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示談書の遅延損害金は自動で発生しない?知らないと損する法律知識

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 1 日前
  • 読了時間: 44分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。


示談書を作成すると「これで安心」と思いがちですが、実は遅延損害金は示談書があるだけでは自動的に発生しません。支払いが遅れた場合に備えて、条項の書き方や利率・起算日などを正しく設定することが非常に重要です。本コラムでは、遅延損害金の基本知識から実務上の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。



  本記事のまとめ:

重要事項

概要

示談書に条項を書かない限り、支払遅延時に自動で請求できるわけではない。

利率・起算日・支払期限・分割払い条件などを明確に記載することが重要

支払われなかった後ではなく、示談締結時に条項を整え、公正証書化や専門家チェックを行うことがトラブル回避のポイント

🌻「示談書にサインしたけど、支払いが遅れたらどうなるの?」そんな不安を抱える方に必読です。本文を読むことで、遅延損害金の自動発生の誤解を避け、確実に回収するための条項作成のポイントが理解できます。示談書作成やトラブル回避に役立つ情報が満載です。


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▼目次



~事例・比較分析紹介~



~番外編~




  1.はじめに|「示談書がある=遅延損害金がもらえる」は誤解


示談書を作成したからといって、必ずしも「遅延損害金(支払いが遅れた場合の追加金)が自動的に発生する」とは限りません。実際、示談成立後に支払いが遅れるケースは意外と多く、トラブルになりやすいポイントです。


例えば、慰謝料や損害賠償金を示談書で取り決めた場合、相手が約束通りに支払わなければ、「遅延損害金が自動で発生する」と思い込んで催促をせずに放置してしまう方も少なくありません。しかし、法律上も実務上も、**「遅延損害金は示談書に明記されていない限り、自動では発生しない」**のが現実です。


つまり、示談書の内容次第で支払われる金額や権利が変わるため、後で損をしないためには注意が必要です。本記事では、次のポイントについて詳しく解説します。

  • 遅延損害金が自動で発生しない理由

  • 実務上のトラブル防止策

  • 支払い遅延が起きた場合の対応方法


これらを理解することで、示談書作成時に「後から追加請求できるのか」「損害を回避できるのか」を明確に判断できるようになります。



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  2.遅延損害金とは何か|民法上の基本ルール


示談書を作成した際に、支払いが遅れた場合に発生することのある「遅延損害金」。まずは、その法的な位置づけと基本ルールを理解しておくことが重要です。



遅延損害金の法的性質(履行遅滞に対する損害賠償)

遅延損害金とは、簡単に言うと**「約束した支払いが期日までに行われなかった場合に発生する損害賠償」**です。法律上では、民法第412条で「履行遅滞に対する損害賠償」として定められています。


つまり、相手が示談書に基づく支払いを遅らせた場合、遅れた分についての損害を金銭で請求できる権利が遅延損害金です。

例えば、慰謝料50万円を1月10日までに支払う約束をしていた場合、期日を過ぎると「50万円だけでなく遅延損害金も請求できる」という仕組みです。

ただし、重要なポイントとして、遅延損害金は示談書や契約書に明記されていなければ自動的には発生しません。口約束や一般的な示談成立だけでは請求できないため注意が必要です。



利息との違い

「遅延損害金」と似た言葉に「利息」がありますが、両者は法律上、目的と発生条件が異なります。

種類

定義

発生条件

特徴

遅延損害金

支払いが遅れたことによる損害賠償

債務の履行期日を過ぎた場合

法律上の損害賠償。利率は契約で決めるか、民法の定めに従う。

利息

お金を借りた場合などに発生する使用料

借入金や預金などで発生

債務の遅れに限らず、元本に対して発生する。

例えるなら、利息は「お金を借りたら発生するレンタル料」、遅延損害金は「約束の返却が遅れたときに払う罰金」と考えるとイメージしやすいです。



遅延損害金が問題になる典型例(慰謝料・損害賠償)

遅延損害金が実務上問題になるケースとしては、主に以下のような例があります。

  1. 慰謝料の支払い交通事故や不倫・浮気問題での示談で決めた慰謝料。支払いが遅れると、損害賠償の一環として遅延損害金を請求できる可能性があります。

  2. 損害賠償金の支払い物損や契約違反による損害賠償の場合も同様。期日を過ぎると、被害者は遅延損害金を含めて請求可能です。

  3. 少額の分割払い分割払いの約束をしていた場合、支払い遅延ごとに遅延損害金を設定しておかないと、後でまとめて請求するのが難しくなるケースがあります。


これらのケースでは、遅延損害金の発生条件や利率を示談書に明記しておくことが重要です。明記していないと、後から請求したくても法律上認められないことがあり、結果として損をしてしまう可能性があります。



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  3.示談書があっても遅延損害金は自動では発生しない理由


示談書を作成していても、支払いが遅れた場合に遅延損害金が自動的に発生するわけではありません。ここでは、その理由を法律上・実務上の視点から詳しく解説します。



示談は「合意内容」がすべて

示談書とは、当事者同士が合意した内容を文章化したものです。つまり、示談書に書かれていないことは原則として権利として認められません

遅延損害金についても同様で、示談書に「支払いが遅れた場合は○%の遅延損害金を支払う」と明記されていなければ、法律上自動で発生することはありません。


例えば、次のようなイメージです。

シナリオ

遅延損害金の発生

示談書に「期日を過ぎた場合の遅延損害金を支払う」と明記

支払い遅延時に遅延損害金を請求可能

示談書に期日だけ書いて遅延損害金の記載なし

遅延しても遅延損害金は自動では発生せず、請求には別途合意や裁判が必要

このように、示談書は「当事者が何に合意したか」がすべてであり、法律が自動的に補うわけではないのです。



支払期限・ペナルティを定めていない示談書の弱点

示談書でよくある落とし穴は、支払期限は書いてあるのに、遅延した場合のペナルティを定めていないことです。

例えば、慰謝料50万円の支払い期日が「2026年2月10日まで」とだけ書かれている場合、相手が期日を過ぎても自動で遅延損害金が発生しません。

実務上、このような示談書は次のリスクがあります。

  • 支払いが遅れても、追加の請求がしにくい

  • 相手が「期日を守らなくても大丈夫」と考え、支払いを引き延ばす可能性

  • 後日、裁判を起こして遅延損害金を認めてもらう必要がある

こうしたリスクを避けるためには、示談書作成時に支払期限と遅延損害金の利率・算定方法を明記することが必須です。



裁判と示談の決定的な違い(判決には当然付くが、示談には付かない)

裁判で慰謝料や損害賠償金を請求した場合、判決が確定すれば遅延損害金は自動的に付くのが法律上のルールです(民法第404条)。つまり、判決日や支払い期日から支払われるまでの利息が自動的に加算されます。


しかし、示談の場合は先ほど述べた通り、当事者同士の合意内容がすべて。裁判のように法律が自動で補填してくれるわけではありません。


言い換えると、示談書は「裁判外の合意書」であり、裁判の判決と同じ効力を持つわけではないのです。このため、示談書だけに頼ると、支払い遅延時に追加請求が困難になるケースがあります。



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  4.遅延損害金が発生するケース・発生しないケース


示談書における遅延損害金は、自動的に発生するわけではありません。ここでは、遅延損害金が発生する場合と発生しない場合を具体的に整理し、初心者でもわかりやすく解説します。



法律上当然に発生する場合(訴訟・判決・法定債務)

裁判や法律上の義務によって確定した債務では、遅延損害金は自動的に発生します。民法上、支払いが遅れた場合には、遅延損害金の支払いが原則として当然認められると定められています(民法第404条、第412条)。

具体例は以下の通りです。

ケース

遅延損害金の発生

裁判で慰謝料50万円の支払い判決が確定

支払期日を過ぎた時点から遅延損害金が自動的に発生

税金や公共料金など法定債務

支払い遅延で法定利率に基づく遅延損害金が自動的に発生

このように、法律が関与する場合は自動で利息や損害金が加算されるため、追加の合意は不要です。



示談書に明示がある場合

示談書の中で「支払期日を過ぎた場合、年○%の遅延損害金を支払う」と明記している場合も、発生が認められます。

この場合は、民法の利率に従って計算され、支払いが遅れた日数に応じて遅延損害金を請求可能です。示談書での明記は、裁判なしでも請求できる強力な証拠になります。


例:慰謝料50万円、支払い期日2026年2月10日、遅延損害金年5%と明記されている場合

  • 支払いが1か月遅れた場合の遅延損害金:50万円 × 5% ÷ 12か月 = 約2083円

  • 支払いが3か月遅れた場合:約6250円

こうした計算式を示談書に記載しておくと、支払い遅延時に明確に請求できます。



示談書に記載がなく、請求が困難になる場合

逆に、示談書に遅延損害金の取り決めがない場合は、支払い遅延が発生しても、請求が困難です。

  • 支払期日だけ記載されている場合

  • 遅延時の利率や計算方法が記載されていない場合

このような場合は、遅延損害金を請求するには新たに合意するか、裁判で認めてもらう必要があります。そのため、示談書作成時に遅延損害金の条項を入れておくことは、後々のトラブル回避に非常に有効です。



「口約束」「LINE合意」だけでは不十分な理由

口頭やLINEなどで「遅れたら遅延損害金を払う」と約束しただけでは、法的な効力は弱く、実務上の証拠として認められにくいのが現実です。


理由は以下の通りです。

理由

解説

証拠力が弱い

会話やLINEのスクリーンショットだけでは、内容や日時が争われることがある

強制力がない

支払いが遅れても、裁判なしで請求するのが難しい

解釈の違いが生じやすい

「遅延損害金の利率」「計算方法」が不明確だと、後日争いの原因になる

したがって、示談書に明文化することが、支払い遅延に対する確実な権利保護策となります。



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  5.示談書における遅延損害金条項の実務的な位置づけ


示談書における遅延損害金条項は、支払いトラブルを未然に防ぐための重要な仕組みです。単に「支払期日を書くだけ」では不十分であり、実務上はこの条項を入れるかどうかで、後の請求や交渉のしやすさが大きく変わります。



なぜ遅延損害金条項が重要なのか

遅延損害金条項があると、支払い遅延が起きた場合に追加的な金銭請求が可能になることが明確になります。条項がない場合、支払い遅延があっても、後日「遅延損害金を請求する権利」が認められるとは限りません。


実務上のメリットを整理すると次の通りです。

メリット

解説

支払いを促す効果

遅延した場合に金銭的ペナルティがあると、支払い意欲が高まる

証拠力が強い

条項が示談書に明記されていれば、裁判なしでも請求可能

トラブル回避

後日「遅延損害金を払う約束はなかった」と争われるリスクを減らせる

例えるなら、遅延損害金条項は「支払い遅延への安全装置」のようなものです。これがあることで、支払期日を守らせる強力な抑止力になります。



清算条項・違約金条項との違い

示談書には他にも「清算条項」「違約金条項」がありますが、遅延損害金条項とは性質が異なります。

条項

目的

発生条件

特徴

遅延損害金条項

支払い遅延時の損害補填

支払い期日を過ぎた場合

利率を明記することで金額を明確化できる

清算条項

示談で決めた金額で全て解決

示談書署名時点で合意済み

後日追加請求を禁止する条項

違約金条項

契約違反のペナルティ

条項違反が発生した場合

支払遅延以外の違反にも適用できる場合あり

ポイントは、清算条項は「全ての請求を終わらせる」ための条項であり、遅延損害金は「支払い遅延を防ぐための条項」であることです。違約金条項はより広範囲に使える条項ですが、示談書で遅延損害金を兼ねさせる場合は、別途明記しておく方が安全です。



分割払いと遅延損害金の関係(期限の利益喪失)

示談金を分割払いにする場合、遅延損害金条項はさらに重要です。ここで知っておくべき法律上の概念が「期限の利益喪失」です。

  • 期限の利益とは:分割払いなどで「一度に全額支払わなくてもよい」という権利

  • 期限の利益喪失とは:支払いが遅れた場合、残りの分割金を一括請求できる状態になること

つまり、分割払いの途中で1回でも支払いが遅れると、示談書に「遅延損害金の発生」と「期限の利益喪失」を明記しておくことで、残額をまとめて請求でき、遅延を防ぐ抑止力になります。


例:慰謝料50万円を5万円ずつ10回に分割する場合

  • 支払いが1回遅れると、残り45万円に対して遅延損害金を発生させる

  • 示談書に期限の利益喪失条項があれば、残額を一括請求可能

このように、分割払い時の遅延損害金条項は、支払いを遅らせないための重要な「仕組み」として機能します。


この章を理解すると、示談書作成時には以下のポイントを押さえておく必要があることがわかります。

  • 遅延損害金の利率・算定方法を明記する

  • 支払期日とペナルティをセットにする

  • 分割払い時は期限の利益喪失条項と組み合わせる

これにより、後日の支払い遅延トラブルを大幅に防ぐことができます。



  6.遅延損害金の利率はどう決まるのか


示談書で遅延損害金を設定する場合、利率の決め方は非常に重要です。利率によって支払い額が変わるため、相手が負担できる範囲や法律上の上限を意識して設定する必要があります。ここでは、法定利率の基本や実務上の注意点を解説します。



原則:法定利率

遅延損害金の利率は、基本的に民法で定められた法定利率に従います。法定利率とは、法律で定められた「支払いが遅れた場合に課される利息の目安」です。


民法では次の通り定められています。

種類

法定利率

適用対象

一般債務

年5%

個人間・事業者間の支払い遅延など

金銭消費貸借(商事債務)

年6%

事業者間の貸付・商取引など

つまり、示談書で利率を明記しなかった場合、原則として法定利率が適用されることになります。

例:慰謝料50万円の支払いが1か月遅れた場合、法定利率5%で計算すると50万円 × 5% ÷ 12か月 ≈ 2083円

このように、法定利率は「無記載時の安全弁」と考えるとわかりやすいです。



民法改正後の法定利率の考え方

2020年の民法改正により、法定利率は「年3%が原則」という形に変わりました。改正前は固定で5%でしたが、改正後は経済状況に応じて利率が調整されることになっています。

ポイントは以下の通りです。

  • 個人間の金銭債務:年3%

  • 明確な特約があれば、当事者間で自由に利率設定が可能

つまり、示談書に「遅延損害金の利率は年○%」と書いておけば、法定利率とは異なる利率でも合意が有効です。



当事者間で利率を定めることは可能か

示談書では、当事者間で遅延損害金の利率を自由に設定することが可能です。ただし、高すぎる利率は無効になるリスクがあります。

  • 利率が高すぎると「利息制限法」の適用で、上限を超える部分は無効

  • 違法な利率として裁判で修正される可能性

実務上は、年5%前後を目安に設定することが一般的です。示談書には、遅延損害金の計算方法も明記しておくと、後日争いになりにくくなります。

例:

「本契約に基づく支払の遅延があった場合、遅延期間中、未払い金額に対し年5%の割合で遅延損害金を支払うものとする。」

このように書くことで、支払い遅延が発生した場合の計算方法と利率が明確になります。



高すぎる利率が無効・修正されるリスク

利率を高く設定しすぎると、裁判所により無効または修正される可能性があります。

  • 利率が民法や利息制限法の上限を超えている場合

  • 支払義務者に著しく不利と判断される場合

そのため、示談書では**「法定利率+少しの上乗せ」を目安**に設定するのが安全です。過剰に高い利率は、せっかくの示談書の効力を弱めることになりかねません。


まとめると、遅延損害金の利率設定では次の点を押さえることが重要です。

  1. 法定利率が原則であり、示談書で明記しなければ自動適用される

  2. 民法改正後は原則3%、商事債務や特約で最大5%まで設定可能

  3. 当事者間で利率を自由に設定できるが、高すぎる利率は無効や修正のリスクあり

  4. 利率と計算方法は示談書に明記して、後日争いを避ける



  7.遅延損害金の起算日はいつからか


示談書で遅延損害金を請求する場合、**「いつから遅延損害金が発生するのか」**を明確にしておくことが非常に重要です。起算日を曖昧にすると、支払い遅延が発生した際にトラブルになる可能性があります。



支払期限を明確に定めた場合

遅延損害金は、原則として支払いが遅れた日から発生します。したがって、示談書に支払期限を明確に書いておくことが重要です。

例えば、以下のように書くとわかりやすいです。

「慰謝料50万円は、2026年2月10日までに支払うものとする。支払期限を過ぎた場合、未払い額に対し年5%の遅延損害金を支払うものとする。」

このように**「支払期限」と「遅延損害金の利率」をセットで明記する**ことで、起算日も自動的に明確になります。



「〇年〇月末日までに支払う」と書く重要性

支払期限を「〇年〇月末日まで」と具体的に書くことは、後日の紛争防止に直結します。

  • 日付が曖昧だと「何日から遅延損害金が発生するか」で争いになる

  • 「月末まで」と書いておけば、月末を過ぎた翌日から起算されると明確にできる

例:

記載方法

解釈の違いリスク

「速やかに支払うこと」

いつから遅延とするか不明確、紛争になりやすい

「〇年〇月末日までに支払う」

支払期限が明確、遅延損害金の起算日も明確

このように、支払期限の明確化は遅延損害金条項を機能させる上で必須です。



起算日を巡って紛争になりやすい典型例

起算日が曖昧な場合、次のような紛争がよく発生します。

  1. 支払い方法の違いによる争い

    • 「振込日基準」か「相手の口座到着日基準」かで計算日が変わる

    • 解決策:示談書に「振込手続き日を支払日とする」など明記

  2. 部分支払い・分割払いによる争い

    • 分割払いの場合、1回目の支払いが遅れた場合にのみ遅延損害金を適用するのか、残額すべてに適用するのかでトラブル

    • 解決策:分割払い条項と期限の利益喪失条項を組み合わせて明記

  3. 支払期日が祝日・休日にあたる場合

    • 「〇月末日」とした場合、銀行の営業日や入金確認のタイミングで解釈が変わる

    • 解決策:「銀行営業日を支払期限とする」と明記する


このような紛争を防ぐためにも、示談書では起算日を明確に書くこと、支払い方法や分割条件も具体的に定めることが重要です。


まとめると、遅延損害金の起算日を巡るトラブルを避けるためのポイントは以下の通りです。

  1. 支払期限を明確に日付で記載する

  2. 支払い方法(振込日など)を明記する

  3. 分割払いの場合は期限の利益喪失や残額への適用を示す

  4. 祝日・休日の処理についても書いておく

これらを押さえておくことで、示談書の遅延損害金条項が確実に機能し、後日の紛争を未然に防ぐことができます。



  8.実務で多い「遅延損害金トラブル」具体例


示談書を作成した後でも、遅延損害金を巡るトラブルは意外と多く発生します。特に「条項の不備」や「支払い意思の曖昧さ」が原因で、後で泣き寝入りするケースも少なくありません。ここでは、実務でよく見られるトラブル例を紹介します。



示談書はあるが、遅延損害金条項がないケース

最も多いのは、示談書自体はあるが、遅延損害金の条項が書かれていないケースです。

例:慰謝料50万円の支払いについて、示談書には「2026年2月10日までに支払う」とだけ記載されている場合、相手が期日を過ぎても遅延損害金は自動的には発生しません。

  • 支払期日を過ぎても追加請求が困難

  • 「後から利息やペナルティを請求できるだろう」と考えても、法律上は認められない場合が多い

このケースでは、示談書作成時に遅延損害金条項を明記する重要性がよくわかります。



「支払う意思はある」と言われ続けるケース

次に多いのが、相手が「支払う意思はある」と言い続け、支払いが進まないケースです。

  • 口頭やLINEで「遅れたら払う」と約束しても、法的効力は弱い

  • 支払期日を過ぎても行動が伴わず、催促するしかない

  • 遅延損害金条項がなければ、請求する根拠が弱い

この場合、示談書に遅延損害金や支払期限を明記していれば、「遅れたら追加金が発生する」という証拠として強力に機能します。



分割払いが途中で止まったケース

分割払いの場合、途中で支払いが止まるトラブルも多いです。

例:慰謝料50万円を5万円ずつ10回で支払う約束をしていたが、3回目以降支払いがストップ。

  • 遅延損害金条項や期限の利益喪失条項がないと、残額をまとめて請求できない

  • 支払遅延のたびに交渉が必要になり、トラブルが長期化する

  • 分割払いの条件や遅延損害金の計算方法を示談書で明記しておくことが重要

分割払い時は、遅延損害金条項と**「期限の利益喪失条項」**を組み合わせることで、途中で支払いが止まった場合でも残額を一括請求できる仕組みを作れます。



強制執行できず泣き寝入りするケース

遅延損害金が発生しても、示談書に明記がなく、支払いが滞ると強制執行できず泣き寝入りするケースもあります。

  • 裁判判決があれば、差押えなどの強制執行が可能

  • しかし、示談書だけでは「遅延損害金の発生」を裁判所に認めてもらう必要がある場合がある

  • 証拠不十分だと、結局支払いが進まず泣き寝入りになる

このような最悪のケースを避けるためにも、示談書作成時に遅延損害金の利率・起算日・計算方法を明確にすることが非常に重要です。


まとめると、実務で多い遅延損害金トラブルには次の特徴があります。

  1. 条項がないため追加請求が困難

  2. 支払い意思が口頭のみで不確実

  3. 分割払いが途中で滞る

  4. 強制執行ができず泣き寝入り

示談書作成時に、遅延損害金条項・支払期日・起算日・利率・分割払い条件を具体的に書くことで、これらのトラブルは大幅に回避できます。



  9.遅延損害金を確実に回収したい場合の対策


示談書を作成しても、支払いが滞るケースは少なくありません。特に遅延損害金を確実に回収するためには、作成段階から条項の明確化・公正証書化・専門家チェック・訴訟リスクの考慮といった対策が重要です。



示談書に必ず入れるべき条項

遅延損害金を確実に回収するためには、示談書に次の条項を必ず盛り込む必要があります。

条項

内容・ポイント

支払期限

「〇年〇月〇日までに支払う」と具体的に記載

遅延損害金の利率

法定利率または合意利率(年○%)を明記

遅延損害金の起算日

支払期限翌日から発生する旨を明記

分割払いの場合の条件

分割額、支払日、期限の利益喪失条項

支払い方法

振込先口座や手続き基準を明記

清算条項

示談金で全て解決するかどうかを明記

これらを明確に書くことで、後日の紛争や支払い遅延トラブルを大幅に防ぐことができます。特に分割払い時は、期限の利益喪失条項がないと、途中で支払いが滞った場合に残額をまとめて請求できません。



公正証書にするメリット

示談書を公正証書化すると、法的効力が格段に強くなります。

  • 公正証書にすると、相手が支払いを遅延した場合、裁判を経ずに**強制執行(差押えなど)**が可能

  • 「支払期限」「遅延損害金」「分割払い条件」が明確に文書化される

  • 支払い意思の有無や証拠力を巡るトラブルを大幅に減らせる

例えるなら、通常の示談書は「約束書」、公正証書は「裁判判決の前段階」と考えるとわかりやすいです。強制力がある分、相手も支払いを軽視できなくなります。



示談書作成時に専門家チェックが重要な理由

示談書は一見シンプルに見えますが、条項の書き方次第で効力に差が出ます。専門家(弁護士や行政書士)にチェックしてもらうメリットは次の通りです。

  • 条項漏れの防止:支払期限、利率、起算日、清算条項などを見落とさない

  • 分割払いや期限の利益喪失の整合性チェック:途中で支払いが止まった場合の対応を明確化

  • 法律改正への対応:利率の上限や法定利率改正に合わせて条文を調整可能

  • 文言の明確化:「遅延損害金は支払期限翌日から発生する」など曖昧さをなくす

専門家のチェックを入れることで、後で「条項が不明確だから請求できない」というリスクを回避できます。



示談で済ませるべきか、訴訟も視野に入れるべきか

示談で全てを解決できればコストも時間も抑えられますが、相手が支払いを渋ったり、遅延損害金を認めない場合は、訴訟も選択肢に入れる必要があります。

判断ポイントは以下の通りです。

判断基準

示談

訴訟

支払い意思

ある程度ある

全くない

支払い証拠

明確

曖昧・争いの可能性あり

コスト・時間

安価・短期

弁護士費用+数か月~数年かかる場合あり

強制力

公正証書化で可能

裁判判決後、差押え可能

示談書だけで回収できる場合もありますが、確実に回収したい場合は、示談書の公正証書化と必要に応じて訴訟も視野に入れることが重要です。


まとめると、遅延損害金を確実に回収するためには以下がポイントです。

  1. 支払期限・利率・起算日などを示談書に明記

  2. 分割払い時は期限の利益喪失条項を併せて設定

  3. 公正証書化で強制執行可能に

  4. 専門家チェックで条項漏れや曖昧さを排除

  5. 示談で回収できない場合は訴訟も視野に入れる

これらを押さえておくことで、示談書での遅延損害金トラブルを未然に防ぎ、確実に回収できる体制を作ることができます。



  10.まとめ|示談書の遅延損害金は「書いてこそ意味がある」


示談書に関する遅延損害金の話をここまで読んでいただくとわかる通り、「示談書がある=遅延損害金が自動で発生する」わけではありません。遅延損害金を確実に回収したい場合は、示談書作成の段階での工夫と条項の明確化がカギとなります。



遅延損害金は自動発生しない

遅延損害金は、法律上の原則として支払遅延が発生した場合に自動的に発生するものではありません。特に示談書では、次のような点を明確にしていなければ、後から請求することが難しくなります。

  • 支払期限

  • 遅延損害金の利率

  • 起算日(遅延損害金の計算開始日)

  • 分割払いの場合の条件

条項が不明確だと、相手が「支払う意思はある」と言い続けても、証拠として弱く、回収が困難になるケースが多く見られます。



示談書の記載次第で結果が大きく変わる

同じ金額の慰謝料や損害賠償金であっても、示談書の条項次第で回収の難易度や遅延損害金の発生状況が大きく変わります

条項の有無

回収のしやすさ

トラブルリスク

遅延損害金条項あり・支払期限明確

高い

低い

遅延損害金条項なし・口頭のみ

低い

高い

公正証書化済

さらに高い

ほぼなし

分割払い条件未明確

中程度

高い

示談書を作る段階で、利率・起算日・支払期限・分割条件を明記し、公正証書にすることで、回収効率と法的安定性が格段に向上します。



「支払われなかった後」ではなく「示談時」が勝負

遅延損害金の回収で最も重要なのは、「支払いが滞った後」ではなく、示談書作成時にいかに条項を整えるかです。後から遅延損害金を追加したり、起算日を争ったりするのは非常に難しく、時間も労力もかかります。

ポイントは次の通りです。

  1. 示談時に条項を漏れなく書く:遅延損害金・利率・起算日・分割払い条件

  2. 公正証書化で強制執行可能にする

  3. 専門家にチェックしてもらい、曖昧な表現をなくす

これにより、示談書が単なる約束文書ではなく、法的効力のある回収手段として機能します。


まとめると、示談書の遅延損害金は**「書いてこそ意味がある」**ということです。条項が曖昧だと後から困るのは自分自身です。示談時にしっかり条項を整え、必要に応じて専門家に相談することが、確実な回収とトラブル防止の最短ルートと言えます。



~事例・比較分析紹介~



  11.示談書に「遅延損害金条項」がない場合に、実際に回収できた・できなかった分岐点の分析


示談書に遅延損害金条項が入っていない場合、支払い遅延が発生したときに回収できるかどうかは状況次第です。ここでは、実務上よくあるケースを整理し、どのような要因で結果が分かれたのかを分析します。



遅延損害金条項が未記載の示談書を前提に

たとえば以下のような示談書を想定します。

  • 慰謝料50万円を支払うことを合意

  • 支払期限は「〇年〇月末日まで」

  • 遅延損害金条項は記載なし

  • 支払方法は銀行振込で合意

この場合、支払いが遅延したとしても、「遅延損害金が自動的に発生する」わけではありません。相手が支払いを遅らせた場合、追加で損害金を請求するには、裁判や交渉で法的根拠を示す必要があります。



請求が通ったケース

遅延損害金条項がない示談書でも、次のような条件が揃うと請求が認められる場合があります。

  1. 支払期日が明確である

    • 「〇年〇月末日までに振込」と具体的に示されている

  2. 支払い意思が明確に示されている場合

    • 遅延の理由がなく、相手が単に支払いを先延ばししていた

  3. 証拠が揃っている場合

    • 示談書の原本

    • 振込依頼書やメールのやり取り

    • 遅延の連絡記録

このようなケースでは、裁判所や調停で**「示談書に基づく損害賠償としての遅延損害金請求」**が認められることがあります。

例:

  • 慰謝料50万円、支払期日過ぎに一括払い遅延

  • 証拠が揃っており、裁判で「示談書に基づく損害賠償請求」として5%の法定利率に基づく利息を付与され回収成功



請求が通らなかったケース

一方、以下の条件が重なると、遅延損害金の請求は困難になります。

  1. 支払期日が曖昧

    • 「できるだけ早く支払う」など具体性がない

  2. 支払い意思が不明確

    • 「忘れていた」「事情がある」と言い訳される

  3. 証拠が不十分

    • 示談書の写ししかない、やり取り記録がない

この場合、裁判や調停で請求しても、遅延損害金が認められないか、減額される可能性があります。実務上は、「条項がない+証拠不十分」=回収困難のパターンが多いです。



裁判・調停・任意交渉で結果が分かれた要因を整理

実務で結果が分かれた要因は、主に以下の3つです。

要因

回収成功につながる条件

回収困難につながる条件

支払期日の明確さ

「〇年〇月〇日まで」と明記

「できるだけ早く」「速やかに」など曖昧

支払い意思・協力

相手が誠実に支払う意思あり

相手が延滞・言い訳を繰り返す

証拠の充実度

示談書原本+振込記録・メール等

示談書のみ、やり取り記録なし

ポイントは、示談書作成時の条項と証拠の整備が、回収成功の分岐点になることです。遅延損害金条項がなくても、支払期限や証拠が揃っていれば回収できる可能性はありますが、リスクは高く、確実性は低いという現実があります。



まとめ

  • 遅延損害金条項がない示談書は、回収が不確実

  • 回収可能かどうかは「支払期日の明確さ」「相手の意思」「証拠の有無」に大きく依存

  • 実務上は、条項を明確化するか、公正証書化するなど、示談時に確実な手立てを作ることが重要



  12.「示談書があるのに遅延損害金が認められなかった」裁判例の共通構造分析


示談書がある場合でも、遅延損害金が自動的に認められるわけではありません。実際の裁判例を見ると、請求が否定される場合には一定の共通点があります。ここでは、裁判例を基に分析し、なぜ自動発生しないのかを解説します。



裁判例から見る事例

実務上よく引用される裁判例の構造は次のようなパターンです。

  • 慰謝料や損害賠償金について示談書で合意

  • 支払期限は曖昧(例:「速やかに支払う」「〇年〇月頃までに支払う予定」)

  • 遅延損害金条項は未記載

  • 支払いが遅れ、追加で利息や遅延損害金を請求

  • 裁判所は請求を否定

このように、示談書の条項が曖昧な場合や遅延損害金が明記されていない場合に、裁判で否定されるケースが多く見られます



遅延損害金が否定された理由

裁判で遅延損害金請求が認められなかった理由は、主に以下の通りです。

  1. 示談書に遅延損害金条項がない

    • 示談書は当事者間の合意内容がすべて

    • 条項がない場合、裁判所は「請求する法的根拠が不十分」と判断

  2. 支払期限が不明確

    • 「速やかに」「なるべく早く」などの表現は曖昧

    • 遅延の起算日が特定できず、損害金計算が困難

  3. 分割払い条件や利率が示されていない

    • 利率不明の場合、裁判所は法定利率に基づく請求しか認められないが、そもそも示談合意に基づく損害金とは認めにくい



裁判所が重視した示談書文言

裁判所は、以下の点を重視します。

判定ポイント

具体例

裁判所の視点

支払期限の明確さ

「〇年〇月〇日までに支払う」と明記

期日が明確であれば、遅延損害金の起算日も特定可能

遅延損害金条項の有無

「支払遅延時には年○%の遅延損害金を支払う」と明記

条項がなければ、自動的に認めない

支払い方法・分割条件

「分割払いの場合、未払い分は期限の利益喪失」と記載

分割払いの遅延に対する効力を認定

清算条項

「本示談により全て解決」とある場合

後日の追加請求が認められるか否かを判断

裁判例を見ると、「遅延損害金条項の有無」と「支払期限の明確さ」が判定の最大の分岐点であることがわかります。



「なぜ自動発生しないのか」を裁判所目線で解説

裁判所の立場から見ると、遅延損害金が自動で発生しない理由は次の通りです。

  1. 示談書は契約であり、契約は当事者の合意がすべて

    • 合意内容にない権利を一方的に認めることはできない

  2. 遅延損害金は「契約上の履行遅滞に対する損害賠償」

    • 契約書に利率・起算日が明記されていなければ、算定根拠が不明確

  3. 裁判所は条項解釈に慎重

    • 曖昧な文言は「将来の請求を認める根拠」とはならない

    • 結果として、条項がない場合は遅延損害金請求が否定されやすい

簡単に言えば、**示談書は「当事者が合意した内容以上の権利を生まない契約書」**だからです。遅延損害金も「合意がなければ生じない」という原則が裁判でも確認されます。



まとめ

  • 示談書があっても、遅延損害金は条項がなければ自動発生しない

  • 裁判例で否定される主な理由は、条項未記載・支払期限不明確・利率不明確

  • 裁判所は示談書文言の明確性を重視し、曖昧な場合は請求を認めない

  • 結論として、遅延損害金は示談書作成時に明確に条項化することが回収成功のカギ



  13.示談書・和解書・判決で「遅延損害金の扱い」がどう変わるかの比較調査


金銭債務に関する遅延損害金は、契約形態や手続きの種類によって発生の有無や起算日、扱いが大きく異なります。ここでは、示談書、裁判上の和解、判決を比較して整理します。



同じ金銭債務でも扱いが変わる理由

遅延損害金は、法律上「履行遅滞に対する損害賠償」です。つまり、支払期日を過ぎた場合に発生するものですが、その発生条件は合意内容や裁判手続きによって変わります。

  • 示談書:当事者間の合意内容が全て。条項に書かれていなければ発生しない

  • 裁判上の和解:裁判所で認められた和解内容が基準。遅延損害金の条項を含む場合のみ効力

  • 判決:裁判所が金額や支払期日を決定。判決には原則として法定利率に基づく遅延損害金が自動的に付与される



示談書の場合

  • 発生条件:遅延損害金条項が明記されている場合のみ

  • 起算日:支払期限を過ぎた翌日から(条項で指定できる)

  • 扱い:条項がない場合は発生せず、後から請求する場合は裁判・調停で証拠を示す必要がある

例:

示談書に「支払遅延時には未払い額に対して年5%の遅延損害金を支払う」と明記した場合、支払期限を過ぎた翌日から利息計算可能

注意点:条項が曖昧だと、裁判で否定されるリスクが高い。



裁判上の和解の場合

  • 発生条件:和解調書に遅延損害金を明記した場合のみ

  • 起算日:和解書で定めた期日を過ぎた翌日から

  • 扱い:裁判所の調停や和解が成立した証拠となり、強制執行が可能

例:

  • 裁判上の和解で「50万円を〇年〇月〇日までに支払う」とし、遅延損害金条項を記載

  • 支払いが遅れた場合、和解書をもとに強制執行できる

ポイント:和解の場合、示談書より法的効力が強く、裁判所を通して条項の履行を強制できる。



判決の場合

  • 発生条件:原則として、判決で金銭支払いが確定した時点で自動的に発生

  • 起算日:判決文に「支払期日が到来した日」から自動的に起算

  • 扱い:判決は強制執行可能で、法定利率に基づく遅延損害金も自動的に付与

例:

  • 裁判で慰謝料50万円の支払いが命じられた場合、判決確定日から法定利率(民法改正後は3%または特約利率)で利息が発生

  • 支払いが遅れると、自動的に増額される仕組み

特徴:**示談書や和解とは異なり、裁判所が決定するため「条項の有無に関わらず発生する」**点が大きな違い。



示談書・和解書・判決の比較表

種類

遅延損害金の発生

起算日

強制執行

ポイント

示談書

条項ありのみ

支払期限の翌日(条項で指定可能)

条項があっても公正証書化が必要

合意内容次第で効果が左右される

裁判上の和解

和解書に記載あり

和解期日の翌日

可能

示談書より強制力がある

判決

自動発生

判決で定めた期日

可能

法定利率で自動計算、条項不要



まとめ

  1. 示談書は当事者の合意次第で遅延損害金が発生

  2. 裁判上の和解は、和解書に記載があれば強制執行可能

  3. 判決は条項がなくても、法定利率に基づき自動的に遅延損害金が発生

  4. つまり、**回収の確実性は「判決>裁判上の和解>示談書」**の順で高い



  14.遅延損害金条項が「無効・修正」されたケースの実務的ライン分析


示談書に遅延損害金条項を入れる場合、利率や文言の書き方次第で条項が無効になったり、裁判所により修正されるケースがあります。実務上は、条項の内容が回収の確実性に直結するため、安全な書き方を知っておくことが重要です。



高すぎる利率・不明確な条文が無効・修正される理由

遅延損害金は、民法上「履行遅滞に対する損害賠償」として位置づけられます。条項で設定できる利率は合理的でなければならず、法定利率の大幅超過は無効になる可能性があります。

  • 民法では、利率が不当な高額でない限り当事者間で自由に決められるとされます。

  • しかし、判例や実務では以下のようなケースで修正・無効が認められています。



無効・修正された事例の分析

1. 利率が高すぎて無効になったケース

  • 示談書で遅延損害金を「年30%」と定めた場合

  • 裁判所は法定利率や一般的な損害賠償の趣旨に照らして過剰と判断

  • 結果:条項全体が無効となり、法定利率に基づき再計算


2. 条文が不明確で修正されたケース

  • 示談書に「支払遅延時に遅延損害金を支払う」とだけ記載

  • 起算日や利率が不明確

  • 裁判所は、利率を法定利率に修正し、起算日も判例に基づき補充

  • 結果:条項は効力を持つが、当初の想定通りにはならない


3. 分割払い条件と期限の利益喪失の記載不足

  • 分割払いで「未払い分には遅延損害金を支払う」とだけ記載

  • 期限の利益喪失条項(支払い遅延時に全額一括請求可能とする条項)がない

  • 裁判所は分割払いの遅延による即時全額請求は認めないとして、条項を一部修正



実務上「安全圏」とされる書き方

遅延損害金条項を作る際、実務上安全とされる書き方は以下のポイントを押さえることです。

ポイント

安全圏の書き方例

理由

利率

「年5%」など法定利率を基準に設定

高すぎると無効リスク

起算日

「支払期日翌日より発生する」

起算日を明確にすることで裁判での修正リスクを回避

分割払い時の扱い

「支払遅延の場合、期限の利益を喪失し未払い分は直ちに一括支払う」

遅延時に全額請求可能

文言の明確さ

「支払遅延が生じた場合、未払い金額に対して年○%の遅延損害金を支払う」

曖昧表現を避ける

公正証書化

公正証書として作成

強制執行可能で回収確実性が向上

ポイントは、条項が裁判所により「合理的・明確」と判断される内容であることです。利率や文言を曖昧にすると、後日修正や無効化されるリスクがあります。



まとめ

  1. 遅延損害金条項は、利率や起算日、分割払い条件の書き方次第で無効・修正される可能性がある

  2. 高すぎる利率や不明確な文言は裁判所で修正されやすい

  3. 実務上は「年利率を法定利率程度に抑える」「起算日を明確にする」「分割払い時の期限利益喪失を明記する」ことで安全圏を確保

  4. 公正証書化すれば、条項の実効性と回収確実性がさらに高まる



  15.分割払いの示談書で遅延損害金が機能しなかった失敗パターンの分析


示談書で分割払いを設定する場合、遅延損害金条項や期限の利益喪失条項の書き方次第で、回収の成否が大きく変わります。ここでは、実務でよく見られる失敗パターンとその構造を整理します。



分割払い示談で多い失敗パターン

1. 期限の利益喪失条項なし

  • 期限の利益喪失条項とは→ 分割払いの約束がある場合でも、支払い遅延が発生したら残額を一括請求できる条項のこと。

  • 書かれていない場合の問題点→ 分割払いが途中で滞ると、未払い分をすぐに請求できず、回収が長期化する→ 遅延損害金の効果も限定的になり、債務者が支払いを先延ばししやすくなる


具体例

示談書:慰謝料50万円を月10万円ずつ支払う遅延損害金:年5%条項:期限の利益喪失条項なし結果:3回目の支払いが滞ったが、残額40万円はすぐに請求できず、遅延損害金も計算が難しい

2. 遅延損害金の起算日が不明確

  • 「遅延損害金は支払い遅延時に発生する」とだけ記載されている場合

  • 具体的な起算日(例:支払期限の翌日)が明記されていないと、裁判で請求する際に不利になる


具体例

示談書:月10万円ずつ支払う、支払い遅延時には年5%の遅延損害金起算日:未記載結果:裁判所は「いつから利息計算するか不明確」と判断し、遅延損害金の一部を認めなかった

3. 遅延損害金が分割払いの遅延全体に適用されないケース

  • 条項が曖昧で「各月の未払い分に限る」としか書かれていない

  • 結果として、最初の数回の支払いは遅延損害金が発生するが、長期滞納分は計算できず、回収困難



分割払い示談書の失敗構造の整理

失敗パターン

原因

結果

期限の利益喪失条項なし

分割払いの遅延時に残額一括請求不可

回収が長期化・遅延損害金効果が薄い

起算日不明確

支払期限の翌日を明記せず「支払遅延時」とだけ記載

裁判で遅延損害金請求が一部否定される

条項が曖昧

「各月の遅延分のみ」と記載

長期滞納時の遅延損害金計算が困難、回収減少

利率が高すぎる

年利30%など、裁判所で無効・修正

法定利率に修正され、回収額が減少



失敗パターンから学ぶ安全策

  1. 期限の利益喪失条項を明記

    • 「支払遅延が生じた場合、未払い残額は直ちに一括支払う」と書く

  2. 遅延損害金の起算日を明確に

    • 「支払期日の翌日から年○%で計算する」と記載

  3. 利率を合理的に設定

    • 法定利率か、それに近い水準に抑える

  4. 分割払いの条件を具体化

    • 例:毎月○日までに支払う、滞納時は催告後○日以内に全額支払う



まとめ

  • 分割払い示談は便利だが、条項が不十分だと遅延損害金の効果が機能しない

  • 実務上、回収確実性を高めるには

    1. 期限の利益喪失条項を明記

    2. 遅延損害金の起算日を明確化

    3. 利率や分割条件を具体的に規定

  • これらを押さえることで、分割払いでも遅延損害金が機能し、回収のリスクを大幅に減らせる



  16.民法改正後でも「旧利率」が問題になる示談書ケースの整理


民法改正により法定利率が見直されましたが、示談書作成時に旧利率をそのまま記載すると、争点になりやすいケースがあります。ここでは、具体的な事例や注意点を整理し、示談書作成時の安全策を解説します。



法定利率改正後でも旧利率が適用されたケース

1. 法定利率の改正とは

  • 民法改正(2020年4月1日施行)により、法定利率が年5%から年3%に引き下げ

  • 改正前の利率(旧利率)は年5%で計算されていた


2. 示談書作成時の旧利率使用例

  • 示談書に「遅延損害金は年5%で計算」と記載

  • 支払期日が改正後だったが、文言通り旧利率を適用しようとした

  • 結果:相手方が「改正後は年3%が適用」と争い、裁判で利率をめぐる争点に



争点になった典型パターン

ケース

示談書の記載

争点

A社とB氏の慰謝料示談

「遅延損害金は年5%」

支払期日が改正後 → 旧利率適用か改正後利率かで紛争

分割払い示談

「各月支払遅延分に年6%の遅延損害金」

高すぎる利率として修正リスク+旧利率の混乱

個人間金銭トラブル

「未払い分には年5%の利息を加算」

支払期日が改正後 → 裁判所が改正後利率に修正する可能性



示談書作成時に注意すべき日付・表現

  1. 支払期日を明確に書く

    • 「令和3年5月31日までに支払う」と具体的に記載

    • 支払期日が改正前か改正後かで利率適用が変わる

  2. 法定利率を明示する場合は「改正後利率に従う」と明記

    • 例:「遅延損害金は法定利率(民法改正後3%)に従い計算する」

  3. 旧利率を使う場合は経過措置や特約として明示

    • 「改正前の利率5%を適用することに両者合意」と明記

    • 曖昧な表現だと、裁判で修正されるリスクあり

  4. 利率が高すぎないかのチェック

    • 旧利率をそのまま使うと、改正後利率とのギャップで「不当利得」と争われる可能性



実務上の安全策

  • 支払期日と利率をセットで記載:改正前後をまたぐ場合は特に重要

  • 法定利率を参照する場合は改正後利率に従うと明示

  • 旧利率を使う場合は合意であることを明確化

  • 分割払いの場合は、起算日と期限の利益喪失条項も明確に



まとめ

  • 民法改正後でも、示談書で旧利率をそのまま使うと裁判で争点化しやすい

  • 支払期日、利率、起算日を明確にし、必要なら改正後利率に従う旨を明記する

  • 曖昧な表現は、回収や遅延損害金請求の際にリスクになる

  • 示談書作成時に専門家チェックを受けることで、旧利率問題によるトラブル回避が可能



  17.「遅延損害金を書いたのに取れなかった」示談書文言の問題点分析


示談書に遅延損害金の条項を入れても、文言の曖昧さや起算点の不明確さ、支払義務との結びつきが弱い場合、実際には回収できないことがあります。ここでは、実務でよく見られる失敗パターンと原因を整理します。



条項はあるが曖昧だったケース

問題点

  • 「支払遅延時には遅延損害金を加算する」とだけ記載

  • 遅延損害金の利率・計算方法・期間が明記されていない


結果

  • 債務者が「どの金額に利息をつけるのか不明」と主張

  • 裁判や調停で請求が認められなかった


具体例

示談書:慰謝料50万円、支払遅延時は遅延損害金を加算利率・起算日:未記載結果:裁判で遅延損害金請求の一部が否定される


起算点が不明確なケース

問題点

  • 「遅延損害金は支払遅延時に発生」とだけ書かれ、具体的な起算日が示されていない

  • 月末払い・分割払いなど、日付がずれる場合に計算トラブルが発生


結果

  • 裁判所が「いつから利息計算すべきか不明」と判断

  • 遅延損害金が全額認められないことがある



支払義務と結びついていないケース

問題点

  • 遅延損害金条項が独立して書かれ、本来の支払義務(慰謝料・損害賠償)とリンクしていない

  • 「支払いがなければ遅延損害金」という論理が弱い


結果

  • 債務者が「支払期日自体が不明確」と主張

  • 遅延損害金請求が却下されたケース



実務で見られる失敗パターンまとめ

失敗パターン

文言の問題点

影響

曖昧な利率

利率や計算方法が未記載

裁判で請求一部否定

起算日不明

支払期日の翌日など明記なし

計算期間争い、請求減

支払義務と結びつかず独立

「遅延損害金のみ記載」

支払遅延との因果関係が不明瞭で否定される

分割払い条件不明

期限の利益喪失条項なし

長期滞納で回収困難、遅延損害金の効果薄



安全策

  1. 利率・起算日を明確に

    • 「支払期日の翌日から年○%で計算」と具体的に記載

  2. 支払義務と明確にリンク

    • 「未払い分には遅延損害金○%を加算する」と支払義務と一体化

  3. 分割払いの場合は期限の利益喪失条項を追加

    • 遅延が生じた場合に残額を一括請求可能にする

  4. 専門家に文言チェックを依頼

    • 曖昧表現や起算日不明を避け、裁判・調停で認められる条文に整える



まとめ

  • 遅延損害金条項があっても、曖昧・起算日不明・支払義務と結びつかない場合は実効性を失う

  • 示談書作成時に条項を明確化し、利率・起算日・支払義務との連動を意識することが回収成功のポイント

  • 分割払いや複数回払いの場合は、期限の利益喪失条項も必須



   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。



専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。


具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。



行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。


具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。


具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。



依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


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