執行できるかどうかです。

書類の種類

強制執行力

備考

示談書

なし

支払われない場合は裁判で判決を得る必要あり

公正証書

あり(条件を満たせば即時可能)

支払わない場合、裁判なしで差押え・強制執行が可能


例:

  • 示談書:相手が「支払えない」と主張した場合、裁判を経て判決を得なければ取り立てられない

  • 公正証書:支払い期日を過ぎたら、裁判を経ずに銀行口座や給与の差押えができる



「示談書で足りるケース」と「公正証書必須のケース」

示談書と公正証書は使い分けが重要です。

ケース

適切な書類

理由

軽微なトラブル・少額の金銭

示談書

当事者間の信頼関係で解決可能、費用も安い

高額の損害賠償や強制執行を想定

公正証書

支払いが滞った場合に裁判なしで強制執行できる

相手が支払いを渋る可能性がある

公正証書

法的効力が強く、債権回収の安全性が高い

刑事事件の被害者との和解

示談書+必要に応じ公正証書

示談書だけでも和解の証拠になるが、安全性を高める場合は公正証書


ポイントは、**「金額やリスクが大きい場合は公正証書を選ぶ」**という判断です。示談書でも十分な場合はありますが、後々のトラブル防止のため、状況に応じて公正証書の利用を検討するのが安心です。


このセクションで、読者は示談書と公正証書の違いや、どちらを選ぶべきかの判断基準を理解できるようになります。



  6.無効になりにくい示談書を作るための必須記載事項


示談書は作成するだけでは安心できません。正確に必要な情報を盛り込み、法的に有効な形にすることが重要です。ここでは、無効になりにくい示談書を作るための必須項目を詳しく解説します。



当事者の正確な特定

示談書では、署名する当事者を明確に特定することが不可欠です。

  • 氏名だけでなく住所、生年月日なども記載すると誤認防止になります。

  • 会社の場合は代表者名と会社名、法人番号などを明記しましょう。

  • 代理人が署名する場合は、代理権があることを示す書面を添付すると安全です。


例:

当事者:
被害者:山田太郎(住所:東京都〇〇区〇〇町1-2-3、1975年5月10日生)
加害者:鈴木一郎(住所:神奈川県△△市△△町4-5-6、1980年3月15日生)


事案の特定(日時・場所・内容)

どの出来事に関する示談かを明確にしないと、後で「何に対する合意か不明」と争われる原因になります。


記載例:

  • 事件・事故の日時

  • 場所

  • 具体的な事案の内容


例:

事案の内容:
2025年10月1日、東京都渋谷区〇〇交差点における交通事故により、被害者の車両に損害を与えた件


金額・支払方法・期限の明示

示談書の中心は、支払い条件です。曖昧だと無効リスクが高まります。

項目

記載例

ポイント

支払額

50万円

金額は具体的に数字で明示

支払方法

銀行振込(〇〇銀行△△支店 普通口座1234567)

振込先や手段を明確化

支払期限

2026年2月28日

「後日」「なるべく早く」は避ける



清算条項の正しい書き方

示談書では、この合意によってすべての権利義務が解決したことを明記すると、後から請求されるリスクを減らせます。


記載例:

本示談書に記載された事項をもって、当事者間における本事案に関する一切の請求権及び義務は完全に清算されたものとする。


違反時の対応(遅延・違約条項)

万一、支払いが遅れた場合や条項違反があった場合の対応を明記すると、安全性が高まります。


記載例:

  • 遅延利息:年○%の利率で遅延損害金を支払う

  • 違約金:支払遅延時は△万円を追加請求可能

  • 強制執行の可否(公正証書化の場合は特に重要)


例:

支払期限を過ぎた場合、未払金額に対して年5%の遅延損害金を加算する。また、本示談書に基づき直ちに強制執行を行うことができる。


署名・押印・日付の重要性

示談書は署名・押印・日付が揃うことで法的効力が強まります。

  • 署名:当事者本人の署名であることが重要

  • 押印:認印でも可だが、実印ならより信頼性が高い

  • 日付:作成日を明記することで、効力の発生時期を明確に


ポイント:

  • 署名・押印がない場合、契約の成立や証拠力が争われることがあります

  • 複数部作成し、双方が保管することで後日の紛争を防止


これらの項目を漏れなく盛り込むことで、無効になりにくく、後で争われにくい示談書を作成できます。



  7.【ケース別】示談書作成時の落とし穴


示談書は作り方次第でトラブルを防ぐこともできますが、ケースごとに注意すべき落とし穴があります。ここでは、交通事故・不倫・男女トラブル・金銭トラブルの3つの典型ケースに分けて解説します。



交通事故の示談書

保険会社任せの危険性

交通事故の示談は保険会社を通じて行うことが多いですが、保険会社任せにすると本人の意思や細かい条件が反映されないリスクがあります。

  • 保険会社は「示談成立」を優先することがあり、被害者が希望する条件まで考慮されないこともある

  • 自分の権利を守るため、示談書の内容は必ず確認することが重要


例:

  • 医療費の範囲や通院期間の明記がないまま示談が成立してしまう

  • 後遺症が判明した場合、追加請求が難しくなる可能性


総額表示・過失割合の注意点

示談書では、損害賠償総額や過失割合を正確に明記することが重要です。

注意点

解説

総額表示

「合計50万円」だけでなく、内訳(修理費・慰謝料・通院費など)を明示

過失割合

自分の過失がある場合は、割合を明確に記載し、将来の争いを防ぐ

過失割合や合計金額を曖昧にすると、後で「計算が違う」とトラブルになる可能性があります。



不倫・男女トラブルの示談書

誓約事項・違反時ペナルティ

不倫や男女トラブルの示談書では、今後の行動や違反時のペナルティを明確に書くことが重要です。

  • 浮気防止や接触禁止の誓約を具体的に明記

  • 違反した場合の金銭的ペナルティや損害賠償額を設定


例:

被告は今後、原告に対して直接・間接を問わず接触を禁止し、違反した場合は金50万円を支払う。

守秘義務・求償権放棄の注意点

示談書で守秘義務や求償権放棄を盛り込む場合、内容が不明確だと無効になったり、争点になったりします。

  • 「秘密にすること」だけでなく、具体的な範囲や期間を明示

  • 求償権放棄(第三者に請求しないこと)の有効性を確認


例:

  • LINEやSNSでのやり取りは対象外とするかどうかを明記

  • 将来の損害賠償請求を完全に放棄するのかを具体的に書く



金銭トラブル・個人間紛争

分割払い・未払いリスクへの備え

個人間の金銭トラブルでは、支払い方法や遅延時の対応を具体的に記載することが重要です。

  • 分割払いの場合は、回数・期限・金額を明確にする

  • 遅延や未払い時の対応(遅延損害金、強制執行可否)を明示



例:

返済金額:50万円  
分割回数:5回(毎月10万円)  
支払日:毎月末日  
遅延損害金:年5%  
  • 支払いが滞った場合の強制執行権を確保しておくと安心

  • 曖昧な約束(「なるべく早く」「相談の上で」)は避ける


これらのケース別の注意点を押さえることで、示談書を作ったのに後で揉めるリスクを大幅に減らすことができます



  8.示談書は自分で作れる?専門家に依頼すべき判断基準


示談書は本人でも作成できますが、トラブルや無効リスクを避けるためには専門家のチェックが重要なケースがあります。ここでは、自作できる場合と専門家に依頼すべき場合の判断基準を解説します。



自作できるケース

示談書を自分で作成しても安全なケースは、比較的単純で少額、条件が明確な場合です。

  • 金額が少額で、支払い期日・方法が単純

  • 当事者間の関係が良好で、信頼関係がある

  • 内容が明確で争いの余地が少ない


例:

  • 友人間での貸金返済(数万円単位)

  • 小規模な物品売買による損害の清算


自作の場合でも、必ず以下の基本は守りましょう:

  • 当事者・事案の特定

  • 金額・支払方法・期限の明示

  • 署名・押印・日付



自作が危険なケース

逆に、トラブルや無効リスクが高い場合は専門家に依頼すべきです。

  • 高額の損害賠償(交通事故、後遺症、慰謝料など)

  • 複数の権利・請求をまとめる場合

  • 相手が支払いを渋る可能性がある場合

  • 刑事事件や不倫・男女トラブルなど内容が複雑な場合


これらのケースでは、自作では条文の不備や曖昧さが原因で後から争われるリスクが高まります。



行政書士・弁護士の役割の違い

示談書の作成やチェックに関して、行政書士と弁護士にはそれぞれ役割の違いがあります。

専門家

役割

特徴

行政書士

示談書作成・内容チェック・公正証書化支援

民事上の書面作成に特化、費用が比較的安い

弁護士

示談交渉・訴訟対応・法的助言

法的争いを前提とした戦略や強制力まで対応可能

  • 簡単な示談書作成や形式の確認 → 行政書士で十分

  • 金額が大きい、争いの可能性が高い、刑事絡み → 弁護士に依頼



費用よりリスクを重視すべき理由

示談書作成にかかる費用は、トラブルが発生した場合の損害や裁判費用に比べると微小です。


例:

  • 示談書作成費用:数万円~十数万円

  • 交通事故や慰謝料の争いでの裁判費用・損害賠償:数十万~数百万円

  • 精神的負担や時間も大きく節約可能


つまり、「費用をケチって自作した結果、後で高額請求や裁判に発展するリスク」を避けるために、専門家を活用する方が合理的です。


このように、示談書はケースやリスクに応じて自作と専門家依頼を使い分けることが重要です。



  9.示談書に関するよくある質問(FAQ)


示談書は便利な書類ですが、作成や運用に関して疑問を持つ方も多いです。ここでは、よくある質問と回答をまとめました。



示談書に決まった形式はある?

示談書に法律で定められた決まった形式はありません。

  • 手書きでも、ワープロで作成した文書でも有効

  • 重要なのは、当事者の特定・事案の特定・金額・支払条件・署名押印が明確であること

  • 曖昧な文書は無効や争いの原因になることがあります


例:

  • 「2025年10月1日の事故について50万円を支払う」と明確に書かれていれば形式は自由



手書き・電子契約でも有効?

手書きや電子契約も原則として有効です。ただし、注意点があります。

種類

有効性

注意点

手書き

有効

署名・押印・日付を忘れないこと

ワープロ印刷

有効

同様に署名・押印を必ず行う

電子契約(LINE、メール、クラウド契約)

条件付きで有効

当事者の合意が証明できることが重要。改ざんや送信履歴の保存もポイント

ポイントは、「誰が、いつ、どのように合意したかが証明できること」です。



示談書の部数やサイズに決まりは?

部数やサイズに法的な決まりはありませんが、管理上の注意点があります。

  • 最低2部作成し、当事者がそれぞれ1部ずつ保管

  • 可能であればコピーを取り、公証役場で保管する場合は原本を提出

  • A4サイズが一般的で、読みやすく整理することが望ましい


ポイント:

  • 署名押印のある原本を各自で保管することで、後日の紛争を防ぎやすくなります



サイン後に内容を変更できる?

原則として、署名・押印後の示談書は当事者の合意なしに変更できません

  • 変更が必要な場合は、双方の署名押印で追記・修正した合意書を作成する

  • 修正せず一方的に書き換えると、無効やトラブルの原因になります


例:

  • 支払期日を延長したい場合 → 「2026年3月末に変更する」と双方が署名押印して追記



相手が履行しなかった場合どうする?

示談書に基づく義務が履行されない場合、取れる手段があります。

  1. 裁判外の督促

    • 内容証明郵便で請求する

    • まずは交渉で解決を試みる

  2. 裁判による履行請求

    • 示談書は私文書の場合、裁判で請求権を確認して判決を得る必要がある

  3. 公正証書化していれば強制執行可能

    • 支払期日を過ぎた場合、裁判なしで差押えが可能


ポイント:

  • 示談書だけでは支払いを強制できない場合が多い

  • 重要な支払いや高額請求の場合は、最初から公正証書にしておくと安全


このFAQを押さえることで、示談書作成における疑問や不安を事前に解消でき、トラブル回避にもつながります。



  10.まとめ|「示談書があるから安心」は最も危険


示談書は便利なツールですが、「書いたから絶対安心」と考えるのは非常に危険です。ここでは、示談書作成の総まとめとして、注意すべきポイントを整理します。



示談書の法的効力には限界がある

示談書は当事者間の合意を証明する書面ですが、万能ではありません

  • 私文書で作られた場合、相手が履行しなければ裁判を経て判決を得る必要がある

  • 刑事事件では示談書があっても、必ずしも不起訴になるわけではない

  • 曖昧な表現や不十分な記載は、法的効力を弱める原因になる

ポイントは、示談書だけで全てを解決できるわけではないことを理解することです。



無効・争いになる示談書には共通点がある

無効や争いになる示談書には、いくつかの共通点があります。

共通点

内容例

当事者・権限の不明確

署名者が代理人で権限が不明、住所や氏名が不正確

事案や金額が不明瞭

何に対する示談か、支払額や内訳が曖昧

条件や期限が不明

支払い期日、方法、違反時対応が記載されていない

法律違反の条項

公序良俗違反や強行規定違反が含まれる

書面の形式不備

署名・押印・日付が不明確、電子契約の証拠が不十分

これらはすべて、後で争いが発生する典型的な原因です。



本当に紛争を終わらせたいなら取るべき選択

示談書で安心するのではなく、安全性を確保する工夫が重要です。

  • 高額や複雑なトラブルは、公正証書化を検討する

  • 書面作成に不安がある場合は、行政書士や弁護士にチェックを依頼

  • 条件や金額、期日、違反時対応を明確に書く

  • 署名・押印・日付をきちんと記載し、当事者双方が保管する


例:

  • 交通事故の示談で後遺症の可能性がある場合 → 金額や支払条件を明記した公正証書にする

  • 個人間の貸金返済 → 分割払いの条件や遅延利息を明記して示談書を作成


結論示談書は「紛争を防ぐ手段」の一つに過ぎません。作っただけで安心せず、内容の明確化・証拠力の確保・専門家チェックを組み合わせることで、初めて安全に紛争を終わらせることができます。


これにより、後日のトラブルや請求リスクを大幅に減らすことが可能です。



~事例・比較分析紹介~



  11.示談書が“実質的に無意味”になる条文パターンの分析


示談書は作成しても、条文の書き方次第では法的効力が弱まり、実質的に無意味になることがあります。ここでは、実際の相談や依頼で多かった「無効・争いの火種になった条文」を整理し、典型的なパターンを解説します。



清算条項が曖昧

示談書の清算条項とは、この合意によってすべての権利義務が解決されたことを示す条文です。しかし、曖昧な書き方だと争いの原因になります。


例:

「本件に関する一切の金銭は、今後請求しない。」

問題点:

  • 「一切の金銭」が何を指すのか不明確

  • 後日発覚した損害や通院費用が対象か不明

  • 「請求しない」という文言だけでは、争いを防ぎきれない


安全策:

「本示談書に記載された内容をもって、当事者間における本事案に関する一切の請求権および義務は完全に清算されたものとする。」
  • 具体的な事案を明示することで、後の争いを防止



支払期限・方法が未特定

支払期限や方法が曖昧な条文は、履行義務が争点になりやすく、無効化のリスクが高いです。


例:

「示談金は後日支払うこととする。」

問題点:

  • 「後日」がいつなのか不明

  • 支払い方法(振込・現金手渡し)が不明

  • 違反時の対応も未記載


安全策:

項目

記載例

支払額

50万円

支払方法

銀行振込(〇〇銀行 △△支店 普通口座1234567)

支払期限

2026年2月28日まで

  • 明確な期限・方法を記載することで、争いを防ぐ



当事者の特定不足

示談書の署名者が不明確だと、誰が義務を負い、誰が権利を有するかが不明となり、無効や争いの原因になります。


例:

「当事者は本件示談に同意する。」
  • 誰が署名したのか不明

  • 住所や氏名、生年月日が記載されていない


安全策:

当事者:
被害者:山田太郎(住所:東京都〇〇区〇〇町1-2-3、1975年5月10日生)  
加害者:鈴木一郎(住所:神奈川県△△市△△町4-5-6、1980年3月15日生)
  • 署名・押印を行い、当事者双方が保管



「今後一切請求しない」の乱用

「今後一切請求しない」とだけ書かれた条文は便利に見えますが、乱用すると後日トラブルの火種になります。

  • 追加費用や後遺症など、後から発覚した損害は対象か不明

  • 曖昧な表現であるほど、裁判で争われやすい


安全策:

  • 対象範囲を具体的に明記

  • 「本示談書に記載された事項に限る」とするなど、範囲を限定


例:

「本示談書に明示された金額・期間・事案に関して、当事者は一切の請求を放棄する。」


まとめ

無効・争いの火種になりやすい条文には、以下の共通点があります。

パターン

問題点

清算条項が曖昧

何を清算したのか不明確

支払期限・方法が未特定

履行義務が争点になりやすい

当事者の特定不足

誰が義務を負うか不明

「今後一切請求しない」の乱用

対象範囲が不明で争われやすい


結論示談書の条文は、具体的・明確に書くことが最重要です。曖昧な条文は、示談書の存在自体が「実質的に無意味」になるリスクがあるため、作成時は注意しましょう。



  12.示談書があっても請求・訴訟が再燃したケースの共通点整理


示談書を作成しても、後日請求や訴訟に発展するケースがあります。ここでは、実際に発生した事例を分析し、再紛争の原因を整理します。



清算条項の範囲不足

示談書の清算条項が不十分だと、「合意したはずの範囲」を巡って争いが再燃します。

例:

「本件に関する金銭について、一切請求しない」

問題点:

  • 「金銭」が交通費、通院費、慰謝料など具体的に分かれている場合、どれまで含まれるか不明

  • 後日、被害者が「通院費は含まれていない」と主張し、再請求


ポイント:

  • 清算条項は対象範囲を具体的に明示することが重要



想定外損害の未整理

示談書作成時に、将来発生し得る損害を想定していなかった場合、再紛争に発展しやすくなります。


例:

  • 交通事故で示談成立 → その後、後遺障害が発覚

  • 示談書に「後遺症や将来の医療費は含まない」と明記していない


表で整理すると:

原因

具体例

再紛争リスク

想定外の損害未整理

後遺障害・追加通院費

示談時に発生していない損害

修理後の追加費用

将来の慰謝料・逸失利益

曖昧な条文

ポイント:

  • 高額リスクのある案件では、後日発生する可能性がある損害も明示する



刑事・民事の区別ミス

示談書作成時に、刑事事件と民事事件の効力を混同すると、後のトラブルの原因になります。

  • 刑事事件で示談しても、警察や検察の判断は変わらない

  • 民事事件の権利(損害賠償請求など)とは別物


例:

  • 不倫トラブルで「示談金を支払ったので刑事問題は解決」と書いた → 実際には刑事上の責任は別途判断される


ポイント:

  • 示談書には刑事・民事それぞれの位置づけを明確にする

  • 「刑事事件の不起訴」と「民事上の請求権放棄」は別事項と理解する



再紛争に至る共通点まとめ

再紛争に発展したケースには、以下の共通点があります。

共通点

内容

清算条項の範囲不足

どこまで請求権を放棄するか明確でない

想定外損害の未整理

後日発生する可能性のある損害を考慮していない

刑事・民事の区別ミス

示談書の効力範囲を誤解して記載している


結論

示談書作成時には、範囲を具体的に明示し、将来発生する損害や刑事・民事の区別を整理することが、再紛争防止の最も重要なポイントです。


これを怠ると、示談書があるにも関わらず、後日請求や訴訟に発展するリスクが高まります。



  13.公正証書にしていなかったために“回収できなかった”示談金の実態


示談書を作成しても、公正証書にしていない場合、示談金が回収できないリスクがあります。ここでは、実際の事例や原因を分析し、どの段階で防げたのかを整理します。



分割払い・後払い示談で不履行になったケース分析

示談金の支払いが一括ではなく分割や後払いの場合、相手方の支払い意思に依存するため、未払いリスクが高まります。


例:

  • 交通事故の示談で50万円を5回に分けて支払う約束 → 2回目以降が未払い

  • 個人間貸金トラブルで、返済を翌月以降に延期する合意 → 約束が守られず回収不能


問題点:

  • 示談書は私文書のため、相手が支払わない場合、裁判を経ない限り強制できない

  • 裁判を起こしても時間や費用がかかり、回収までに大きな負担



なぜ強制執行できなかったのか

公正証書にしていない場合、強制執行の権利を持てないことが主な原因です。

項目

私文書(通常の示談書)

公正証書

強制執行

原則不可(裁判で判決が必要)

可(裁判なしで差押え可能)

証拠力

当事者間の合意証明のみ

強制執行力あり、履行義務が明確

回収リスク

高い

低い


解説:

  • 私文書では、相手が支払わない場合、裁判を経て判決を取得する必要がある

  • 公正証書は作成時に公証人が内容を確認するため、そのまま強制執行が可能



どの段階で防げたのか

未回収リスクを防ぐには、示談書作成の段階での対策が重要です。

  1. 分割・後払いが必要な場合は公正証書化を検討

    • 公証役場で「支払督促条項」を付与すると、支払期日を過ぎたら裁判なしで差押え可能

  2. 条文で履行義務と違約時の対応を明確にする

    • 支払期日、方法、遅延利息を明記

  3. 証拠の保存

    • 電子メールやLINEでの合意は証拠になるが、強制執行には私文書のままでは不十分

  4. 専門家に相談

    • 高額示談や複雑な分割払いの場合、行政書士や弁護士にチェックしてもらうことで安全性を高められる



まとめ

  • 分割・後払い示談は便利ですが、未払いリスクが高い

  • 私文書の示談書では強制執行できないため、回収が困難になることがある

  • 公正証書化や履行条項の明確化を示談書作成時に行えば、リスクを大幅に低減可能


ポイント示談金の安全な回収を目指すなら、作成段階で「公正証書にするかどうか」「支払方法や違反時対応を明確にするか」を必ず検討しましょう。これにより、後日の不履行リスクを防ぎ、示談の意味を本当に実現できます。



  14.テンプレート示談書が危険になる具体的場面の洗い出し


インターネット上には、無料でダウンロードできるテンプレートの示談書が多数あります。しかし、テンプレ通りに作成すると後でトラブルになるケースが意外と多いのです。ここでは、実務で見られる危険な場面を整理します。



ネット上の無料テンプレートと実務のズレ

無料テンプレートは、一般的な条文しか含まれておらず、個別の事情や複雑なケースに対応できないことがあります。


例:

  • 交通事故のテンプレでは「示談金〇〇円を支払う」とだけ記載

  • 実務では、過失割合、通院費、修理費、後遺障害費など細かい清算が必要


問題点:

  • 条文が簡易すぎて、後日請求や争いが発生しやすい

  • 当事者の特定、支払期日・方法、違反時の対応が明記されていない



テンプレ通りに書いても足りない項目

テンプレをそのまま使うと、次のような重要項目が欠落することがあります。

欠落項目

重要性

具体例

当事者の詳細

氏名、住所、生年月日を明記していない

支払方法・期限

「示談金を支払う」とだけ記載

違約条項

支払い遅延時の対応が不明

清算範囲の限定

「一切請求しない」の範囲が不明

将来損害の取り扱い

後日発生する治療費・逸失利益の記載なし

  • これらを補わないまま署名すると、示談書の効力が弱まり、争いの火種になる



逆に書いてはいけない文言

テンプレートを使う際、そのまま書くと無効化や争いを招く危険な文言もあります。

  • 「今後一切請求しない」とだけ書く(範囲が不明確)

  • 「相手方の意向に従う」といった曖昧表現

  • 「将来損害も含めて全て免責」と断言(公序良俗違反や強行規定違反の可能性)

  • 「裁判で争わない」と書く(強制力がない条項の乱用)


解説:

  • 曖昧な表現や極端な免責は、後日裁判で争点になりやすい

  • 公正証書にする場合、条文の明確化が必須



まとめ

テンプレート示談書は作成の参考にはなるものの、完全に信用してはいけません。危険な場面を整理すると以下の通りです。

  1. 条文が簡易すぎて清算範囲や支払条件が不明

  2. 当事者特定や違約条項、将来損害の記載が欠落

  3. 曖昧表現や極端な免責条項をそのまま使用すると無効化のリスク


結論

テンプレートはあくまで「参考用」と考え、個別の事情に合わせて条文を補正・明確化することが必須です。特に高額示談や複雑な事案では、専門家のチェックを受けることで後日のトラブルを防ぐことができます



  15.『示談書があれば裁判に勝てる』という誤解の実務的検証


示談書を作成したことで、「これさえあれば裁判で必ず勝てる」と考える方が多いですが、実務では必ずしもそうではありません。ここでは、示談書の証拠力や裁判での扱い方について整理します。



示談書が証拠としてどう扱われるか

示談書は、当事者間の合意を証明する私文書として扱われます。


ポイント:

  • 裁判所は示談書を「証拠の一つ」として評価

  • 単に「示談書がある」だけでは、合意内容の強制力や正当性は保証されない

  • 争点になりやすいのは以下の点:

    • 合意内容が明確か

    • 支払条件・期限が具体的か

    • 当事者が適法に署名・押印しているか


例:

  • 「示談金を支払う」という条文だけで署名がない → 証拠として弱い

  • 署名済みでも日付がない → 支払期限の証明が困難



裁判で重視されるポイント

裁判所は、示談書の内容だけでなく、作成過程や形式も重視します。

ポイント

内容

合意過程

いつ、どのように合意に至ったか(交渉経過)

文言の明確さ

「示談金」「対象範囲」「支払方法」などが具体的か

署名・押印状況

当事者本人が署名・押印しているか、代理人か

日付・証人

日付が記載されているか、証人や公証の有無

解説:

  • 曖昧な文言や署名の不備は、裁判で争点を生む原因になります

  • 実務では、示談書単体よりも交渉過程のメールやLINEのやり取りも証拠として考慮されます



証拠能力が弱くなるケース

示談書があっても、以下のような場合は裁判での証拠能力が弱くなることがあります。

  • 当事者の署名・押印がない

  • 日付が未記載で合意時期が不明

  • 文言が曖昧で対象範囲が特定できない

  • 無効条項(公序良俗違反や強行規定違反)が含まれている

  • 一方的に作成されたテンプレートで、合意の裏付けがない


例:

「示談金として〇〇円を支払う。今後請求しない。」
  • 支払期限や方法が不明 → 「合意内容が履行されたか」争点に

  • 曖昧な免責表現 → 後日請求が発生する可能性あり



まとめ

  • 示談書は裁判での証拠の一つに過ぎず、絶対的な勝利を保証するものではありません

  • 裁判では、合意過程、文言の明確さ、署名状況、証拠の裏付けが重視されます

  • 曖昧な条文や署名・日付の不備は、示談書があっても勝てないリスクにつながります


結論

示談書作成時には、条文の具体化・署名・日付の記載・交渉過程の記録を徹底することが、裁判で証拠として最大限評価されるポイントです。示談書だけに頼らず、証拠全体の整備を意識することが重要です。



  16.示談書が無効・取消しになりやすい“交渉過程”の特徴


示談書は作成後に「署名があるから安心」と考えられがちですが、交渉過程によっては無効や取消しのリスクが高まります。ここでは、実務で見られる典型的な危険パターンを整理します。



無効主張が認められやすい交渉状況

裁判で無効や取消しが認められるケースは、示談書作成時の状況に問題がある場合が多いです。具体的には、以下のような交渉過程が問題になります。



即日サイン

  • 事故やトラブル直後に、その場で署名させる

  • 当事者が冷静に判断できない状態で署名 → 「強迫・錯誤」による取消し主張が可能


例:

  • 交通事故直後、被害者が興奮した状態で示談金の受領書に即サイン

  • 結果、後日「内容を十分理解していなかった」として争われる


解説:

  • 冷静な意思表示ができない状態での合意は、民法上「取消し可能」とされやすい

  • 冷却期間を置き、弁護士や第三者に内容を確認してもらうことでリスクを低減



精神的動揺時

  • 怒りや悲しみなどの強い感情に支配された状態での合意

  • 精神的動揺は「意思能力の制限」と評価され、無効・取消しの根拠になり得る


例:

  • 不倫トラブルで感情的に示談書を交わす

  • 「取り決めを理解していない」「脅されてサインした」と主張される


ポイント:

  • 感情的状況での署名は、裁判所が慎重に判断する

  • 書面作成時に冷静な説明と合意確認を行うことが重要



LINE・口頭中心の合意

  • メールやLINE、口頭のみで合意した場合は、書面としての証拠力が弱い

  • 曖昧なやり取りや文面の誤解が、後日の争いの火種になる


表:証拠力の比較

合意手段

証拠力

手書き署名の示談書

高い(当事者間の明確な合意)

PDFや電子署名

中(電子署名の有効性次第)

LINE・口頭

低い(文意ややり取り内容の解釈で争いになる)


解説:

  • 電子契約やLINE合意は便利だが、履行義務や清算範囲の明確化が必要

  • 曖昧なメッセージは、後で「無効」とされるリスクがある



後から争われやすい典型パターン

  • 合意内容が不明確(支払額・期限・対象範囲が曖昧)

  • 強引に署名させた、または署名後に重要事項を変更

  • 複数当事者が関与しているが、署名が一部のみ


例:

  • 「示談金を支払う」とだけ記載 → 将来の損害や費用が争点に

  • 「今後請求しない」と書いたが、範囲が不明 → 後日民事請求


ポイント:

  • 交渉過程で冷静に合意を確認し、条文を具体化することが、無効リスク回避の基本



まとめ

示談書が無効・取消しになりやすい交渉過程の特徴は以下です。

  1. 即日サインや精神的動揺下での署名

  2. LINE・口頭中心で文言が曖昧

  3. 後から争点になりやすい条文(範囲・支払条件・免責など)が含まれる


結論

示談書の有効性を確保するには、冷静な交渉、署名前の確認、条文の明確化が不可欠です。感情や急ぎに任せず、時間を置いて合意内容を整理することが、後日の無効・争い防止につながります。



  17.示談書トラブル相談で“最初に確認する5項目”の抽出


示談書に関する相談を受けた際、実務家はまず**“初動で必ず確認するポイント”**をチェックします。このチェック項目を押さえることで、読者もセルフチェックとして活用できます。



1.当事者の特定が正確か

  • 確認内容:氏名、住所、生年月日、法人の場合は代表者名や登記情報が正しいか

  • チェックポイント

    • 署名者は当事者本人か

    • 代理人署名の場合、委任状はあるか

  • セルフチェック例

    • □署名者は自分と相手の正式名称で記載されている

    • □住所・生年月日・法人情報が正確に入っている


解説:

  • 当事者が特定できないと、示談書自体の効力が不明確になります



2.事案の特定が明確か

  • 確認内容:トラブルの日時、場所、内容が具体的に記載されているか

  • チェックポイント

    • 「〇〇事件」とだけ書かれていないか

    • どの損害や行為に対する合意なのか明示されているか

  • セルフチェック例

    • □日時・場所・事案の内容が具体的に記載されている


解説:

  • 曖昧な記載は後日、合意範囲を争う原因になります



3.金額・支払方法・期限が明示されているか

  • 確認内容:示談金額、支払方法(現金・振込等)、支払期限が具体的か

  • チェックポイント

    • 分割払いの場合は回数・期日・利息が明記されているか

    • 「適宜支払う」といった曖昧表現ではないか

  • セルフチェック例

    • □示談金額と支払方法・期限が明確

    • □分割払いの場合は回数・期日・遅延利息が記載



4.清算条項や免責の範囲が適切か

  • 確認内容:今回の示談で何が解決済みとなるかが明確か

  • チェックポイント

    • 「今後一切請求しない」の範囲が具体的か

    • 想定外損害や第三者請求への対応は明記されているか

  • セルフチェック例

    • □清算条項が曖昧でない

    • □想定外損害や第三者請求に対する記載がある



5.署名・押印・日付の有無

  • 確認内容:示談書が正式に成立したことを示す署名・押印・日付の確認

  • チェックポイント

    • 当事者全員が署名・押印しているか

    • 日付が記載されているか

    • 証人や公証人の確認はあるか(必要に応じて)

  • セルフチェック例

    • □署名・押印・日付が全員分揃っている

    • □必要に応じて証人・公証の記載もある



まとめ:セルフチェックの活用

上記5項目を簡単なチェックリストとして活用することで、示談書の初期リスクを確認できます。

項目

チェック内容

当事者特定

氏名・住所・生年月日・法人情報が正確か

事案特定

日時・場所・内容が具体的か

金額・支払

示談金・支払方法・期限が明示されているか

清算・免責

範囲が明確で想定外損害も考慮されているか

署名・日付

全員署名・押印・日付が揃っているか


結論

示談書の初動チェックは、無効や争いを防ぐ第一歩です。署名前に5項目を確認し、必要に応じて専門家の助言を受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。



   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。



専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。


具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。



行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。


具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。


具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。



依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律2万円で作成しています。

また、内容証明対応も対応しております。

作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。




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