示談書を書けば被害届は取り下げられる?知らないと危険な法律の落とし穴
- 代表行政書士 堤

- 24 時間前
- 読了時間: 52分
🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。
「示談書を書けば、被害届は取り下げてもらえる」
このように考えている方は少なくありません。しかし、実務の現場ではこの認識が原因で、思わぬトラブルや深刻な結果につながるケースが数多く見られます。
示談と被害届の取り下げは、似ているようでまったく別の法律問題です。本記事では、示談書の役割と限界、被害届との関係、そして実際に起こりやすい落とし穴について、初心者の方にも分かるように解説していきます。
本記事のまとめ:
重要事項 | 概要 |
|---|---|
示談と刑事手続きは別物であり、示談書は万能ではありません。 | |
被害届提出前か、送検後か、起訴後かによって、示談の意味合いは大きく変わります。 | |
脅迫・強要と評価される危険や、期待した効果が得られないケースも少なくありません。 |
🌻刑事トラブルに直面したとき、「とりあえず示談をすれば大丈夫」と安易に判断してしまうと、後戻りできない結果になることがあります。
本記事では、示談書に被害届取り下げ条項があっても安心できない理由や、示談のタイミングによって結果が大きく変わる実務の現実を、具体例を交えて整理しています。
「知らなかった」では済まされないリスクを避けるためにも、示談を考えている方、これから示談書を作成しようとしている方には、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
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▼目次
~事例・比較分析紹介~
~番外編~
1.被害届とは何か|示談書との関係を理解する前提知識
示談書を書けば「被害届は自動的に取り下げられる」と思っている方は少なくありません。しかし、被害届と示談書は法的にまったく別物であり、この前提を誤解していると、示談後も警察の捜査や刑事手続が続くという深刻な事態になりかねません。
まずは、被害届の基本的な仕組みと、示談書との関係を正しく理解するところから整理していきましょう。
被害届とは「犯罪被害を申告する書面」
被害届とは、犯罪の被害に遭ったことを警察に申告するための書面です。被害者が「こういう被害を受けました」と警察に伝えることで、警察はその事実を把握します。
ポイントは、被害届はあくまで「被害があったという事実の申告」であり、必ずしも加害者の処罰を求める意思表示ではないという点です。
たとえば、次のようなイメージです。
被害届:「自転車を盗まれました。事実として届け出ます」
告訴:「この人を処罰してください」
この違いを理解していないと、示談との関係で大きな誤解が生じます。
被害届が提出・受理されると何が起きるのか
被害届が警察に提出され、受理されると、次のような流れに進みます。
警察が事件として把握する
必要に応じて事情聴取が行われる
証拠収集や捜査が開始される可能性がある
加害者が特定されれば、任意聴取や逮捕につながることもある
重要なのは、被害者と加害者が示談をしていても、警察の判断で捜査は継続され得るという点です。
つまり、
示談成立 = 捜査終了ではありません。
示談はあくまで民事上の解決であり、刑事手続とは別の次元で進みます。
被害届が出ているか確認する方法がない理由
よくある質問として、「被害届が本当に出されているか、加害者側で確認できますか?」というものがあります。
結論から言うと、原則として確認する方法はありません。
理由は以下のとおりです。
被害届は被害者と警察の間の手続である
捜査情報は非公開が原則
第三者(加害者含む)への開示義務がない
そのため、加害者側が「もう示談したから大丈夫だろう」と考えていても、実は被害届が取り下げられておらず、捜査が続いていたというケースは珍しくありません。
この点が「示談書を書いたのに警察から連絡が来た」というトラブルの原因になります。
被害届と告訴・告発の違い
被害届と似た言葉に「告訴」「告発」がありますが、法的な意味は大きく異なります。
被害届・告訴・告発の違い(整理表)
種類 | 誰が出すか | 内容 | 処罰を求める意思 |
被害届 | 被害者 | 被害事実の申告 | 必須ではない |
告訴 | 被害者 | 犯罪事実+犯人特定 | あり |
告発 | 第三者 | 犯罪事実の申告 | あり |
示談との関係で特に重要なのは、告訴が絡むかどうかです。
親告罪/非親告罪の基本整理
犯罪には大きく分けて「親告罪」と「非親告罪」があります。
親告罪とは
被害者の「告訴」がなければ、原則として起訴できない犯罪です。
代表例としては、
名誉毀損
侮辱
軽微な器物損壊 など
この場合、示談書とセットで「告訴を取り下げる」意思表示をしなければ、刑事手続が終わらない可能性があります。
非親告罪とは
被害者の意思に関係なく、警察・検察が判断して起訴できる犯罪です。
たとえば、
傷害
窃盗
強要 など
この場合、示談をしても、被害届や告訴の有無にかかわらず捜査・起訴が進む可能性があります。
つまり、
示談書がある
被害者が許している
という事情は「情状」として考慮されるに過ぎず、刑事責任そのものが消えるわけではないのです。
このように、被害届の性質を正しく理解していないと、「示談書を書けばすべて終わる」という危険な思い込みに陥ってしまいます。
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2.示談書を書けば被害届は取り下げられるのか?
示談書を作成すると、「これで警察の問題も終わった」「もう被害届は効力を失うはず」と安心してしまう方は少なくありません。
しかし、実務上は示談書を書いただけで被害届が消えることはないという点を、まず明確に理解しておく必要があります。
結論:示談書を書いただけでは被害届は自動で取り下げられない
結論から言うと、示談書の作成と被害届の取り下げは、法的にまったく別の手続です。
示談書は、当事者同士(被害者と加害者)が「このトラブルを民事的に解決しました」と合意したことを示す書面にすぎません。
一方、被害届は、
被害者が
警察に対して
犯罪被害を申告する
という公的な刑事手続の一部です。
そのため、示談書をいくら丁寧に作っても、自動的に被害届が取り下げられることはありません。
被害届の取り下げは「被害者本人の意思」による
被害届を取り下げられるのは、被害者本人だけです。
たとえ示談書の中に、
「本件について一切の請求をしない」
「今後、異議申し立てをしない」
といった文言が書かれていたとしても、それだけで警察上の被害届が消えるわけではありません。
実務上、被害届を取り下げるためには、
被害者本人が
警察署に出向き
取下げの意思を明確に伝える
という行動が必要になります。
つまり、
示談書にサインした
お金を受け取った
という事実と、警察への「取下げ手続」をしたかどうかは別問題なのです。
警察・検察は示談書に拘束されない
示談書は、あくまで民事上の合意書です。そのため、警察や検察といった捜査機関は、示談書の内容に法的に拘束されません。
たとえば、
社会的影響が大きい事件
再犯のおそれがあるケース
被害が比較的重いと判断される事案
では、示談が成立していても捜査や起訴が進むことがあります。
示談書は次のような位置づけになります。
項目 | 示談書の扱い |
捜査の停止 | 保証されない |
起訴・不起訴 | 判断材料の一つ |
刑罰の有無 | 直接決めない |
情状(情け) | 考慮される可能性あり |
つまり、示談書は「刑事事件を終わらせる書類」ではなく、「処分が軽くなる可能性がある資料」にすぎないのです。
「示談=刑事事件終了」という誤解が生まれる理由
それでもなお、「示談すれば刑事事件は終わる」と誤解されがちなのには理由があります。
民事と刑事の違いが分かりにくい
多くの人にとって、
お金で解決するトラブル=終わりという感覚が強く、民事(お金の問題)と刑事(罰の問題)の違いが意識されにくいのが実情です。
過去の事例が「成功体験」として語られる
「示談したら警察沙汰にならなかった」という話はよく聞きますが、これは
たまたま被害が軽微だった
被害者が最初から被害届を出していなかった
捜査機関が不起訴と判断した
といった事情が重なった結果にすぎません。
示談書の文言が誤解を招きやすい
示談書には、
「本件について刑事上の責任を問わない」
「被害届を提出しないことを確認する」
といった文言が入ることがあります。
しかし、これらは被害者の「約束」や「意思表明」を書いているだけであり、警察や検察を法的に縛る効力はありません。
この点を理解しないまま示談書を作成すると、「もう安心だと思っていたのに、警察から呼び出された」という事態につながってしまいます。
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3.被害届取り下げの法的効果と限界
示談が成立し、被害者が被害届を取り下げたと聞くと、「これで刑事事件は終わった」と考えてしまいがちです。
しかし、被害届の取り下げには効果がある一方で、明確な限界も存在します。ここでは、刑事手続にどのような影響があるのかを、実務の視点で整理します。
被害届が取り下げられた場合の刑事手続への影響
被害届が取り下げられると、警察・検察は次の点を考慮します。
被害者が処罰を望んでいない
当事者間でトラブルが一定程度解決している
再発の可能性が低いかどうか
その結果、次のような実務的な影響が出ることがあります。
捜査が早期に終了する可能性が高まる
検察官が不起訴を選択しやすくなる
略式手続や起訴猶予が検討されやすくなる
ただし、重要なのは、これは「考慮要素」にすぎないという点です。被害届が取り下げられたからといって、刑事手続が自動的に止まるわけではありません。
被害届が取り下げられても不起訴になるとは限らない
実務では、「被害届を取り下げたのに、なぜ起訴されたのか」という相談は少なくありません。
その理由は、刑事事件の最終判断は検察官が行うからです。
検察官は、
犯罪の内容や悪質性
被害の大きさ
社会への影響
前科・前歴の有無
といった要素を総合的に見て、「処罰が必要かどうか」を判断します。
被害届の取り下げは重要な事情ではあるものの、それだけで不起訴が保証されるわけではないのです。
不起訴になるケース・ならないケースの分かれ目
では、どのような場合に不起訴になりやすく、どのような場合に起訴されやすいのでしょうか。
不起訴になりやすいケース
被害が軽微である
初犯で反省が明確に認められる
示談が成立し、被害届も正式に取り下げられている
再犯のおそれが低い
起訴されやすいケース
被害が重大(ケガが重い、高額被害など)
常習性・悪質性が高い
社会的影響が大きい事件
前科・前歴がある
これを簡単に整理すると、次のようになります。
観点 | 不起訴に傾きやすい | 起訴に傾きやすい |
被害の程度 | 軽い | 重い |
示談の有無 | 成立+取下げ | 未成立・形だけ |
加害者の態度 | 深い反省 | 否認・不誠実 |
社会性 | 私的トラブル | 公共性が高い |
あくまで傾向ですが、被害届の取り下げは「一要素」にすぎないことが分かります。
非親告罪では被害届取り下げの影響が限定的である点
特に注意が必要なのが、非親告罪の場合です。
非親告罪とは、被害者の告訴や意思に関係なく、検察が起訴できる犯罪をいいます。
代表的な例としては、
傷害
窃盗
強要
詐欺
などがあります。
これらの犯罪では、
被害届を取り下げた
示談が成立した
という事情があっても、社会秩序を守る観点から処罰が必要と判断されれば、起訴される可能性があります。
言い換えると、
親告罪:被害者の意思が極めて重要
非親告罪:被害者の意思は考慮要素の一つ
という位置づけです。
この違いを理解せずに、「示談書もあるし、被害届も取り下げてもらったから大丈夫」と考えてしまうことが、重大な誤解につながります。
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4.被害届を取り下げても安心できない典型ケース
被害届が取り下げられたと聞くと、「これで刑事事件は終わったはず」と考えてしまいがちです。
しかし実務では、被害届を取り下げてもなお、刑事手続が続く典型的なケースが存在します。ここでは、特に注意すべき代表例を整理して解説します。
重大犯罪・社会的影響が大きい事件
犯罪の内容が重大であったり、社会的な影響が大きい場合、被害者が被害届を取り下げても、捜査や起訴が進む可能性が高くなります。
たとえば、
重い傷害を伴う暴力事件
高額な被害が生じた詐欺事件
公共の安全を脅かす行為
などが該当します。
これらの事件では、「個人間のトラブル」ではなく「社会全体に対する危険行為」と評価されやすいため、被害者の意思よりも社会秩序の維持が優先されます。
例えるなら、被害者が「もういいです」と言っても、警察や検察は「それで済ませてよい問題か」を別途判断する、という構造です。
余罪がある場合
被害届を取り下げた事件とは別に、余罪(他にも似た犯罪行為があること)が疑われる場合も要注意です。
たとえば、
同様の被害申告が複数出ている
過去にも同種の行為が発覚している
捜査の過程で別件の違法行為が見つかった
といったケースです。
この場合、仮に一件について被害届が取り下げられても、
他の被害者の事件
別の犯罪事実
について捜査が継続され、結果として起訴される可能性があります。
示談が成立したのは、「数ある問題のうちの一つが解決しただけ」という扱いになる点に注意が必要です。
前科・前歴がある場合
加害者に前科や前歴がある場合、被害届の取り下げがあっても、不起訴になりにくくなる傾向があります。
前科・前歴があると、
再犯のおそれがある
更生状況に疑問がある
と評価されやすく、検察官はより慎重な判断を行います。
初心者向けに言い換えると、「初めての失敗」と「何度も繰り返している行為」では、同じ示談でも受け止め方が大きく違う、ということです。
被害者の処罰感情が強い場合
被害届を形式的には取り下げていても、被害者の処罰感情が強い場合には、刑事手続が続く可能性があります。
たとえば、
示談には応じたが納得していない
周囲からの説得で仕方なく取り下げた
厳重処罰を求める意見書を提出している
といった事情がある場合です。
警察や検察は、
被害者が本心から許しているのか
表面的な合意にすぎないのか
といった点も見ています。
そのため、「書類上は被害届を取り下げたが、心情的には強く処罰を求めている」という状況では、示談の効果が限定的になることがあります。
被害届を取り下げても安心できない典型パターンまとめ
典型ケース | 刑事手続への影響 |
重大犯罪・社会的影響大 | 起訴の可能性が高い |
余罪が疑われる | 別件で捜査継続 |
前科・前歴あり | 不起訴になりにくい |
処罰感情が強い | 示談の効果が弱まる |
このように、被害届の取り下げは重要な意味を持つ一方で、それだけで安心できない場面は少なくありません。
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5.被害届を取り下げてもらうために示談が果たす役割
被害届を取り下げてもらうために、示談が重要だと聞いたことがある方は多いでしょう。ただし、示談は「魔法の書類」ではなく、被害者の気持ちと捜査機関の判断に影響を与えるための材料にすぎません。
ここでは、刑事事件における示談の意味と、どのような点が評価されるのかを整理します。
示談とは何か(刑事事件における意味)
示談とは、被害者と加害者が話し合いにより、トラブルを解決する合意のことです。刑事事件においては、次のような意味を持ちます。
被害者の被った損害を回復する
当事者間の感情的対立を緩和する
刑事処分を判断する際の事情資料になる
重要なのは、示談=刑事事件の終了ではないという点です。
例えるなら、示談は「テストの加点要素」であって、「合格を保証する切符」ではありません。
示談が被害届取り下げに影響する理由
被害届の取り下げは、被害者本人の意思によって行われます。そのため、被害者が
気持ちの整理がついた
納得できる解決だと感じた
と判断できなければ、被害届を取り下げることはありません。
示談が被害届取り下げに影響するのは、次の点で被害者の心理に作用するからです。
実際の損害が回復される
誠実な謝罪を受けられる
これ以上争う必要がないと感じられる
つまり、示談は「被害者が被害届を取り下げてもよいと思える環境を整える行為」だと理解すると分かりやすいでしょう。
示談が評価されるポイント
示談が単なる形式ではなく、実務上しっかり評価されるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
被害回復
被害回復とは、被害者が受けた損害を、金銭や原状回復によって補うことです。
たとえば、
治療費・修理費の支払い
慰謝料の支払い
返金・原状回復
などが該当します。
ここで大切なのは、「最低限払えばいい」ではなく、被害者が納得できる水準かどうかです。
被害回復が不十分だと、示談書があっても「形だけの示談」と評価されてしまいます。
謝罪・反省
金銭の支払いだけでは、被害者の感情は必ずしも収まりません。そこで重要になるのが、謝罪と反省の姿勢です。
評価されやすい謝罪の特徴としては、
事実を認めている
言い訳をしない
再発防止について具体的に語っている
といった点が挙げられます。
初心者向けに言えば、「とりあえず謝った」ではなく、「何が悪かったのかを理解している謝罪」が必要ということです。
宥恕の意思
宥恕(ゆうじょ)とは、被害者が加害者を許すという意思を意味します。
刑事実務では、
「厳重処罰を求めない」
「刑事上の責任を問わない意思である」
といった形で表現されることが多く、示談書に明記されることもあります。
ただし、宥恕の意思は、
被害者が自発的に示すこと
強制や誘導がないこと
が重要です。
表面的な文言だけでなく、被害者の本心として許しているかどうかが、警察・検察に見られています。
示談が評価されるポイントまとめ
評価ポイント | 内容 | 実務上の意味 |
被害回復 | 金銭・原状回復 | 納得感が重要 |
謝罪・反省 | 誠実な対応 | 形式的だと評価されない |
宥恕の意思 | 許す意思 | 自発性が重視される |
このように、示談は「被害届を取り下げてもらうための直接的な手続」ではありませんが、被害者の意思形成と刑事判断に強く影響する重要な要素です。
6.被害届取り下げを目的とした示談書の重要条項
被害届を取り下げてもらうことを期待して示談書を作成する場合、「どんな条項を書けばよいのか」「この文言で本当に大丈夫なのか」と悩む方は少なくありません。
しかし、示談書の条項は書けば書くほど安心になるものではなく、意味と限界を理解したうえで設計する必要があります。
被害届取り下げ条項の意味と限界
被害届取り下げ条項とは、被害者が警察に提出した被害届を取り下げる意思があることを示す条項です。
一般的には、
「被害者は、本件に関し提出した被害届を速やかに取り下げるものとする」
といった形で記載されます。
この条項の意味は、被害者が自ら行動することを約束しているという点にあります。
ただし、重要な限界があります。
実際に警察で取り下げ手続をしなければ効力は生じない
警察・検察を法的に拘束するものではない
つまり、示談書に条項があっても、被害届が自動で消えるわけではないのです。
宥恕条項(ゆうじょじょうこう)の実務的効果
宥恕条項とは、被害者が加害者を許し、刑事上の責任を追及しない意思を示す条項をいいます。
実務上は、
「被害者は、加害者を宥恕し、厳重な処罰を求めない」
「刑事上の責任を問わない意思であることを確認する」
といった表現が用いられます。
この条項のポイントは、
被害者の処罰感情が弱まっている
当事者間の紛争が解消している
という事情を、捜査機関に伝える資料になる点です。
ただし、宥恕条項にも限界があります。
起訴・不起訴の判断は検察官が行う
非親告罪では効果が限定的
宥恕条項は、刑事処分を軽くする方向に働く可能性がある材料と理解するのが現実的です。
清算条項との違いと注意点
示談書でよく使われる条項に「清算条項」がありますが、被害届取り下げ条項や宥恕条項とは役割が異なります。
清算条項とは、
「本件に関し、当事者間にこれ以上の債権債務は存在しない」
といった形で、民事上の請求関係を終わらせる条項です。
初心者向けに整理すると、次の違いがあります。
条項 | 対象 | 効果の範囲 |
清算条項 | 民事 | お金・請求関係の終了 |
被害届取り下げ条項 | 刑事手続 | 被害者の行動約束 |
宥恕条項 | 刑事評価 | 処罰感情の緩和 |
注意すべきなのは、清算条項だけでは刑事面にはほとんど影響がないという点です。
「全部清算したのだから警察も終わるだろう」という考えは、非常に危険な誤解です。
「取り下げを約束する」と書けば足りるわけではない理由
示談書に、
「被害届を取り下げることを約束する」
と一文書けば安心、と思われがちですが、実務ではそれだけでは不十分です。
理由は大きく3つあります。
1つ目は、被害者の意思が形式的に見えてしまうことです。単なる約束文言だけでは、本心からの宥恕かどうかが伝わりにくくなります。
2つ目は、実際の行動が伴わなければ意味がない点です。警察での正式な取り下げ手続が行われなければ、示談書は絵に描いた餅になります。
3つ目は、捜査機関は文言の背景事情を見るという点です。被害回復や謝罪が不十分であれば、条項があっても評価されません。
つまり、重要なのは、
条項を書くことではなく
条項に見合った実態があること
です。
重要条項の位置づけまとめ
条項名 | 意味 | 限界 |
被害届取り下げ条項 | 行動の約束 | 自動効果なし |
宥恕条項 | 許す意思 | 起訴は防げない |
清算条項 | 民事終了 | 刑事に直結しない |
被害届取り下げを目的とする示談書では、条文だけに期待せず、被害回復・謝罪・実行まで含めた設計が不可欠です。
7.示談金を払っても被害届が取り下げられない理由
示談金を支払ったにもかかわらず、「被害届が取り下げられなかった」「警察から連絡が来た」という相談は、実務でも少なくありません。
お金を払えば解決する、という感覚は分かりやすい反面、刑事事件では通用しない場面が多いことを理解しておく必要があります。
示談金と被害届取り下げは別問題
まず押さえておきたいのは、示談金の支払いと被害届の取り下げは、法的に別問題だという点です。
示談金は、
被害者が受けた損害を金銭で補う
精神的苦痛に対する慰謝の意味を持つ
ものであり、民事上の解決手段です。
一方、被害届の取り下げは、
被害者が
警察に対して
刑事手続を進めない意思を示す
という刑事手続上の行為です。
例えるなら、
示談金:借金を返す行為
被害届取り下げ:警察への届け出を撤回する行為
であり、片方をしたからといって、もう片方が自動的に成立するわけではありません。
示談金の相場はどう決まるのか
示談金には、法律で定められた一律の相場は存在しません。実務では、次のような要素を総合的に考慮して決まります。
被害の内容・程度
精神的苦痛の大きさ
加害行為の悪質性
当事者の関係性
たとえば、
軽微なトラブル
重大な傷害事件
では、示談金の水準が大きく異なります。
ただし注意すべきなのは、「相場どおり払ったから被害届は取り下げられるはず」という考えは誤りだという点です。
示談金は、あくまで被害回復の一要素にすぎず、被害者の感情や納得感が伴わなければ、取り下げにはつながりません。
示談金を払ったのに取り下げられない場合の法的評価
示談金を支払ったにもかかわらず被害届が取り下げられない場合、直ちに違法や詐欺になるわけではありません。
理由は、
被害届取り下げは被害者の自由意思に基づく行為
金銭支払いだけで法的義務が生じるわけではない
からです。
ただし、示談書の内容によっては、法的な評価が変わる可能性があります。
たとえば、
示談書に「被害届を取り下げる」と明記されている
その約束を前提に示談金を支払っている
場合には、「約束が守られていない」という問題が生じます。
契約不履行・返還請求が問題になるケース
示談書に、
被害届を取り下げる義務
取り下げを前提とした示談金の支払い
が明確に書かれている場合、被害者が取り下げをしないと、契約不履行の問題が生じる可能性があります。
この場合、考えられるのは次のような主張です。
示談金の一部または全部の返還請求
履行(取り下げ手続)を求める請求
もっとも、ここでも注意が必要です。
被害届取り下げは被害者本人の自由意思が強く尊重される
強制的に取り下げさせることはできない
ため、実務では
返還請求が認められる余地はある
取り下げを強制することは困難
というバランスになります。
示談金と被害届取り下げを巡る整理表
状況 | 法的評価 |
示談金支払いのみ | 取り下げ義務なし |
取り下げ条項なし | 返還請求は困難 |
取り下げ条項あり | 不履行問題が生じ得る |
強制的な取り下げ | 原則不可 |
このように、示談金を支払っても、被害届が取り下げられるとは限らない理由は明確です。
8.被害届の取り下げ手続きの実際
被害届を取り下げるといっても、「誰が、どこで、どうやって行うのか」が分からず、不安に感じる方は多いでしょう。
ここでは、実務でよくある誤解を整理しながら、被害届取り下げの現実的な手続の流れを解説します。
被害届取り下げは誰が・どのように行うのか
被害届の取り下げは、原則として被害者本人が行います。
具体的には、
被害者本人が
被害届を提出した警察署に出向き
取下げの意思を伝える
という流れになります。
警察では、
本人確認
取り下げ理由の確認
取下げ書面への署名
などが行われるのが一般的です。
加害者本人や第三者が、代理で取り下げることはできません。
示談書がある場合でも、最終的な行動は被害者本人に委ねられています。
電話で取り下げはできるのか
結論から言うと、電話だけで正式な被害届の取り下げが完了することは、原則ありません。
理由は、
本人の真意を確認する必要がある
なりすまし防止のため
書面での記録を残す必要がある
といった点にあります。
実務では、
電話で事前相談
後日、警察署で書面提出
という流れになることはありますが、電話一本で終わると考えるのは危険です。
取り下げの時期はいつまでが望ましいか
被害届の取り下げに、法律上の明確な期限が定められているわけではありません。
しかし、実務的にはできるだけ早い段階で行うことが望ましいとされています。
目安としては、
捜査が本格化する前
検察に送致される前
が理想的です。
捜査が進み、
証拠が十分に集まっている
社会的影響が大きくなっている
場合には、被害届を取り下げても影響が限定的になることがあります。
例えるなら、「電車が動き出す前なら止めやすいが、走り出してから止めるのは難しい」というイメージです。
一度取り下げられた被害届が再提出される可能性
被害届は、一度取り下げたからといって、二度と出せないわけではありません。
被害者の意思が変われば、
再度被害届を提出すること自体は可能です。
ただし、再提出の場合には、
なぜ取り下げたのか
なぜ再度提出するのか
といった点について、警察が慎重に事情を確認することになります。
実務上、再提出が問題になるのは、
示談が破綻した
約束が守られなかった
強要や圧力があったと後から主張された
といったケースです。
被害届取り下げに関する実務整理
項目 | 実務上の扱い |
取り下げ主体 | 被害者本人のみ |
電話での完結 | 原則不可 |
望ましい時期 | 早期が有利 |
再提出 | 可能性あり |
このように、被害届の取り下げは形式的に簡単な手続ではなく、慎重に扱われる重要な行為です。
9.被害届が取り下げられない場合に生じるリスク
被害届が取り下げられないまま事件が進行すると、示談金を支払っている場合であっても、刑事手続上のさまざまなリスクが残ります。「示談したからもう大丈夫」と思い込んでいると、後から重大な不利益を被ることがあります。
逮捕・勾留の可能性
被害届が取り下げられていない場合、警察や検察は通常どおり捜査を進めます。示談金を支払っていても、それだけで逮捕を防げるわけではありません。
逮捕されるかどうかは、次のような点を総合的に見て判断されます。
逃亡のおそれがあるか
証拠隠滅のおそれがあるか
事件の内容や被害の大きさ
たとえば、「被害者と連絡を取り続けている」「被害者に口止めをしている」と受け取られる行為があると、証拠隠滅のおそれがあるとして、身柄拘束のリスクが高まることがあります。
逮捕後は、最大で20日程度勾留される可能性があり、その間は仕事や家庭生活に大きな影響が出ます。
起訴され前科がつく可能性
被害届が取り下げられていない場合、検察が「起訴する」と判断すれば、刑事裁判に進みます。その結果、有罪判決が出ると前科がつきます。
前科とは、「過去に刑事裁判で有罪になった経歴」のことです。一度前科がつくと、
就職や転職で不利になる
資格取得や更新に影響が出る
海外渡航で制限を受ける可能性がある
といった長期的な不利益が生じることがあります。
示談金を支払っていても、「被害届が残っている」「被害者の処罰感情が強い」場合には、起訴される可能性は十分にあります。
刑事処分が重くなるリスク
被害届が取り下げられず、示談書にも「被害届を取り下げる」という明確な合意がない場合、刑事処分が重くなるリスクがあります。
刑事手続では、次のような点が重視されます。
評価されるポイント | 処分への影響 |
被害者が被害届を維持している | 処分が重くなりやすい |
被害弁償が済んでいる | 有利に働く可能性あり |
示談が成立している | 不起訴や軽い処分の要素 |
被害者の処罰感情が強い | 不利に働く |
つまり、示談金の支払いはプラス要素ではあるものの、被害届が取り下げられていなければ、決定打にはならないという位置づけです。
「示談したのに略式起訴された」「罰金刑になった」というケースは、まさにこの点を理解していなかったことが原因で起こります。
会社・家族・社会生活への影響
被害届が取り下げられないまま刑事事件として進行すると、法律上の問題だけでなく、社会生活全般に深刻な影響が及びます。
会社への影響
逮捕・勾留による無断欠勤
会社に警察から連絡が入る可能性
就業規則による懲戒処分や解雇
特に実名報道がされた場合、会社に居づらくなるケースも少なくありません。
家族への影響
家族が警察対応を迫られる
近隣や親族に事件が知られる
精神的・経済的な負担が増大する
本人だけでなく、家族も巻き込まれる点は見落とされがちですが、非常に重要なリスクです。
社会生活への影響
取引先や知人との関係悪化
SNSやネット上での情報拡散
将来の信用低下
一度広まった情報は完全には消えず、「示談したはずなのに人生に影を落とす」という事態になりかねません。
このように、被害届が取り下げられない状態を放置することは、示談金以上に大きな代償を支払うリスクがあるという点を、しっかり理解しておく必要があります。
10.よくある誤解Q&A|示談書と被害届取り下げ
示談書と被害届の関係については、ネット上でも誤解が多く、「こう書けば大丈夫」「この条文があれば安心」といった不正確な情報が広まりがちです。ここでは、実務で特によく聞かれる疑問をQ&A形式で整理します。
Q 示談書に被害届取り下げを書くと必ず有効ですか?
結論から言うと、示談書に「被害届を取り下げる」と書いたからといって、必ずそのとおりの効果が生じるわけではありません。
被害届を取り下げる行為は、最終的には被害者本人が警察に対して行う手続きです。示談書はあくまで「当事者同士の約束」にすぎず、警察や検察を直接拘束するものではありません。
たとえば、示談書に取り下げの合意があっても、
被害者が実際には警察に行かなかった
取り下げの意思が曖昧だと判断された
事件の性質上、捜査が継続された
といった場合には、被害届は残ったままになります。
Q 宥恕条項があれば不起訴になりますか?
宥恕条項(ゆうじょじょうこう)とは、「被害者が加害者を許し、処罰を求めない」という意思を示す条文のことです。示談書によく入れられますが、これがあるからといって必ず不起訴になるわけではありません。
宥恕条項は、検察が処分を決める際の「有利な事情」にはなりますが、
事件の重大性
社会的影響
前科・前歴の有無
などを踏まえて、総合的に判断されます。
たとえるなら、宥恕条項は「減点を減らす材料」にはなりますが、「合格を保証する切符」ではありません。
Q 被害届取り下げと告訴取消は同じですか?
似ているようで、法律上はまったく別のものです。
項目 | 被害届の取り下げ | 告訴の取消 |
対象 | 被害の申告 | 犯罪の処罰を求める意思表示 |
手続先 | 警察 | 警察・検察 |
効果 | 捜査継続の可能性あり | 原則として公訴不可(親告罪) |
被害届は、あくまで「被害に遭った事実を知らせるもの」なので、取り下げても捜査が続くことがあります。一方、告訴の取消は、親告罪(名誉毀損や器物損壊の一部など)では非常に大きな意味を持ち、原則として起訴できなくなります。
この違いを理解せずに示談を進めると、「取り下げたはずなのに事件が終わらない」という結果になりがちです。
Q 示談金を払ったのに取り下げてもらえない場合は?
示談金を支払ったからといって、必ず被害届を取り下げてもらえるとは限りません。
よくある原因としては、
示談書に取り下げ義務が明確に書かれていない
「努力する」「検討する」といった曖昧な表現になっている
支払い時期と取り下げ時期が連動していない
といった点が挙げられます。
この場合、民事上は「約束どおりに履行されていない」として、返還請求や損害賠償の問題になる可能性はありますが、刑事手続が止まるとは限りません。
つまり、「お金は戻っても、事件は残る」という最悪の事態も起こり得ます。
Q 告訴されていない場合の示談に意味はありますか?
はい、告訴されていない段階での示談にも、十分な意味があります。
たとえば、
被害者が今後告訴する可能性を下げる
警察が事情聴取を行う際の印象が良くなる
早期解決として評価される
といった実務上のメリットがあります。
また、トラブルが大きくなる前に示談をまとめておくことで、「刑事事件化そのものを防ぐ」という効果を期待できる場合もあります。
ただし、この段階でも示談書の内容が不十分だと、後から被害届や告訴が出されるリスクは残るため、安易なテンプレート利用は避けるべきです。
このQ&Aから分かるとおり、「示談書=被害届取り下げ=事件終了」という単純な図式は成り立ちません。示談書の役割と限界を正しく理解したうえで、適切に対応することが重要です。
11.示談・被害届取り下げで失敗しないための実務的注意点
示談や被害届の取り下げは、やり方を一つ間違えるだけで状況を悪化させてしまう分野です。ここでは、実務上「これは必ず押さえておくべき」とされる注意点を解説します。
加害者本人が直接交渉してはいけない理由
刑事事件が絡む示談では、加害者本人が被害者に直接連絡を取ることは、原則として避けるべきです。
理由はシンプルで、被害者の心理的負担が非常に大きいからです。被害者からすれば、
「また怖い思いをするのではないか」
「圧力をかけられているのではないか」
と感じやすく、善意の連絡であっても逆効果になることがあります。
実務では、加害者本人が直接連絡したことで、
被害者の処罰感情が強まった
新たな被害届や相談が追加された
というケースも少なくありません。第三者(弁護士など)を通すことは、被害者保護という意味でも重要です。
脅迫・強要と評価されるリスク
示談交渉の場面では、「取り下げてほしい」という気持ちが強くなりすぎて、言葉が行き過ぎてしまうことがあります。
たとえば、
「取り下げないなら法的に争う」
「応じないなら大変なことになる」
といった発言は、本人にその意図がなくても、被害者側から見れば脅迫や強要と受け取られる可能性があります。
脅迫・強要と評価されると、もともとの事件とは別に、新たな犯罪が成立するリスクすらあります。これは「火消しのつもりで油を注ぐ」ような状態で、最も避けるべき失敗です。
口約束示談の危険性
「お金を払うから取り下げる」「これで終わりにする」といった口約束だけで示談を済ませてしまうのは、非常に危険です。
口約束示談には、
取り下げの時期や方法が不明確
宥恕の意思が客観的に残らない
後から内容を否定されやすい
といった問題があります。
たとえるなら、レシートをもらわずに高額商品を買うようなものです。「言った・言わない」の争いになった場合、刑事手続ではほとんど意味を持たないのが現実です。
刑事事件では弁護士関与が事実上必須である理由
示談書の作成自体は、民事の知識でも対応できる場面があります。しかし、刑事事件が絡む示談では、弁護士の関与が事実上必須といわれています。
その理由は以下のとおりです。
観点 | 弁護士が関与する意味 |
被害者対応 | 感情的対立を避け、冷静な交渉が可能 |
刑事手続 | 検察が評価するポイントを理解している |
表現選択 | 脅迫・強要と誤解されない文言を使える |
リスク管理 | 示談不成立時の対応も見据えられる |
刑事事件の示談は、「書類を作れば終わり」ではありません。被害者の感情、警察・検察の判断、将来の刑事処分までを見据えた総合対応が必要です。
安易に自己判断で進めてしまうと、示談金を支払ったのに事件は悪化した、という取り返しのつかない結果につながりかねません。失敗を避けるためには、早い段階から専門家を介在させることが、結果的に最も安全な選択といえます。
12.まとめ|「示談書=被害届取り下げ」ではない
ここまで解説してきたとおり、示談書と被害届の取り下げは、よく似ているようでまったく別の問題です。最後に、本記事の重要ポイントを整理します。
示談書は万能ではない
示談書は、民事上の紛争を整理し、当事者間の合意内容を明確にするための重要な書面です。しかし、「示談書を書けばすべて解決する」という万能な書類ではありません。
特に刑事事件では、示談書が存在しても、
事件そのものがなかったことになる
警察や検察の判断が自動的に変わる
ということはありません。示談書はあくまで「判断材料の一つ」にすぎない点を理解しておく必要があります。
被害届の取り下げは被害者の意思次第
被害届を取り下げるかどうかは、最終的には被害者本人の意思に委ねられます。示談金を支払ったかどうか、示談書に何が書かれているかだけで、強制的に取り下げさせることはできません。
これは、被害届が「被害者が警察に被害を申告する行為」であり、第三者がコントロールできるものではないからです。この点を誤解したまま示談を進めると、「こんなはずではなかった」という結果になりがちです。
刑事事件は示談の書き方・タイミング・内容で結論が大きく変わる
同じ示談でも、
いつ示談をしたのか
どのような内容で合意したのか
被害回復や宥恕の意思がどこまで明確か
によって、検察の評価は大きく変わります。
たとえば、捜査が進み切ってから形式的な示談書を作る場合と、早期に誠実な対応を行った場合とでは、結果がまったく異なることも珍しくありません。刑事事件の示談は「書類作成」ではなく、「戦略的な対応」が求められる分野です。
早期かつ適切な対応が、最悪の結果を回避する鍵
示談や被害届取り下げの問題で最も危険なのは、「自己判断で何とかしようとすること」です。対応が遅れたり、方法を誤ったりすると、取り返しのつかない刑事リスクにつながります。
逆に言えば、
早い段階で正しい知識を持つ
適切な専門家を介在させる
被害者への配慮を最優先に行動する
これらを意識することで、最悪の結果を回避できる可能性は大きく高まります。
「示談書=被害届取り下げ」という誤解を捨て、刑事事件特有のルールを正しく理解することが、冷静で後悔のない判断につながります。
~事例・比較分析紹介~
13.示談書があっても被害届が取り下げられなかった裁判例・不起訴例の分析
「示談は成立している」「被害届取り下げ条項も入っている」。それにもかかわらず、捜査や起訴が継続した事例は、実務上決して珍しくありません。ここでは、公開されている裁判例や不起訴事例の傾向をもとに、なぜ示談があっても刑事手続が止まらなかったのかを分析します。
公開裁判例・不起訴事例から見える共通点
裁判例や検察実務を俯瞰すると、次のような共通点が見えてきます。
民事的には完全に解決している
被害者は金銭を受領し、書面上は宥恕している
それでも「刑事責任は別」と判断されている
これは、刑事事件が「当事者間の問題」ではなく、「社会全体に対する犯罪」と位置づけられているためです。
示談成立・被害届取り下げ条項があっても捜査が続いた理由
示談書に被害届取り下げ条項がある場合でも、警察・検察は以下の点を重視します。
犯罪の悪質性・危険性
再犯のおそれ
社会的影響の大きさ
たとえば、交通ルール違反が被害者と和解したからといって、警察が処罰をやめるわけではないのと同じ考え方です。示談は「情状」にはなりますが、「免罪符」ではありません。
それでも捜査・起訴が継続したケースの典型例
実務上よく見られるのは、次のようなケースです。
被害者が恐怖心から形式的に示談に応じたと疑われた
示談成立が事件後かなり時間が経ってからだった
類似事件や前歴があり、再犯防止の観点が重視された
このような場合、示談書の存在よりも、事件そのものの評価が優先されます。
事件類型ごとの整理
以下は、事件類型ごとに「示談があっても刑事手続が止まらなかった理由」を整理したものです。
事件類型 | 示談があっても継続した主な理由 |
暴行・傷害 | 被害結果が重い、常習性が疑われる |
窃盗 | 余罪が発覚、被害額が大きい |
性犯罪 | 社会的影響が極めて大きく、被害者保護が最優先 |
詐欺 | 被害者が多数、組織性がある |
ストーカー | 再発防止の必要性が高い |
特に性犯罪やストーカー事案では、被害者が示談に応じていても、「萎縮した結果ではないか」という観点から、示談の評価が厳しくなる傾向があります。
不起訴になったが「示談が決め手ではなかった例」
一方で、不起訴になった事例でも、理由が必ずしも「示談があったから」とは限りません。
証拠不足
被疑者不詳・立証困難
軽微な事案で処罰の必要性が低い
といった要素が主因で、示談は補足的事情として考慮されただけ、というケースも多くあります。
裁判例・実務から導かれる教訓
これらの事例が示しているのは、次の一点です。
示談書があっても、刑事事件の結論は「事件の性質」と「社会的評価」で決まる。
示談は重要な要素ですが、それだけに依存した判断は非常に危険です。「示談書を書いたから大丈夫」と考えてしまうこと自体が、この分野で最も大きな落とし穴だといえるでしょう。
14.被害届取り下げ条項・宥恕条項の文言別リスク比較
示談書では、「被害届を取り下げる」「宥恕する」「処罰を求めない」など、似たような表現がよく使われます。しかし、これらは法的な意味や評価がまったく同じではありません。文言の選び方を誤ると、「示談したのに効果が弱い」「想定していた結果にならない」という事態が生じます。
ここでは、実務で実際に使われている示談書文言(内容は匿名加工)をもとに、文言ごとのリスクと評価の違いを整理します。
実際に使われている示談書文言(匿名加工)
刑事事件の示談書では、次のような条文が典型的です。
「被害者は、本件について提出した被害届を速やかに取り下げることを約する」
「被害者は、加害者を宥恕し、今後一切の処罰を求めない」
「被害者は、本件につき刑事上の責任を問わない意思を表明する」
一見するとどれも似ていますが、警察・検察が受け取る意味合いは異なります。
文言の違いによる法的評価の差
以下の表は、代表的な文言ごとに、実務上の評価とリスクを整理したものです。
文言の例 | 意味・位置づけ | 刑事手続上の評価 | 主なリスク |
被害届を取り下げる | 被害者が警察への申告を撤回する意思表示 | 事実関係の一要素にすぎない | 取り下げ未了・翻意の可能性 |
宥恕する | 被害者が加害者を許す意思を示す | 不起訴判断で重視されやすい | 抽象的すぎると評価が弱い |
処罰を求めない | 刑事処分を望まない意思表示 | 情状として考慮される | 非親告罪では効果が限定的 |
刑事上の責任を問わない | 法律用語としては曖昧 | 実質的効果は乏しい | 法的拘束力が誤解されやすい |
「被害届を取り下げる」文言のリスク
「被害届を取り下げる」という文言は、最も分かりやすい反面、リスクもあります。
実際に警察で手続が完了しなければ意味がない
被害者が後から気持ちを変える可能性がある
非親告罪では捜査継続を止められない
つまり、「書いた=取り下げられた」ではなく、実行と継続性が問題になる文言です。
「宥恕する」文言の実務的評価
宥恕とは、「許す」「寛大な態度を示す」という意味で、刑事実務では比較的重視される表現です。
たとえるなら、被害届取り下げが「行動の撤回」だとすれば、宥恕は「感情の整理」を示すものです。検察は、被害者の処罰感情を非常に重視するため、宥恕条項は不起訴判断でプラス評価されやすい傾向があります。
ただし、「宥恕する」だけでは抽象的すぎるため、
十分な被害回復があるか
自由意思によるものか
といった点が常にチェックされます。
「処罰を求めない」文言の限界
「処罰を求めない」という表現は、被害者の意思を示す点では有効ですが、法的な限界があります。
特に非親告罪では、
被害者が処罰を望まなくても
国家として処罰が必要と判断されれば
起訴される可能性は残ります。そのため、この文言だけで安心するのは危険です。
文言選択で失敗しないための視点
重要なのは、「どの文言が一番強いか」ではありません。
事件類型(親告罪か非親告罪か)
捜査段階(初期か終盤か)
被害者の心理状態
これらに応じて、複数の文言を適切に組み合わせることが実務では求められます。
示談書の文言は、単なる日本語の言い換えではなく、刑事手続における「評価され方」を左右する重要な要素です。安易なテンプレート利用は避け、文言の意味と限界を理解した上で設計することが、リスク回避の鍵となります。
15.示談金支払後も被害届が取り下げられなかったケースの類型化
「示談金をきちんと支払ったのに、被害届が取り下げられなかった」という相談は、弁護士や法律相談でもよく聞かれます。背景には単なる金銭の授受だけでは解決できない事情があり、問題の類型を知ることでリスクを避けるヒントになります。ここでは、公開されたQ&A・裁判例・弁護士コラム等の実務情報を横断調査した結果をもとに、代表的なケースを整理しました。
公開Q&A、裁判例、弁護士コラムを横断調査
弁護士相談や裁判例から読み取れる共通点は、
示談金が支払われたこと自体は評価されるが、
被害届や処罰感情の所在はそれとは別の判断材料である
という点です。
金銭支払いを含む示談は、民事上の和解としては意味を持ちますが、刑事手続では追加の事情が重視されることが多いため、被害届が残る・捜査が継続することがあるのです。
示談金支払後トラブルを以下で分類
実務上、示談金支払い後に被害届が取り下げられなかったケースは、主に**「事案の性質」「被害者の感情」「第三者の関与」「書面の不備」**という視点で整理できます。
以下にそれぞれの類型とリスク要因を説明します。
重大犯罪
重大な犯罪類型では、示談金の支払いがあっても被害届の取り下げが進まない例が目立ちます。
たとえば、
傷害や重度の暴行事件
性的侵害・性犯罪
大規模な詐欺・組織的な窃盗
などです。これらは、被害者と加害者の当事者関係を超えて、社会全体の安全が重視される事件類型です。
刑事手続は国が公共の秩序を守るために行うので、被害者が示談金で納得していても、捜査機関は継続するケースがあります。
事件類型 | 被害届取り下げの困難性 | 解説 |
傷害・暴行 | 高 | 被害の重さ・証拠重視 |
性犯罪 | 高 | 被害者保護の観点が強い |
大規模窃盗 | 中〜高 | 組織性・余罪調査の必要 |
被害感情の強さ
金銭の支払いがあっても、被害者の感情が強く残っている場合は、被害届の取り下げに応じてもらえないことがあります。
たとえば、
精神的苦痛が大きい
金銭で解決できないと感じている
社会的評価の回復を望む
といった場合です。
被害者が「お金では済まない」と感じていたり、処罰を強く求める気持ちがあると、示談金の額や合意内容にかかわらず、被害届が残る可能性が高くなります。これは、「何を持って被害回復とするか」が個人ごとに大きく異なるためです。
第三者介入の有無
被害者以外の第三者(代理人、支援者など)の介入がある場合も、取り下げが進みにくくなる典型パターンです。
たとえば、
親族が介入している
カウンセラー・弁護士が付いている
支援団体のサポートを受けている
といったケースです。
第三者が介入していると、
被害者の意思が慎重に確認される
示談の背景事情が客観的に精査される
処罰感情の変化が簡単には認められない
という評価になることが多く、示談金だけでは説得力が弱いと判断されることがあります。
書面不備
示談書そのものに問題があるケースも、被害届が残る原因になります。具体的には、
被害届の取り下げ条項が曖昧
宥恕条項(許すという意思)が不明確
条文として法的評価が弱い表現しか書かれていない
といった内容です。
たとえば、
「できるだけ取り下げる」といった曖昧表現
処罰を求めないが行動義務が明記されていない
合意の時期・対象犯罪が限定されていない
といった文言は、警察・検察から見ると「本当に被害者が自発的に意思を示しているとは言いにくい」と評価されることがあります。
以下に簡単な比較表を示します。
表現パターン | 明確さ | 刑事手続上の評価 |
被害届を「必ず」取り下げる | 高 | 高評価につながりやすい |
被害届を「可能な限り」取り下げる | 低 | 意思が曖昧と評価される |
宥恕の意思を明確に示す | 中〜高 | 裁量判断のプラス材料 |
処罰を求めない(だけ) | 中 | 非親告罪で効果限定 |
類型化からの実務的な示唆
これらの類型を見ると重要なことは次のとおりです。
示談金だけでは解決しない事情がある特に重大な事件や被害感情が強い場合、金銭補償は必要条件になっても十分条件にはなりません。
被害者の意思の裏付けが不可欠書面の文言が形式的でも、被害者が実際に自発的な意思を示していることが評価の핵심です。
第三者の介入や支援があると慎重な評価になる客観性が高まる反面、示談合意の意味合いは強まるケースもあります。
示談金支払後に被害届が取り下げられなかったとしても、それが単純に「対応が悪かった」だけとは限りません。背景事情を正しく把握し、類型ごとのリスクと対応策を理解することが、トラブル回避の鍵になります。
16.示談成立のタイミング別・刑事処分への影響比較
刑事事件における示談は、「するか・しないか」だけでなく**「いつ成立したか」**によって、刑事処分への影響が大きく変わります。同じ内容の示談書であっても、タイミングが違うだけで結果が大きく分かれる点は、初心者の方が最も誤解しやすいポイントです。
ここでは、示談成立の時期を4段階に分け、それぞれの刑事手続への影響を整理します。
被害届提出前に示談が成立した場合
被害届がまだ提出されていない段階で示談が成立すると、刑事事件化そのものを回避できる可能性があります。
この段階では、
被害者が警察に相談する前
もしくは相談していても正式な被害届が出ていない
という状態です。被害者が示談により納得すれば、被害届が提出されず、結果として捜査が開始されないこともあります。
たとえるなら、火が小さいうちに消火できた状態です。もっとも、事件の内容が重大であれば、警察が職権で動く可能性もあるため、万能ではありません。
受理後・送検前に示談が成立した場合
被害届が受理され、警察が捜査を開始しているが、まだ検察に送検されていない段階です。
このタイミングで示談が成立すると、
逮捕を回避できる
在宅事件として処理される
警察意見で「情状酌量」が付される
など、比較的強いプラス評価が期待できます。
被害届が取り下げられれば、警察が「事件として処理する必要性が低い」と判断し、送検自体を見送るケースもあります。
送検後に示談が成立した場合
送検後は、事件の主導権が警察から検察に移ります。この段階での示談は、
起訴・不起訴の判断材料
処分保留・不起訴処分の可能性
として考慮されます。
ただし、検察はすでに証拠を精査しており、「示談があっても起訴すべき事件」と判断されると、処分結果は変わらないこともあります。
この段階の示談は、「結果を左右する決定打」ではなく、「判断を後押しする材料」と考えるのが現実的です。
起訴後に示談が成立した場合
起訴後は、すでに刑事裁判が始まっている状態です。この段階での示談は、
無罪・不起訴にはならない
量刑(刑の重さ)に影響する
という位置づけになります。
たとえば、
実刑か執行猶予か
罰金額の軽減
といった点で考慮されることはありますが、「事件がなかったこと」にはなりません。
たとえるなら、試合終了間際に反則を減らしても、試合結果そのものは覆らない、というイメージです。
タイミング別の影響を一覧で整理
以下の表は、示談成立のタイミングごとに、刑事処分への影響をまとめたものです。
示談成立の時期 | 主な影響 | 期待できる効果 |
被害届提出前 | 刑事事件化の回避 | 被害届が出されない可能性 |
受理後・送検前 | 捜査段階での配慮 | 逮捕回避・送検見送り |
送検後 | 起訴判断への影響 | 不起訴・略式処分 |
起訴後 | 量刑判断のみ | 刑の軽減 |
タイミング比較から分かる重要ポイント
示談は、早ければ早いほど刑事処分への影響が大きいというのが実務の基本です。
一方で、焦って不適切な交渉を行うと、
被害者の感情を悪化させる
強要・脅迫と評価される
といったリスクもあります。
重要なのは、「早さ」と「適切さ」のバランスです。示談成立のタイミングを正しく理解することが、最悪の刑事結果を避けるための大きな分かれ道になります。
17.示談成立のタイミング別・刑事処分への影響比較
なぜ「示談のタイミング」が重要なのか
示談は、いつ成立したかによって刑事手続きへの影響が大きく変わります。同じ内容の示談書であっても、「被害届が出る前」なのか、「すでに起訴された後」なのかで、警察や検察の判断余地はまったく異なります。
初心者の方がよく誤解しがちなのは、「示談さえすれば、いつでも同じ効果がある」という考え方です。実務ではそうではなく、刑事手続きがどこまで進んでいるかが極めて重要な判断材料になります。
被害届提出前に示談が成立した場合
刑事手続きへの影響
被害届が提出される前に示談が成立していれば、そもそも刑事事件化しない可能性が高くなります。被害者側が「すでに解決している問題」と考えれば、警察に被害届を出す必要がなくなるためです。
実務上の位置づけ
この段階での示談は、最もトラブルを未然に防ぎやすい理想的なタイミングといえます。ただし、「話し合いで済ませた」「口約束だけ」という状態は危険です。後から気が変わるリスクがあるため、必ず示談書として書面化しておく必要があります。
被害届受理後・送検前に示談が成立した場合
刑事手続きへの影響
被害届はすでに警察に受理されているものの、まだ検察に送られていない段階です。この時点で示談が成立し、被害者が被害届を取り下げる意思を明確に示した場合、送検されずに手続きが終了する可能性があります。
注意点
ここで注意すべきなのは、「示談が成立した=必ず送検されない」という関係ではない点です。警察がすでに一定の捜査を進めている場合、示談の存在を考慮しつつも送検されるケースは珍しくありません。
送検後に示談が成立した場合
刑事手続きへの影響
送検後は、処分を決める主体が警察から検察官に移ります。この段階で成立した示談は、不起訴処分(裁判にしない判断)を検討するための重要な材料として扱われます。
よくある誤解
「示談したのに送検されたから、もう意味がない」と思われがちですが、これは誤解です。送検後であっても、示談が成立していれば、・被害者が処罰を望んでいない・紛争が解決していると評価され、不起訴となる可能性を高める効果があります。
起訴後に示談が成立した場合
刑事手続きへの影響
起訴とは、「この事件は裁判で判断する」と検察が正式に決めた状態です。この段階になると、示談が成立しても起訴そのものが取り消されることは原則ありません。
それでも示談が無意味ではない理由
起訴後の示談は、**量刑(刑の重さ)**に影響します。例えば、・罰金額が軽くなる・執行猶予が付く可能性が高まるなど、最終的な結果に差が出ることがあります。
タイミング別の影響を一覧で整理
示談成立の時期 | 刑事処分への影響 | 実務上の評価 |
被害届提出前 | 被害届が出されない可能性が高い | 最も有利 |
受理後・送検前 | 送検回避の可能性あり | 有利だが確実ではない |
送検後 | 不起訴判断の重要材料 | 実務上かなり重要 |
起訴後 | 量刑に影響 | 効果は限定的 |
示談書を作る際に押さえるべき実務的ポイント
示談の効果を最大限にするためには、「示談をしたかどうか」だけでなく、その時点で何を目的とするのかを明確にする必要があります。
・被害届の提出自体を防ぎたいのか・不起訴を目指したいのか・刑を軽くすることが目的なのか
この目的によって、示談の進め方や示談書に盛り込む内容は大きく変わります。「示談書を書けば被害届は必ず取り下げられる」という発想こそが、最大の落とし穴であることを押さえておきましょう。
契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは?
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士:契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士:法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万 |
弁護士 | 契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律2万円で作成しています。
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作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。







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