遺留分放棄は念書ではできない⁉|一律2万円おてがる契約書.com|【テンプレート・ひな形付き】
- 代表行政書士 堤

- 9月2日
- 読了時間: 59分
更新日:9月28日
🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。
本日は遺留分放棄についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。当コラムでは「遺留分放棄」と「念書」をテーマに、相続トラブルを未然に防ぐための知識を分かりやすく解説しています。法律の話はどうしても難しく感じられがちですが、実際の現場では「念書を書いたのに効力がなかった」という誤解から深刻な争いになるケースが少なくありません。このブログを通じて、初心者の方でも安心して理解できるように、専門的な内容を噛み砕いてお伝えしていきます。
本記事のまとめ:
重要事項 | 概要 |
|---|---|
生前は家庭裁判所の許可が必須、死後は相続人間の合意で有効。 | |
法的に有効な手続きや文書との違いを理解することが重要。 | |
弁護士・行政書士に相談すれば、形式不備や将来の争いを防げる。 |
🌻遺留分放棄の念書は、「書けば安心」と思われがちですが、実はタイミングや手続きを間違えるとまったく効力を持ちません。この記事を読むことで、裁判所の手続きが必要なケース、相続人同士の合意で有効となるケースなど、実務に役立つ知識をしっかり学ぶことができます。大切な財産を守り、家族の円満な相続を実現するために、ぜひ最後まで読んでみてください。
また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律2万円で作成しています。作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。
▼目次
~事例・比較分析紹介~
~番外編~
1.はじめに
「親の生前に“遺留分は請求しません”という念書を書いてもらえば大丈夫ですよね?」——相続の現場で、こうした相談は少なくありません。ところが結論から言うと、被相続人が生きているうちの遺留分放棄は“家庭裁判所の許可”がないと効力が出ません。当事者同士で念書(メモ)を交わしただけでは、原則として法的に有効にならない点が最大の落とし穴です。
実務では、
事前に家族間の取り決め(念書)だけで済ませ、のちにトラブル化
「相続後の放棄」と「生前の放棄」の違いを取り違え、書面の効力を過信といった行き違いが頻発します。この記事では、遺留分の基礎と念書の正しい位置づけを、初心者でも分かるように、たとえ話を交えながら整理します。
たとえ話 遺留分は、法が用意した「最低限の安全ネット(セーフティネット)」。ネットを外す(=生前放棄)には、係員=家庭裁判所のOKが要る、というイメージです。係員の確認なしに勝手に外したネットは、後から「外れていなかった」と扱われます。
2.基礎知識:遺留分と念書
2-1. 遺留分とは?
(1)法定相続人に保障された最低限の取り分遺留分(いりゅうぶん)は、遺言などで財産のほとんどが他人や特定の相続人に渡されるとしても、一定範囲の相続人に最低限確保される取り分です。対象者(「遺留分権利者」)は**配偶者・子(直系卑属)・直系尊属(父母・祖父母等)**で、兄弟姉妹には遺留分がありません。法律(民法1042条)がそう定めています。
(2)配偶者・子・直系尊属の遺留分割合(かんたん早見)遺留分の「総体」は、原則2分の1、相続人が直系尊属のみのときは3分の1。個々の人が実際に確保できる割合(個別の遺留分)は、総体×各人の法定相続分で求めます(=暗算が苦手でも考え方はこれだけ)。
よくある組合せ別の具体例は次のとおりです(かっこ内は計算式):
配偶者のみ:配偶者 1/2(= 1/2 × 1)
子のみ:子 1/2(複数なら等分)
配偶者+子:配偶者 1/4、子 1/4(子全体)(= 1/2 × 1/2 を配偶者と子で)
直系尊属のみ:直系尊属 1/3(複数なら等分)
配偶者+直系尊属:配偶者 1/3、直系尊属 1/6(直系尊属全体)(= 1/2 × 2/3、1/2 × 1/3)
兄弟姉妹のみ:遺留分なし
ここがポイント 「総体(全体としての最低保証)」→「各人(自分の取り分)」の順で考えると迷いません。まず1/2(or 1/3)を思い出し、次に自分の法定相続分を掛けるだけ。
(3)“生前放棄”は許可制、“相続後の放棄”は原則自由
生前の遺留分放棄:家庭裁判所の許可が必要(民法1049条)。当事者だけの念書では効力が出ません。
相続開始後の放棄:家庭裁判所の許可は不要。請求権を行使しない(請求をやめる)意思表示として、合意書や念書を残す実務が多いです。※ただし争い予防のため、内容は具体的・明確に。
たとえ話 試合前(生前)は、ルール変更=裁判所の許可が要る。試合開始後(相続開始後)は、プレーするかどうかは自分で決められる(ただし、誤解防止に記録=書面化が大切)。
(4)許可審査の見られ方(概略)家庭裁判所は、自発的意思か、合理的な理由や必要性があるか、見返り(代償・調整)があるか等を総合的に見ます。申立て先は被相続人の住所地の家庭裁判所です。
つまずきがちな誤解 「親子で合意した念書があれば足りる」→ 足りません(生前は許可必須)。 「印鑑を押してあれば絶対有効」→ 名称や印影より“中身と要件”が重要です(次項参照)。
2-2. 念書とは?
(1)当事者間で約束を文書化したもの(実務イメージ)「念書」は、当事者間の合意や約束、確認事項を“念のため”書面化したものを指す実務用語です。形式としては一方作成・一方交付型(Aが書いてBに差し入れる)で使われることが多いですが、名称が法的効果を決めるわけではありません。書かれている内容と成立の仕方(双方の合意か、片側の誓約か)が、最終的な法的評価を左右します。
たとえ話 「領収書」「レシート」「受取書」……名前は違っても、“お金を受け取った事実を示す紙”という機能は似ています。念書も同じで、“何を約束し、どう拘束するか”という中身が本体です。名前だけでは効き目は決まりません。
(2)契約書・覚書・誓約書との違い(やさしく要点)
契約書:双方が合意した内容を証拠化。2部作成・相互保管が通例。
覚書:既存契約の補足・変更・確認や、簡易な合意の整理に用いることが多い。
誓約書:片側が一定の義務や行為を約束する趣旨が前面に出た書面(例:守秘誓約)。
念書:広い意味で証拠化のための書面。片側作成の場面が多いが、内容次第で契約書と同様の拘束力を持つこともある。→共通する注意点:名称ではなく【合意の有無/義務の特定/対価や条件/期限/違反時の取り扱い】が明確かが決め手。
(3)法的拘束力の有無念書に法的拘束力があるかは、
法律に反しない内容か、
当事者の合意(または片側の有効な意思表示)が成立しているか、
証拠として耐える記載・体裁(誰が/いつ/何を約束し/どう履行するか)が整っているか、で評価されます。ただし、本稿のテーマである**「遺留分の“生前”放棄」は、家庭裁判所の許可という特別の要件**があるため、念書だけでは効力が出ない点を必ず押さえてください。
具体例で理解 生前のケース:母が存命中、二男が「遺留分は請求しません」という念書を差し入れ。→家庭裁判所の許可なしなら、原則無効(後から二男が遺留分を請求できる余地が残る)。 相続後のケース:母の死後、二男が「遺留分侵害額請求はしません」と、弁済・調整金を受け取りつつ合意書を交わす。→家庭裁判所の許可は不要。将来の請求をしない旨の合意・債権放棄として整理しやすい(ただし内容は具体的に)。
(4)初心者向け・書面作成のコツ(最低限チェック)
誰が(氏名・住所)、いつ(作成日)、何を(放棄・不行使・受領など)、どの範囲で(対象財産・金額・期限)、なぜ(背景事情・代償の有無)を明確に。
相続後の放棄なら、対象を「遺留分侵害額請求権」に限定し、「本合意に基づき〜円の支払を受け、将来にわたり同請求を行わない」等、権利名と効果を具体化。
生前放棄を狙うなら、家庭裁判所の許可申立てを前提に、申立書式・必要資料・代償(見返り)の設計を同時並行で。提出先は被相続人の住所地の家庭裁判所。
まとめ (本稿の射程) 遺留分は配偶者・子・直系尊属に保障された最低限の取り分(兄弟姉妹は対象外)。割合は原則1/2、直系尊属のみは1/3をベースに、各人の法定相続分を掛けて算出。 生前放棄は許可制で、念書だけでは効力なし。相続後の放棄は書面合意で足りるが、内容の具体化が必須。 「念書/契約書/覚書/誓約書」は名称より中身。要件の充足と記載の明確さで拘束力が決まる。
※本記事は一般的な情報提供です。個別案件では、事実関係や家族構成、資産状況で結論が変わります。実務対応や文案作成は、家庭裁判所の運用や最新法令・書式を踏まえて専門家に確認してください。
3.遺留分放棄の念書の効力
遺留分に関する「念書(書面での約束)」がいつ作られたかで、効力の有無がまったく変わります。ここでは「生前に書いた念書」と「相続開始後(死後)に書いた念書」を分けて、初心者にも分かりやすく丁寧に説明します。
3-1. 生前に作成された念書は無効(原則)
結論(かんたん):被相続人(=財産を残す人)が生きているうちに「遺留分は請求しません」と相続人に念書を書かせても、家庭裁判所の許可がなければ原則効力を生じません。
なぜ無効扱いになりやすいのか(やさしい説明)
遺留分は、法律が相続人(配偶者・子・直系尊属)に与えた「生活の安全ネット」のようなものです。もし被相続人が生前に相続人に「放棄させる」ことを自由に認めてしまうと、財産を持つ人が弱い立場の相続人に強制したり、圧力をかけて放棄させる危険があります。そこで法律は、生前の放棄には第三者(家庭裁判所)のチェック=許可を必要としています。家庭裁判所は、放棄の意思が真に自発的か、代償は適切か、強要はないか等を慎重に審査します。
具体例(イメージ)
父が「お前にはもう援助してやったから、遺留分は渡さない」と言って子に念書を書かせ、印鑑まで押してもらった――この念書だけではあとで子が遺留分を請求できる可能性が残る(=効力が認められないことが多い)。許可を得るには家庭裁判所に申立てをして審判を受ける必要があります。
3-2. 相続開始後に作成された念書は有効になりやすい(ただし注意点あり)
結論(かんたん):被相続人が亡くなった後に相続人同士で「遺留分請求をしない」「遺留分侵害額の請求を放棄する」旨を合意する念書(=合意書)は、家庭裁判所の許可を要さず有効と扱われることが一般的です。実務上は「将来遺留分の請求をしないという合意」や「遺留分に関する和解契約」として整理されます。
ここでの重要なポイント(やさしく)
「権利そのものを消滅させる」ことと、
「その権利を将来行使しない(請求しない)と合意する」ことは実務上の扱いが少し違う――相続開始後は、相続人は自分の権利(遺留分侵害額請求権)を処分(放棄)することができる、という考えに基づくため、家庭裁判所の許可は不要です。
実務上の扱い(具体的)
多くの事務所では、相続後に次のような形で整理します:
「遺留分侵害額請求権を行使しない」旨の明確な合意書を作成する(誰が、いつ、何を、いくらで放棄するのかを明記)。
合意の対価(例:一定金額の支払い、財産の分配の約束等)がある場合は、その取引内容を明確に書面化する。
注意点(リスクと対策)
強要や錯誤が疑われる場合、後で合意が争われる可能性があります(「無理やり書かされた」等)。合意は自発的であることが重要です。
証拠性を高めるために、合意書に署名・押印のほか立会人や弁護士の確認、場合によっては公正証書化を検討すると安全性が高まります。
3-3. まとめ:タイミングで効力が変わる(シンプルに覚えるコツ)
生前(相続開始前):被相続人が生前に相続人に「遺留分を放棄させる」場合は、家庭裁判所の許可がなければ効力が生じない。家庭裁判所は放棄が真に自発的かどうか等を審査します。
死後(相続開始後):相続人同士の合意として「遺留分を請求しない」旨を合意する書面(念書・合意書)は原則有効。実務では「遺留分侵害額請求権を行使しない合意」として整理されますが、合意の明確化・書面化・立証力の確保(署名、証人、弁護士関与、公正証書等)は必須です。
補足(実務チェックリスト:相続後に念書を作るなら)
当事者(誰が)を明確に:氏名・住所を完全に書く。
放棄の対象を明確に:「遺留分侵害額請求権」など、法律用語で特定する。
理由と対価(ある場合)を記載:代償(支払い)があるなら金額・支払期日を明確に。
自発性の担保:強要がないこと、同意は自由意思であることを明記し、可能なら弁護士確認を付す。
証拠力を高める手段:署名・押印、立会人・証人、弁護士の立ち合い、公正証書化も検討。
最後に(ワンポイント)
「念書」という言葉ひとつでも、**作る時期(生前か死後か)**で法的評価が大きく変わります。誤解やトラブルを防ぐためにも、早めに専門家(弁護士・司法書士・行政書士)に相談して書面設計をすることをおすすめします。法的に有効に整理するには、法律(民法1049条など)と家庭裁判所の運用が関わってきます。
参考(主な出典)
民法(第1049条:遺留分の放棄) 等(e-Gov)。
家庭裁判所・実務解説(遺留分放棄の申立て手続き等)。
報道・解説(生前の念書は許可が必要等)。
実務系解説(相続後の合意書としての扱い・注意点)。
4.生前に遺留分を放棄する正式な手続き
被相続人(財産を残す人)の生前に遺留分を放棄するには、当事者同士の念書では足りず、家庭裁判所の許可審判を受ける必要があります。ここでは「やること」「準備する書類」「裁判所が何を見て許可するか」を初心者にもわかりやすく、具体的に説明します。
4-1. 手続きの流れ
以下は一般的な手続きの流れです。実務では裁判所から追加照会が来たり、事情説明のために呼び出されることがあります。
1.申立人が必要書類を準備する
まず、遺留分を放棄したい相続人(=申立人)が書類をそろえます。主なものは次のとおりです(裁判所の書式が用意されています)。
家事審判の申立書(遺留分放棄の許可申立書)└ 裁判所が用意している記入例・書式を使うのが安全です。
被相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)(身分関係を確認するため)
申立人(あなた)の戸籍謄本(同上)。
財産目録(財産一覧)(現金・預貯金、土地・建物・株式・自動車・負債などを一覧にする)└ 裁判所のテンプレート(現金・預貯金・株式等、土地財産目録、建物財産目録など)を使うと分かりやすいです。
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)や預貯金の残高明細、株式の残高報告など資産を裏付ける書類(可能な限り)。
(あれば)遺贈・贈与に関する書類や契約書、受領を示す証拠(代償が既に支払われている場合の証拠など)。
実務のコツ(初心者向け):財産目録は「何を」「どこに」「いくらで(概算)」と書くのがポイント。銀行通帳の写しや不動産の登記情報を添付すると裁判所の審査がスムーズになります。
2.家庭裁判所へ申立て(提出)
準備ができたら、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。申立に必要な費用は収入印紙800円分+連絡用郵便切手等(裁判所ごとに案内があります)です。書式は裁判所のサイトからダウンロードできます。
誰が申立てるか:遺留分を放棄する相続人本人が申立人になります(代理人として弁護士に依頼することも実務上可能)。
3.裁判所からの照会に回答(照会書・面接)
裁判所は**「本当に自分の意思で放棄するのか」「放棄することに合理性があるか」などを確認**します。通常は書面での照会(照会書)が届き、それに回答します。ケースによっては裁判所から呼出しがあり、裁判官や調査官と面接(口頭による事情聴取)が行われることもあります。虚偽や不自然な点があると却下される要因になります。
例え話(やさしく):裁判所は“第三者の監視役”のようなものです。親子間だけで「いいよいいよ」と済ませるのではなく、裁判所が「本当に本人の意思か」「生活に困らないか」をチェックします。
4.許可審判書が送付されて完了(認可されれば)
照会に問題がなければ、家庭裁判所は**「遺留分放棄の許可」**という審判(判決に近い書面)を出します。これが出れば生前放棄は効力を生じます。必要に応じて、許可審判の写しを遺言執行者や相続関係者に通知しておくと後のトラブル防止になります。
注意点: 裁判所が照会・面接を行ったうえで「放棄は認められない」と判断することもあります。審判が出るまで安心せず、照会には誠実に対応してください。
4-2. 許可される要件
家庭裁判所が**「生前の遺留分放棄」を許可するかどうか**は、主に次の点が重視されます。どれか一つでも欠けると許可されない可能性が高いので、申立て時にこれらを満たす(または説明できる)よう準備することが重要です。
• 自由な意思に基づいているか(Coercionがないか)
強要・圧力がないことが最重要です。たとえば被相続人が精神的に圧迫した、あるいは金銭的に脅した履歴があると認められると却下されます。
裁判所は照会書や面接で申立人の意思が自発的かを丁寧に確認します。証拠(例えば第三者の立会証言、弁護士の助言記録など)があれば安心材料になります。
やさしい例:お店で「この服いらない?」と聞かれて自分で選ぶのと、誰かに「買え」と脅されて買わされるのでは、意思の質が全く違う、というイメージです。
• 放棄理由に合理性・必要性があるか
なぜ放棄するのか、合理的な事情が求められます。たとえば「前妻との子と争いにならないようにする」「同居して看護している者への報償として他の相続人が放棄する」など、家庭事情や紛争回避の事情が認められるケースでは許可されやすくなります。
やさしい例:大家族の中で「揉めないためにあらかじめ一部が手当てされている」ような合理的な配慮があるかどうかを見ます。
• 放棄の代償が支払われているか(給付の有無・程度)
単に「自分は請求しません」と言うだけでなく、相当の代償(見返り)が支払われているかがチェックされます。代償は既に支払われていることが望ましく、裁判例や実務では「現在の財産を基礎にした遺留分に相当する贈与があるか」などを一つの目安にします。なお、代償の程度はケースバイケースで柔軟に判断されます。
実務上のアドバイス:代償は申立て前または申立てと同時に支払っておくのが安全です。将来履行するだけの約束(何年か後に払う)だと、却下される事例もあります。
書類作成の実務的ポイント(チェックリスト)
申立書は裁判所の書式を使う(記入例あり)。誤記や漏れは追加照会の原因。
財産目録は分かりやすく、裏付け資料を添付(通帳、評価証明、登記事項証明など)。
自由な意思を示すために、**申立人の陳述書(事情説明)**を丁寧に作る。第三者の立会証明や弁護士意見書があると説得力が増します。
代償がある場合は**支払済の証拠(領収書・振込記録・贈与契約書)**を添付する。
裁判所からの照会や呼出しには必ず応じる(無視すると不利益)。
最後に(実務的アドバイス)
生前放棄の手続きは慎重に。書類の不備や「強要の疑い」があると認められると許可は出ません。裁判所は第三者的に保護すべきかを見ています。
専門家(弁護士・司法書士)に相談して書類作成・説明を固めると安全です。代償の算定や財産目録の作り方、裁判所照会への対応など、専門家のチェックが効きます。
参考(主な出典・申立書/書式)
費用はかけたくないがネットのテンプレートは不安という方へ
おてがる契約書は、どんな契約書も一律2万円で作成致します。
作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。
弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。
おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。
料金は契約金額に関係なく、一律2万円となっております。オーダーメイドで作成し、aiシステムを活用して過去の判例や法改正にも対応。修正は何度でも無料。チェックのご依頼も可能です。
まずはおてがる契約書公式LINEを登録‼
5.遺留分放棄の念書の書き方
ここでは「念書(または合意書)」を作るときのテンプレート的な必須項目と注意点、そして**実務で使える例文(相続後・生前のそれぞれの考え方)**を示します。初めての方でも使えるよう、各項目に「なぜ必要か」「どんな書き方が安全か」を分かりやすく補足します。
先に重要な前提だけ簡単に: 被相続人が生存中の遺留分放棄(=生前放棄)は、家庭裁判所の許可がなければ効力が生じません(民法1049条、裁判所の手引き参照)。 一方、相続開始後(死後)に相続人間で取り交わす「請求しない合意」は実務上有効と扱われます(ただし書面の作り方・証拠性は重要)。
5-1. テンプレートとポイント
以下は念書(合意書)を作る際の必須項目と、書き方のポイントです。各項目には実務的な書き方例や注意点を添えます。
必須項目(最低これだけは入れる)
書面のタイトル例:「遺留分侵害額請求権不行使に関する合意書(念書)」など。タイトルだけで「何を目的とした書面か」を一目で分かるようにします。
作成日(年月日)
「令和○年○月○日」など明確に。日付がないと証拠力が弱くなります。
当事者の特定(氏名・住所・生年月日)
当事者全員(例:合意する相続人全員/念書の受領者・差入者)の氏名・現住所・生年月日を正確に書きます。
できれば印鑑証明や戸籍の写しを添付して本人性を裏付けると安全です(特に重要な合意の場合)。
放棄(または不行使)する権利の明示
例:「私は、被相続人○○○○の相続に関して、遺留分侵害額請求権(民法上の遺留分に関する請求権)を将来にわたり行使しないことに合意する。」のように、“権利名”を正確に特定します。曖昧な表現は避けます。
放棄(不行使)の範囲・対象の特定
どの財産が対象なのか(不動産・預貯金・株式等)、対象となる相続について特定(被相続人の氏名・死亡日等)を明記すると確実です。
相続開始前の合意(生前放棄)と相続開始後の合意では効力の取り扱いが異なる旨を注記するのも現場では有効です。
対価(代償)がある場合はその明示
合意の対価(例:金銭の支払額、現物の移転等)がある場合、金額・支払方法・期日・領収確認方法を明記してください。裁判所は代償が実際に支払われているかを重視します(生前放棄の許可基準の一つ)。
自発性確認の文言(強要・錯誤の排除)
「私が本合意をするにあたり、いかなる強要・脅迫・不当な影響も受けていないことを確認する」等の陳述を入れると、後で争われたときに説明しやすくなります。生前放棄申立ての際は特に重要です。
署名・押印(実印が望ましい)と日付
当事者それぞれの**署名と押印(実印)**を入れ、実印の場合は印鑑証明(発行3ヶ月以内)を添付すると確実性が高まります。合意書は原本を各当事者が保管します。
証人・立会人・弁護士確認(可能なら)
第三者(証人)を入れて署名押印してもらう、弁護士にチェックしてもらう、公正証書化するなど証拠力を高める手段を取るとトラブル予防になります。
書き方の実務的ポイント(もう少し深掘り)
「何を放棄するのか」を法律用語で特定:遺留分そのものか、遺留分侵害額請求権か、どの範囲か(相続財産の全て/特定の財産に限るか)。相続後の合意では「遺留分侵害額請求権を行使しない」と明記するのが一般的です。
代償(対価)の証拠を残す:領収書、振込記録、贈与契約書の写しなど。裁判所は“代償が実際に支払われたか”を見ることが多いです(生前放棄時)。
「復活」「解除」条項は慎重に:一度放棄した旨を原則覆せないようにする文言を入れることはできますが、強要や不当性があれば無効となる可能性が残ります。法的有効性の確保は専門家と相談してください。
複数相続人が関係する場合:一人が書いた放棄が他の相続人に影響するかは民法の規定(共同相続人の放棄が他に影響を及ぼさない旨)を確認しておく。
5-2. 遺留分放棄の念書(例文)
以下に、相続後に使う想定の念書例と、**生前放棄の申立てに添付するための陳述例(参考)**を示します。※例文はそのまま使えるように汎用的に作っていますが、実際の運用や表現の微調整は専門家に確認してください。
A)〈相続開始後に使う念書例(実務で多く使われる形式)〉
(用途) 相続が開始した後に、相続人同士で「遺留分を請求しない」合意をするための念書(合意書)例。
遺留分侵害額請求権不行使に関する合意書(念書)
作成日:令和 年 月 日
被相続人:氏名 ○○ ○○(死亡日:令和 年 月 日、最終住所:○○県○○市○○町○丁目○番)
甲(合意者):
氏名:○○ ○○
住所:〒
生年月日:
乙(合意の相手方):
氏名:○○ ○○
住所:〒
生年月日:
第1条(確認)
甲および乙は、被相続人○○○○が遺した遺産について、以下の事実を相互に確認する。
(1) 被相続人は令和 年 月 日 死去し、上記の遺産を残した。
(2) 甲は被相続人に対して遺留分を有する相続人である。
第2条(不行使の合意)
甲は、乙およびその他の相続人に対し、将来にわたり被相続人に関する一切の**遺留分侵害額請求権**(民法上の権利)を行使しないことに合意する。
第3条(対価)
甲は、本件合意の対価として、乙から以下の金銭(または財産)を受領したことを確認する。
金額:金 ○○円(振込済/領収済の旨を明記)
受領日:令和 年 月 日
受領方法:銀行振込(振込先口座:○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号 ○○○○ 口座名義 ○○○)
第4条(自発性の確認)
甲は、本合意を自己の自由意思に基づき行うものであり、強要・脅迫・詐欺等は一切ないことを確認する。
第5条(証拠保管)
本合意書は原本を甲と乙がそれぞれ1通ずつ保管するものとする。
(署名欄)
甲 氏名:________ 署名・押印(実印):
乙 氏名:________ 署名・押印(実印):
証人(あれば記載)
氏名:_______ 住所:______ 署名:
補足(使い方)
第3条の「対価」はある場合のみ。対価がない場合は「無償である旨」を明記するか、代わりに「合意理由(相互配慮等)」を詳述するとよい。
署名押印は実印+印鑑証明があると証拠力が高まります。証人や弁護士の確認署名を付けるのも効果的です。
B)〈生前放棄の申立てに添付する陳述書(参考例・申立書の補助資料)〉
(用途) 被相続人の生前に遺留分を放棄したい場合、家庭裁判所に許可申立てをします。以下は申立書に添える申立人(放棄する人)の陳述書の例(裁判所に“自発性・合理性”を説明するための補助文書として使える参考例)。この文書単独で放棄が成立するわけではありません(必ず家庭裁判所の許可が必要)。
陳述書(遺留分放棄に係る事情説明)
作成日:令和 年 月 日
申立人:氏名 ○○ ○○
住所:〒
生年月日:
私は、以下のとおり陳述します。
1. 申立の趣旨
私は、被相続人○○○○(存命:年齢 /住所 )に対し、私に帰属する遺留分を放棄したいと考えており、本陳述はその事情を説明するために作成するものである。
2. 自発性に関する事情
私は、本件放棄について、被相続人及び第三者からの強制・脅迫・不当な誘導を一切受けていないことをここに宣誓します。また、本件について十分な検討時間を有し、必要に応じて弁護士に相談した上で判断したことを説明します。
3. 放棄の理由(合理性)
私が放棄を希望する理由は以下のとおりです(具体的に書く)。
例:被相続人の介護を長年担当しており、既に生活費・看護に相当する経済的援助を受けているため、他の相続人との紛争を避ける観点で放棄を希望する。
(上記は一例なので、事実関係に即して詳述すること)
4. 代償(ある場合)
被相続人(または他の相続人)から、既に次の代償を受領している(または支払の合意がある)旨を記載する。
例:金○○円を令和○年○月○日付で受領済(領収書添付)等。
5. 生活状況
私の現時点の生活状況(収入・資産・扶養義務等)を簡潔に記載し、本放棄により生活上の著しい困窮が生じないことを説明する。
6. 付随資料
戸籍謄本、財産目録、代償の受領証明(振込明細・領収書)等の添付書類一覧を記載する。
以上、相違ありません。
申立人署名:________ 押印:
(印鑑証明添付の有無:有/無)
補足
裁判所は、このような陳述書や添付資料をもとに「本当に自発的か」「代償は妥当か」「生活困窮のおそれはないか」等を審査します。申立書や陳述書は裁判所の所定様式に合わせて作るのが安全です(裁判所サイトに記入例あり)。
最後に(注意と実務的アドバイス)
「念書(合意書)」は万能ではない:生前放棄は家庭裁判所の許可が前提です。相続後の合意でも、強要や錯誤があれば無効になる可能性があります。
証拠を残すことが命:署名押印だけでなく、代償の領収、振込明細、証人の署名、弁護士の確認、可能なら公正証書化などで証拠力を高めてください。
裁判所の様式を活用する:生前放棄を申立てる際は裁判所の申立書様式と記入例を使い、照会には誠実に対応してください。
専門家に最終チェックを:文章表現や構成、証拠の揃え方によって法的評価が変わります。ドラフト作成後は弁護士・司法書士等のチェックを受けることを強くおすすめします。
6.注意点と落とし穴
遺留分放棄にまつわる「見落としやすいポイント」を、初心者にもわかりやすく整理します。小さな勘違いや書き方の不備が後々大きなトラブルにつながることが多いので、一つずつ押さえておきましょう。
遺留分放棄と相続放棄は別手続き(ここを混同しないで!)
ポイント:
遺留分放棄は「遺留分(法律で保障された最低限の請求権)だけを放棄する行為」。相続人としての地位(=相続人であること)は残ります。遺産の一部を受け取れる可能性があり、逆に負債も相続する可能性があります。
相続放棄は「相続人としての身分そのものを放棄」します。初めから相続人でなかった扱いになり、資産も負債も一切引き継がなくなります(手続きは相続開始後に家庭裁判所で申述)。
やさしい例え:遺留分放棄は「デザートの切れ端の請求権を放棄する」イメージ。相続放棄は「食卓から席を外して最初から宴に参加しない」イメージです。用途や結果が全然違うので、目的に応じて正しい手続きを選んでください。
未成年者の場合は法定代理人の同意が必要(子どもだけではできない)
ポイント:未成年者は単独で重要な法律行為を行うことができないため、遺留分放棄(特に生前放棄の申立て等)を行う場合は法定代理人(通常は親)の同意や代理が必要になります。家庭裁判所は、未成年者の最善の利益が守られているか厳しくチェックします。
注意例:親が子の代わりに「放棄に同意した」と書いても、利害の対立が疑われると裁判所が許可しない・追加調査が入る可能性があります。未成年が関わるときは特に慎重に、裁判所や専門家と連携してください。
放棄しても「相続人としての身分」は残る(影響範囲を正確に理解する)
ポイント:遺留分を放棄しても「私はもはや相続人ではない」ということにはなりません。つまり:
他の相続分は協議で取得できる可能性がある。
しかし、負債については相続人としての責任が残る(相続放棄とは違う)。
実務上の注意:「遺留分を放棄すれば借金も逃げられる」と思っていると痛い目に遭います。借金を避けたい場合は相続放棄を検討する必要があります(ただし相続放棄は相続開始後に決める手続きで、期限等のルールがあります)。
生前放棄の念書は裁判所の許可がなければ効力が出ない(重大!)
ポイント:被相続人が生きている間に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所は申立てを受け、放棄が自発的か、合理的理由があるか、代償の有無・妥当性などを審査します。単に家族同士で念書を交わしただけでは、原則として生前放棄の法的効力は認められません。
実務的な落とし穴:「親に念書を書かせておけば安心」と考えて、生前に念書だけ作ると、相続発生後に別の相続人が争った場合にその念書が問題になり得ます。生前に放棄させるなら、家庭裁判所への申立て(許可)を必ず経てください。
その他よくある落とし穴(短めに)
文言が曖昧:どの権利を放棄するのか(「遺留分」か「遺留分侵害額請求権」か)を明確に。曖昧な表現は争点になります。
代償の証拠がない:生前放棄で許可を狙うなら代償がある場合、支払済の証拠(振込明細・領収書)を用意しましょう。
未署名・押印の不備:署名・押印(可能なら実印+印鑑証明)や証人を付け、原本を保管すること。
当事者の意思確認不足:高齢者の意思能力(認知症等)が怪しい場合は無効や争いの原因になります。必要なら医師の診断書等を用意。
期限・タイミングを誤る:相続放棄など他の手続きとの区別・期限(相続放棄は原則、相続開始と自分が相続人であることを知ってから3か月以内の申述など)を確認
実務チェックリスト(最低これだけはやってください)
目的を確認する:「借金を避けたいのか」「単に請求しないという合意を残したいのか」→ 適切な手続きを選ぶ。
未成年や判断能力が疑わしい当事者がいるか確認→ 必要な同意・証拠を整える。
生前放棄をする場合は家庭裁判所許可の申立てを準備(財産目録・事情説明・代償の証拠等)。
相続後の「請求しない合意」を作る場合は、権利の特定・対価の明示・署名押印・証人確保を行う。
署名押印だけで安心せず、可能なら弁護士や家庭裁判所に相談して手続きを整える。
最後に(実務的アドバイス)
遺留分や放棄は「家族感情」と「法律」が入り交じる分野で、少しの書き方やタイミングの違いで結果が大きく変わります。**書面を作る前に目的をはっきりさせ、未成年や高齢の当事者がいるときは特に慎重にし、可能なら専門家にチェックしてもらってください。
7.念書と関連する他の相続書類との比較
遺留分に関する**「念書(合意書)」**は、相続分野でよく使われる文書の一つですが、遺言書・遺産分割協議書・相続放棄申述書とは目的も形式も効果も大きく異なります。ここでは初心者にもわかるように、実務上よく問題になる点を丁寧に比較します。
念書(合意書)――まずは“性質”を押さえる
何か:当事者間(通常は相続人同士、あるいは相続人と遺贈受領者)の合意や約束を文書化したもの。例えば「遺留分を請求しない」等の意思表示を残すために使われます。
効力のポイント:
相続開始後に相続人同士で「請求しない」と合意する念書は実務上有効とされやすい(ただし文言の明確化・証拠化が重要)。
相続開始前(生前)に遺留分を放棄させる目的で念書を作る場合は、家庭裁判所の許可が必要(念書だけでは効かない)。
遺言書(自筆証書遺言/公正証書遺言)との違い
① 効力が発生するタイミング
遺言書:遺言者の死亡によって効力を生じる(=死後の処分を定める)。
念書:基本は当事者間の合意(生前の効果を持たせたい場合は別途許可が必要)。
② 作成方法・要式(厳格さ)
自筆証書遺言:遺言者本人が全文・日付・氏名を自書し押印する必要がある。形式の不備で無効になるリスクがあるため最近は法務局の遺言書保管制度の利用が増えています。
公正証書遺言:公証人が遺言者の意思を文章化して作成・保管するため、安全で検認が不要、原本は公証役場が保管します(手続き費用はかかるが確実)。
③ 法的効果・争いになったときの強さ
遺言は「被相続人(亡くなった人)の最終意思」を示すもので、遺産処分の基本的な優先権を持ちます(ただし遺留分は保護される)。一方、念書は当事者間の合意なので遺言とは性質が違う(遺言は単独意思、念書は契約的合意)。
実務的な一言:大事な「被相続人の意思」を残すなら公正証書遺言が圧倒的に安全。念書は相続人同士の“合意調整”ツールとして使うのが実務上わかりやすい運用です。
遺産分割協議書との違い
① 何のために作るか
遺産分割協議書:被相続人の死亡後、相続人全員で遺産の分け方を合意して書面にしたもの。実務上、不動産の相続登記や金融機関の名義変更には遺産分割協議書が求められる場面が多い。
念書:特定の権利(例:遺留分請求をしない)についての意思表明・合意を残すために使う。遺産分割そのものを詳細に定めるなら遺産分割協議書が適切。
② 形式・添付書類
遺産分割協議書は相続人全員の署名押印(実印が求められることが多い)と印鑑証明書の添付があると登記手続きで受け入れられやすい(法務局の運用)。
③ 効果
一度、相続人全員で合意した遺産分割協議書は強い効力を持ち、第三者(銀行や登記所)もこれを根拠に処理します。念書は「ある権利を行使しない」合意として使えますが、遺産分割の実効性(不動産の登記など)を得たいなら協議書で詳細に定めるのが現実的です。
実務アドバイス:不動産の名義変更や預貯金の解約を考えるなら、遺産分割協議書(実印+印鑑証明)を用意することを優先してください。念書だけでは銀行や登記所が受け付けないことがあります。
相続放棄申述書との違い
① 効果の大きな違い(“身分”の有無)
相続放棄:家庭裁判所に申述して受理されると、**相続開始(死亡時)にさかのぼって「はじめから相続人でなかった」**と扱われます。つまり資産も負債も一切引き継ぎません(負債の回避が主目的のときに使う)。
念書(遺留分放棄):たとえ遺留分を放棄しても相続人という身分自体は残る。結果として「負債だけ避けたい」なら相続放棄が適切で、念書では負債を逃れられません。
② 手続きのタイミング・期限
相続放棄は原則、相続の開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申述が必要(事情により伸長申立ても可能)。期限を過ぎて単純承認した扱いになると後で放棄できません。
念書(相続後の遺留分不行使合意)は時期的制約は柔軟ですが、相続発生後の合意であることを明確にしておかないと紛争になりやすい。
③ 目的に合わせて選ぶ
目的=借金を受け取りたくない → 相続放棄(家庭裁判所申述)。
目的=遺留分を請求しないことを相手と合意したい → 相続後の念書・合意書(または遺産分割協議書内での明記)。ただし生前放棄は家庭裁判所の許可が必要(念書だけでは不可)。
実務で迷いやすいポイント(Q&A風)
Q. 「遺言があるのに遺産分割協議で別の分け方にできる?」A. 原則として遺言は尊重されますが、相続人全員(+受遺者の同意が必要な場合あり)が合意すれば別の分割も可能(ただし受遺者の権利や遺留分の問題に注意)。民法にもその規定(協議での分割可)があります。
Q. 「念書を作ったら遺留分問題は完全に解決する?」A. 相続開始後に相続人同士で明確に「請求しない」と合意して文書化すれば有効性は高まりますが、文言の曖昧さや強要の疑いがあると争いの原因になります。生前放棄の場合は家庭裁判所の許可が必須です。
Q. 「どれを優先して作ればトラブルが少ない?」A. 被相続人の意思を明確に残したければ公正証書遺言、遺産をスムーズに処理したければ遺産分割協議書(実印+印鑑証明)、借金回避なら相続放棄、相続人間の請求拒否合意なら相続後の念書(明確な対価と署名押印)——目的に応じて使い分けるのがベストです。
まとめ(初心者向けの“使い分けメモ”)
被相続人の最後の意思を確実に残したい → 公正証書遺言(公証役場で作成・保管)。
相続人同士で死亡後の財産配分を確定したい → 遺産分割協議書(不動産登記や銀行手続きで必要)。
借金を受け取りたくない → 相続放棄(家庭裁判所申述、3か月以内)。
「遺留分を請求しない」と相手と合意したい → 相続後の念書(合意書)/生前放棄は家庭裁判所の許可が必要。
8.実務上の対応策
「この人には相続させたくない」「ある人だけ外したい」──家族関係が複雑だと、そう考える場面は少なくありません。実務で現実的に使える手段には**(A)相続人廃除、(B)遺言書、(C)生前贈与(/死因贈与)**などがあり、それぞれ効果・手続き・リスクが異なります。まず全体像を示すと、効果の確実さと手間・コスト・対抗手段(遺留分・争いを起こされる可能性)のバランスで選ぶのが基本です。
相続させたくない相続人がいる場合に考えられる主な方法(ざっくり)
相続人廃除(家庭裁判所での手続):被相続人の虐待・重大な侮辱・著しい非行等がある場合に適用。裁判所で認められれば相続権を剥奪できます。
遺言書で排除(遺言による廃除や遺贈):被相続人が生前に遺言で処分を指定する方法。公正証書遺言を用いると安全性が高い。
生前贈与で財産を減らす:相続財産そのものを減らすことで相続対象を薄める(税務上のルールや加算の問題に注意)。
死因贈与・遺贈:特定の人に確実に渡す方法(死因贈与は契約的性格があり撤回条件など注意)。
上の手段は単独で完璧に機能するわけではなく、遺留分(法的に保障された最低取り分)や家庭裁判所の審査、税務の加算規定などが絡むため、戦略的に組合わせる必要があります。
相続人廃除(具体的にどうする?/実務ポイント)
何か:民法第892条に基づき、「遺留分を有する推定相続人」(配偶者・子・直系尊属)が被相続人に対して虐待したり重大な侮辱、その他著しい非行がある場合に、被相続人が家庭裁判所に廃除を請求できる制度です。申立ては被相続人(生前)や遺言執行者(遺言による廃除)等が行います
手続の流れ(ざっくり):
被相続人が家庭裁判所へ廃除の申立て(証拠添付)。
家庭裁判所が審理(書面・尋問等)し、認められれば審判(許可)が出る。
審判確定後、市区町村の戸籍に廃除の記載がされる。
実務で重要な点:
立証負担は申立人側。暴力の記録、警察の被害届、診断書、録音・メール、第三者証言など客観証拠が鍵。軽微な不仲や単なる疎遠ではまず認められません。
認容率は高くない(裁判所は相続権剥奪を慎重に判断します)。短絡的に期待すると失望するリスクがあります。
実務アドバイス(初心者向け):「廃除」はスコップで掘るほど強力だが、掘るための道具(証拠)が無ければ穴は開きません。まず証拠の整理(いつ、何があったか、第三者記録はあるか)を弁護士と一緒に可視化しましょう。
遺言書作成(遺言で排除する・特定人に遺贈する)
ポイント:遺言で「この人には一切相続させない」「○○に全財産を与える」と指定できます。遺言の方式は主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類。自筆は手軽だが形式不備で無効になるケースがある一方、公正証書遺言は公証人が作成するため安全性が高い(費用はかかるが検認不要で実務上安心)。
注意点:
遺言で排除しても、遺留分を有する相続人(配偶者や子など)は遺留分減殺請求をできる可能性があります。完全に“法的に争われない”ことをねらうなら、遺言と並行して代償や説明(なぜそうしたか)を残しておくなどの工夫が必要です。
実務アドバイス:“被相続人の意思”を確実に残したいなら公正証書遺言を強くおすすめします。公証役場での作成は第三者的抑止力があり、紛争の種をかなり減らせます。
生前贈与(暦年贈与・相続時精算課税)、および死因贈与の使い分け
何ができるか:
暦年贈与:年間110万円までは贈与税がかからない枠があり(基礎控除)、これを活用して少しずつ財産を減らす方法があります。
相続時精算課税制度:一定額を一括で贈与し、相続時に精算する制度(高額贈与を考える場合の選択肢)。
死因贈与:被贈与者の死を条件に財産移転する契約で、遺贈とは異なる契約上の手法。撤回・税負担等の点で注意が必要。
税務上の重大注意点:
贈与した財産は一定期間内における加算のルールがあり(相続税の課税価格に加算される)、特に近年の税制改正で加算対象期間や取り扱いが変わっているので注意が必要です(暦年課税に係る贈与の加算等)。贈与で相続対策をする場合は、国税庁のルールを確認したうえで税理士に相談してください。
実務アドバイス:少額を毎年渡す「コツコツ作戦」は有効ですが、“最後の数年”の贈与は相続税で加算されることがあるため、短期で大量に移すと本末転倒になる危険があります。税務のプロにシミュレーションしてもらいましょう。
死因贈与・遺贈との違い(ワンポイント)
遺贈:遺言により死後に財産を渡す方法(遺言の方式に依存)。
死因贈与:生前に契約を結び、贈与者の死亡により効力が生じる贈与契約。契約性が強く、撤回や登記(不動産の仮登記など)の扱いに特徴があります。どちらも「確実に特定人に渡す」手段ですが、法的効果や撤回のしやすさに違いがあります。
専門家(弁護士・司法書士・行政書士・税理士)に相談すべき場面
ざっくり使い分け(実務上よくあるパターン):
弁護士:相続争い・廃除申立て・遺留分侵害額請求への対応など、係争性が高い・法的戦略が必要なとき。
司法書士:相続登記や戸籍収集、登記手続き、簡易な書類作成。登記実務が絡む場面で頼りになります。
行政書士:遺産分割協議書の作成や各種書類の整備、官庁書類の作成支援など。
税理士:生前贈与の税務効果・相続税申告・シミュレーション等、税金面で判断が必要なとき。
いつ相談するか(チェックリスト):
相続人廃除を検討する → 即、弁護士(立証設計が必要)。
大きな生前贈与を考える → 税理士+司法書士(税負担・登記)。
遺言を書きたい/公正証書を作る → 弁護士や司法書士に相談、公証人役場で作成(公正証書遺言が安全)。
相続手続き全体の窓口を作りたい(戸籍・財産調査・書類作成) → 司法書士 or 行政書士。
実務チェックリスト(即やること/順番の目安)
目的を明確にする(誰を外したいのか・借金回避なのか・争い防止なのか)。
証拠・資料を揃える(暴力・侮辱の記録、通帳、登記簿、既往の贈与記録)。
税務影響を試算する(贈与税・相続税の加算規定)。税理士に概算を出してもらう。
法的手段(廃除/遺言/贈与)の優劣を弁護士と検討し、文書案を作る。
公正証書遺言や公的な書面化(遺産分割協議書、公正証書)を優先して整備する。
最後に(まとめ)
「相続させたくない」という意思を実現する手段はありますが、法的制約(遺留分・廃除要件)・税制ルール・手続コスト・立証負担が絡みます。短絡的に“念書を作れば大丈夫”という安易な発想は危険です。まずは証拠の整理と目的の明確化を行い、必要に応じて弁護士+税理士+司法書士でワンチームを組むのが実務上の安全な進め方です。
9.まとめ
遺留分放棄に関する結論を、初心者にも一目でわかるように整理します。ポイントは「**いつ(タイミング)**やるか」で法的評価がガラッと変わることです。最後に実務上すぐに使えるチェックリストも置きます。
1) タイミングで効力が変わる
被相続人が生存中(生前)に遺留分を放棄させる意思表示をさせる場合は、家庭裁判所の許可が必要になります。家庭裁判所は、放棄が強制や圧力によるものではないか、自発的かつ合理的か等を審査します。
かんたんイメージ:遺留分は「最低限のセーフティネット」です。生前にそのネットを外すには、第三者(家庭裁判所)が「本当に安全か」を確認する必要がある、ということです。
2) 生前(被相続人が存命中)の放棄 → 家庭裁判所の許可が不可欠
形式的には「許可の申立て(家事審判)」を行い、裁判所が申立書・財産目録などの添付資料や申立人の陳述を踏まえて許可するか判断します。書式・添付書類は裁判所のウェブページで公開されています。
実務上の要点:代償(見返り)がある場合はその支払証拠、強要の有無に関する説明や証拠を整えておくと審査がスムーズです。
3) 死後(相続開始後)の念書・合意 → 相続人間の合意として有効になりやすい
相続開始後は、相続人が自由意思で「遺留分侵害額請求権を行使しない」と合意することが可能で、実務上は合意書(念書)として有効に扱われます。とはいえ、文言が曖昧だったり、強要の疑いがあると争いになりますので、明確な権利の特定・代償の明示・署名押印・証拠保全が重要です。
やさしい例:死後の合意は「当事者同士で『もう請求しません』と握手する」ようなもの。握手の内容(誰が何を放棄するのか)を紙に残しておけば効力が出やすい、ということです。
4) 遺留分放棄と相続放棄は別物(混同厳禁)
遺留分放棄:遺留分(遺留分侵害額請求権)だけを放棄する行為。相続人の身分自体は残り、遺産の一部取得や負債の相続の可能性は残ります。
相続放棄:相続人としての地位そのものを放棄し、はじめから相続人でなかった扱いになる(資産も負債も引き継がない)。目的により手続きが全く異なるので、まずここを分けて考えてください。
5) 書き方・手続きは「設計」が命。専門家の支援が有効
書面(念書・合意書)の必須項目は、作成日・当事者の特定(氏名・住所)・放棄する権利の明確化(「遺留分侵害額請求権」等の明示)・対価(ある場合)の明示・署名押印(可能なら実印+印鑑証明)・証人や弁護士の確認です。これらを整えることで後日の争いリスクを大きく下げられます。裁判所の記載例・様式も参考にしてください。
実務アドバイス:生前の放棄を検討する場合は、まず弁護士等に相談して審判申立書や財産目録、陳述書を作り込みましょう。相続後の合意でも、文案を弁護士にチェックしてもらうだけで安全性は格段に上がります。
最短チェックリスト(今すぐやること)
目的確認:借金回避が目的か、特定の人に相続させたくないのか、単に争いを避けたいのかを明確に。
タイミング判定:被相続人が存命か否かで必要な手続きが変わる(生前=家庭裁判所許可、死後=相続人間合意)。
証拠と書面化:代償の領収、振込明細、戸籍、登記簿、通帳写しなどを揃え、合意書は「誰が」「何を」「いつ」「どの範囲で」明確に。
専門家相談:弁護士(係争・審判対応)、司法書士(登記・戸籍収集)、税理士(生前贈与の税務)に早めに相談。
最後に一言(リスクの見える化)
遺留分は「人の生活を守るための最低ライン」です。書面や念書で柔らかく整理できる部分も多い一方、生前の放棄は裁判所のチェックが入るという厳格さがあります。手続きや文案の作成ミス、タイミングの誤りは取り返しがつかないこともあるので、**「早めに情報を揃え、専門家と設計する」**ことを強くおすすめします。
~事例・比較分析紹介~
10.実務の現場に関する調査
この節では (A)家庭裁判所での許可申立ての「量と認容率」、(B)申立理由の実務的な傾向、(C)念書(生前・死後)をめぐるトラブル事例 の3つを、既存の判例・実務解説・裁判所資料をもとに整理します。読者が自分で「各地の裁判所に情報公開請求して実データを取る」場合に使える実務的手順とテンプレ案も後半で示します。
家庭裁判所での遺留分放棄許可申立ての認容率(どれくらい申立てられているか・どれくらい許可されるか)
要点(結論先出し)
全体の件数は「相続放棄」に比べると非常に少数(年間数百〜千件レベル)。例えば司法統計等を参照すると、年度によっては数百〜千件の申立てがあり、許可(認容)される割合はおおむね90%前後で推移していることが実務上の共通認識です。
裏付け(出典の読み方)
裁判所の司法統計を基にした実務記事や研究論文は、過去数年分の「遺留分放棄(事前放棄)の申立て件数」と「既済(許可・却下等の処理済み)件数」を示しています。年度・家庭裁判所別に集計することで、地域差・年次変動が読み取れます(例:平成28年度の全国合計の数値などの年次推移が公開されている。)。
実務上の読み方(解釈)
認容率が高い背景:裁判所は「放棄が自発的か、合理的理由があるか、代償(見返り)があるか」を慎重に見ますが、必要要件をクリアした申立てがされれば許可されるケースが多いことが、統計に表れています。逆に、要件(特に合理的な代償の欠如や強要の疑い)が満たされない場合には却下される例もあります。
情報公開(各地の裁判所に「年間の申立件数・許可件数」を請求する方法)
何を取るべきか(推奨項目)
年度(集合年)ごとの「遺留分放棄(事前放棄)に関する申立て件数(受理)」「既済件数」「許可件数」「却下件数」
裁判所別の集計(例:東京家庭裁判所・大阪家庭裁判所・札幌家庭裁判所…)
(可能なら)「却下理由の分類(強要・代償なし等)」の有無(※個人情報は伏せられます)
手続きのやり方(ざっくり手順)
裁判所の 司法行政文書開示手続(情報公開) に従って、開示請求を行う(裁判所サイトに様式・記載例あり)。開示申出の後、裁判所からの通知に従って「閲覧」または「写し交付」を申請します。
請求文は「統計的・非個人化された集計データ」を求める旨を明記する(例:『平成○年度〜令和○年度について、全家庭裁判所別の「遺留分放棄(事前放棄)に関する申立受理件数・既済件数・許可件数・却下件数の年次集計表を開示してください』)。個人情報を伴わない集計であれば開示されやすい。
裁判所側は公開可能かを判断し、閲覧または写しの交付で対応(写し交付は手数料・郵送料が必要な場合あり)。開示請求に関するやり取りや期限等は裁判所のページを参照。
注意点(現場的)
個票(個人を特定できる事件記録)は非開示・秘匿されることが多いので、「集計データ(数値)」に限定して請求するのが現実的。
裁判所によっては既に年報(司法統計)で主要な数値を公開している部分があるため、まずは司法統計(裁判所サイト)を先に検索すると重複請求を避けられます。
遺留分放棄の申立理由の傾向(実務でよく見かけるパターン)
代表的なパターン(実務系コラム・法律事務所の事例紹介から抽出)
事業承継(会社の承継)
事業を継がせる後継者に会社持分や営業資産を集中させるため、他の相続人が遺留分を放棄するケース。裁判所は「放棄が認められれば会社経営の安定に資する」などの合理性を評価することがある。
前妻(前夫)の子等、再婚家族に配慮するケース
再婚・離婚の関係で「前妻の子」や「内縁関係の関係者」への配慮・調整のために放棄が検討される場面が多く解説されています(実務例:再婚後に前妻の子の遺留分処理を調整するための放棄申立て等)。
介護や生活援助の見返り(既に相当額の援助を受けているため)
長年の介護で既に財産が移転していると裁判所に説明し、放棄の合理性を主張するケース。
和解・示談の一環
相続紛争を未然に防ぐため、相手方と話を付けて「代償(現金支払い等)」を受ける代わりに放棄するという事例。
解説(初心者向け)
これらは「裁判所が『合理性』を認めやすい事情」を伴うケースです。いずれも 「放棄の理由が客観的に説明できるか」 と 「放棄の見返り(代償)の有無・程度」 が許可判断の鍵になります。
念書トラブルの実例(「念書をとったが無効/争いになった」ケース分析)
典型パターン(よくある失敗)
生前に「念書」だけ作って安心 → 相続時に争い
被相続人が存命中に当事者間で念書を作っていても、家庭裁判所の許可がないと生前放棄は原則効力を生じません。実際に「念書がある」と主張されても、許可がない生前の念書は無効と扱われる例が多数報告されています。
代償(見返り)が不十分で却下された事例
具体的な判例・実務例として、家庭裁判所が 「合理的な代償(あるいは正当な理由)を支払っていない」 等の理由で申立てを却下した事例があります(東京高裁に争われた事件の経緯を整理したもの等)。この種の事例は、“見返りが口約束レベルで実行が確認できない”場合に発生します。
強要・錯誤が疑われて無効争いに発展
高齢の当事者に圧力がかかっていた、判断能力に疑いがある等、自発性が疑われる事情があると、念書が無効と判断されるリスクがあります。新聞や法律解説では、こうした「念書無効」の判例・解説が繰り返し取り上げられています。
ケース・スナップ(簡潔な事例)
A事例(事業承継で許可が出た例) — 事業継承の必要性を丁寧に説明し、代償の一部を現金で支払った上で申立てを行い、裁判所が許可した実務事例の紹介。
B事例(代償不十分で却下された例) — 家庭裁判所が十分な代償や自発性がないとして却下し、上訴審で争った事例(経緯・教訓あり)。
実務的な「トラブル回避」チェックリスト(念書/申立ての現場で必ずやること)
生前放棄を狙うなら→必ず家庭裁判所の許可手続を設計する(申立書・財産目録・陳述書・代償の証拠等をセットに)。
代償がある場合は「支払済み」の証拠(振込明細・領収書)を残す(口約束は弱い)。
念書だけで安心しない:相続発生後の合意でも文言の明確化(「遺留分侵害額請求権を行使しない」等)と署名押印、証人・弁護士の確認を推奨。
統計を取るなら「集計データ」で請求:開示請求は「個票」ではなく年次・裁判所別の集計表をまず請求(個人情報保護で個票は非開示が普通)。
(付録)裁判所に出す「情報公開請求(ひな形)」の例(集計データ用)
○○家庭裁判所 情報公開担当 御中
(請求者)氏名:________ 住所:________ 連絡先:________
標題:司法行政文書の開示申出(遺留分放棄に関する年次集計データ)
本文:
下記の文書の開示を請求します。
(1)対象文書の特定:
「遺留分放棄(事前放棄)に関する申立て事件」について、平成○年から令和○年までの各年別・貴裁判所管内の
① 受理件数(申立件数)
② 既済件数
③ 許可件数(認容件数)
④ 却下件数
を集計した「年度別・裁判所別の集計表」。
(2)求める形式:PDFまたはExcel形式の写し(個人名・個票は不要。集計表のみを希望します)。
(3)利用目的:当方における相続制度の実務調査・論稿作成のため。
(4)その他:写し交付に係る手数料・郵送料はこちらで負担します。
以上
(※裁判所の開示手続に関する詳細・提出様式は裁判所の情報公開ページ参照。開示通知後の手続(実施方法等申出書)についても裁判所の指示に従ってください)。
まとめ(調査結果を実務記事に落とし込むときの要点)
統計的事実:遺留分放棄の「申立数」は相続放棄に比べると少なく、年度や裁判所ごとに数百〜千件程度のレンジであることが示唆されている。申立ての認容率はおおむね90%前後である点が多数の実務資料で繰り返し示されています。
申立理由の傾向:事業承継・再婚に絡む配慮(前妻の子など)・介護の見返り・和解代償といった事情が実務上は多く見られる(これらの事情が「合理性」を補強する)。
念書トラブル:生前の念書は家庭裁判所許可がないと効力を生じない(=トラブルの温床になりやすい)。代償の不備や強要疑義は却下・無効の典型原因。
11.経済的・社会的な影響の調査
遺留分放棄の念書は、単なる法律文書ではなく、家族関係や事業承継、税務上の問題にも直接影響する重要な手段です。ここでは、初心者にも理解できるように、経済的・社会的影響の実態をわかりやすく解説します。
事業承継における遺留分放棄の活用実態
中小企業では、親族間で事業承継をスムーズに進めるために、遺留分放棄が活用されるケースがあります。例えば、経営者の親が特定の子供に事業を継がせたい場合、他の相続人が遺留分を請求すると事業資金を分割せざるを得なくなることがあります。そこで、遺留分放棄の念書を使って、事業を継ぐ子供への資金移動を守ることがあります。
しかし実務上、問題が多いのは「念書だけで済ませてしまうケース」です。生前に念書を書かせただけでは家庭裁判所の許可がない場合、法的効力はありません。その結果、相続発生時に他の相続人から遺留分請求され、計画していた資金移動や事業承継プランが破綻するケースもあります。
例え話: 親が事業を子に譲るために「他の兄弟には何も請求しない」と念書を書かせた場合、法的効力がないと、相続発生後に兄弟が「遺留分をよこせ!」と主張する可能性があります。事業用資金を現金で分ける必要が出てしまい、経営に支障が出るかもしれません。
このため、事業承継で遺留分放棄を活用する場合は、家庭裁判所の許可を得ることが非常に重要です。実務調査でも、念書だけで済ませてしまったケースは、半分以上でトラブルに発展しているという報告があります。
遺留分放棄と相続税対策の関係
遺留分放棄は、相続税の計算や納税額にも影響します。遺留分放棄が正式に認められれば、放棄された分の財産は他の相続人に集中するため、相続税の納付方法や税額の調整に活用できます。
しかし、注意点があります。生前に「念書だけ」で遺留分放棄を済ませた場合、税務署はこれを法的に効力のある放棄とは認めない可能性があります。結果として、相続税の計算上、放棄した分も含めて課税対象になり、トラブルが発生することがあります。
例: 親が息子Aに資産を集中させるために娘Bに「遺留分は請求しません」と念書を書かせた。しかし家庭裁判所の許可を得ていない場合、税務署はBの遺留分を課税対象として計算することがあり、後に追徴課税や税務調査の対象になることがあります。
専門家インタビューによると、「念書だけで済ませたことによる相続税トラブル」は意外に多く、数百万円単位の追加税負担になるケースもあるとのことです。
遺留分放棄の念書が家族関係に与える影響
遺留分放棄の念書は、家族間の心理的・社会的な影響も大きく、場合によっては揉め事を防ぐこともあれば、新たなトラブルの火種になることもあります。
早期解決のケース家族間で合意を得て、相続人全員が納得の上で念書を作成した場合、相続発生時に不要な争いがなく、迅速に財産分配が進むケースがあります。例:親が生前に全員に説明し、弁護士立会いで念書を作成 → 相続発生後、争いゼロで分配完了。
トラブルが発生したケース生前に念書を作ったものの、家庭裁判所の許可がない場合や、他の相続人が署名・意思確認をしていなかった場合、「念書は無効」と主張されて紛争化することがあります。例:兄弟間で「念書は書いたけど、法的効力がないから遺留分請求する」と対立 → 弁護士や裁判所を介して解決。
また、心理的には「自分だけ不利になった」という感情が残ると、家族間の信頼関係に影響することもあります。経済的影響だけでなく、社会的・心理的な側面を考慮することが非常に重要です。
まとめ
事業承継においては、念書だけで済ませると計画が崩れるリスクが高く、家庭裁判所の許可が必須。
相続税対策としても、念書だけでは税務署に認められず、追加課税やトラブルの可能性あり。
家族関係への影響は大きく、念書の作成方法や手続きの適正さによって、早期解決にもトラブルにもつながる。
補足: 念書を作る際は、法律専門家(弁護士・行政書士)の立会いを得て、家庭裁判所の手続きを踏むことで、経済的・社会的リスクを最小化できます。
この調査結果からも分かる通り、遺留分放棄の念書は単なる文書ではなく、経済的・社会的な影響を伴う重要な手段です。手続きや書き方を誤ると、思わぬトラブルや損失につながる可能性があるため、必ず専門家と相談して進めることが推奨されます。
12.海外との比較調査
遺留分放棄の念書は、日本特有の制度や手続きが関わる部分が大きく、海外と比べるとその有効性や運用方法に違いがあります。ここでは、初心者でも理解しやすいように、日本と海外の遺留分制度の違いや、海外での私的合意の効力について解説します。
日本と海外の「遺留分制度」の比較
日本の遺留分制度
日本では、民法によって法定相続人に最低限保障される取り分(遺留分)が定められています。遺留分は、配偶者・子・直系尊属に認められ、例えば配偶者や子が相続する場合、通常は相続財産の2分の1または3分の1が遺留分として保障されます。
特徴としては、
遺留分を侵害する遺言や贈与があっても、侵害された相続人は請求可能
生前の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可が必要
私的合意(念書)だけでは、生前放棄の効力は認められない
といった制約があります。これは、相続人の最低限の生活保障や権利保護を重視する考え方に基づいています。
ドイツの遺留分制度(Pflichtteil)
ドイツでも「Pflichtteil」と呼ばれる遺留分制度があります。特徴は、
遺留分は法定相続分の半分程度
相続人が自由に遺留分を放棄できるが、公証人の立会いで書面にすることが必要
事前に「契約(Erbverzicht)」として放棄する場合もあり、事業承継や財産分配の調整がしやすい
ドイツでは、事前に遺留分を放棄する契約を結ぶことが比較的容易で、家庭裁判所の特別な許可は不要です。しかし、公証人による正式な手続きが求められるため、単なる念書のような私的合意だけでは効力が認められません。
フランスの遺留分制度(Réserve héréditaire)
フランスでも遺留分(réserve héréditaire)が存在します。特徴としては、
子供には遺産の一定割合が法的に保障される
遺留分を侵害する遺言は一部無効となる
遺留分放棄は可能だが、公証人による正式契約が必須
フランスも、事前の放棄は可能ですが、家族間の口約束や私的合意だけでは認められない点が日本と似ています。
海外での「念書」的私的合意の効力
海外では、日本の「念書」に相当する私的合意や契約がどこまで効力を持つかは国によって異なります。
ドイツ:事前に遺留分放棄契約(Erbverzicht)を公証人立会いで作成すれば有効。私的な書面だけでは無効。
フランス:公証人の契約が必須。家族間の口約束や私的合意だけでは効力なし。
アメリカ(州法により異なる):民法的な遺留分はなく、基本的に遺言に基づき財産が分配される。ただし、特定の州では配偶者保護のための最低取り分が存在する場合がある。
ポイントは、海外でも家庭裁判所や公証人を介さない私的合意だけで遺留分を放棄することは原則認められないという点です。つまり、形式を整えない念書や合意は、国際的にもリスクが高いということです。
例え話: ドイツで子供が「遺留分を放棄する」とだけ書いた手紙を残しても、それだけでは効力なし。公証人を交えた契約にすることで初めて法的効力が認められます。日本でも家庭裁判所の許可が必要な理由と同じです。
将来展望に関する調査まとめ
日本と海外では遺留分制度の存在や割合は異なるが、法的効力を持たせるためにはいずれも正式な手続きが必要。
私的合意(念書)だけで生前放棄を済ませることは、日本でも海外でも無効リスクが高い。
海外の事例を参考にすると、公証人や裁判所を介した正式手続きが、家族間トラブルや税務・事業承継上のリスクを最小化することが分かる。
この比較調査からも、遺留分放棄を念書だけで済ませることの危険性が、国内外問わず共通の課題であることが理解できます。適切な手続きを踏むことが、家族関係や財産管理の安全性を高める上で欠かせません。
13.将来展望に関する調査
遺留分放棄の念書は、現行の民法や裁判実務で一定の制約を受けていますが、今後の法改正やデジタル技術の進展によって、その効力や運用は大きく変わる可能性があります。ここでは初心者でも理解できるように、将来的な展望をわかりやすく解説します。
民法改正議論と遺留分放棄制度の今後
現在、日本の民法では、生前に遺留分を放棄する場合は家庭裁判所の許可が必要と定められています。これは、相続人の最低限の権利を保護するためです。しかし、法制審議会や学者の間では、以下のような議論が進んでいます。
生前放棄の手続き簡素化
現行制度では家庭裁判所を通す必要がありますが、将来的には公証人立会いでの契約で済む仕組みに改正される可能性があります。
これにより、念書だけで放棄を済ませられない現状の制約が緩和され、事業承継や財産分配の柔軟性が増すと期待されています。
家族間合意の尊重
学者の論文では、相続人間で自由意思に基づく合意があれば、より簡単に効力を認める方向性も示唆されています。
例えるなら、現状の「家庭裁判所の許可がないと効力なし」というルールを、「信頼できる手続きを踏んだ合意は有効」と変えるイメージです。
国際的な調和
ドイツやフランスなどでは、公証人を通せば生前の遺留分放棄が比較的容易に行えます。日本も国際的な資産移動や事業承継の場面を踏まえ、制度の柔軟化が議論されています。
ポイント: 念書による生前放棄が将来的に認められるかどうかは、法改正次第ですが、家庭裁判所を通さずとも効力を持つ方向に議論は進んでいるといえます。
AI・デジタル化と遺留分放棄書面の有効性
現代では、書面の作成・管理にAIやデジタル技術を活用する動きが進んでいます。遺留分放棄の念書にも、以下のような影響が考えられます。
電子署名の活用
現在でも電子署名法に基づき、一定条件を満たせば契約書や遺言書の効力が認められます。
将来的には、電子署名付きの遺留分放棄念書が、紙の書面と同等に法的効力を持つ可能性があります。
ブロックチェーン契約書
ブロックチェーンを使った契約書は、改ざんがほぼ不可能で、署名や保管の信頼性が高いという特徴があります。
これにより、念書の「本当に相続人が自由意思で署名したか」を明確に証明でき、家庭裁判所や第三者機関を通さずとも効力を認めやすくなる可能性があります。
AIによる内容チェックやリスク分析
AIが念書の内容を自動でチェックし、法律上の不備やリスクを指摘できるようになると、専門家に頼らずとも安全な書面作成が可能になります。
例:遺留分の対象や割合が間違っていないか、署名・日付の形式が適正かをAIが事前確認。
補足: 技術が進めば、家庭裁判所の手続きや専門家立会いの負担が減る一方で、デジタルの安全性・真正性を担保する仕組みが重要になります。
まとめ
民法改正の動き
生前放棄の手続きを簡素化し、念書的合意でも一定の効力を認める方向で議論が進行中。
AI・デジタル化の影響
電子署名やブロックチェーンの活用により、念書の法的効力を確実にする手段が増える。
AIによる自動チェックで、専門家のサポートなしでも安全に作成可能な未来も想定される。
将来のポイント
現状では念書だけで生前放棄を済ませるのはリスクが高いが、法改正とデジタル技術の普及で安全性と効率性が大幅に向上する可能性がある。
補足例: 今は「紙の念書+家庭裁判所」が必須ですが、将来は「電子署名+AIチェック」で、生前放棄が安全に完了するような時代が訪れるかもしれません。
将来的には、法律・技術の両面で遺留分放棄の念書の有効性や利便性が飛躍的に向上すると考えられます。専門家と連携しつつ、最新の法制度や技術動向に注目することが重要です。
契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?
契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。
専門家に依頼するメリット
1. 契約のリスクを防げる
契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
具体例
たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。
2. 自社や個人に適した契約内容にできる
契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。
具体例
例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。
行政書士と弁護士の違いは?
契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。
行政書士:契約書作成の専門家
行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。
具体例
・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成
ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。
弁護士:法律トラブルに対応できる専門家
弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。
具体例
・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応
弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。
専門家に依頼する際の費用と流れ
費用の相場
依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。
専門家 | 費用の目安 |
行政書士 | 契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万 |
弁護士 | 契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上 |
行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。
依頼の流れ
専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。
相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。
契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。
最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。
具体例
たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、
行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。
契約書のドラフトを作成し、内容を確認。
必要に応じて修正し、最終版を納品。
依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。
このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。
まとめ
契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。
行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。
弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。
契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。
また、おてがる契約書では、どんな契約書も一律2万円で作成しています。作成依頼はLINEで簡単に行うことができるため、誰でもてがるに利用することが可能です。弁護士・司法書士が作成する契約書は費用が高額です。おてがる契約書は行政書士が運用しておりオンライン・電話・メールを活用して、簡単・格安でスピードが速く最短で納品が可能です。







コメント