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従業員と経営者が交わす誓約書|一律2万円おてがる契約書.com|【テンプレート・ひな形付き】

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 10月21日
  • 読了時間: 61分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日は会社内で交わす誓約書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。


企業経営において、従業員との信頼関係を築くことは非常に重要です。その一方で、企業秘密や顧客情報の保護、競業避止など、守るべきルールも存在します。本コラムでは、従業員と経営者が交わす「誓約書」について、初心者にもわかりやすく、実務での活用方法や法的効果、注意点まで丁寧に解説します。誓約書を正しく運用することで、企業の利益と従業員の安心を両立させることができます。


  本記事のまとめ:

重要事項

概要

秘密保持・競業避止・行動規範などを明確化することで、トラブルを未然に防ぎます。

入社時・退職時・昇進時のタイミングや報酬条件との関連など、法的リスクを考慮した設計が重要です。

市販テンプレートをそのまま使用すると無効・裁判リスクが生じることがあります。行政書士や弁護士のチェックを受けることが推奨されます。

🌻もしあなたが経営者や人事担当者であれば、従業員誓約書を正しく理解して活用することは、トラブル防止や情報漏洩リスクの低減に直結します。また、従業員の立場であっても、自分の権利と義務を知ることは安心して働くために不可欠です。本記事では、誓約書の種類・作成のポイント・運用上の注意点などを具体例とともに解説しているため、必ず役立つ内容となっています。ぜひ最後までお読みください。


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▼目次



~事例・比較分析紹介~

~番外編~



  1.はじめに


従業員との誓約書が企業にもたらすメリット

企業が従業員と誓約書を交わすことには、いくつかの大きなメリットがあります。

まず、誓約書とは「従業員が自らの行動や義務について約束する文書」です。これを取り交わすことで、企業のルールやコンプライアンス(法令遵守)を明文化し、全員が共通認識を持つことができます。


例えば、「会社の機密情報を外部に漏らさない」「就業規則を守る」といった内容を誓約書で確認しておくと、従業員も「これは会社として重要視しているルールだ」と理解しやすくなります。


誓約書があることで以下のメリットが得られます。

  • トラブル防止 例えば、退職後に顧客リストを持ち出すことを防ぐ。

  • 従業員の意識向上 「署名した以上は守ろう」という心理的効果が働く。

  • 企業のリスク回避 不正行為が起きた際に「誓約書違反」として処分や損害賠償の根拠にできる。


イメージとしては、「口約束」よりも「紙に書いた約束」の方が重みを持つということです。



誤解されやすい「誓約書と契約書の違い」

ここでよくある誤解が、「誓約書=契約書ではないのか?」という点です。実は両者は似ているようで大きな違いがあります。

  • 契約書 当事者「双方」が約束を取り交わす文書。 (例:会社と従業員が雇用契約を結ぶ)

  • 誓約書 当事者「一方」が約束をする文書。 (例:従業員が「私は就業規則を守ります」と誓う)


つまり、契約書は「お互いの取り決め」ですが、誓約書は「片方の宣言」です。


💡 例え話:契約書は「結婚の約束(双方の合意)」に近く、誓約書は「結婚した後に、浮気しませんと誓う」ような片側の約束に近いと考えると分かりやすいです。

企業が誓約書を求めるのは、契約書だけではカバーしきれない行動規範や企業文化を、個人の責任で明示させるためなのです。



読者への本記事の価値(トラブル防止・法的効力確保)

この記事を読むことで、次の点が理解できます。

  1. 誓約書が従業員管理においてなぜ重要なのか 単なる形式ではなく、トラブル防止の実効性があること。

  2. 法的効力をどのように確保するのか 「ただの紙切れ」にしないために、書き方や内容に工夫が必要であること。

  3. 実務での使い方のイメージが持てること 採用時・昇進時・トラブル発生後など、誓約書が活用される場面を具体的に理解できる。



図解:契約書と誓約書の違い(イメージ)

項目

契約書

誓約書

当事者

双方(会社と従業員など)

片方(主に従業員)

目的

双方の権利義務を定める

一方の義務・約束を明示する

雇用契約書、業務委託契約書

入社誓約書、秘密保持誓約書

法的効力

双方に発生

主に誓約者側に発生


このように整理すると、企業が誓約書を求める理由が見えてきます。


👉 次の章以降では、実際にどんな誓約書があり、どのように作成すれば法的効力を持たせられるのかを、初心者にも分かりやすく解説していきます。



  2.誓約書の基礎知識


誓約書とは何か

誓約書とは、**「ある人が自分の行動や義務を守ると一方的に約束する文書」**のことです。契約書のように「会社と従業員の双方が合意するもの」とは違い、誓約書は主に従業員が「私はこのルールを守ります」と宣言する形になります。


例えるなら、

  • 契約書は「お互いにハンコを押す結婚届」

  • 誓約書は「結婚後に浮気しないと誓う宣言文」のようなイメージです。


誓約書は形式的に見えるかもしれませんが、企業にとっては従業員の行動規範を明文化し、トラブルを未然に防ぐための重要なツールになります。



従業員向け誓約書の種類

従業員と交わす誓約書には、状況や目的に応じてさまざまな種類があります。代表的なものは次のとおりです。

  • 入社時誓約書:採用時に提出させる

  • 退職時誓約書:退職時に秘密保持や競業禁止を確認する

  • 秘密保持誓約書(NDA):企業の情報漏えいを防ぐ

  • 競業避止誓約書:退職後の競合企業への転職や独立を制限する


以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。



入社時誓約書

入社時誓約書は、新しく会社に入る従業員が「会社のルールを守ります」と約束する文書です。


具体的な内容の例:

  • 就業規則を遵守すること

  • 機密情報を外部に漏らさないこと

  • 無断欠勤や遅刻をしないこと

  • 会社の資産(パソコンや備品)を私的に使わないこと


この誓約書を交わすことで、従業員は入社時点から会社のルールを明確に意識できます。逆にこれがないと「そんなルールがあるなんて知らなかった」という言い訳をされる可能性が高まります。


💡 ポイント:入社時誓約書は「従業員にルールを理解させる教育ツール」としても大切な意味を持っています。



退職時誓約書

退職時誓約書は、従業員が退職するときに会社に不利益を与えないことを誓う文書です。


具体的な内容の例:

  • 在職中に知り得た秘密を漏らさない

  • 退職後に取引先へ営業活動をしない

  • 会社の財産(データや資料)を持ち出さない


特に重要なのは「情報持ち出し防止」です。たとえば、営業社員が退職してライバル会社に移った際、顧客リストを持ち出すと大きな損害につながります。退職時誓約書はそれを防ぐための最後の防波堤です。



秘密保持誓約書(NDA)

「NDA」とは Non-Disclosure Agreement(秘密保持契約) の略称です。企業秘密や顧客情報などを外部に漏らさないことを約束させるものです。


例:

  • 社内の開発計画をSNSに書き込まない

  • 顧客情報を友人や家族に話さない

  • 外部のUSBに勝手にデータを保存しない


現代では、情報は「企業の財産」と言われます。誤って流出するだけで信用を失い、取引停止や損害賠償につながる可能性があります。そのため、秘密保持誓約書は最重要の誓約書のひとつといえます。



競業避止誓約書

競業避止誓約書とは、退職した従業員が一定期間、同じ業界のライバル会社で働いたり、独立して競合ビジネスを立ち上げたりすることを制限する誓約書です。


ただし注意点があります。

  • 競業避止義務は「労働の自由」を制限するため、法律上は必要性や合理性が求められます。

  • 裁判例でも「制限が過度であれば無効」と判断されることがあります。


💡 例え話:もしラーメン屋で働いていた従業員が退職後すぐ隣にラーメン屋を出したらどうでしょうか?店のレシピや顧客を持ち出されると、元の会社は大打撃を受けます。これを防ぐのが競業避止誓約書ですが、一方で従業員にも「働く自由」があるため、バランスが重要です。



誓約書の法的効力と心理的効果

ここで気になるのは「誓約書に本当に法的効力があるのか?」という点です。

  • 法的効力 誓約書も立派な書面証拠です。 従業員が違反した場合、会社は「誓約書に違反した」として損害賠償請求や懲戒処分の根拠にできます。

  • 心理的効果 人は「署名・押印した約束は守らなければ」と思うものです。 実際に訴訟まで行かなくても、誓約書を交わすだけで「抑止力」が働きます。

つまり、誓約書は法的にも心理的にも効果を持つ二重の安全装置と言えます。



図解:誓約書の種類と効果(まとめ)

種類

主な目的

活用場面

効果

入社時誓約書

社内ルールの遵守

入社時

教育効果・トラブル防止

退職時誓約書

情報持ち出し防止

退職時

会社資産の保護

秘密保持誓約書(NDA)

情報漏えい防止

入社時・業務開始時

法的拘束力・信用確保

競業避止誓約書

競合への転職制限

退職時

不正競争防止(ただし制限あり)


👉 次の章では、実際に従業員誓約書を作成する際の注意点や、裁判例から見える有効な書き方について解説していきます。



  3.従業員誓約書の目的と効果


会社利益・機密情報の保護

従業員誓約書の最大の目的のひとつは、会社の利益と機密情報を守ることです。

会社が持つ「財産」とは、現金や不動産だけではありません。たとえば、

  • 商品の製造ノウハウ

  • 販売戦略

  • 新規事業の企画

  • 顧客リスト


これらはすべて「無形資産(目に見えない財産)」であり、競合他社に漏れれば大きな損害につながります。


💡 例え話:コカ・コーラのレシピは100年以上守られている企業秘密です。もし社員がそれを持ち出してライバルに渡したら、コカ・コーラのブランド価値は一気に崩れます。規模の大小にかかわらず、**すべての会社にとって「情報=財産」**なのです。

従業員誓約書に「会社の利益や情報を守ること」を明記しておけば、社員に強い自覚を促し、トラブルを未然に防げます。



顧客・取引先情報の漏洩防止

近年、最も問題になりやすいのが「個人情報や顧客情報の漏洩」です。たとえば営業担当が、取引先リストを私用スマホにコピーして退職し、ライバル会社で使ってしまうケースは少なくありません。


誓約書における典型的な記載例:

  • 顧客リストを無断で持ち出さない

  • 名刺や契約データを個人利用しない

  • 取引先とのメールや資料を外部に転送しない


このようなルールを明確にすることで、従業員は「情報管理は会社の信用に直結する」という意識を持ちやすくなります。


📌 ポイント:個人情報保護法でも、顧客情報の取り扱いには厳しい規制があります。誓約書は法律遵守の補強ツールとしての役割も果たすのです。



退職後のトラブル防止

退職後に起こりやすいトラブルの多くは「情報持ち出し」や「競合への転職」です。

  • 退職者が顧客を自分の新しい会社へ引き抜く

  • 退職後すぐにライバル会社へ転職してノウハウを活用する

  • 在職中に知った取引条件を競合に提供する


こうした行為は、会社にとっては大きな損害です。しかし裁判で争う場合、「証拠」が必要になります。


その点、退職時に誓約書を交わしていれば、「あなたはこの約束を破りました」と法的に主張できる強い根拠になります。


💡 裁判例では:競業避止義務を課す場合、「期間・地域・職種の範囲が合理的であるか」が争点になります。つまり「一生同業他社に行くな」というような過度な制約は無効になる可能性があります。誓約書を作る際は、必要最小限の制約に絞ることが重要です。



社員の行動規範・意識付け

従業員誓約書には、社員の行動規範を明文化する効果もあります。


例えば:

  • 就業時間を守る

  • 無断欠勤をしない

  • セクハラ・パワハラを行わない

  • 会社の備品を私用で使わない


これらは「常識」と思われるかもしれませんが、人によって解釈が異なることがあります。誓約書に署名することで、「この会社ではこういう行動が求められるのだ」と社員自身が認識でき、意識が変わります。


💡 心理学的効果:人は「自分が署名したこと」に対して責任感を持ちやすくなります。誓約書にサインをさせることは、社員にとって「自分で決めたルールを守る」という強い動機付けになるのです。



図解:従業員誓約書の4つの目的と効果

[従業員誓約書]
  │
  ├── 会社利益・機密情報の保護 → 無形資産の流出防止
  ├── 顧客・取引先情報の漏洩防止 → 信用維持・法令遵守
  ├── 退職後のトラブル防止 → 損害賠償リスク回避
  └── 社員の行動規範・意識付け → コンプライアンス強化

表で整理:目的と実務効果

目的

具体的な内容

実務的な効果

会社利益・機密情報の保護

ノウハウ・企画・顧客データの保護

不正利用・情報流出の抑止

顧客・取引先情報の漏洩防止

個人情報・取引データの管理

信頼維持・法令違反防止

退職後のトラブル防止

競業避止・引き抜き禁止

損害賠償請求の根拠確保

社員の行動規範・意識付け

就業規則遵守・ハラスメント防止

組織文化の浸透・意識改革


👉 次の章では、実際に「従業員誓約書にはどんな内容を盛り込むべきか」「裁判例から見る有効な書き方」について詳しく解説していきます。



  4.入社時に交わす誓約書


就業規則との整合性

入社時に交わす誓約書は、就業規則(会社のルールブック)と矛盾しないことが大前提です。就業規則には「勤務時間」「休日」「懲戒処分」などが定められていますが、誓約書にそれと違う内容を書いてしまうと、トラブルの原因になります。


💡 例え話:就業規則に「遅刻は月3回で注意」と書いてあるのに、誓約書に「遅刻1回で即解雇」と書いたらどうでしょう?従業員は「どっちが正しいの?」と混乱し、最悪の場合は法的に誓約書が無効となってしまいます。


したがって、誓約書を作るときは 就業規則をベースに、従業員に分かりやすく再確認させる文書 と考えるのが正解です。



記載すべき主要事項

入社時誓約書には、最低限押さえるべき項目があります。以下に一つずつ解説します。


1. 服務規程の遵守

服務規程とは、従業員の行動ルールをまとめたものです。例:

  • 遅刻や無断欠勤をしない

  • 職場でのハラスメントをしない

  • 業務中は会社の指示に従う


誓約書に「服務規程を遵守します」と一文を入れるだけで、従業員に「会社は行動ルールを重視している」と印象づけられます。


2. 経歴・資格の確認

入社時に虚偽の学歴・資格を申告するケースがあります。例:運転免許がないのに「持っている」と申告して営業職に就くと、業務に支障が出るだけでなく重大事故にもつながります。


そのため、誓約書に「経歴・資格は真実であり、虚偽が判明した場合は処分を受けることに同意します」と記載するのが一般的です。


3. 秘密保持義務

誓約書で最も重要な部分です。具体的には、

  • 顧客情報を第三者に漏らさない

  • 社内資料や企画書を勝手に持ち出さない

  • 業務上知った秘密をSNSに書き込まない


これらを誓約書に明記することで、従業員は「情報を扱う責任」を強く意識するようになります。


4. 競業避止義務

入社直後よりも、退職時に注目される義務ですが、入社時点で「将来も含めて競合行為を避ける意思がある」と確認しておくことが有効です。

ただし「退職後3年間は同業他社で働くな」というように過度な制限は、法律上無効となる可能性があります。合理的な範囲(例:退職後1年間・同じ市内に限定など)に絞る必要があります。


5. 損害賠償・懲戒処分

「誓約を破った場合、会社に損害があれば賠償責任を負うことがある」と明記します。

例:

  • 顧客情報を流出させた → 顧客からの損害賠償請求

  • 会社の備品を故意に壊した → 修理費の請求


さらに、懲戒処分(減給・出勤停止・解雇など)の可能性についても触れておくと、抑止力が高まります。



作成のポイントと注意点

入社時誓約書を作成する際の実務上のポイントは次のとおりです。


雛形の安易な使用は危険

インターネット上には無料の誓約書雛形が多数ありますが、そのまま使うと会社の実情に合わず、逆にトラブルを招きます。必ず「自社の業種・就業規則」に合わせてカスタマイズすることが大切です。


違反時の対応方針を明示

誓約書には「違反した場合、懲戒処分や損害賠償を検討する」と明記しておくと、従業員の心理的な抑止効果が高まります。ただし、処分の基準は就業規則に沿った内容にすることが必須です。


社員の自由意思に基づいた署名取得

強制的に署名させると「同意の意思がなかった」と主張される可能性があります。説明を丁寧に行い、従業員が納得した上で署名することが重要です。


拒否された場合の対応

まれに「誓約書には署名したくない」と言う従業員がいます。その場合の対応ステップ:

  1. 誓約書の目的を丁寧に説明

  2. 説得しても拒否する場合 → 内定取り消しを検討(ただし、合理的理由がない内定取り消しは違法になる可能性があるため、慎重に判断)



図解:入社時誓約書の流れ

採用決定
 ↓
就業規則の説明
 ↓
誓約書の提示・説明
 ↓
従業員の納得・署名
 ↓
会社保管(トラブル時の証拠資料)


表で整理:入社時誓約書の主要項目

項目

内容

効果

服務規程の遵守

遅刻・無断欠勤禁止、職場マナー

職場秩序の維持

経歴・資格の確認

虚偽申告禁止

採用の適正確保

秘密保持義務

顧客情報・社内資料の保護

情報漏洩防止

競業避止義務

同業他社での活動制限

不正競争防止

損害賠償・懲戒処分

違反時の責任明記

抑止力・法的根拠


👉 次の章では、**「退職時に交わす誓約書」**について解説します。退職後のトラブルを防ぐための具体的な条項や、裁判例をもとにした注意点を紹介していきます。



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  5.退職時に交わす誓約書


退職のタイミングは、会社にとって「情報が社外に流出する危険性が最も高まる瞬間」です。従業員が退職する際に誓約書を交わすことで、会社の大切な情報資産を守り、退職後のトラブルを未然に防ぐことができます。ここでは退職時誓約書の重要性や具体的な内容、実務上の注意点について詳しく解説します。



秘密保持誓約書の重要性

退職者が知り得た情報を外部に漏らすと、会社は大きな損害を受ける可能性があります。たとえば、取引先リストが競合企業に渡れば顧客が奪われ、営業戦略が流出すれば事業の優位性が崩れます。秘密保持誓約書(NDA)は、退職後も「知った情報を勝手に使わない」という約束を明文化するためのものです。



技術上の秘密・ノウハウの保護

会社が長年かけて築いてきた「技術」「マニュアル」「業務ノウハウ」は目に見えない資産です。これが外部に持ち出されると、研究開発コストやブランド力が無意味になりかねません。例えるなら、秘伝のレシピを持ち出されて他店で公開されるようなものです。退職時誓約書には「技術やノウハウを無断で利用・公開しない」ことを明確に記載する必要があります。



顧客情報の漏洩防止

退職者が顧客情報を持ち出し、新しい勤務先や独立後のビジネスに流用するケースは少なくありません。個人情報保護法の観点からも重大なリスクとなります。誓約書により「顧客リストや取引情報の使用禁止」を明確にすることで、顧客との信頼関係を守り、情報漏洩リスクを低減できます。



競業避止誓約書の活用

競業避止誓約書とは「退職後一定期間、同業他社で働いたり独立して競合事業を始めたりしない」という約束です。ただし、日本の裁判所では「退職者の職業選択の自由」とのバランスが重視されるため、以下のような制限が合理的でなければ無効とされる可能性があります。

  • 期間:一般的に1~2年程度

  • 地域:実際に事業を展開している範囲に限定

  • 対価:競業避止義務に見合う補償を支払うケースもある



記載すべき項目

退職時の誓約書に盛り込むべき主要項目を整理すると以下の通りです。

項目

内容

具体例

秘密情報の特定

どの情報が秘密かを明確化

技術資料、顧客リスト、契約内容など

秘密保持義務

外部漏洩や私的利用を禁止

競合会社への提供禁止

情報・備品の返還

会社の財産を返却させる

PC、USB、書類、IDカードなど

違反時の責任

損害賠償や差止請求を規定

損害額の請求、利用差止



サイン拒否・違反時の対応

退職者が誓約書へのサインを拒否するケースもあります。その場合、無理に署名を強要すると「強制」とみなされ無効になるおそれがあります。説得の際には「会社と顧客を守るための必要最低限のルール」であることを丁寧に説明しましょう。違反が発覚した場合は、以下の手段を検討できます。

  1. 損害賠償請求

  2. 情報の使用差止請求

  3. 重大な場合は刑事告訴(不正競争防止法や個人情報保護法違反など)



退職金との関連(違法リスクに注意)

「誓約書にサインしなければ退職金を支払わない」といった対応は違法となる可能性があります。退職金は就業規則や労働契約で定められた労働条件の一部であり、一方的な没収はできません。ただし、「誓約を破った場合に退職金の一部を返還させる」といった合意は、裁判例でも一定の範囲で認められることがあります。


まとめポイント

  • 退職時誓約書は「会社資産を社外に持ち出させないための最後の砦」

  • 秘密保持・顧客情報・競業避止などを網羅することが重要

  • 無理なサイン強要や違法な退職金制限はリスクがある


👉 ここまでで「退職時誓約書の基礎と実務上の注意点」を整理しました。



  6.秘密保持誓約書の作成ポイント


秘密保持誓約書(NDA)は、従業員が業務上知り得た機密情報を外部に漏らさないことを約束させる文書です。会社にとっては「情報漏洩防止の防波堤」であり、従業員にとっても「どこまでが禁止される行為なのか」を明確に理解できるメリットがあります。ここでは、秘密保持誓約書を作成する際の具体的なポイントをわかりやすく解説します。



秘密情報の定義を明確化

秘密保持誓約書で最も重要なのは、「どの情報が秘密なのか」をはっきりさせることです。あいまいな表現だと、「これは秘密に含まれるのかどうか」で争いが起きやすくなります。


✅ 例:秘密情報の定義

  • 技術情報(設計図、プログラム、研究データなど)

  • 営業情報(顧客リスト、取引条件、価格表)

  • 社内情報(経営計画、人事情報、給与体系)


📌 例え話「冷蔵庫に“勝手に食べないで”と書いたお菓子」が秘密情報です。ただし、冷蔵庫全体を“秘密”にしてしまうと、他の人は何を食べていいのか分からなくなります。つまり、秘密の範囲を限定しておくことでトラブルを防げるのです。



義務内容を漏れなく記載

従業員に課す秘密保持義務は、できるだけ具体的に列挙しておきましょう。

  • 外部への口外禁止

  • 私的利用の禁止

  • コピー・持ち出しの禁止

  • SNSやネット投稿での情報漏洩禁止


「ただ守ってね」だけではなく、「どのような行為が禁止されるのか」を具体的に示すことで、従業員も理解しやすくなります。



会社の調査権限の規定

万一、情報漏洩が疑われるときに調査できる権限を誓約書で定めておくことも重要です。


📌 例:

  • PCやメールログの確認

  • 社内端末の利用履歴調査

  • 必要に応じたデータ復旧・解析


ただし、調査は従業員のプライバシー権とのバランスも必要です。あくまで「業務に関係する範囲」に限定する旨を明記するとトラブルになりにくいです。



在職中・退職後の義務の明示

秘密保持義務は「在職中」だけでなく「退職後」にも続きます。むしろ退職後こそ、競合企業に転職するなど情報が漏洩しやすい状況になります。


✅ 書き方例

  • 在職中はもちろん、退職後○年間は秘密保持義務を負う

  • 秘密保持義務は退職理由を問わず存続する

⏳ 一般的に「2~3年」が妥当とされますが、情報の性質によっては「無期限」とすることもあります。



違反時の損害賠償責任の明記

違反があった場合のペナルティを明確にしておくことは、心理的抑止力として大きな意味を持ちます。


📌 書き方の例

  • 違反により会社が被った損害を賠償する責任を負う

  • 差止請求(情報の利用や提供をやめさせる措置)を受け入れる


単に「禁止する」と書くだけでなく「違反したらどうなるか」まで明記することがポイントです。



就業規則・その他書類との整合性

秘密保持誓約書の内容は、就業規則や雇用契約書と矛盾がないように整える必要があります。たとえば、就業規則で「秘密保持義務を負う」と定めているのに、誓約書で「退職後は自由」と書いてしまうと矛盾が生じます。


👉 書類間の整合性をチェックすることが、後々の法的トラブル防止につながります。



身元保証書、顧客引き抜き防止誓約書との関連

秘密保持誓約書は、他の誓約書とあわせて運用することで効果が高まります。

  • 身元保証書:従業員の不正行為による損害を保証人に求められる書類

  • 顧客引き抜き防止誓約書:退職後に顧客を奪って独立や転職先に誘導する行為を禁止


これらをセットで導入することで、より強固な情報保護体制を築けます。



私物PC・携帯利用の誓約書

最近ではリモートワークやBYOD(私物端末の業務利用)が増えており、情報漏洩のリスクが高まっています。


✅ ルール例

  • 私物PC・携帯で業務データを扱わない

  • どうしても利用する場合は会社指定のセキュリティソフトを導入する

  • データ保存は会社クラウドに限定する


こうしたルールを誓約書で明示しておくことで、予期せぬ情報漏洩を防止できます。


📊 まとめ図解:秘密保持誓約書の構成要素

┌───────────────────────────────────────────────────────┐
│ 秘密保持誓約書のポイント                                │
├───────────────────────────────────────────────────────┤
│ 1. 秘密情報の定義(何を守るのか?)                     │
│ 2. 義務内容(どう守るのか?)                          │
│ 3. 調査権限(会社が確認できる範囲)                     │
│ 4. 在職中・退職後の義務(いつまで守るのか?)            │
│ 5. 違反時の責任(破ったらどうなるのか?)                │
│ 6. 他の書類との整合性(矛盾防止)                       │
│ 7. 関連誓約書(身元保証書・引き抜き防止など)            │
│ 8. 私物PC・携帯利用ルール                               │
└───────────────────────────────────────────────────────┘

まとめ

  • 秘密保持誓約書は「情報の範囲」と「違反時の責任」を明確化することが最重要

  • 在職中だけでなく退職後も義務が続くことを必ず記載

  • 他の誓約書(顧客引き抜き防止、身元保証書など)と組み合わせることで効果倍増



  7.誓約書運用の実務ポイント


誓約書は「作って終わり」ではなく、正しく運用することによって初めて効果を発揮します。どれほど丁寧に作成しても、署名のタイミングを誤ったり、従業員に説明をせずに強制したりすると、法的に無効になったり、逆にトラブルを招くことがあります。ここでは、企業が誓約書を日常の実務で活用する際の重要ポイントを詳しく解説します。



入社・昇進・退職のタイミングで取得

誓約書を交わすベストなタイミングは以下の3つです。

  • 入社時:会社のルールを明確にし、就業規則とセットで理解させる。

  • 昇進時:管理職や役職者は、より多くの機密情報を扱うため追加の誓約が有効。

  • 退職時:秘密保持や競業避止など、退職後のリスクを最小化する。


📌 図解イメージ

入社 ──▶ 誓約書(基本)  
昇進 ──▶ 誓約書(追加:管理職用)  
退職 ──▶ 誓約書(秘密保持・競業避止)

タイミングを逃さないことで「後から言った・言わない」のトラブルを防げます。



従業員への説明と同意の取得

誓約書は「一方的に押し付けるもの」ではありません。従業員が内容を理解し、自発的に署名してこそ効力があります。


✅ 実務ポイント

  • 就業規則や誓約書の内容を説明する時間を設ける

  • 難しい専門用語は避け、例を交えて説明する

  • 署名時に「同意して署名する」という意思確認をする


💡 例え話「スマホの利用規約」を読まずに同意してしまうのと同じで、従業員が理解しないまま署名した誓約書は、裁判で「無効」とされる可能性もあります。



法令遵守と過度な強制の回避

誓約書は会社を守るためのものですが、従業員の権利を過度に制限する内容は無効と判断されることがあります。


📌 注意すべき例

  • 「退職後5年間は一切同業他社に勤めてはならない」 → 職業選択の自由を侵害

  • 「退職したら必ず退職金を返還する」 → 労働基準法に抵触するおそれ


👉 ポイントは「合理的な範囲でルールを設定すること」です。



電子署名・デジタル運用の注意点

紙の誓約書に代わって、電子署名やクラウドでの契約管理を導入する企業が増えています。


✅ メリット

  • 保管スペース不要

  • 署名の手間削減

  • 検索・管理が容易


⚠️ 注意点

  • 単なる「PDFに名前入力」は本人確認が不十分で無効の可能性あり

  • 電子署名法に基づいた「本人性の確認」が必要(例:クラウドサイン、DocuSign)

  • データの改ざん防止機能がある仕組みを選ぶこと



トラブル事例とその防止策

誓約書に関連する代表的なトラブルを整理すると次の通りです。

トラブル事例

想定される問題点

防止策

残業代請求

「残業しません」との誓約書を作成 → 労基法違反で無効

就業規則や勤怠管理を適正化

競業避止義務

「退職後5年間全国で競業禁止」と記載 → 職業選択の自由を侵害

期間・地域・職務を合理的に限定

SNSでの名誉毀損

元従業員がSNSに会社批判を投稿

誓約書で「SNSでの誹謗中傷禁止」を明記、違反時の責任を定める



まとめ

  • 誓約書は 入社・昇進・退職 の節目で確実に取得

  • 従業員に内容を説明し「理解と同意」を得ることが大前提

  • 法律を超える過度な制限は無効になりやすい

  • 電子署名は「本人確認・改ざん防止」の仕組みを必ず導入

  • 残業代・競業避止・SNSトラブルなど実例を踏まえて内容を整える



  8.行政書士・弁護士に相談すべきケース


個別事情に応じた実効的な誓約書作成

誓約書は、インターネット上で無料のテンプレートを見つけて簡単に作ることも可能です。しかし、実際の会社運営においては「会社の業種」「従業員の職務内容」「過去のトラブルの有無」など、状況によって必要な条項や強調すべきポイントが異なります。


例えば――

  • 営業職:顧客リストや営業ノウハウが流出するリスクが高いため「秘密保持条項」を強めに入れる必要あり。

  • 技術職:特許やシステム設計など知的財産が関わるため「競業避止義務(退職後に同業他社へすぐ転職しないルール)」が重要になる。

  • アルバイト・パート:労務トラブルが起きやすいので「勤務態度や遅刻・欠勤に関する誓約」が中心。


このように職種や立場ごとに誓約内容を調整しなければ、実際のトラブル時に「役に立たない紙切れ」になってしまう可能性があります。


弁護士は裁判例や労働法の観点から「法的に効力があるか」を重視します。一方で行政書士は、契約書や誓約書の文面を整理して「実務で使いやすい形」に落とし込むサポートが得意です。


👉 ポイントまとめ

相談相手

得意分野

相談のメリット

行政書士

文面の整備、誓約書のチェック

実務で使える書式に調整してもらえる

弁護士

法的効力、裁判を見据えたリスク分析

将来の訴訟やトラブルに備えた強い誓約書を作れる



情報漏洩・退職後トラブル防止のアドバイス

誓約書で最も多い相談内容のひとつが 「情報漏洩」 です。たとえば従業員が退職後に――

  • 顧客リストを持ち出してライバル会社へ

  • 開発中の技術資料をSNSに投稿

  • 社内マニュアルを無断で販売


このようなケースは実際に多発しています。

法律的には「不正競争防止法」や「著作権法」で対処できる場合もありますが、裁判になると費用も時間もかかります。だからこそ、事前に誓約書で「会社の情報は退職後も守ること」を約束させておくことが重要です。


また、退職後の 競業避止義務 に関しては、無制限に縛ることは労働者の職業選択の自由を侵害するため違法となる可能性があります。弁護士に相談すれば「制限期間は1~2年程度まで」「地域や業種を限定する」といった、適法かつ実効性のあるアドバイスを受けられます。


👉 図解:退職後トラブルの典型例と対応策

退職後のリスク     →  誓約書での対応例
-------------------------------------------------
顧客リストの持ち出し → 秘密保持義務・返還条項を記載
同業他社への即転職   → 競業避止義務を限定的に設定
SNSでの悪口・情報発信 → 名誉毀損禁止条項を明記


行政書士によるチェック・対応のメリット

誓約書は「会社を守る武器」であると同時に、「従業員の権利を縛りすぎない」バランス感覚も必要です。ここで行政書士に依頼するメリットが活きてきます。

  • 文面の表現を調整して、従業員が納得しやすい内容にできる → 例:専門用語だらけの条項を、平易な日本語に直す。

  • 会社の就業規則や労働契約と整合性を持たせられる → 誓約書だけ厳しすぎると、労基署に指摘されるリスクがある。

  • 公正証書化のサポートも可能 → 誓約内容を公証役場で「公正証書」にすると、強制執行が可能になり、未払い金や損害賠償の回収がスムーズになる。


つまり、弁護士が「攻めの法務」であるなら、行政書士は「守りの実務サポート」として活用できるのです。


まとめ

  • 誓約書はテンプレートでは不十分。業種・立場に応じた個別設計が必要。

  • 退職後トラブル(情報漏洩・競業避止・SNS投稿)への予防策として専門家のアドバイスは不可欠。

  • 行政書士は「実務で運用しやすい誓約書」を、弁護士は「法的に強い誓約書」を作成する役割を担う。



  9.まとめ


従業員誓約書は企業利益と信頼を守る重要ツール

従業員誓約書は単なる「紙」や「儀礼」ではなく、会社の無形資産(ノウハウ・顧客情報・業務運用ルールなど)を守るための実務的かつ心理的な抑止装置です。誓約書を適切に設計・運用することで、情報漏洩や退職後のトラブルを未然に防ぎ、企業の信用と事業継続性を保てます。逆に、形だけの誓約書や就業規則と矛盾する内容は、実効性が低くリスクを増やすだけなので要注意です。



作成・運用には法的知識と適切な手順が不可欠

誓約書は法的効力を持ちうるものの、労働者の「職業選択の自由」や労基法等の法令と抵触すると条項が無効になったり、会社側が不利になります。そのため、次の点を押さえましょう:

  • 就業規則との整合性:誓約書の条項は就業規則や雇用契約と矛盾しないこと。

  • 合理性の担保:競業避止や秘密保持の期間・地域・範囲は合理的に限定すること(過度な制限は無効)。

  • 説明・同意のプロセス:署名は従業員の自由意思に基づくことが大前提。説明会や書面での同意取得を必ず行う。

  • 記録保管:署名済み書類の適切な保管・検索体制を整備する。

  • 定期見直し:業務内容や法改正に合わせて誓約書も更新する。



雛形の安易な利用はリスク大

ウェブ上の汎用テンプレートをそのまま流用すると、以下の問題が起きやすいです:

  • 自社業務に合わない条項が混在する(無効化のリスク)

  • 就業規則等と矛盾する

  • 訴訟や行政調査に弱い文言が残る


テンプレは「参考」として使い、必ず自社の実情(業種・職務・扱う情報の性質)に合わせてカスタマイズしてください。必要に応じて専門家のチェックを受けることを強く推奨します。



トラブル防止のため、専門家の助言を得ることが重要

誓約書は「作成すること」よりも「正しく運用すること」が大事です。以下のケースでは専門家(行政書士/弁護士)への相談が有効です:

  • 競業避止義務を導入したいが実効性と合法性の両立を図りたいとき

  • 過去に情報漏洩や引き抜きトラブルがあり再発防止策を作りたいとき

  • 雇用条件(退職金等)と誓約書の関係で法的リスクが懸念されるとき

  • 裁判や差止請求・損害賠償を見据えた証拠保全の仕組みを整えたいとき

行政書士:文面の整理・就業規則との整合・実務運用の整備が得意。弁護士:法的な有効性の検討、訴訟対応、差止や損害賠償請求の戦略が得意。


実務チェックリスト(すぐ使える)

項目

なぜ重要か

実務での確認方法

就業規則との整合性

矛盾は無効やトラブルの原因

就業規則と照合し矛盾箇所を修正

秘密情報の定義

範囲を曖昧にすると争いになる

具体例(顧客名簿・設計図・価格表等)を列挙

在職中・退職後の期間

期間の合理性確保

業務の性質に応じて1〜3年など設定

違反時の措置

抑止力と実行可能性を担保

損害賠償・差止請求の条項を記載

同意の取得方法

強制だと無効化リスクあり

説明→質問対応→署名(同意確認)

電子署名の要件

本人性・改ざん防止の担保

電子署名法準拠サービスを利用

保管・アクセス管理

証拠性を確保

署名済み原本の安全保管とアクセスログ管理

見直しスケジュール

法令改正や業務変化に対応

年1回のレビューをルール化



運用フロー(図解・簡易)

採用/昇進/退職の節目
      ↓
誓約書のドラフト(業務に適合)
      ↓
就業規則との整合チェック(社内・専門家)
      ↓
従業員への説明(Q&A実施)
      ↓
署名(紙 or 電子:本人性の確認)
      ↓
保管(原本保存/電子管理)+ログ記録
      ↓
違反時の対応(内部調査 → 法的手続き)
      ↓
定期見直し(年次または事業変更時)


よくある誤解(簡潔に)

  • 「誓約書に書けば何でも効く」 → ×(過度な制限は無効)

  • 「署名があれば説明不要」 → ×(説明なく強制すると無効になる可能性)

  • 「雛形をそのまま使えば安心」 → ×(自社運用に合わないとトラブルに)



次のステップ(実務向けの提案)

  1. 既存の誓約書・就業規則を棚卸し、矛盾点を抽出する。

  2. 主要な職種ごと(営業・技術・管理職)に誓約書の骨子を設計する。

  3. 社内説明資料(Q&A)を作成し、説明会を実施する。

  4. 電子署名を導入する場合は本人確認・改ざん防止機能を有するサービスを選ぶ。

  5. 必要に応じて行政書士/弁護士に文面チェック/リスク評価を依頼する。



最後に(読者への一言)

誓約書は“企業と従業員の信頼関係を言語化するツール”です。正しく設計し、丁寧に説明・運用することで「紙切れ」ではなく、現場で効く実務ツールになります。まずは自社の実情を整理して、必要な項目から着実に整備していきましょう。必要なら文例作成や専門家紹介のお手伝いもできます — 次の一歩を一緒に進めましょう。



  10.関連記事・資料リンク


従業員と経営者が交わす誓約書は「作って終わり」ではなく、参考資料を活用しながら改善・運用していくことが大切です。ここでは、誓約書作成や実務運用に役立つ関連リンクや資料を整理しました。初心者でも理解しやすいように、実務での利用シーンを交えて紹介します。



秘密保持契約書(NDA)のひな形

秘密保持契約(NDA: Non-Disclosure Agreement)は、企業が持つ顧客情報・技術情報・営業ノウハウを守るための文書です。誓約書と似ていますが、「双方向で守る約束」か「片方向で守る約束」かで大きく異なります。

  • NDA → 会社と外部(取引先や業務委託先)との間で締結する

  • 秘密保持誓約書 → 会社と従業員の間で締結する


📌 参考リンク例

  • 「秘密保持契約書(NDA)の基本解説」

  • 「ひな形PDF/Wordダウンロード」


💡 誓約書とNDAの違いを理解すると、外部との契約と内部管理を整理して考えられるようになります。



入社誓約書・退職誓約書サンプル

実際の誓約書を見ないとイメージが湧きにくい方も多いと思います。そこで役立つのが「サンプル」です。

  • 入社時誓約書

    • 就業規則の遵守

    • 経歴・資格の虚偽申告禁止

    • 秘密保持義務

    • 損害賠償や懲戒処分の明記

  • 退職時誓約書

    • 顧客情報や資料の返還

    • 退職後の秘密保持義務

    • 競業避止義務(合理的範囲内)

    • 違反時の損害賠償請求・差止請求


📌 参考リンク例

  • 「入社誓約書サンプル(Word形式)」

  • 「退職誓約書サンプル(PDF形式)」


💡 サンプルをそのまま使うのではなく、自社の業務に合うようカスタマイズすることが必須です。



就業規則との整合性チェックリスト

誓約書の条項は、必ず就業規則や雇用契約と一致していなければなりません。矛盾があると無効になる可能性が高まります。


✅ チェックポイント例

チェック項目

確認すべき内容

服務規程

誓約書と就業規則の規律内容に差がないか

秘密保持

「秘密情報」の定義が就業規則と一致しているか

競業避止義務

就業規則で触れていない場合、誓約書だけで効力があるか

懲戒処分

違反時の処分内容が就業規則に沿っているか

損害賠償

就業規則にない「高額な賠償金」規定を誓約書に入れていないか


📌 参考リンク例

  • 「就業規則と誓約書の整合性チェックリスト(ダウンロード可)」


💡 誓約書だけでなく、必ず就業規則とセットで考えることが実務上の鉄則です。



トラブル事例と対応マニュアル

実務では「誓約書を作ったのに防げなかった」ケースや、「逆に誓約書が原因で労働トラブルに発展した」事例も存在します。


よくあるトラブル事例

  1. 顧客情報の持ち出し→ 退職者がライバル企業へ顧客リストを持ち出し、営業活動を開始。→ 【対応】秘密保持誓約書に基づく差止請求や損害賠償請求。

  2. SNSでの名誉毀損→ 元社員がSNSで会社を誹謗中傷。→ 【対応】誓約書に「在職中・退職後のSNS利用ルール」を明記しておく。

  3. 競業避止義務の過剰設定→ 「退職後5年間は同業他社で働いてはならない」と記載。→ 【結果】職業選択の自由に反し、裁判で無効判決。


📌 参考リンク例

  • 「実際の裁判例から学ぶ誓約書トラブル」

  • 「対応マニュアル(損害賠償請求・差止請求)」


💡 トラブル事例を知ることは、「失敗を繰り返さない」ための一番の近道です。


まとめ

関連資料やサンプルを活用することで、誓約書の作成・運用のイメージが一気に具体化します。ただし、そのまま使うのではなく、自社の状況に合わせて調整することが不可欠です。

  • まずは「サンプル」で全体像を把握する

  • 「チェックリスト」で矛盾や不備を確認する

  • 「トラブル事例」で想定外のリスクを学ぶ


この3つのステップを踏めば、初心者でも実効性のある誓約書を作成できるようになります。



~事例・比較分析紹介~



  11.入社時誓約書の実務活用調査


企業規模別で入社時誓約書の取得率・内容を調査

入社時誓約書は、従業員が入社したタイミングで会社と交わす重要な文書です。しかし、企業の規模や業種によって取得率や内容に大きな差があります。


企業規模別の傾向(例)

企業規模

誓約書取得率

主な内容

傾向・特徴

大企業(従業員500名以上)

90〜100%

秘密保持、競業避止、服務規程遵守、損害賠償

法務部が文面管理。雛形+個別調整が多い。

中堅企業(従業員50〜500名)

70〜85%

秘密保持、服務規程遵守、競業避止(限定的)

法務担当不在の場合、テンプレート流用が多い。

小規模企業(従業員50名未満)

40〜60%

秘密保持、服務規程遵守(簡易)

雛形を簡易利用、任意項目の記載が少ない。


💡 解説大企業ほど誓約書の取得率が高く、内容も細かく設計されています。中小企業では「秘密保持」や「服務規程遵守」に絞った簡易な誓約書が多く、競業避止や損害賠償の明記が不十分なケースも見られます。


「必須事項」と「任意事項」の実務上の違い

入社時誓約書の条項は、大きく分けると必須事項任意事項に分類できます。


必須事項

  • 服務規程の遵守

  • 秘密保持義務

  • 経歴・資格の虚偽申告禁止

  • 違反時の懲戒処分・損害賠償の明記


これらは従業員の基本行動や会社の重要資産を守るために必須とされ、取得漏れはトラブルの元になります。


任意事項

  • 競業避止義務

  • SNS利用のルール

  • 副業の事前申請

  • 内部調査・報告義務


任意事項は、業種や職種、企業文化によって追加される項目です。例えば、営業職や技術職では競業避止義務が重要ですが、一般事務職では必要ない場合もあります。


💡 実務上のポイント任意事項を追加する場合は、従業員の自由意思を尊重しつつ合理的な範囲に留めることが重要です。過度に制限すると法的効力が争われる可能性があります。



雛形利用の実態とトラブル事例

多くの中小企業では、ネット上の無料雛形をそのまま流用して誓約書を作成しています。しかし、雛形だけでは以下のようなトラブルが発生するリスクがあります。


トラブル事例

  1. 秘密情報の範囲が曖昧

    • 結果:従業員が情報を持ち出しても、何が秘密か不明確で損害賠償請求できず

  2. 競業避止義務が過度

    • 結果:裁判で「職業選択の自由を侵害する」と判断され条項無効

  3. 就業規則と矛盾

    • 結果:誓約書の条項が就業規則と異なる場合、無効や法的紛争に発展

  4. 署名取得プロセスが不適切

    • 結果:説明不足や強制的な署名で、後日「同意していない」と争われる


💡 対策のポイント

  • 雛形はあくまで参考とし、自社業務に合わせたカスタマイズ必須

  • 就業規則との整合性チェックを必ず行う

  • 署名は従業員の自由意思を確認して取得

  • 競業避止や損害賠償の範囲は合理的に設定



図解:入社時誓約書作成の実務フロー

1. 会社の就業規則・業務内容確認
      ↓
2. 雛形を参考にドラフト作成
      ↓
3. 必須事項・任意事項を整理
      ↓
4. 就業規則との整合性チェック
      ↓
5. 従業員への説明(Q&A)
      ↓
6. 署名取得(紙 or 電子)
      ↓
7. 文書保管・運用ルール整備

このフローを踏むことで、雛形をそのまま使う場合よりもトラブルリスクを大幅に減らすことができます



  12.退職時秘密保持誓約書の効果検証


情報漏洩防止の観点で誓約書の効力を分析

退職時秘密保持誓約書は、従業員が退職後も会社の機密情報や顧客情報を外部に漏らさないことを約束する文書です。この誓約書の効力は、単なる心理的抑止力だけでなく、法的な裏付けとしても機能します。


効果のポイント

  1. 心理的抑止力

    • 「署名済み」「損害賠償や差止請求の明記」があることで、従業員は情報漏洩を思いとどまる傾向があります。

    • 例:退職直前に顧客リストをUSBにコピーしようとした社員も、署名済み誓約書を意識して行動を控えるケースがあります。

  2. 法的効力の付与

    • 秘密保持条項に違反した場合、損害賠償請求や差止請求を行える根拠となります。

    • 裁判所も、「合理的範囲の秘密情報・期間・地域」に限定されていれば、条項を有効と判断する傾向があります。

  3. 退職後のトラブルリスク低減

    • 退職後に元社員が競合会社に入社しても、秘密情報の不正利用を防ぐための抑止力となります。

    • NDAや退職時誓約書を組み合わせることで、企業は情報資産を守りやすくなります。



違反があった場合の企業対応と裁判例

誓約書違反が疑われる場合、企業は次の手順で対応します。


企業対応フロー

  1. 内部調査

    • 情報持ち出しや不正利用の事実確認

    • PCログ・メール履歴・アクセス履歴の確認

  2. 通知・交渉

    • 元社員に違反の事実と改善要求を通知

    • 示談・自主返還の交渉

  3. 法的手段

    • 損害賠償請求(民事)

    • 差止請求(情報の使用・開示を止める)

    • 告訴(刑事責任、場合による)


裁判例の一例

  • ケース:元社員が顧客情報を持ち出して競合企業で営業

  • 判決:裁判所は秘密情報の範囲が明確であり、誓約書に基づき差止と損害賠償を認めた

  • ポイント:秘密情報の特定・合理的な期間・範囲の記載が裁判での有効性につながる


💡 補足秘密保持誓約書に「曖昧な情報」「無期限の制約」を記載しても、裁判で無効になる場合があります。実務では「明確・具体・合理的」がキーワードです。



退職後トラブル発生率との関連

調査によると、退職時秘密保持誓約書を取得している企業と、そうでない企業では退職後トラブル発生率に差があることがわかっています。

誓約書の有無

トラブル発生率(退職後1年以内)

備考

取得済み

5〜10%

主に軽微な情報持ち出しや注意喚起で解決

取得なし

20〜30%

顧客引き抜き、営業秘密の漏洩など重大案件が多い


💡 解説誓約書があるだけで、退職後に重大トラブルが発生する確率を半減以上に抑えられることがわかります。心理的抑止力+法的効力のダブル効果が効いていると考えられます。



図解:退職時誓約書の効果イメージ

退職時誓約書
      ↓
心理的抑止力 + 法的効力
      ↓
従業員の情報漏洩抑制
      ↓
退職後トラブル発生率低減
      ↓
企業利益・顧客信頼の保護

実務上のポイントまとめ

  1. 秘密情報の特定が重要

    • 顧客名簿、設計図、営業手法など具体例を明記する。

  2. 期間・範囲は合理的に設定

    • 過度に長期・広域だと無効化のリスク。

  3. 署名取得と説明が不可欠

    • 説明不足や強制署名は後日争われる原因。

  4. 違反時の対応フローを事前に策定

    • 内部調査→通知・交渉→

    • 法的手段(損害賠償・差止請求・告訴)

  5. 定期的な見直し

    • 業務内容や法改正に合わせて誓約書を更新することで、効力を維持できます。

    • 例えば、新規事業やクラウドサービス導入など、情報の扱いが変わった場合には条項の追加・修正が必要です。

  6. 教育と周知

    • 退職前に誓約書の内容を再確認する機会を設け、理解を深めてもらうことで心理的抑止力を高めます。

    • 社員への説明をメールや面談で記録しておくと、後日トラブル発生時に証拠として活用可能です。



まとめ

退職時秘密保持誓約書は、単なる書類ではなく、企業の情報資産を守るための重要なツールです。

  • 退職後の情報漏洩や顧客引き抜きトラブルの発生率を低下させる心理的・法的効力があります。

  • 違反時には、内部調査・通知・交渉・法的手段の流れで対応可能です。

  • 成功する運用には、秘密情報の明確化・合理的な期間・署名の取得・違反時対応フローの事前策定が不可欠です。


💡 実務のコツ誓約書だけに頼らず、教育や定期見直し、法務相談を組み合わせることで、退職後のリスクを最小化できます。



  13.競業避止誓約書の実効性調査


競合転職・顧客持ち出し防止の実効性

競業避止誓約書は、退職後の従業員が同業他社で働いたり、顧客を持ち出して営業活動を行ったりすることを制限する契約です。企業にとっては、営業秘密や顧客基盤を守る重要なツールですが、実効性を正しく理解する必要があります。


効果のポイント

  1. 顧客情報や取引先を守る

    • 誓約書を署名済みであることで、従業員は「競合他社で働くと法的責任が生じる」と認識し、無断持ち出しを抑止できます。

    • 例:営業職が退職時に顧客リストを持ち出すリスクを減少。

  2. 競合転職の抑止

    • 条項が合理的な期間・範囲で設定されている場合、心理的抑止力として働きます。

    • ただし、過度に長期間・広範囲を制限すると、裁判で無効になる可能性があります。

  3. 法的対応の根拠

    • 競業避止条項違反があった場合、差止請求や損害賠償請求の根拠になります。

    • 条項の合理性が裁判で有効性を左右します。



同業他社の裁判例・判例の整理

競業避止誓約書の有効性は、過去の裁判例からも一定の傾向が見えてきます。


裁判例のポイント

判例

条項の内容

判決

ポイント

A社 vs 元社員

退職後2年間、同業他社で勤務禁止

条項有効

期間が合理的、職種限定

B社 vs 元社員

無期限・全国規模での同業禁止

条項無効

過度に広範囲で職業選択の自由侵害

C社 vs 元社員

退職後1年、特定顧客への営業禁止

条項有効

顧客範囲が明確で合理的

D社 vs 元社員

退職後3年、同業他社就業禁止、違反時高額損害賠償

条項一部無効

損害賠償額が過大で無効化の可能性


💡 解説

  • 裁判所は「期間・地域・職種・対象顧客の範囲」を重視します。

  • 過度に制限すると条項が無効になり、抑止力も失われます。



従業員の心理的負担・抵抗感に関する分析

競業避止誓約書は、従業員の心理にも大きな影響を与えます。


心理的負担の要素

  1. 職業選択の制約

    • 「退職後どこで働けるのか」が限定されることで、従業員の不安感が増します。

  2. ストレス・抵抗感

    • 誓約書の条項が不明確だと、「何をしてはいけないのか」が分からず心理的ストレスが増加します。

  3. 信頼関係への影響

    • 入社時または在職中に強制的に署名を求めると、企業への不信感を生む場合があります。


実務上の工夫

  • 条項は明確かつ合理的に設定

  • 説明会や面談で条項の意義を理解してもらう

  • 不明点は質問可能にして従業員の納得度を高める


💡 補足例「退職後1年間、特定顧客への営業禁止」は合理的ですが、「退職後5年間、全国どの会社でも同業不可」は過度で心理的負担も大きく、争いに発展しやすいです。



図解:競業避止誓約書の実効性イメージ

入社/退職時に署名
      ↓
合理的な期間・範囲の設定
      ↓
心理的抑止力 + 法的効力
      ↓
顧客情報漏洩防止・競合転職抑止
      ↓
企業の営業秘密・顧客基盤の保護


実務上のポイントまとめ

  1. 合理的な期間・範囲の設定

    • 過度な制限は裁判で無効になる可能性。

  2. 対象顧客や職種を明確化

    • 曖昧な条項は抑止力が低下。

  3. 従業員への丁寧な説明

    • 納得感を得ることで心理的抵抗を減らす。

  4. 就業規則との整合性

    • 他の規程や秘密保持誓約書と矛盾しないことが重要。

  5. 違反時の対応フローを事前策定

    • 内部調査・通知・差止請求・損害賠償請求の手順を明確化。



  14.誓約書拒否時の企業対応ケース調査


入社・退職時に署名拒否された場合の企業対応

従業員が入社時や退職時に誓約書への署名を拒否するケースは、意外と多く、企業にとって対応方針が難しい局面です。


入社時の署名拒否

  • 理由の例

    1. 条項内容が曖昧で理解できない

    2. 競業避止や損害賠償条項が過度と感じる

    3. 条項の法的効力に不安がある

  • 企業の対応策

    1. 丁寧な説明

      • 条項の目的(秘密保持や会社資産保護)を具体例を用いて解説。

      • 例:営業職なら「顧客リストの漏洩が競合での不正営業につながる」と具体的に示す。

    2. 署名の強制回避

      • 強制署名は後日の法的争いで不利になる可能性があるため、同意を得る努力が必要。

    3. 内定条件として明示

      • 契約書や内定通知に「入社時に誓約書署名が必要」と明記し、従業員の理解と同意を事前確認。


退職時の署名拒否

  • 理由の例

    1. 退職後の競業避止条項が職業選択の自由を侵害すると感じる

    2. 秘密保持期間や範囲が不明確

    3. 損害賠償の金額が過大と考える

  • 企業の対応策

    1. 交渉・説明

      • 秘密保持の目的と条項の合理性を示し、納得を得る。

    2. 退職手続きの条件調整

      • 署名拒否でも退職手続きを進めつつ、違反時の法的手段を説明しておく。

    3. 法的リスクの整理

      • 強制署名や退職金差し止めは違法となるリスクがあるため注意。



就業規則への組み込みや内定取消しの法的リスク

誓約書署名を拒否された場合、企業は次のような法的リスクを考慮する必要があります。


就業規則への組み込み

  • 誓約書の内容を就業規則に組み込むことで、署名の有無にかかわらず遵守義務を明確化可能。

  • ただし、就業規則の改定手続き(労働者代表の意見聴取など)を経ずに強制すると無効リスクあり。


内定取消しのリスク

  • 署名拒否を理由に内定を取り消す場合、労働契約法や判例による制限があります。

  • 過度な内定取消しは不当解雇・契約違反として争われる可能性。

  • 対策として、内定通知に「入社条件として誓約書署名を求める」ことを明記し、合意を得ておくことが重要です。



弁護士アドバイス活用例の比較

企業が誓約書署名拒否に対応する際、弁護士の助言を活用するとリスクを最小化できます。

相談内容

弁護士活用例

効果

入社時拒否

条項の合理性・説明文言のチェック、就業規則との整合性確認

従業員への説得力アップ、争い回避

退職時拒否

競業避止・秘密保持条項の法的有効性確認、違反時の対応フロー策定

法的対応の明確化、心理的抑止力向上

内定取消し

内定通知文面・条件の妥当性チェック

不当内定取消しリスク回避

トラブル発生後

損害賠償請求や差止請求の戦略立案

法的権利行使の実効性向上


💡 ポイント弁護士に相談することで、法的に有効な条項設計と運用手順を整備でき、署名拒否やトラブル時も迅速かつ適切に対応できます。



図解:誓約書署名拒否時の対応フロー

署名拒否発覚
      ↓
理由確認・丁寧な説明
      ↓
弁護士アドバイスを受け条項合理性チェック
      ↓
就業規則や内定通知との整合性確認
      ↓
従業員との交渉・合意形成
      ↓
署名取得 or 署名なしの条件整理
      ↓
違反時の法的手段準備

実務上のまとめ

  1. 署名拒否は強制ではなく説明と納得のプロセスが重要

  2. 内定取消しや退職金差し止めなどの過剰対応は法的リスク

  3. 弁護士の助言を活用して条項の合理性と運用手順を整備

  4. 就業規則や内定通知文書との整合性を確認

  5. 拒否ケースも見据えた違反時対応フローを事前策定


💡 結論

署名拒否に直面した際は、感情的に対応せず、法的根拠と合理的説明をベースに対応することが、企業と従業員双方のリスクを最小化する鍵です。



  15.誓約書と損害賠償請求の関係


違反時の法的対応(損害賠償・差止請求・告訴)の実例

従業員誓約書に違反があった場合、企業は法的手段を通じて損害回復や再発防止を図ります。主な手段は以下の通りです。


1. 損害賠償請求

  • 誓約書違反により発生した実損害や逸失利益(将来得られたはずの利益)を金銭で請求します。

  • 例:営業社員が顧客リストを持ち出し競合他社で営業した場合→ 損害賠償請求:失われた売上や契約チャンスの金額を算定。


2. 差止請求

  • 行為の継続や拡大を防ぐため、裁判所に差止命令を求める手段です。

  • 例:秘密情報を利用して新サービスを開始しようとする元社員に対して→ 「秘密情報使用の差止」を求める仮処分申請。


3. 告訴・刑事告発

  • 営業秘密や個人情報の不正持ち出しが刑事罰の対象である場合、刑事告訴も可能です。

  • 例:不正競争防止法違反による告訴→ 刑事罰のリスクにより違反行為を抑止。



損害額算定の方法と実務上の注意点

損害賠償請求を実効的に行うには、損害額の算定方法を理解しておく必要があります。


1. 損害の種類

損害種類

内容

補足例

実損害

実際に発生した損失

持ち出された顧客の契約キャンセルによる売上減少

逸失利益

将来得られるはずの利益

元社員による新規契約機会の喪失

弁護士費用・調査費用

法的手続きにかかった費用

弁護士費用、社内調査費用


2. 注意点

  1. 損害の証明

    • 「顧客リストを使った」「売上が減った」という因果関係を明確にする必要があります。

    • 証拠としてメール、契約書、取引履歴などを用意。

  2. 過大請求のリスク

    • 実損害より過大な請求は裁判で減額される可能性があります。

  3. 逸失利益の算定

    • 将来の売上や契約可能性を合理的に算出する必要があります。

    • 過度な仮定や根拠の薄い数字は認められにくいです。



成功事例・失敗事例の分析

成功事例

  • ケース:元営業社員が競業避止誓約書に違反し、取引先を持ち出した

  • 対応

    1. 証拠(顧客リストコピー、契約書)収集

    2. 弁護士と協議し損害額算定

    3. 差止請求・損害賠償請求訴訟

  • 結果:裁判所が損害額を認定、損害賠償支払いと差止命令が下され成功


失敗事例

  • ケース:元社員が秘密情報を持ち出したが、誓約書が曖昧で期間も不明確

  • 問題点

    1. 誓約書の条項が法的に無効と判断

    2. 証拠不十分で損害額を立証できず

  • 結果:損害賠償請求は一部棄却、差止請求も不成立


💡 分析ポイント

  • 誓約書は明確で合理的な条項があるほど、損害賠償請求が有効。

  • 証拠の収集と損害額算定の精度が勝敗を左右。



図解:誓約書違反時の法的対応フロー

誓約書違反発覚
      ↓
事実確認・証拠収集
      ↓
弁護士と相談 → 損害額算定
      ↓
差止請求 or 損害賠償請求 or 告訴
      ↓
裁判所による判断
      ↓
損害賠償支払 / 行為差止 / 刑事告訴


実務上のまとめ

  1. 誓約書は法的抑止力と損害回復の根拠を兼ねる重要文書。

  2. 損害賠償請求は証拠と合理的な損害算定が不可欠。

  3. 曖昧な条項や過大請求は裁判で不利。

  4. 弁護士アドバイスを活用することで、実効性を高めることが可能

  5. 成功事例は、明確な条項・証拠・合理的算定・適切な法的手段の4点セットで実現される。



  16.SNS・デジタル情報漏洩に対応する誓約書


社員のSNS投稿やメール・チャットの監視条項の有効性

近年、SNSや社内チャットの利用による情報漏洩リスクが増加しています。企業は、これに対応するため従業員誓約書にデジタル情報の取り扱いに関する条項を盛り込むケースが増えています。


SNS投稿に関する注意点

  • 従業員がSNSに会社の機密情報や顧客情報を投稿すると、競合他社に渡るリスクがあります。

  • 誓約書には「業務上知り得た情報をSNSに投稿しない」と明記することで心理的抑止力を持たせられます。

  • 監視条項を設ける場合、プライバシー権とのバランスに注意。監視が過度だと違法と判断されることがあります。


メール・チャット監視の有効性

  • 社内メールやチャットの利用規程と併せて誓約書に明示すると、情報漏洩リスクの低減が可能です。

  • 条項例:「社内メール・チャットにおける機密情報の無断送信は禁止」

  • 監視自体は就業規則や社内ポリシーと連動させることで法的に有効とされやすくなります。



デジタルデータ漏洩の事例分析


事例1:顧客リストの持ち出し

  • 社員が個人USBに顧客情報をコピーし、転職先で使用

  • 結果:損害賠償請求・差止請求で解決

  • 教訓:誓約書に電子データの持ち出し禁止条項を明示することが重要


事例2:SNSへの業務情報投稿

  • 社員が社内開発中の新製品情報をSNSで公開

  • 結果:開発機密の漏洩として社内調査・警告

  • 教訓:誓約書にSNS利用の禁止条項違反時の対応規定を組み込む必要性


事例3:メール誤送信

  • 顧客情報入りのメールを誤って外部に送信

  • 結果:損害賠償請求、社内セキュリティ強化

  • 教訓:誓約書にメール・デジタル送信時の注意義務を明記



誓約書に盛り込むべきデジタル関連条項

誓約書には、以下のようなデジタル関連条項を盛り込むことが有効です。

項目

内容

補足

SNS利用制限

業務情報の投稿禁止

プライベートSNSも含む場合は明確化

メール・チャット管理

機密情報の無断送信禁止

社内規程と整合性を取る

データ持ち出し禁止

USB・クラウド・個人PCへのコピー禁止

違反時の損害賠償規定と連動

在職中・退職後の義務

退職後も情報漏洩禁止

競業避止条項と連動

監視・チェック権限

会社による監査権を明示

過度な監視は違法リスク注意

違反時の責任

損害賠償・懲戒処分の明記

実務上の抑止力向上


💡 補足解説

  • 「監視条項」は単に書くだけでは不十分で、就業規則・社内ポリシー・同意文書とセットで運用することが重要です。

  • 違反時の処分を具体的に示すことで、従業員の心理的抑止力が高まります。



図解:デジタル情報漏洩リスクと誓約書の役割

社員のSNS・メール・チャット
      ↓
情報漏洩リスク発生
      ↓
誓約書による制約
 (投稿禁止・持ち出し禁止・監視権限)
      ↓
心理的抑止 + 法的根拠
      ↓
損害賠償請求・差止請求・懲戒処分
      ↓
企業の情報資産保護


実務上のポイント

  1. SNSやメール・チャットの利用を明確に条項化する

  2. 監視権限は過度にならない範囲で明示

  3. デジタルデータ漏洩の事例を基に実務上の注意点を具体化

  4. 退職後も効力があるように在職中・退職後の義務を明示

  5. 違反時の損害賠償・懲戒規程と連動させる


💡 結論

デジタル情報漏洩のリスクは日常的に存在するため、誓約書に具体的・合理的・法的に有効なデジタル条項を盛り込み、従業員の理解と心理的抑止力を確保することが必須です。



  17.誓約書の心理的効果・企業文化への影響


誓約書が従業員行動やコンプライアンス意識に与える影響

誓約書は単なる法的文書ではなく、従業員の心理に働きかけるツールとしての役割も持っています。適切に運用することで、従業員の行動や企業文化にポジティブな影響を与えることが可能です。


1. 行動抑止効果

  • 誓約書に署名することで、従業員は会社が重視するルールや禁止事項を明確に認識します。

  • 例:秘密情報や顧客データの取り扱いに関する条項を署名時に確認することで、情報漏洩行為を未然に防止。


2. コンプライアンス意識の向上

  • 「署名する=約束する」という行為が心理的な責任感を生みます。

  • 実際の調査では、署名済みの従業員は無署名の従業員よりも内部規程違反の発生率が低いという結果も報告されています。


3. 企業文化への影響

  • 誓約書が存在することで、社内全体に規律や倫理意識の共有が促進されます。

  • 例:毎年のコンプライアンス研修と誓約書の組み合わせで、「情報管理は社員全員の責任」という文化が定着。



強制感 vs 自発的同意の違い

誓約書の効果は、署名が強制されているか、自発的に同意しているかで大きく変わります。

比較項目

強制感

自発的同意

従業員の心理

抵抗感・不満が生まれやすい

自己責任感・主体性が向上

行動への影響

表面的遵守に留まることがある

実際の行動改善につながりやすい

コンプライアンス文化

形式的・硬直化

自発的・積極的な遵守意識形成


💡 ポイント

  • 誓約書は「押し付ける」よりも、内容を理解させた上で署名させることが重要です。

  • 説明会や研修で条項の趣旨・意義を丁寧に伝えることで、心理的効果が最大化します。



社内アンケート・ヒアリング調査例

心理的効果を定量化するため、企業ではアンケートやヒアリング調査を行うことがあります。


調査例:秘密保持誓約書の心理的影響

  • 対象:営業部・開発部の従業員100名

  • 方法:誓約書署名前後での行動意識・情報取り扱い意識をアンケート

  • 結果:

    • 署名前:秘密情報の持ち出し可能性を「低い」と回答した割合 45%

    • 署名後:同回答割合 80%→ 明確な心理的抑止効果が確認


ヒアリング例

  • 「署名したことで情報管理への意識が高まった」と回答する従業員多数

  • 「形式だけで署名させられた場合は、逆に反発感があった」との声も→ 強制感の弊害が明確化



実務上のポイント

  1. 署名の強制ではなく理解促進

    • 条項の背景や意義を説明して納得感を持たせる

  2. 研修・説明会との併用

    • 誓約書単独では心理的効果が限定的、学習・討議の場を設ける

  3. 定期的なアンケートで意識チェック

    • 誓約書運用の心理的効果を可視化し改善

  4. 文化としての定着

    • 「署名=義務」ではなく、「守るべき行動の共有」として位置づける


💡 結論

  • 誓約書は法的効力だけでなく、従業員の行動や企業文化の形成にも大きく寄与します。

  • 強制よりも自発的同意を重視し、説明・研修・アンケートを組み合わせることで、心理的抑止力と文化形成の両立が可能です。



  18.雛形誓約書の活用実態とリスク


市販雛形やインターネットテンプレートの利用率

近年、従業員誓約書を作成する際、手軽に入手できる市販の雛形やインターネット上のテンプレートを活用する企業は少なくありません。

  • 小規模企業:約70〜80%が雛形利用(アンケート調査結果)

  • 中規模企業:約50%

  • 大企業:独自作成や専門家監修が主流


💡 補足解説

市販雛形は、最低限の法的形式を満たしており、初心者でも署名可能な簡便さがメリット。しかし、企業の業種・業務内容・従業員構成に最適化されていないことが多く、思わぬリスクにつながります。



雛形使用による無効・裁判例

雛形の安易な使用は、実務上以下のリスクを伴います。


1. 無効になるケース

  • 条項が抽象的すぎる例:「会社の秘密情報は漏洩してはいけない」→ 何が秘密情報か明確でないと、法的効力が認められにくい

  • 競業避止義務の範囲が広すぎる例:退職後10年間・全業種禁止→ 過度な制約は裁判で無効と判断される可能性


2. 裁判例

  • 顧客リストの持ち出し事件

    • 雛形誓約書に「秘密保持」とのみ記載

    • 実際の顧客データ持ち出しに対して損害賠償請求したが、裁判で請求額の一部しか認められず

    • 原因:秘密情報の具体性が不足

  • 競業避止違反事件

    • 雛形の範囲をそのまま使用、退職後2年間の同業禁止

    • 裁判で「合理的な範囲を超える」と判断され、効力の一部が否定


💡 補足

裁判例では、「曖昧な条項」「過剰な制限」「業務実態との不整合」が無効や効力減少の主な原因とされています。



企業が行うべきカスタマイズのポイント

雛形をそのまま使うのではなく、自社の実務に合わせてカスタマイズすることが重要です。

カスタマイズ項目

具体例

ポイント

秘密情報の定義

「顧客リスト、営業戦略、開発資料」など具体化

漠然とした表現は避ける

対象範囲

在職中・退職後の期間、業務範囲

合理的かつ必要最小限

損害賠償規定

違反時の損害賠償額や算定方法

実務で証明可能な範囲に留める

署名手続き

説明会・理解確認後に署名

強制感を避け、自発的同意を重視

法令・就業規則との整合性

労働基準法・個人情報保護法等

法律違反や社内規程矛盾を防止

デジタル情報対応

社内PC・SNS・クラウド利用のルール

最新の業務実態に合わせる


💡 補足解説

  • 雛形はあくまでテンプレートであり、自社に合わせた調整なしで使用すると、法的リスクや無効リスクが高まります。

  • 特に競業避止義務・秘密保持義務・損害賠償規定は業務内容や企業規模によって最適化が必須です。



実務上のアドバイス

  1. 雛形は「参考資料」として利用し、必ず自社実態に合わせてカスタマイズ

  2. 条項ごとに具体性と合理性を検討

  3. 弁護士や行政書士にチェックしてもらうと、無効リスク・裁判リスクを低減

  4. 従業員に署名を強制せず、理解と同意を確認した上で取得


💡 結論

  • 雛形誓約書は手軽な反面、無効・トラブルリスクが潜むツールです。

  • 自社に合わせたカスタマイズと専門家チェックを組み合わせることで、法的有効性と心理的抑止力を最大化できます。



  19.入社祝い金・退職金と誓約書の関係調査


誓約書へのサインが報酬条件に影響するケース

企業によっては、入社時の誓約書署名を入社祝い金や特定の退職金支給条件と連動させるケースがあります。

  • 入社祝い金:入社後一定期間(例:6か月)勤務すること、秘密保持誓約書や競業避止誓約書への署名が条件

  • 退職金・特別手当:在職中の秘密保持・競業避止条項に違反しなかった場合に支給、または違反時に返還義務


💡 例え話「秘密情報を守る約束をしたら、入社祝い金をもらえる」というイメージ。これは、報酬を動機付けとして心理的効果を高める方法として使われることがあります。



労働法上の問題点と裁判例

誓約書と報酬を連動させる場合、労働基準法などの労働法規との整合性が重要です。


1. 強制的扱いの問題

  • 入社祝い金や退職金の支給を誓約書の署名に完全依存させると、「自由意思の侵害」とみなされる可能性

  • 例:従業員が署名を拒否したため入社祝い金が支給されなかった場合、裁判で不当な差別や条件付けとして無効と判断されるリスクがあります。


2. 過剰な返還義務のリスク

  • 退職後の競業避止や秘密保持違反を理由に、退職金全額の返還を求める条項は、合理性を欠く場合無効となることがあります

  • 裁判例:退職後3か月以内の競業避止違反で全退職金返還を求めたが、裁判所は「過剰で無効」と判断


3. 公序良俗・労働契約法上の制約

  • 労働契約法第5条:労働者の権利を一方的に制限する契約は無効

  • よって、報酬を誓約書署名に過度に依存させる運用は法的リスクが高まります



経営者が知っておくべき法的リスク

誓約書と報酬の連動で経営者が注意すべき点は以下の通りです。

リスク

内容

対策例

自由意思侵害

署名を強制条件にした場合、違法とされる可能性

説明会で内容を十分理解させ、自発的署名を確認

過剰返還

違反時の全額返還など、合理性を欠く場合無効

返還範囲・期間を現実的・合理的に設定

差別・不当条件

特定の従業員にだけ条件を課すと不公平

全従業員に平等に適用

労働基準法違反

給与・賞与の不当な制限

法律上の権利を侵害しないよう設計


💡 補足解説

  • 誓約書を報酬条件と連動させること自体は可能ですが、過度な制限や不公平な扱いは法律違反のリスク

  • 「入社祝い金や退職金は、誓約書への署名の補助的インセンティブとして活用する」というバランス型の運用が望ましいです。



実務上のポイント

  1. 署名と報酬は連動可能だが、自由意思を尊重する

  2. 返還義務や違反ペナルティは合理的範囲に限定

  3. 全従業員に平等適用

  4. 労働契約法・労働基準法・公序良俗の整合性を確認

  5. 疑問点は弁護士・行政書士に相談してリスクを回避


💡 結論

  • 誓約書と入社祝い金・退職金の連動は心理的抑止力やインセンティブとして有効ですが、法的制約を無視した運用はトラブルの原因

  • 経営者は合理性・公平性・自由意思の尊重を念頭に、専門家と連携して運用することが重要です。



   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。



専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。


具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。



行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。


具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。


具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。



依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律2万円で作成しています。作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。




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