「示談書があるから安心」は危険?公正証書にしない落とし穴を専門家が解説
- 代表行政書士 堤

- 2 日前
- 読了時間: 53分
🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。
示談書を交わしたから「もう安心」と思っていませんか。
実は、示談書があってもいざ支払いが止まった瞬間に何もできないというケースは少なくありません。特に「公正証書にしていない示談書」は、トラブルが再燃したときに大きな落とし穴になります。
このコラムでは、実務で数多くの示談トラブルを見てきた専門家の視点から、「なぜ示談書だけでは危険なのか」「どんな場合に公正証書が必要なのか」を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
本記事のまとめ:
重要事項 | 概要 |
|---|---|
示談書と公正証書では、法的な効力と実務上の強さに大きな差があります。 | |
同じ金額・似た内容でも、最初の書面の作り方次第で結果は大きく変わります。 | |
トラブルにならなかったのは偶然であり、次も同じ判断が通用するとは限りません。 |
🌻「今回は大丈夫そう」「相手を信用しているから問題ない」そう思って公正証書にしなかった示談が、後になって深刻なトラブルに発展することは珍しくありません。このブログでは、実際に強制執行まで進めたケースと、泣き寝入りになったケースの違いを具体的に分析しています。示談書を作る立場の方、これから示談を検討している方こそ、“後悔しない判断基準”を知るためにぜひ最後までお読みください。
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▼目次
~事例・比較分析紹介~
~番外編~
1.その示談書、本当に「安心」と言えますか?
トラブルが起きたあと、当事者同士で話し合いをして示談書を作成した。この時点で、多くの方が「これでもう解決した」「書面があるから大丈夫」と安心してしまいます。
しかし、実務の現場では――「示談書は確かにあるのに、お金が支払われない」「約束が守られない」という相談が後を絶ちません。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。その原因の多くは、示談書の“形式”や“効力”を正しく理解しないまま作ってしまっていることにあります。
示談書を作ったことで「もう大丈夫」と思い込んでしまう危険性
示談書は、当事者同士が合意した内容を文章にまとめた重要な証拠書類です。ただし、示談書を作っただけで自動的に相手が約束を守ってくれるわけではありません。
たとえば次のようなケースです。
慰謝料を分割払いにすると約束したが、途中で支払いが止まった
「◯月◯日までに支払う」と書いてあるのに、期日を過ぎても連絡がない
相手が「そんな約束はしていない」と言い出した
このような場合、「示談書があるのだから、すぐに差し押さえできるはず」と思われがちですが、実はそれは大きな誤解です。
実務上よくある「示談書はあるのに回収できない」トラブル
行政書士として実際に相談を受ける中で、特に多いのが次のパターンです。
自分でネットのひな形を使って示談書を作成した
署名・押印はあるが、公正証書にはしていない
支払われなかったため、すぐ強制的に回収できると思っていた
しかし、通常の示談書(私文書)だけでは、すぐに強制執行はできません。
強制執行とは、裁判所を通じて相手の財産(預金・給料など)を差し押さえる手続きのことです。この手続きをするためには、原則として裁判や調停、または一定の要件を満たした公正証書が必要になります。
つまり、
「示談書はある」=「お金を強制的に回収できる」
ではない、という点が非常に重要なのです。
本記事で解説するポイント(私文書/公正証書/強制執行)
この記事では、「示談書があるのに安心できない理由」を、次の3つの視点からわかりやすく解説していきます。
項目 | 内容のポイント |
私文書の示談書 | 当事者同士で作る一般的な示談書の効力と限界 |
公正証書 | 公証役場で作成する示談書がなぜ強いのか |
強制執行 | どんな書面なら裁判をせずに差し押さえできるのか |
専門用語についても、できるだけ具体例やたとえ話を使って説明していきますので、「法律は苦手」「示談書を初めて作る」という方でも、安心して読み進めていただけます。
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2.示談書の法的な位置づけ|なぜ「安心」とは言い切れないのか
示談書を作成したのに、あとから「こんなはずじゃなかった」「全然安心できなかった」と感じる人が多いのには、示談書の法的な立ち位置が深く関係しています。ここでは、示談書が法律上どのように扱われるのかを、できるだけ噛み砕いて説明します。
示談書は「私文書」に該当する
まず知っておくべき大前提として、**一般的な示談書は「私文書」**に分類されます。
私文書とは、当事者同士が私的に作成した文書のことで、役所や公証役場などの公的機関が関与していない書面を指します。
たとえば、次のような書類はすべて私文書です。
当事者同士で作成した示談書
借用書や誓約書(公正証書でないもの)
ネットのひな形を使って作った合意書
示談書は確かに「合意内容を書面化したもの」ではありますが、それだけで特別に強い効力を持つわけではありません。
私文書とは何か(公的証明力がない文書)
私文書の最大の特徴は、公的証明力がないという点です。
公的証明力とは、簡単に言うと「その内容が正しいことを、国や公的機関が前提として扱ってくれる力」のことです。
私文書の場合、
本当にその人が署名したのか
内容について本当に合意していたのか
強制や脅しがなかったのか
といった点を、いざ争いになったときに、こちら側で証明しなければならない可能性があります。
イメージとしては、
私文書の示談書=「約束を書いたメモはあるけれど、それを守らせるための“鍵”が付いていない状態」
と考えると分かりやすいでしょう。
示談書に「法的拘束力がない」と言われる理由
よく「示談書には法的拘束力がない」と言われることがありますが、これはまったく効力がないという意味ではありません。
正確には、
示談書自体は「契約」として有効な場合が多い
ただし、すぐに強制的に実行させる力はない
という意味です。
たとえば、
「◯年◯月◯日までに100万円を支払う」と書いてあっても
相手が支払わなければ
その場で差し押さえはできない
これが、「示談書がある=安心」とは言い切れない最大の理由です。
示談書が守られない場合に必要となる手続き
では、示談書に書かれた内容が守られなかった場合、どうなるのでしょうか。
任意履行がなされない場合
最初に期待されるのは、任意履行です。これは、相手が自分の意思で約束を守ることを意味します。
しかし、実務では次のようなケースが少なくありません。
最初は払うと言っていたが、連絡が取れなくなる
「今はお金がない」と言い訳を続ける
支払いを完全に無視する
任意履行がなされない場合、次の段階に進まざるを得ません。
訴訟・調停など裁判手続きの必要性
私文書の示談書しかない場合、強制的に回収するためには、
民事調停
支払督促
民事訴訟
といった裁判所を使った手続きが必要になります。
ここで初めて、
示談書の内容
合意の経緯
支払義務があること
を裁判所に認めてもらう必要が出てきます。
つまり、示談書は「スタートライン」にすぎず、ゴールではないのです。
手間・時間・費用の現実
裁判手続きには、現実的な負担も伴います。
項目 | 実務上の負担 |
手間 | 書類作成・期日対応・証拠整理 |
時間 | 数か月〜1年以上かかることも |
費用 | 印紙代・郵送費・専門家費用 |
「示談書があるから簡単に回収できると思っていたのに、結果的に大きな負担になってしまった」
これは、実際の相談現場で非常によく聞く声です。
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3.示談書だけでは危険な典型ケース
示談書は、話し合いの結果を形に残すうえで有効な書面です。しかし、**状況によっては「示談書だけでは極めてリスクが高いケース」**があります。
ここでは、実務上特にトラブルになりやすい代表的なケースを具体例とともに解説します。
示談金が分割払いになっている場合
示談金や解決金が一括払いではなく分割払いになっている場合、示談書だけでは非常に不安定です。
分割払いは、次のような事情で選ばれることが多いでしょう。
相手に一括で支払う資力がない
「毎月少しずつなら払える」と言われた
早く解決したくて条件を緩めた
しかし、分割払いには致命的な弱点があります。それは、途中で支払いが止まりやすいという点です。
たとえば、
最初の2〜3回は支払われた
その後「今月は厳しい」と言われる
いつの間にか支払いが完全に止まる
この時、示談書が私文書である場合、未払い分をすぐに差し押さえることはできません。
特に注意すべきなのは、「期限の利益喪失条項(支払いを怠ったら一括請求できる規定)」を入れていても、強制執行は別問題だという点です。
相手の支払能力・信用に不安がある場合
次に危険なのが、相手の支払能力や信用状況が不透明な場合です。
たとえば、次のようなケースです。
仕事が不安定、または無職
借金が多いことを自ら話している
過去に約束を守らなかったことがある
このような相手に対して、
「示談書にサインしてもらえたから大丈夫」
と考えるのは、正直なところかなり危険です。
示談書は、相手にお金がなければ意味を持ちません。支払能力が低い相手ほど、将来的に
支払いを後回しにする
連絡を避ける
逃げ切ろうとする
といった行動に出やすいのが実情です。
長期にわたる支払い義務(慰謝料・養育費等)
慰謝料や養育費など、数年単位で支払いが続く内容は、示談書だけだと特にリスクが高くなります。
長期支払いが危険な理由は、時間の経過とともに、
生活環境が変わる
再婚・転職・病気などが起こる
「もう払わなくてもいいのでは」と考え始める
といった変化が生じやすいからです。
たとえば養育費の場合、
子どもが成長するにつれて支払いが重荷になる
新しい家庭を優先するようになる
「直接会っていないのに払う意味が分からない」と言い出す
こうした理由で、支払いが止まるケースは非常に多いです。
示談書があるだけでは、「払ってください」とお願いすることしかできず、実際に回収するには改めて裁判手続きが必要になります。
相手が途中で連絡を絶つ可能性がある場合
最後に見落とされがちですが、極めて重要なのが相手が途中で連絡を絶つ可能性があるケースです。
次のような特徴がある相手は要注意です。
連絡の返信が遅れがち
住所や勤務先を正確に教えない
トラブルの話になると態度が変わる
示談書を作成した直後は丁寧でも、時間が経つにつれて
電話に出ない
メールを無視する
引っ越して所在が分からなくなる
という事態は、決して珍しくありません。
この状態になると、
督促ができない
話し合いもできない
裁判手続きの書類を送るのも大変
という二重三重の負担が発生します。
典型的な危険ケースまとめ
ケース | 示談書だけのリスク |
分割払い | 途中不払いでも即回収不可 |
支払能力に不安 | 守られない可能性が高い |
長期支払い | 環境変化で不履行が起きやすい |
連絡断絶の恐れ | 手続き自体が困難になる |
これらのケースに共通するのは、「相手が約束を守らなかったとき」の備えがないという点です。
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4.公正証書とは何か|示談書との決定的な違い
示談書だけでは不安が残るケースで、必ず検討したいのが公正証書です。公正証書は、単に「きちんとした書面」というだけではなく、法的な位置づけそのものが私文書とは大きく異なります。
ここでは、公正証書の基本から、示談書との決定的な違いまでを分かりやすく解説します。
公正証書の基本的な仕組み
公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公的な文書です。
公証人とは、元裁判官や元検察官、弁護士など、法律実務の経験を積んだ人物の中から法務大臣が任命した法律の専門家です。
公正証書の作成は、次のような流れで行われます。
当事者が合意した内容を整理する
必要書類を揃えて公証役場に申し込む
公証人が内容を確認・修正
当事者が内容を理解したうえで署名・押印
公証役場で原本が保管される
このように、第三者である公証人が内容をチェックしたうえで作成される点が、公正証書の最大の特徴です。
公証人が関与する意味
公証人が関与することで、公正証書には次のような強みが生まれます。
当事者が内容を理解して合意していることが確認される
無理な条件や違法な内容が排除される
「言った・言わない」の争いが起きにくくなる
たとえば、示談書では
「そんな内容は理解していなかった」「無理やりサインさせられた」
と主張されることがあります。
一方、公正証書では、公証人が直接確認を行うため、このような主張が通りにくくなります。
これは、例えるなら、
私文書=当事者同士の口約束を文章にしたもの公正証書=公的機関の立会いのもとで作った約束
と考えるとイメージしやすいでしょう。
「私文書」と「公正証書」の法的効力の違い
私文書と公正証書の違いは、法的効力の強さにあります。
特に重要なのが、「強制執行」との関係です。
項目 | 私文書の示談書 | 公正証書 |
作成者 | 当事者同士 | 公証人 |
公的関与 | なし | あり |
証拠としての強さ | 争われる余地あり | 非常に強い |
強制執行 | 原則不可 | 条件付きで可能 |
公正証書に、「支払いがなされない場合は、直ちに強制執行を受けても異議がない」という文言(執行受諾文言)を入れておけば、裁判をせずに差し押さえ手続きに進むことができます。
これは、示談書との決定的な違いです。
公正証書が明確な証拠になる理由
公正証書が強力な証拠とされる理由は、次の点にあります。
公証人が本人確認を行っている
内容が法律に適合している
作成日時・内容が公的に記録されている
原本が公証役場に保管される
そのため、
「署名は偽造だ」
「そんな合意はしていない」
といった主張が出ても、覆すことは極めて困難です。
万が一、紛失してしまっても、公証役場に原本が残っているため、再発行が可能という点も大きな安心材料です。
ここまで見てきたように、公正証書は示談内容を“本当に守らせるための仕組み”が組み込まれた文書です。
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5.示談書を公正証書にしない最大の落とし穴
示談書を作成したにもかかわらず、あとから「こんなに大変だとは思わなかった」と後悔する方は少なくありません。その原因の多くは、示談書を公正証書にしていなかったことにあります。
ここでは、実務上もっとも深刻になりやすい「最大の落とし穴」を具体的に解説します。
強制執行ができないという致命的リスク
示談書を公正証書にしない最大の問題は、支払いがなされなかった場合に、すぐ強制執行ができない点です。
強制執行とは、裁判所を通じて、
相手の預金を差し押さえる
給料を差し押さえる
財産を差し押さえて回収する
といった、強制的に約束を実現させる手続きをいいます。
私文書である示談書には、この「強制力」がありません。そのため、相手が支払わない場合でも、
「払ってください」「約束ですよね」
とお願いすることしかできない状態に陥ります。
示談書があっても差押えはできない
よくある誤解として、
「示談書があるのだから、差し押さえはできるはず」
というものがあります。
しかし、通常の示談書だけでは差押えはできません。
差押えを行うためには、
確定判決
調停調書
強制執行認諾文言付きの公正証書
など、法律上「債務名義」と呼ばれる書類が必要です。
示談書は、原則としてこの債務名義に該当しません。
例えるなら、
示談書=「約束が書いてある紙」債務名義=「その約束を無理やり実行できる通行証」
と考えると分かりやすいでしょう。
判決を取るまで何もできない現実
示談書しかない状態で相手が支払わない場合、最終的には裁判で判決を取る必要があります。
しかし、判決を得るまでの道のりは決して簡単ではありません。
訴状の作成
証拠の整理
期日への出廷
相手方の反論対応
これらを経て、ようやく判決が出ます。
その間、実際の回収は一切できないという現実があります。
しかも、裁判に勝ったとしても、
相手に財産がなければ回収できない
その間に預金を引き出される可能性がある
といったリスクも残ります。
精神的・金銭的負担が増大する構造
示談書を公正証書にしていなかった場合、負担は時間とともに確実に増えていきます。
精神的な負担
いつ支払われるか分からない不安
相手に連絡を取るたびに感じるストレス
裁判手続きを考える心理的ハードル
トラブルを早く終わらせたくて示談したはずなのに、長期的な精神的苦痛を抱える結果になってしまうこともあります。
金銭的な負担
負担の種類 | 内容 |
裁判費用 | 印紙代・郵送費 |
専門家費用 | 弁護士・書面作成費用 |
時間的コスト | 仕事や生活への影響 |
「公正証書にする費用を惜しんだ結果、何倍ものコストがかかってしまった」
これは、決して珍しい話ではありません。
このように、示談書を公正証書にしないことの最大の落とし穴は、**「いざというとき、何もできない状態に置かれる」**という点にあります。
6.示談書を公正証書化する最大のメリット
示談書を公正証書にする最大のメリットは、ひとことで言えば**「約束を守らせるための現実的な力を持てること」**です。
ここでは、公正証書にすることで何がどう変わるのかを、強制執行の仕組みとあわせて詳しく解説します。
裁判を経ずに強制執行が可能になる
通常の示談書(私文書)の場合、支払いが滞れば、
調停や訴訟を起こす
判決や調停調書を得る
その後に差押えをする
という長い手順が必要になります。
一方、一定の条件を満たした公正証書であれば、裁判を経ずに、いきなり強制執行に進むことが可能です。
これは、
「約束を破ったら、すぐ実力行使ができる」
状態を、あらかじめ作っておくことを意味します。
時間も労力も大きく削減できる点で、示談書との違いは決定的です。
強制執行認諾文言の重要性
公正証書で強制執行を可能にするために、必ず入れておかなければならないのが強制執行認諾文言です。
これは、
「支払いを怠った場合には、直ちに強制執行を受けても異議がありません」
という趣旨の文言です。
この一文があるかどうかで、効果は天と地ほど変わります。
文言あり → 裁判なしで差押え可能
文言なし → 公正証書でも裁判が必要
つまり、公正証書にしただけでは足りず、内容が重要なのです。
給与・預金などの差押えが可能になる仕組み
強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、次のような財産に対して差押えが可能になります。
銀行口座の預金
勤務先から支払われる給与
売掛金や報酬
たとえば給与差押えの場合、
勤務先を特定
裁判所を通じて差押え手続き
毎月一定額が自動的に回収される
という流れになります。
これは、単なる督促とは違い、相手の意思に関係なく回収が進む点が大きな特徴です。
回収方法 | 相手の協力 |
示談書のみ | 必要 |
公正証書(執行文言あり) | 不要 |
「支払わせる力」が全く違う理由
公正証書の本当の価値は、実際に差し押さえることよりも、**「差し押さえができる状態にある」**こと自体にあります。
相手が公正証書の内容を理解していれば、
支払わなければ給料を差し押さえられる
口座を凍結される可能性がある
と分かっているため、支払いに対する意識がまったく変わります。
実務上も、
示談書だけのケース
公正証書にしたケース
では、支払い継続率に明確な差が出ます。
例えるなら、
示談書=善意に期待する約束公正証書=守らなければ現実的な不利益が生じる約束
この違いが、「安心できる示談」かどうかを大きく左右するのです。
ここまでで、示談書を公正証書にすることの最大のメリットはご理解いただけたと思います。
7.公正証書化のその他のメリット
示談書を公正証書にするメリットは、強制執行ができる点だけではありません。実務の現場では、**「トラブルを未然に防ぐ効果」**という意味でも、公正証書化は非常に大きな価値があります。
ここでは、見落とされがちな「その他のメリット」について解説します。
内容に不備のない、確実な示談書が作成できる
当事者同士で示談書を作成すると、次のような不備が起こりがちです。
支払期限が曖昧
金額や支払方法の記載が不十分
違反した場合の対応が書かれていない
こうした不備があると、いざ問題が起きたときに示談書として十分に機能しない可能性があります。
公正証書では、公証人が関与するため、
支払期日
支払方法
分割の場合の条件
不履行時の対応
といった重要事項が、漏れなく明確に整理されます。
結果として、「形だけの示談書」ではなく、実際に使える示談書を作ることができます。
公証人による内容確認・法的チェック
公正証書の作成過程では、公証人が内容を一つひとつ確認します。
この確認では、
法律に反する内容が含まれていないか
一方的に不利すぎる条件になっていないか
表現が曖昧で誤解を生まないか
といった点がチェックされます。
たとえば、
「とにかく必ず支払うこと」「約束を破ったら全責任を負う」
といった感情的な表現は、法的には意味を持たないことが多いため、実務的に有効な表現へと修正されます。
これは、例えるなら専門家の添削を受けた正式書類を作るようなものです。
原本が公証役場に保管される安心感
私文書の示談書の場合、原本は基本的に当事者が保管します。
そのため、
紛失してしまう
相手が「原本は持っていない」と言い出す
書面を破棄された可能性が出てくる
といったリスクがあります。
一方、公正証書は、
原本が公証役場に保管される
当事者には正本・謄本が交付される
という仕組みになっています。
仮に手元の書類を失くしてしまっても、再発行が可能であり、証拠が消える心配はありません。
この「消えない証拠」という点は、長期にわたる示談内容ほど大きな安心材料になります。
後日の「言った・言わない」を防げる
示談トラブルで最も多いのが、「そんな約束はしていない」「そういう意味ではなかった」という争いです。
公正証書では、
当事者本人が公証人の前で内容を確認
内容を理解したうえで署名・押印
という手順を踏みます。
そのため、
内容を知らなかった
勘違いしていた
強制された
といった主張は、後から通りにくくなります。
トラブル内容 | 私文書 | 公正証書 |
内容の解釈争い | 起きやすい | 起きにくい |
合意の有無 | 争点になりやすい | 明確 |
証拠の安定性 | 低い | 非常に高い |
このように、公正証書化には「強制執行+トラブル予防」という二重のメリットがあります。
8.公正証書化のデメリットと注意点
ここまで公正証書のメリットを中心に解説してきましたが、万能な制度ではないという点も正しく理解しておく必要があります。
この章では、公正証書化を検討する際に必ず知っておきたいデメリットや注意点を整理します。
費用がかかる点
公正証書を作成するには、公証役場での手数料が発生します。
この費用は、主に
示談金の金額
契約内容のボリューム
によって決まります。
たとえば、数十万円〜数百万円規模の示談金であれば、数千円〜数万円程度の手数料がかかるのが一般的です。
「示談書なら無料で作れるのに、公正証書はお金がかかる」と感じる方も多いでしょう。
しかし、実務的には、
公正証書作成費用 < 後日の裁判費用・回収不能リスク
となるケースが圧倒的に多いのが現実です。
相手方の協力が必要である点
公正証書は、**当事者双方の合意と出頭(または代理)**が必要です。
つまり、
相手が協力しない
公証役場に行くことを拒否する
という場合には、作成できません。
特に、
すでに関係が悪化している
責任を軽く考えている相手
の場合、公正証書化に消極的なこともあります。
ただし、実務では、
「公正証書にしないなら示談しない」
「分割払いにするなら公正証書が条件」
といった形で交渉することで、相手が応じるケースも多いのが実情です。
すべての義務が強制執行できるわけではない
ここは非常に重要な注意点です。公正証書にすれば、すべての約束が強制的に実現できると誤解されがちですが、実際はそうではありません。
金銭債務のみが原則
強制執行の対象になるのは、原則として金銭の支払い義務です。
たとえば、
慰謝料の支払い
示談金の分割払い
養育費の支払い
といった内容は、強制執行認諾文言を入れることで、差押えの対象になります。
謝罪や行為義務は対象外
一方で、次のような義務は、原則として強制執行の対象にはなりません。
謝罪文を書く
二度と連絡しない
一定の行為をしない/する
これらは、人の行為や意思に関わる内容であり、お金のように差し押さえることができないからです。
そのため、
謝罪を求めたい
行動を約束させたい
といった内容については、強制力よりも「合意内容を明確に残す」意味合いが中心になります。
内容 | 強制執行の可否 |
金銭の支払い | 可能 |
慰謝料・養育費 | 可能 |
謝罪・反省文 | 不可 |
行為・不作為の約束 | 原則不可 |
このように、公正証書にはデメリットや限界もあります。しかし、それらを理解したうえで活用すれば、示談書だけよりもはるかに安全性が高いことは間違いありません。
9.示談書を公正証書にする方法
公正証書というと、「手続きが難しそう」「専門家でないと無理そう」と感じる方も多いかもしれません。しかし、流れを押さえておけば、想像以上にシンプルです。
ここでは、示談書を公正証書にするまでの具体的な手順を、初心者の方にも分かるように解説します。
公正証書作成までの全体の流れ
まず、公正証書作成の全体像を把握しておきましょう。
示談内容を整理・合意する
公証役場に事前相談・予約をする
必要書類を準備する
公証役場で公正証書を作成する
正本・謄本を受け取る
この中で最も重要なのは、**「示談内容を事前にきちんと整理しておくこと」**です。
内容が曖昧なままでは、公証人も公正証書を作成できません。
公証役場での手続き概要
公証役場では、公証人が中立的な立場で手続きを進めます。
当日の基本的な流れは次のとおりです。
本人確認
示談内容の最終確認
内容の読み合わせ
署名・押印
公正証書の完成
公証人は、「どちらかの味方」になるわけではなく、法的に有効な文書を作るための調整役という立場です。
そのため、不明点があればその場で質問することもできます。
当日持参するもの
公正証書作成当日に必要なものは、以下が基本です。
身分証明書
運転免許証
マイナンバーカード
パスポート
など、顔写真付きの公的身分証明書が必要です。
本人確認は非常に厳格に行われます。
印鑑
実印が望ましい
認印でも可能な場合あり
事前に公証役場に確認しておくと安心です。
示談内容をまとめた案文 など
示談の内容をまとめた文書(案文)があると、手続きがスムーズに進みます。
支払金額
支払期限・方法
分割の場合の条件
強制執行認諾文言の有無
これらが整理されていれば、公証人が文案を整えてくれます。
持参物 | 目的 |
身分証明書 | 本人確認 |
印鑑 | 署名押印 |
示談案文 | 内容確認・作成補助 |
公証人による内容の認証・審査
公正証書の大きな特徴は、公証人による内容確認と法的チェックが入る点です。
署名の真正確認
公証人は、
本人が出頭しているか
自分の意思で署名しているか
を直接確認します。
これにより、
なりすまし
無断作成
といったトラブルを防ぎます。
記載内容の適法性チェック
また、公証人は内容について、
法律に違反していないか
一方的に不利すぎないか
強制執行が可能な内容か
といった点をチェックします。
たとえば、
無効になりやすい表現
強制執行できない内容
については、その場で修正や説明が入るのが通常です。
このように、示談書を公正証書にする手続きは、専門家のチェックを受けながら進められる安全なプロセスです。
10.公正証書作成にかかる費用の目安
示談書を公正証書にするか検討する際、多くの方が最初に気になるのが「結局いくらかかるのか?」という点です。ここでは、公正証書作成にかかる費用の考え方や、金額が変動する仕組み、実務上の相場感について、初心者の方にも分かるように解説します。
公正証書手数料の基本的な考え方
公正証書の作成費用は、公証役場に支払う手数料が中心になります。この手数料は、公証人が国から定められたルール(公証人手数料令)に基づいて計算します。
ポイントは次のとおりです。
公証役場ごとに自由に決めているわけではない
内容や金額に応じて全国ほぼ共通
「示談書だから高い・安い」という区別はない
イメージとしては、「金額の大きな約束ほど、責任が重いので手数料も高くなる」という考え方です。住宅ローンの契約書と、少額の借用書で、扱いが違うのと似ています。
金額によって変動する仕組み
公正証書の手数料は、示談書に記載されている金銭債務の額を基準に決まります。たとえば慰謝料や解決金の支払額が、いくらかによって手数料が段階的に変わります。
手数料の目安(代表例)
示談金額(目的の価額) | 公正証書手数料の目安 |
100万円以下 | 約5,000円 |
100万円超~200万円 | 約7,000円 |
200万円超~500万円 | 約11,000円 |
500万円超~1,000万円 | 約17,000円 |
1,000万円超 | 金額に応じて加算 |
※あくまで目安であり、細かな加算・減算が生じる場合があります。
また、以下のような場合は追加費用がかかることがあります。
強制執行認諾文言を入れる場合
分割払いで条項が多い場合
正本・謄本を複数通取得する場合
強制執行認諾文言とは、「支払いを怠った場合、裁判をしなくても差押えを受けても異議はありません」という趣旨の一文で、公正証書の最大のメリットでもあります。
実務上の相場感
実際の現場感覚としては、示談書を公正証書にする場合、1万円〜3万円程度に収まるケースが非常に多いです。
よくあるケース別の相場感は以下のとおりです。
ケース | 費用の目安 |
慰謝料100〜300万円の一括払い | 約7,000〜11,000円 |
慰謝料300〜500万円の分割払い | 約11,000〜15,000円 |
高額示談(1,000万円前後) | 約17,000〜25,000円 |
これを高いと感じるか、安いと感じるかは人それぞれですが、裁判を起こした場合の費用・時間・精神的負担と比べると、非常に現実的なコストだと言えます。
たとえば、
裁判 → 数か月〜1年以上、費用も数十万円以上
公正証書 → 1回の手続き、数万円以内
という違いがあります。
示談書は「作っただけ」では安心できません。いざというときに本当に回収できる形にしておくかどうかが重要です。公正証書作成費用は、そのための“保険料”と考えると、納得しやすいでしょう。
11.よくある質問(FAQ)
ここでは、示談書と公正証書について、実際の相談現場で特に多い質問をQ&A形式で解説します。専門用語はできるだけかみ砕いて説明しますので、初めての方でも安心して読み進めてください。
示談書は必ず公正証書にしなければなりませんか?
結論から言うと、必ずしも公正証書にする必要はありません。当事者同士で合意し、署名押印された示談書自体にも、原則として法的効力はあります。
ただし注意点があります。
相手が約束を守らなかった場合
支払いが滞った場合
このようなとき、通常の示談書だけでは、すぐに差押えなどはできません。別途、裁判を起こして「勝訴判決」を得る必要があります。
イメージとしては、
示談書:口約束よりは強いが、すぐに実力行使はできない
公正証書:鍵付き金庫のように、強制力まで備えている
という違いがあります。
そのため、「金銭の支払いがある」「将来トラブルになる可能性がある」こうしたケースでは、公正証書化を検討する価値が高いと言えます。
公正証書にするとどのような場合に強制執行できますか?
公正証書にしたからといって、すべての約束が強制執行できるわけではありません。強制執行の対象になるのは、原則として金銭の支払い義務です。
具体的には、次のような場合です。
慰謝料・解決金の支払い
分割払いの未払い分
遅延損害金の支払い
これらについて、「支払いを怠った場合は、直ちに強制執行を受けても異議はありません」という文言(強制執行認諾文言)が入っていると、裁判を経ずに差押えが可能になります。
一方で、次のような内容は強制執行できません。
内容 | 強制執行の可否 |
金銭の支払い | 可能 |
謝罪文を書く | 不可 |
二度と連絡しない | 不可 |
一定の行為をする・しない | 不可 |
つまり、公正証書は「お金の約束を確実に守らせるための仕組み」と理解すると分かりやすいでしょう。
公正証書は自分だけで作れますか?
公正証書は、必ず公証人が作成します。そのため、当事者だけで完結して作ることはできません。
ただし、次のようなことは自分で行うことも可能です。
示談内容の原案を作成する
必要書類をそろえる
公証役場に予約を入れる
とはいえ、実務では次のような壁にぶつかることが多いです。
強制執行できる書き方になっていない
表現があいまいで修正を求められる
法的に問題がある条文が含まれている
その結果、「何度も修正になり、時間だけがかかる」というケースも少なくありません。
行政書士に依頼するメリットは何ですか?
行政書士に依頼する最大のメリットは、**「将来のトラブルを想定した示談内容を、最初から正しく設計できること」**です。
具体的には、次のような点が挙げられます。
強制執行が可能な条文構成にできる
公証人から修正を求められにくい
当事者間の感情的対立を避けた表現にできる
手続きの流れを一括でサポートしてもらえる
比較すると、違いは次のとおりです。
作成方法 | 特徴 |
自分で作成 | 費用は抑えられるが、ミスや漏れのリスクあり |
行政書士に依頼 | 費用はかかるが、実効性と安心感が高い |
示談書や公正証書は、「トラブルが起きてからでは手遅れ」という性質の書面です。
あとから後悔しないためにも、専門家の視点を入れて作成することが、結果的に一番の近道になるケースが多いと言えるでしょう。
12.まとめ|「示談書があるから安心」と思う前に
ここまで、示談書と公正証書の違い、公正証書にしないことのリスク、公正証書化のメリット・注意点を解説してきました。最後に、本記事の重要なポイントを整理し、「なぜ示談書だけでは不十分なのか」「どんな場合に公正証書化を検討すべきか」を改めて確認します。
示談書=安全ではない理由の再確認
示談書は、当事者同士の合意内容を書面に残すという点で重要な意味を持ちます。しかし、示談書がある=安心・安全と考えてしまうのは危険です。
最大の理由は、相手が約束を破った場合に、すぐ何もできないという点にあります。
支払いが止まっても、差押えはできない
まず裁判を起こし、判決を取る必要がある
時間・費用・精神的負担が大きくなる
これは、たとえるなら「契約書はあるが、鍵のかかっていない金庫にお金を入れている状態」に近いと言えます。
相手が誠実である間は問題ありませんが、状況が変わった瞬間に、こちらは無力になってしまう可能性があるのです。
公正証書化が「保険」ではなく「実行力」であること
公正証書というと、「念のために作るもの」「トラブル保険のようなもの」とイメージされがちですが、実際はそれ以上の意味があります。
公正証書の本質は、実際に約束を守らせる力=実行力です。
特に、強制執行認諾文言が入った公正証書は、
裁判を経ずに
給与や預金の差押えができる
という、示談書にはない決定的な効力を持ちます。
これは、「もしもの備え」ではなく、「守られなかったときに、現実に動かせる武器」と考えると分かりやすいでしょう。
金銭の支払いを確実にしたいなら取るべき選択
示談の中でも、特にトラブルになりやすいのがお金の支払いです。
慰謝料
解決金
分割払いの約束
これらは、口約束や通常の示談書だけでは、どうしても不安が残ります。
以下のような場合は、特に公正証書化を強く検討すべきです。
状況 | 公正証書化の必要性 |
高額な金銭が動く | 高い |
分割払いがある | 非常に高い |
相手の支払い能力に不安がある | 高い |
過去に約束を破られたことがある | 高い |
「相手を疑っているから公正証書にする」のではありません。自分の権利と生活を守るための、合理的な選択なのです。
示談書を作る段階で、「本当に守られなかったらどうなるか?」を一度立ち止まって考えてみてください。
もし、「それは困る」「絶対に回収したい」と思うのであれば、示談書だけで終わらせず、公正証書化という選択肢を取ることが、後悔しないための最も確実な方法と言えるでしょう。
~事例・比較分析紹介~
13.「示談書があるのに支払われなかった」実務相談の類型分析
示談書を作成したにもかかわらず、実際には支払いが行われなかった、途中で止まってしまったという相談は、行政書士や法律相談の現場では決して珍しくありません。ここでは、実務上よく寄せられる相談内容を類型化し、「なぜ示談書があっても不払いが起きるのか」を構造的に整理します。
実務(行政書士・法律相談)で実際に多い相談内容
実際の相談では、次のような声が非常に多く聞かれます。
「示談書にサインも押印もあるのに、支払ってもらえない」
「最初の数回は払われたが、途中から音信不通になった」
「示談書があるから差押えできると思っていたが、できないと言われた」
これらに共通するのは、示談書=すぐに回収できると思い込んでいたという点です。しかし、前述のとおり、示談書はあくまで私文書であり、強制的に支払わせる力はありません。
不払いが発生する典型パターン
示談書があるにもかかわらず不払いが起きるケースには、いくつかの典型パターンがあります。
不払いパターン | 内容 |
最初から支払う意思が弱い | その場を収めるために署名しただけ |
生活状況の悪化 | 失業・収入減により支払い不能 |
時間の経過による意識低下 | 示談したこと自体を軽く考え始める |
法的知識を得た | 「示談書だけでは差押えできない」と知る |
特に多いのが、「示談当初は反省していたが、時間が経つにつれて支払意識が薄れる」というケースです。示談書に“罰則”のような実効性がないため、心理的な抑止力が弱いのです。
支払い停止が起こりやすいタイミング
支払いが完全に行われないケースには、止まりやすい時期があります。
初回支払前で止まるケース
示談成立後、最初の支払期限を迎えても支払われないケースです。この場合、そもそも支払う意思が乏しい可能性が高く、早期にトラブル化しやすい傾向があります。
分割払いの中盤で止まるケース
最も相談が多いのがこのパターンです。
最初の1~2回は支払われる
3回目以降から遅延が始まる
督促すると連絡が取れなくなる
これは、「少し払ったのだから大丈夫だろう」という相手側の甘い認識と、示談書に強制力がないことが原因で起こります。
破綻しやすい条文構造の特徴
不払い相談を分析すると、示談書の条文構造自体に問題があるケースも非常に多く見られます。
支払期限・方法が曖昧
「速やかに支払う」
「分割で支払う」
このような表現では、いつ・いくら・どの方法で支払うのかが不明確で、トラブルの元になります。
遅延時の対応が書かれていない
支払いが遅れた場合について、
期限の利益喪失(残額一括請求)
遅延損害金
などが定められていない示談書は、相手にとって「守らなくても困らない約束」になりがちです。
強制執行を前提としていない
示談書には、そもそも強制執行という概念がありません。そのため、どれだけ丁寧に条文を書いても、最終的には裁判を起こさなければ回収できない構造になっています。
類型分析から見える共通点
これらの相談を総合すると、次の共通点が浮かび上がります。
相手の「支払わないリスク」を過小評価していた
示談書に過度な安心感を抱いていた
「守られなかった場合の出口」を想定していなかった
示談書は、合意内容を整理するうえでは有用ですが、履行を担保する仕組みとしては不十分です。この実務上の現実を踏まえると、「示談書+公正証書」という組み合わせが、なぜ重要なのかが見えてくると言えるでしょう。
14.示談書と公正証書で「回収までに要した時間」の比較分析
示談書と公正証書の違いは、「法的な位置づけ」だけでなく、実際にお金を回収できるまでに要する時間に大きく表れます。ここでは、実務相談をもとに、示談書のみの場合と、公正証書化した場合とで、回収までの流れや期間にどのような差が生じるのかを比較・分析します。
示談書のみの場合の回収実態
示談書だけで合意したケースでは、支払いがスムーズに進む場合もありますが、一度でも滞ると長期化しやすいという特徴があります。
支払完了までに要した期間
示談書のみの場合、相談実務上は次のような傾向が見られます。
状況 | 回収までの期間感 |
一括払い・問題なし | 数週間~1か月程度 |
分割払い・遅延なし | 数か月~1年 |
分割途中で滞る | 1年以上かかることも多い |
特に分割払いの場合、途中で支払いが止まると、そこから先が一気に長引く傾向があります。「待つ」「催促する」「約束を信じる」を繰り返しているうちに、半年、1年と時間が過ぎてしまうケースも珍しくありません。
訴訟・調停に移行した割合
示談書のみのケースでは、次のような流れに移行する相談が多く見られます。
内容証明郵便で督促
それでも支払われず、調停申立て
調停不成立で訴訟提起
体感的には、支払いが止まった案件の3~5割程度が裁判手続きに移行しています。ここで初めて、「示談書があっても、すぐに差押えはできない」という現実に直面することになります。
公正証書化した場合の回収実態
一方、示談内容を公正証書にしているケースでは、回収までのスピードと確実性が大きく異なります。
支払が滞った時点での対応スピード
公正証書には、あらかじめ「強制執行認諾文言」が入っているため、支払いが滞った時点で取れる選択肢が明確です。
すぐに強制執行(差押え)の準備に入れる
裁判や調停を経る必要がない
相手に対する心理的圧力が非常に強い
その結果、実務上は**「差押えの話をした段階で支払われる」**ケースが多数を占めます。
解決までの期間
公正証書化されている場合の期間感は、次のとおりです。
状況 | 解決までの期間感 |
滞りなく支払 | 当初の支払スケジュールどおり |
一時的な遅延 | 数週間以内に再開 |
強制執行に移行 | 数か月以内に回収 |
示談書のみの場合と比べると、年単位で長引くケースは極めて少ないのが特徴です。
回収期間の違いが生まれる本当の理由
この差は、「手続きの早さ」だけが原因ではありません。最大の違いは、相手がどう感じるかにあります。
示談書のみ →「最悪でも裁判になるだけ」「時間を稼げる」
公正証書あり →「払わなければすぐ差押えされる」
この認識の差が、支払い行動に直結します。つまり、公正証書は「トラブルが起きたときのための書類」ではなく、そもそもトラブルを起こさせないための仕組みだと言えます。
比較分析から見える結論
示談書と公正証書を比較すると、回収までに要する時間には明確な違いがあります。
示談書のみ: 支払いが止まると、解決までに長期間を要しやすい
公正証書あり: 滞った瞬間から具体的な手段が取れ、短期間で解決しやすい
「時間=精神的・金銭的コスト」です。回収までの時間を最小限に抑えたいのであれば、示談の段階で公正証書化を前提に考えることが、結果的に最も合理的な選択だと言えるでしょう。
15.公正証書にしなかった人が後悔する瞬間ベスト5
示談が成立した直後は、「これで一段落」「もう揉めないだろう」と感じる方がほとんどです。しかし、実務の現場では**「あのとき公正証書にしておけばよかった」**という後悔の声が、ある決まった流れで現れます。
ここでは、行政書士・法律相談の実務で多く見られる後悔ポイントを、時系列に沿ってベスト5として整理します。
第1位:初回の支払いがされなかった瞬間
最初の後悔が訪れるのは、初回の支払期日を過ぎても入金がない瞬間です。
示談書を交わした直後は、「さすがに最初は払うだろう」と多くの方が考えます。しかし、実際には
「今月は厳しいから来月にしてほしい」
「少し待ってほしい」
といった連絡が来る、あるいは連絡すらないケースもあります。
この時点で気づくのが、示談書があっても強制的に何かできるわけではないという現実です。「まずは様子を見るしかない」という状況に、不安が一気に大きくなります。
第2位:督促しても支払われないと分かった瞬間
数回の催促をしても支払いがされないと、次の後悔が生まれます。
電話しても出ない
メッセージの返信が遅くなる
約束した日を過ぎても何もない
この段階で多くの方が、「示談書があるのに、こんなに弱いのか」と感じます。例えるなら、鍵をかけたつもりのドアが、実は簡単に開いてしまうような感覚です。
公正証書であれば「次は差押えを検討します」と具体的な話ができますが、示談書だけでは強い次の一手がありません。
第3位:突然、相手と連絡が取れなくなった瞬間
後悔が確信に変わるのが、完全に連絡が途絶えた瞬間です。
電話がつながらない
メールが返ってこない
住所に行っても不在
このとき初めて、「公正証書にしていれば、居場所を探してでも差押えできたのに」という思いが強くなります。
示談書は、相手が協力的であることを前提にした約束に過ぎないため、逃げられると一気に無力化します。
第4位:専門家に相談して現実を知った瞬間
弁護士や行政書士に相談した際、多くの方が次の説明を受けます。
示談書だけでは差押えはできない
まず調停や訴訟が必要
解決まで時間がかかる可能性が高い
このときよく聞かれるのが、「示談書があるのに、まだ裁判をしないといけないんですか?」という言葉です。
ここで初めて、公正証書と示談書の決定的な違いを理解し、「最初にきちんと知っていれば…」という後悔が生まれます。
第5位:訴訟費用と時間を知った瞬間
最終的な後悔のピークは、実際にかかるコストを知ったときです。
訴訟までにかかる期間:数か月~1年以上
弁護士費用・印紙代・交通費
精神的なストレス
金額だけを見ると、「最初に公正証書を作る費用の方がずっと安かった」という結論に至るケースがほとんどです。
項目 | 示談書のみ | 公正証書あり |
初期費用 | ほぼ不要 | 数万円程度 |
不払い時の対応 | 調停・訴訟 | すぐ強制執行 |
解決までの時間 | 長期化しやすい | 短期間で収束 |
後悔の共通点と教訓
これら5つの後悔には、明確な共通点があります。
「相手を信じたこと」ではなく
「備えをしなかったこと」を後悔している
公正証書は、相手を疑うためのものではありません。約束が守られなかった場合に、自分を守るための現実的な備えです。
「示談書があるから安心」と思えたその瞬間こそ、公正証書にするかどうかを真剣に考えるべきタイミングだと言えるでしょう。
16.示談書の条文構造から見る「公正証書化すべき危険度チェック」
示談書のリスクは、「相手が悪意を持っているかどうか」だけで決まるものではありません。実務上は、示談書の条文構造そのものが不払いリスクを高めているケースが非常に多く見られます。
ここでは、行政書士実務で実際に目にしてきた示談書をもとに、「この内容なら公正証書にしないと危険度が高い」条文パターンを抽出・整理します。ご自身の示談書と照らし合わせながら確認してみてください。
危険度チェックの考え方
まず前提として、次の視点で示談書を確認することが重要です。
支払いが止まった場合、次に何ができるか明確か
相手が約束を破ったときの「不利益」が定められているか
履行を前提としすぎていないか
これらが曖昧な示談書ほど、公正証書化しないリスクが高いと言えます。
危険な条文パターン①:分割払い条項
分割払いを定める示談書は、最も公正証書化すべき危険度が高い類型です。
よくある条文例としては、
「○年○月から毎月○円ずつ支払う」
「合計金額を分割で支払うものとする」
といった記載があります。
一見問題なさそうに見えますが、分割払いは支払いが途中で止まる前提で考えるべき条項です。示談書だけでは、1回でも滞った瞬間に取れる有効な手段がありません。
公正証書であれば、分割途中での不履行に対し、残額一括+強制執行という現実的な対応が可能になります。
危険な条文パターン②:支払期限が曖昧な条項
次に多いのが、支払期限が曖昧な条文です。
「速やかに支払う」
「誠意をもって支払う」
「可能な限り早期に支払う」
これらは法律文書としては非常に危険です。なぜなら、「いつまでに」が書かれていないため、支払遅延を客観的に判断できないからです。
例えるなら、「待ち合わせ時間を決めずに集合する」ようなもので、トラブルになったときに、どちらが悪いのかをはっきりさせられません。
このような条文がある場合、示談書だけでは不十分で、公正証書による明確化が強く推奨される状態と言えます。
危険な条文パターン③:違反時の対応が未記載
実務で特に多いのが、「守られなかった場合」の記載がない示談書です。
支払いが遅れたらどうなるのか
何日遅れたら違反なのか
違反した場合、残額はどうなるのか
これらが一切書かれていない示談書は、守られなくても相手が困らない構造になっています。
公正証書では、強制執行認諾文言を入れることで、「守られなかった場合の出口」が明確になります。
危険な条文パターン④:支払方法が限定されていない
見落とされがちですが、支払方法が曖昧な示談書も危険です。
振込先が記載されていない
手渡しでも可としている
証拠が残らない方法を許容している
これにより、「支払った・支払っていない」という事実認定の争いが生じやすくなります。公正証書であれば、支払方法を明確に限定することで、紛争の余地を大きく減らせます。
危険度チェック一覧表
以下の表で、ご自身の示談書をチェックしてみてください。
チェック項目 | 該当する場合の危険度 |
分割払いが定められている | 非常に高い |
支払期限が曖昧 | 高い |
違反時の対応が未記載 | 高い |
支払方法が不明確 | 中~高 |
強制執行に関する記載がない | 非常に高い |
1つでも当てはまる場合、示談書だけで安心できる状態ではありません。
条文構造から導かれる結論
示談書は、「守られること」を前提に作られる文書です。しかし実務では、「守られなかった場合」を想定しない示談書ほど、トラブルに発展します。
条文構造に少しでも不安がある場合、内容を整えたうえで公正証書化することが、最も現実的なリスク対策です。
「相手を信じるかどうか」ではなく、条文がリスクを内包していないかという視点で、示談書を見直すことが重要だと言えるでしょう。
17.強制執行まで進んだケースと「進めなかったケース」の分岐点分析
同じような金額、似たようなトラブル内容であっても、**最終的に「強制執行まで進めた人」と「泣き寝入りになった人」**に分かれるのが、示談トラブルの現実です。
ここでは、実務相談をもとに、両者の分岐点がどこにあったのかを整理し、「どの判断が結果を分けたのか」を具体的に分析します。
比較の前提|金額や事案内容はほぼ同じ
今回比較するケースは、次のような条件が共通しています。
請求金額は数十万円〜100万円前後
慰謝料・損害賠償・返金など典型的な金銭トラブル
示談自体は一度成立している
つまり、「金額が小さいから回収できなかった」「内容が特殊だったから無理だった」という話ではありません。結果を分けたのは、手続きと判断の差でした。
強制執行に進めたケースの特徴
まず、最終的に差押えなどの強制執行に進めたケースの共通点を見ていきます。
公正証書が作成されていた
強制執行に進めたケースでは、ほぼ例外なく公正証書が作成されていました。しかも、単に形式的に作ったのではなく、
支払金額
支払期限
支払方法
が明確に定められていました。
これにより、支払いが滞った瞬間に、「約束が破られた」という事実を客観的に示すことができました。
強制執行認諾文言が入っていた
決定的だったのが、強制執行認諾文言の有無です。
この文言があることで、
裁判を経ずに
すぐに
差押えの申立てが可能
という状況が整います。
実務上は、実際に差押えまで行かなくても、「この公正証書で強制執行に入ります」と通知した段階で、支払いが再開・完了するケースも多く見られます。
泣き寝入りになったケースの特徴
一方で、強制執行に進めず、最終的に回収を断念したケースには、共通する弱点があります。
公正証書がなく、示談書のみだった
泣き寝入りになったケースの大半は、示談書のみで合意していた事案です。
支払いが止まった後に取れる選択肢は、
催促する
内容証明を送る
調停や訴訟を検討する
といった間接的なものに限られます。
「すぐに差押えできる」という選択肢がないため、時間と労力だけが積み重なり、気力が削られていきます。
強制執行認諾文言が存在しない
たとえ公正証書を作っていたとしても、強制執行認諾文言が入っていなかったために、進めなかったケースもあります。
この場合、
結局は裁判が必要
公正証書のメリットが半減
追加の費用と時間が発生
という状況になり、「ここまでやるならもういい」と断念する人が少なくありません。
分岐点となった「示談書作成時点での判断」
両者を分けた最大の分岐点は、示談書を作る時点で、どこまで想定していたかです。
判断時点 | 強制執行に進めたケース | 泣き寝入りケース |
示談成立時 | 不履行も想定していた | 守られる前提だった |
文書の選択 | 公正証書を選択 | 示談書で十分と判断 |
専門家への相談 | 早期に相談 | 問題化してから相談 |
示談成立時は、相手も反省しているように見え、「ここまでしなくても大丈夫だろう」と感じやすいタイミングです。
しかし、その油断こそが最大の分岐点になっています。
分析から導かれる実務的な結論
同じ金額、同じような事案でも、
公正証書があるか
強制執行認諾文言が入っているか
初期段階で専門家に相談しているか
この3点で、結果は大きく変わります。
強制執行まで進めた人は「厳しすぎた」のではなく、現実的なリスクを冷静に想定していただけです。
示談書を作る瞬間こそが、「回収できる側」と「泣き寝入りになる側」を分ける、最も重要な分岐点だと言えるでしょう。
18.「公正証書にしなくても大丈夫だったケース」は本当に安全だったのか
示談書について相談を受けていると、「今回はちゃんと払ってくれたので、公正証書にしなくても問題ありませんでした」「結果的に揉めなかったので、示談書だけで十分でした」という声を聞くことがあります。
しかし、“うまく終わった”ことと“安全だった”ことはイコールではありません。ここでは、一見問題なく終わった示談について、なぜ今回はトラブルにならなかったのか、そして実はどんなリスクが残っていたのかを、実務目線で検証していきます。
一見問題なく終わった示談の典型例
まず、「公正証書にしなかったが特に問題が起きなかった」と言われやすいケースには、一定の傾向があります。
よくあるケースのパターン
・示談金額が比較的少額(数万円〜数十万円)・一括払い、または短期間での支払い・当事者同士の関係性がまだ破綻していない・相手に社会的信用や安定収入がある
例えば、「10万円を翌月末までに一括で支払う」という内容で、実際に期限どおりに振り込まれれば、表面的には何の問題もなかったように見えます。
なぜ今回は問題が起きなかったのか
相手が“たまたま”誠実だった可能性
最も多い理由は、相手が約束を守る人だったという点です。これは法的な安全性とは無関係で、単なる人間関係・性格の問題です。
例えるなら、「シートベルトをせずに事故に遭わなかった」のと同じで、ルールを守らなくても結果的に無事だっただけという状態です。
金銭トラブルが再燃しにくい条件が揃っていた
以下の条件が重なっていた場合、たまたま紛争化しなかった可能性が高くなります。
要素 | 内容 |
支払方法 | 一括払いで未払いリスクが低い |
期限 | 明確で短期間 |
金額 | 相手にとって負担が小さい |
感情面 | 対立が深刻化していない |
このようなケースでは、公正証書がなくても「結果的に」問題が起きないことがあります。
実は残っていた見えないリスク
未払いが起きていたらどうなっていたか
重要なのは、もし支払いがされなかった場合にどうなっていたかです。
公正証書がない示談書の場合、相手が支払わなければ、
改めて請求
調停や訴訟を提起
判決や和解調書を取得
そこから強制執行
という長い手続きを踏む必要があります。
つまり、「今回は払われたから助かった」だけで、構造的なリスクは消えていなかったのです。
「今回は大丈夫だった」を過信する危険性
同じ内容でも次は通用しないことがある
一度うまくいった経験があると、「前回も示談書だけで大丈夫だったから、今回も問題ないだろう」と考えがちです。
しかし、以下のような変化があると状況は一変します。
・金額が大きくなる・分割払いになる・相手の生活状況が悪化する・感情的対立が激しくなる
このような場合、“前回の成功体験”は全く参考になりません。
公正証書にしなかった本当の判断理由
「面倒」「費用がかかる」という理由が多い
実務上、公正証書を作成しなかった理由として多いのは、
・公証役場に行くのが面倒・費用がかかりそう・そこまで大げさにしたくない
といった心理的ハードルです。
しかし、未払いが起きた場合にかかる時間・労力・精神的負担・追加費用を考えると、最初に公正証書にしておく方が圧倒的に合理的なケースは少なくありません。
「問題が起きなかった示談」と「安全な示談」の違い
最後に、この違いを整理します。
観点 | 問題が起きなかった示談 | 安全な示談 |
支払い | たまたま履行された | 履行されなくても回収可能 |
法的手段 | 訴訟が必要 | すぐ強制執行可能 |
リスク管理 | 相手任せ | 制度で担保 |
再発時 | 同じ不安が残る | 判断基準が明確 |
専門家視点での結論
「公正証書にしなくても大丈夫だったケース」は、安全だったのではなく、運が良かっただけという場合がほとんどです。
示談書を作る段階では、「うまくいった未来」ではなく「最悪の未来でも守れるか」という視点で判断することが重要です。
その判断基準を誤らないためにも、示談書と公正証書の違いを正しく理解し、必要な場面では最初から“強制執行できる形”を選ぶことが、後悔しない最大のポイントと言えるでしょう。
契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは?
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士:契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士:法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万 |
弁護士 | 契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
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