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示談書に見舞金と書いたら追加請求された話|実務で多い失敗

  • 執筆者の写真: 代表行政書士 堤
    代表行政書士 堤
  • 1 日前
  • 読了時間: 42分

🌺こんにちは!おてがる契約書の代表行政書士 堤です。

本日は示談書についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。


交通事故やトラブルの示談交渉では、「見舞金」という言葉ひとつで思わぬ法的リスクが生じることがあります。本コラムでは、実務でよく見られる「示談書に見舞金と書いただけで追加請求トラブルになった事例」を中心に、初心者の方でも理解できるよう解説します。示談書を作成する前に知っておきたい注意点を、具体的な裁判例や実務経験をもとにわかりやすく整理しました。



  本記事のまとめ:

重要事項

概要

「見舞金」と書くだけで、任意金銭か示談金かの法的評価が大きく変わる。

示談前・交渉中・成立時・成立後のどのタイミングで受け取るか、清算条項の有無で追加請求の可否が変わる。

曖昧な表現や「一切」などの文言は避け、任意金銭であることを明確に記載することが、後の紛争防止につながる。

🌻もしあなたが交通事故やトラブルで示談書を作成する立場なら、このコラムは必読です。「見舞金」と書くだけで後から追加請求されるのではないかと不安に思ったことはありませんか?本記事では、実際に起きたトラブル事例や裁判例をもとに、リスクを避けるための正しい書き方やタイミングを詳しく解説しています。示談書で後悔しないための具体的なポイントをしっかり押さえられます。


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▼目次



~事例・比較分析紹介~



~番外編~




  1.示談書に「見舞金」と書いたら追加請求された話|実務で多い失敗


1.結論:示談書に「見舞金」と書くのは危険な場合がある

示談書を作るとき、被害者への支払い項目として「見舞金」とだけ書くケースがあります。しかし、この書き方は後からトラブルに発展するリスクが高いのです。実務上、「見舞金」とだけ記載された示談書で追加請求が起こるケースは珍しくありません。ここでは、なぜ危険なのか、どんなパターンがあるのかを整理します。



なぜ「見舞金」と書いただけでトラブルになるのか

示談書の目的は、加害者と被害者の間で「今後の請求をしない」という合意を明確にすることです。しかし、「見舞金」とだけ書かれていると、支払った金額が損害の全額にあたるのか、それとも一部なのかが不明確になります。


たとえば、被害者が怪我や物損による損害の全体額を正確に把握していない場合、「これは慰謝料だけだと思っていたけれど、まだ治療費がかかる」と後で追加請求される可能性があります。つまり、示談書が曖昧だと、後で争いの余地を残してしまうのです。



実務で実際に起きている典型パターン

実務上、以下のようなパターンで追加請求トラブルが起きています。

パターン

具体例

トラブルの原因

金額が不明確

「見舞金として10万円支払う」とだけ記載

慰謝料・治療費・休業補償などの範囲が明記されていない

項目が曖昧

「損害に対して支払済」とだけ書かれる

被害者が別途かかる費用を後から請求可能と解釈

支払いタイミング不明

「随時支払う」とだけ記載

支払いが終わったかどうかで争いに発展

これらのパターンは、被害者側も加害者側も「合意した内容が何か」を正確に理解していないことから起きます。示談書に「見舞金」と書くだけでは、損害の範囲や性質が法律上十分に固定されないのです。



「善意の受領」が法的評価を変えてしまう理由

民法では、受領者が支払われた金銭を「善意かつ無過失」で受け取った場合、その金銭の返還を求めるのは難しいとされています。しかし、示談書に「見舞金」とだけ書かれていると、受け取った側は「これは慰謝料の一部にすぎない」と主張する可能性があります。


つまり、後から被害者が追加請求をしても、支払った側は「示談書で支払い済みと認識していた」と主張できますが、裁判所が「善意の受領」と評価するかはケースバイケースです。結果として、金銭の範囲や目的が曖昧だと、法的評価が変わり、追加請求を完全に防げない場合があるのです。


ここまでのポイントをまとめると、示談書に「見舞金」とだけ書くのは以下の理由で危険です。

  • 支払った金額が損害の全額か不明確

  • 後から追加請求される典型パターンが多数存在

  • 「善意の受領」の評価次第で法的効果が不確実


次の段階では、示談書に明記すべき項目や、安全な書き方の実務例を紹介することが重要です。



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  2.交通事故の見舞金とは?慰謝料・示談金との決定的な違い


交通事故の被害に遭った場合、示談交渉の場でよく出てくる言葉に「見舞金」があります。しかし、日常的に使われる言葉とは違い、法律上の意味や扱いは明確に区別して理解する必要があります。ここでは、見舞金の基本的な位置づけと、慰謝料・示談金との違い、トラブルになりやすい理由を整理します。



交通事故の見舞金の基本的な位置づけ

見舞金は、事故によって被害を受けた人に対して加害者や関係者が支払う金銭で、基本的には相手の気持ちを慮った善意の金銭として支払われるものです。法律上は必ず支払う義務があるものではなく、あくまで任意の支払いにあたります。

たとえば、親しい関係の加害者が「怪我が早く良くなりますように」と気持ちで渡すお金や、会社が事故に遭った従業員に渡す見舞金などが典型例です。



見舞金と慰謝料・損害賠償金の違い

ここで重要なのは、見舞金と慰謝料・損害賠償金は法律上の位置づけがまったく異なるという点です。

項目

法的義務

金額の決定方法

目的

見舞金

任意

加害者や関係者の自由

被害者の慰労・気遣い

慰謝料

原則必須(損害賠償の一部)

事故の内容や損害状況に応じて算定

精神的苦痛の補償

損害賠償金

原則必須

実際の損害額に応じて算定

経済的損失の補填

このように、見舞金は「法律上必ず支払うもの」ではなく、慰謝料や損害賠償金のように損害を補填する役割は持ちません。逆に、示談書に「見舞金」とだけ書くと、慰謝料や損害賠償金と混同され、追加請求のトラブルが発生する原因になります。



見舞金が「示談金の一部」と誤解されやすい理由

実務でよく起きるトラブルのひとつが、見舞金を示談金の一部と誤解するケースです。理由は以下の通りです。

  1. 示談書に「見舞金○万円」とだけ書く

  2. 被害者が「これは慰謝料や損害賠償を含めた金額だ」と解釈

  3. 後で追加の治療費や休業補償を請求


特に、事故直後の示談交渉では、双方が気持ちばかりで金額を決めてしまい、法律上の意味を正確に整理しないまま合意してしまうことがあります。このため、「見舞金」とだけ書いた示談書では、後から「追加請求されるのは当然」と判断されることがあるのです。


まとめると、見舞金はあくまで任意の善意の支払いであり、慰謝料や損害賠償金とは法律上別物です。しかし、示談書に曖昧に書くと法的トラブルにつながりやすいため、必ず金額・目的・範囲を明確に示すことが重要です。



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  3.交通事故の見舞金の種類と相場


交通事故における見舞金は、誰から支払われるか、どの目的で支払われるかによって種類や金額が変わります。ここでは加害者、被害者側の保険会社、その他の第三者団体から支払われる見舞金について整理し、一般的な相場や計算方法を解説します。



加害者から支払われる見舞金

一般的な相場感

加害者が被害者に直接支払う見舞金は、法的な基準はなく、あくまで任意の金銭です。そのため金額はケースバイケースですが、実務では以下のような相場が多く見られます。

事故の程度

見舞金の目安

軽傷(通院1〜2週間程度)

5,000円〜2万円

中等傷(通院1〜3か月程度)

2万円〜10万円

重傷(入院や手術あり)

10万円〜30万円以上

ポイントは、加害者が「気持ち」として支払う金額であるため、慰謝料や損害賠償の算定基準とは無関係であることです。


社会儀礼としての限界ライン

見舞金は、社会的なマナーとして渡す場合もあります。その際には、高額すぎると逆に慰謝料や損害賠償との区別が不明確になり、示談書上のトラブルに発展することがあります。一般的には、社会儀礼の範囲として5万円程度までが目安とされます。



被害者側の保険会社から支払われる見舞金

被害者が自分の加入する保険から受け取る見舞金には、次のような種類があります。


人身傷害保険・搭乗者傷害保険

  • 人身傷害保険:自分や同乗者の事故による損害を実際の損害額に応じて補償する保険。見舞金として支払われる場合は、慰謝料や入院日額の形で支払われます。

  • 搭乗者傷害保険:自動車搭乗中の事故で発生した怪我について、部位や症状に応じて定額で支払われる保険。


日額方式と部位症状別方式

被害者側の保険では、見舞金が以下の2つの方式で計算されることが多いです。

方式

計算方法

日額方式

入院日数や通院日数×日額

入院20日×5,000円=10万円

部位症状別方式

怪我の部位や症状ごとに定額

骨折手足:5万円、打撲顔面:3万円

この方式では、治療期間や怪我の重さに応じて正確に補償額が決まるため、加害者からの任意の見舞金よりも法的根拠が明確です。



その他の見舞金

事故によっては、第三者団体から見舞金が支払われる場合もあります。

交通安全協会

交通安全協会などの公共団体では、交通事故で重傷や死亡した場合、慰労金として見舞金を支給することがあります。金額は数万円程度が多く、社会的な支援としての意味合いが強いです。


交通災害共済

  • 自動車やバイクの任意保険に付帯する共済制度で支給されることがあります。

  • 支払い条件は契約内容によりますが、死亡や重傷の場合の一時金として支払われることが一般的です。

まとめると、見舞金の種類と相場は支払う主体や目的によって大きく異なります。加害者の任意見舞金は社会的マナーに近く低額にとどまる一方、保険会社や共済制度による見舞金は、損害の状況や契約に基づき計算されるため、より明確な金額設定がなされます。


この違いを理解していないと、示談書に「見舞金」とだけ書いた場合に追加請求トラブルが発生しやすくなるので注意が必要です。



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  4.【実務で多発】見舞金を受け取った後に起きる3つのトラブル


示談書に「見舞金」とだけ記載した場合、実務ではさまざまなトラブルが起きやすくなります。被害者側も加害者側も「支払った/受け取った」と思っていた金額が、後から法的に評価されると誤解が生じることがあるのです。ここでは特に多い3つのトラブル事例を解説します。



トラブル① 示談書により「追加請求できない」と主張されたケース

被害者が見舞金を受け取った後に、さらに治療費や休業補償を請求した場合、加害者側は示談書を根拠に「すでに追加請求はできない」と主張することがあります。


具体例

  • 示談書に「見舞金10万円を支払った。これにて本件事故に関する金銭請求は完了」とだけ記載

  • 被害者が通院費や薬代の追加請求を希望

  • 加害者側は「見舞金で全て解決済み」と主張

この場合、示談書の文言が曖昧だと裁判でも争点となり、被害者が損害を全額回収できないリスクがあります。



トラブル② 見舞金を理由に示談金を減額されたケース

加害者側が「既に見舞金を支払っている」として、慰謝料や損害賠償金の本来支払うべき金額から差し引くケースもよくあります。


具体例

  • 通院期間が長く、慰謝料50万円相当の損害

  • 被害者が加害者から見舞金10万円を受領済み

  • 加害者側が示談交渉で「見舞金分を差し引きます」と主張 → 実際の示談金は40万円

この場合、見舞金の扱いが明確でないと、支払い額の算定で不利になることがあります。被害者としては「任意の見舞金と法的請求は別」と主張できる余地があるため、示談書の文言次第で紛争になることがあります。



トラブル③ 見舞金が清算済みと評価され、紛争が長期化したケース

見舞金が「すでに支払済みの金銭」とみなされると、その後の請求権が法的に制限され、示談交渉や裁判が長引くケースがあります。


ポイント

  • 見舞金の性質を「任意の慰労金」として明確に区別していない

  • 示談書に「見舞金を含む全ての請求権を放棄」と書かれている

  • 被害者は追加請求を希望しても、加害者側が法的根拠として提示


結果として、紛争が長期化するだけでなく、精神的負担や費用が増えるリスクがあります。

まとめると、見舞金を受け取った後に起きるトラブルは以下の3つに集約されます。

トラブル

発生原因

被害者側のリスク

①追加請求を認めてもらえない

示談書に曖昧な文言

治療費や休業補償を回収できない

②示談金が減額される

見舞金を差し引き対象とされる

本来受け取れる金額が減る

③紛争が長期化

見舞金が清算済みと評価

精神的・金銭的負担が増える

これらのリスクを避けるためには、見舞金の扱いを明確に示す示談書の作成が不可欠です。



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  5.なぜ「見舞金」と書くと追加請求トラブルが起きるのか


示談書に「見舞金」とだけ記載した場合、後から追加請求が発生するトラブルは非常に多く見られます。その理由は、示談書の文言が法律上どう評価されるか、清算条項との関係、そして裁判実務での判断ポイントにあります。ここでは、初心者にも分かりやすく整理します。



示談書における文言の法的評価

示談書は、加害者と被害者が金銭や権利関係を整理するための契約書です。しかし、「見舞金」とだけ書かれている場合、支払った金額が損害賠償の全部か一部かが不明確になりやすいです。

  • 文言が曖昧 → 法的には「任意の支払い」と解釈されることもあれば、「示談金の全額」と評価されることもある

  • 結果として、被害者と加害者で解釈が食い違う

例えるなら、「お年玉を渡したけど、これで今年の全てのプレゼントは終わりです」と明言しないまま渡したようなもので、後から「これは一部だと思った」と揉めるイメージです。



清算条項との関係

多くの示談書には「清算条項(本件事故に関する全ての請求をこれにて清算する)」が含まれます。ここに「見舞金」を含める場合、文言が曖昧だと以下のようなリスクがあります。

  • 清算条項に「見舞金をもって全て解決」と誤解される

  • 後から慰謝料や治療費を請求しようとしても、加害者が「清算済み」と主張

  • 示談書作成時に範囲を明確にしていないと、法的に紛争化する可能性

つまり、見舞金を清算条項に含めるかどうかを明確に書かないと、トラブルの温床になります。



裁判実務で重視されるポイント

裁判所では、示談書の効力や追加請求の可否を判断する際に、いくつかのポイントを重視します。


文言

  • 「見舞金」とだけ書かれているのか、「慰謝料・治療費は別」と明記されているのか

  • 文言が具体的であれば、裁判所もその意図を尊重しやすい


受領時期

  • 見舞金が事故直後なのか、示談成立後なのか

  • 示談成立前に渡された見舞金は、後から慰謝料と分けて扱えるケースがある


示談成立の有無

  • 示談書に署名・押印があるか

  • 双方が示談の成立を明確に認識しているか

  • 署名なしや口頭だけの場合、追加請求が認められる可能性が高い



ポイントまとめ

項目

トラブルが起きる理由

回避のヒント

文言

「見舞金」とだけ書くと範囲が不明

「慰謝料・治療費は含まれず、任意の金銭」と明記

清算条項

「本件事故に関する全ての請求を清算」と書くと見舞金まで含まれる可能性

見舞金を清算対象に含めるか明示的に区別

受領時期

示談成立前に渡すと後で請求可能性

示談成立後に支払う、時期を明記

示談成立

曖昧だと法的効力が弱い

双方署名・押印、成立日を明記


結論として、示談書に「見舞金」とだけ書くと、文言の曖昧さ、清算条項の解釈、受領時期、示談成立の有無によって、追加請求トラブルが発生しやすくなります。



  6.加害者から見舞金を受け取る際の法的リスク


交通事故の被害者が加害者から見舞金を受け取る場合、一見「ありがたい支払い」のように思えます。しかし、示談書や法律上の扱いを整理せずに受領すると、思わぬ法的リスクが発生することがあります。ここでは、特に注意すべき3つのリスクを解説します。



リスク① 示談金・慰謝料が減額される可能性

加害者から見舞金を受け取ったことを理由に、示談金や慰謝料が減額されるケースがあります。


具体例

  • 被害者が治療中に加害者から見舞金10万円を受領

  • 示談交渉時、加害者側が「見舞金分を差し引きます」と主張

  • 本来支払われる慰謝料50万円が40万円になる


ポイントは、見舞金の性質が任意の慰労金であるか、示談金や慰謝料の一部とみなされるかで評価が変わる点です。裁判所でも、示談書に「見舞金は任意であり、慰謝料とは別」と明記されていない場合、加害者側の主張を認めることがあります。



リスク② 刑事責任の減軽事情として使われる可能性

加害者からの見舞金が、刑事事件の処理や量刑判断に影響する場合があります。

  • 刑事事件では、被害者への償い行為が量刑を軽くする情状として考慮されることがあります。

  • 見舞金が高額である場合、加害者側は「被害者にすでに償っている」と主張でき、刑事上の反省の証として扱われる可能性があります。

つまり、被害者としては受け取った見舞金が自分の損害補填だけでなく、加害者に有利に使われるリスクがあることを理解しておく必要があります。



リスク③ 高額な見舞金は贈与税の問題が生じることも

加害者からの見舞金が高額になる場合、税務上の扱いにも注意が必要です。

ポイント

  • 原則として、個人間での金銭授受は贈与税の対象になる可能性があります

  • 見舞金が明らかに損害賠償の一部としてではなく、贈与的性格を持つ場合は、贈与税の課税対象になることも

  • 税務署の判断では、事故に伴う治療費や慰謝料補填は非課税ですが、金額や文言によって解釈が分かれることがあります

例えば、事故の慰労として「お見舞い金50万円」を受け取った場合でも、示談書や請求内容で損害補填目的が明確でないと、税務上は贈与扱いになるリスクがあります。



まとめ

加害者から見舞金を受け取る際の法的リスクは大きく3つに整理できます。

リスク

具体例

回避策

示談金・慰謝料が減額される

見舞金分を差し引かれる

示談書で「見舞金は慰謝料・損害賠償に含まれない」と明記

刑事責任の減軽

高額見舞金が情状として扱われる

弁護士等と相談し、受領金額や文言を調整

贈与税の課題

任意の高額見舞金が課税対象に

文言で損害補填目的を明確化、必要に応じて税務相談


結論として、加害者から見舞金を受け取る場合は、示談書での文言、受領時期、金額の根拠を明確にしておかないと、金銭面・法的責任面・税務面でトラブルにつながる可能性があります。



  7.【重要】見舞金を受け取るときの正しい対応方法


交通事故で加害者から見舞金を受け取るとき、ただ受け取るだけでは後からトラブルになる可能性があります。示談成立前に正しい対応を意識し、文書化の方法を工夫することが大切です。ここでは、具体的なポイントを整理します。



示談成立前に必ず意識すべきポイント

見舞金を受け取る前に、以下の点を確認しておくことが重要です。

  • 損害範囲の確認:通院費・治療費・休業補償・慰謝料など、事故による損害の全体像を整理する

  • 見舞金の性質を明確化:慰労金としての任意の支払いなのか、損害賠償の一部として扱うのかを意識する

  • 示談書との関係を整理:示談書に含めるか含めないかを事前に決め、曖昧な合意を避ける

例えるなら、見舞金を受け取る前に「このお金はお菓子代なのか、それとも食費の代わりなのか」をはっきりさせるようなものです。明確でないと、後から「これで全て終わり」と誤解されるリスクがあります。



受領書・領収書の但し書きの書き方

見舞金を受け取った際は、受領書や領収書に明確な但し書きを入れることが必須です。曖昧な表現は避け、トラブル防止に役立ちます。

書き方のポイント

  1. 任意の金銭であることを明記

    • 例:「本金○○円は、慰労のための任意の金銭であり、損害賠償・慰謝料とは関係ありません」

  2. 示談書とは別であることを明記

    • 例:「本受領書は示談書締結前の受領であり、示談書に影響を与えるものではありません」

  3. 日付・金額・署名を必ず記入

    • 日付や金額が不明確だと、後から「未清算」と解釈されることがあります

こうした但し書きを入れるだけで、後から追加請求や減額トラブルを防ぐ効果があります。



示談書に記載すべき/記載してはいけない表現

示談書に見舞金に関する内容を盛り込む場合は、表現を慎重に選ぶことが大切です。

記載すべき表現

  • 「本見舞金は慰労金として任意に支払われるものであり、損害賠償や慰謝料には含まれない」

  • 「本件事故に関する金銭請求とは別扱いとする」

  • 「受領済みの金銭として、将来の請求権には影響を与えない」


記載してはいけない表現

  • 「本見舞金をもって本件事故に関する全ての請求を清算する」

  • 「本金の受領により追加請求はできない」

  • 曖昧な「本金支払済み」などの一言のみ

ポイントは、見舞金の性質を明確に区別し、将来の請求権に影響を与えないことを示すことです。逆に、清算済みのような表現を入れると、後で慰謝料や治療費の追加請求ができなくなるリスクがあります。



まとめ

加害者から見舞金を受け取る際の正しい対応方法は以下の通りです。

ポイント

具体策

示談成立前の確認

損害範囲の整理、見舞金の性質の明確化、示談書との関係を整理

受領書・領収書

「慰労金として任意」「示談書には影響なし」と明記、日付・署名・金額を記入

示談書の表現

記載すべき:任意金銭、請求権別扱い/記載してはいけない:清算済みや全額放棄など


これらを守ることで、見舞金受領後の追加請求トラブルや減額リスク、法的評価の誤解を避けることができます。



  8.示談前にお金を受け取る他の方法(見舞金以外)


交通事故では、加害者から直接見舞金を受け取る方法以外にも、示談前にお金を受け取る手段があります。これらは損害の補填や生活費の確保に役立ち、後の示談交渉でもトラブルを避けやすくなります。ここでは、代表的な方法を整理します。



自賠責保険への被害者請求

自賠責保険は、自動車事故の被害者を保護するために義務化されている保険です。加害者の過失割合に関係なく、被害者自身が保険会社に直接請求できます。


ポイント

  • 治療費・入院費・通院費・休業損害など、基本的な損害の補填が可能

  • 支払いは原則として事故後すぐに請求できる

  • 上限金額が設定されており(死亡・後遺障害・傷害ごとに限度あり)

例えるなら、「加害者からお金をもらう前に、保険会社から必要なお金を先に受け取れる仕組み」と考えると分かりやすいです。



仮渡金請求

自賠責保険や任意保険では、**損害全額確定前に一部金額を先払いしてもらう「仮渡金制度」**があります。


特徴

  • 怪我の治療費や生活費の補填に使える

  • 事故直後でも申請可能

  • 仮渡金の請求額は、後の保険金支払い額から調整される

注意点として、仮渡金の受領が示談の成立を意味するわけではないため、追加請求トラブルの心配は少なく、安心して利用できます。



任意保険への内払い請求

加害者が加入する任意保険でも、示談前に**「内払い」という形で一部を先に支払ってもらう方法**があります。


特徴

  • 示談前に生活費や治療費を確保できる

  • 事故の過失割合や治療内容に応じて調整可能

  • 内払いとして受け取った金額は、最終的な示談金の計算に反映される

ポイントは、示談書の文言次第で追加請求トラブルにならないよう、受領時に「内払いである」ことを明記してもらうことです。



まとめ

見舞金以外にも、示談前にお金を受け取る方法は複数あります。それぞれの特徴を整理すると次の通りです。

方法

誰から受け取る

特徴・ポイント

自賠責保険への被害者請求

加害者加入の自賠責保険

損害額の基本補填、上限あり、直接請求可能

仮渡金請求

自賠責または任意保険

損害全額確定前に一部先払い、示談不成立でも可能

任意保険の内払い

加害者加入の任意保険

示談前に一部支払い、示談金に調整される


これらの方法を活用することで、加害者から任意の見舞金を受け取る前に資金を確保でき、示談交渉でのトラブルも回避しやすくなるのです。



  9.交通事故の見舞金と示談書に関するよくある質問(Q&A)


交通事故で加害者や保険会社から見舞金を受け取ると、示談書や追加請求の可否について多くの疑問が生まれます。ここでは、実務でよくある質問にQ&A形式で答えます。



Q1:見舞金を受け取っても後遺障害の追加請求はできる?

答え:原則として可能です。

  • 見舞金はあくまで任意の慰労金として扱われることが多く、損害賠償や後遺障害慰謝料とは区別されます

  • ただし、示談書に「見舞金を含めて全て清算済み」と明記してしまうと、後遺障害慰謝料の追加請求が難しくなるケースがあります。


ポイント

  • 後遺障害の等級認定後に、損害賠償請求が確定するまでは、見舞金と追加請求は別扱いと明確にすること

  • 受領書や示談書に「本金は慰労のための任意金銭である」と明記しておくと安全


例えるなら、見舞金は「お見舞いのお菓子」で、後遺障害の慰謝料は「治療費や損害の本番支払い」と区別して考えるイメージです。



Q2:お見舞いに来なかった場合、慰謝料は増える?

答え:直接的には増えません。

  • 被害者への慰謝料は、主に怪我の程度や通院期間、後遺障害の有無で計算されます。

  • 加害者や家族がお見舞いに来なかったこと自体は、法的に金額を増額する理由にはならないのが原則です。


ポイント

  • ただし、裁判や示談交渉で「加害者の誠意不足」を主張して感情的な影響を与えるケースはあります

  • 金銭的には増えないが、心理的負担や交渉上の配慮材料として使われる場合がある


つまり、お見舞いに来るかどうかで損害賠償の額が左右されることは基本的にはありません。



Q3:保険会社からの見舞金は安心して受け取っていい?

答え:基本的には安全ですが、文言と目的を確認することが大切です。

  • 保険会社から支払われる見舞金は、契約に基づく任意の支払いであり、示談書とは別扱いであることが多い

  • 受領時に**「慰労金であり、損害賠償とは別」と明記**されているかを確認することが重要


ポイント

  • 文言の確認がないと、後の示談で「見舞金分は慰謝料に含まれる」と解釈されるリスクがあります

  • 金額が高額の場合は、贈与税の対象にならないかも事前に確認すると安心


例えるなら、保険会社からの見舞金は「お見舞いの先払い」と考え、受け取り方や文言で将来のトラブルを避けることが大切です。



まとめ

交通事故の見舞金と示談書に関するQ&Aは次の通り整理できます。

質問

回答のポイント

見舞金を受け取っても後遺障害の追加請求はできる?

原則可能。ただし示談書で清算済みと書かないことが重要

お見舞いに来なかった場合、慰謝料は増える?

法的には増えない。心理的影響や交渉材料にはなる場合あり

保険会社からの見舞金は安心?

基本的に安全。ただし文言や目的を確認して示談に影響しないようにする


見舞金を受け取る際は、目的・文言・示談書との関係をしっかり整理することで、後の追加請求や減額トラブルを防ぐことができます。



  10.まとめ:見舞金より「示談書の書き方」がすべてを左右する


交通事故で加害者から見舞金を受け取る際、多くのトラブルは「見舞金自体」ではなく、示談書の書き方や受け取りのタイミングに起因します。ここでは、今回の記事のポイントを整理します。



見舞金そのものが悪いわけではない

  • 見舞金は、加害者が被害者の気持ちを慰めるために支払う任意の金銭です。

  • 適切に扱えば、生活費や治療費の補填として非常に有効です。

  • 問題は「受け取ったら全て解決」と誤解されることや、示談書に曖昧な文言で記載される場合に起こります。

例えるなら、見舞金は「お見舞いのお菓子」のようなもので、損害賠償とは別に考えることが大切です。



問題は「書き方」と「タイミング」

  • 示談書に「見舞金をもって全て清算」と書いてしまうと、後で慰謝料や治療費の追加請求ができなくなるリスクがあります。

  • また、示談成立前に受け取った場合は、受領書や領収書の文言で任意の金銭であることを明確にする必要があります。

つまり、何をいつ、どのように書くかがトラブル回避の鍵となります。



示談書にサインする前に専門家確認が不可欠

  • 示談書の文言や見舞金の扱いは、法的評価や裁判実務で非常に重要です。

  • 弁護士や行政書士などの専門家に確認してもらうことで、後からの追加請求や減額トラブルを防ぐことができます。

  • 特に高額な見舞金や、後遺障害の可能性がある場合は、必ずサイン前に専門家チェックをおすすめします。



まとめのポイント

ポイント

説明

見舞金そのもの

任意の慰労金であり、正しく扱えば便利な制度

書き方とタイミング

文言や受領のタイミングで法的評価が変わる

専門家確認

示談書にサインする前に、専門家のチェックでトラブル回避


結論として、交通事故の示談で見舞金を受け取る際は、「見舞金をどう書くか」「いつ受け取るか」が全てを左右することを忘れてはいけません。正しい対応と専門家の確認で、安心して示談を進めることが可能です。



~事例・比較分析紹介~



  11.示談書に「見舞金」と記載された裁判例・紛争事例の整理


示談書に「見舞金」と記載した場合、裁判や紛争でどのように評価されるかは、実務上の重要なポイントです。ここでは、裁判例・公表事例・実務解説から整理し、追加請求が認められたケースと否定されたケースの違いを分析します。



裁判例・公表事例・実務解説からの整理

示談書に見舞金と記載された事例は、主に以下のような形で報告されています。

  1. 示談書に「見舞金は慰労金であり、損害賠償には含まれない」と明記されているケース

    • 裁判では、後から追加請求が認められる傾向が強い

    • 受領時期や文言が明確で、示談成立前であることが確認できる

  2. 示談書に「本見舞金をもって全て清算済み」と曖昧に記載されたケース

    • 裁判では、見舞金を示談金に含めるかどうかが争点になる

    • 清算条項の解釈次第で、追加請求が否定されることもある



「見舞金」表記が問題になったケース

ケース1:後遺障害慰謝料の追加請求が争われた事例

  • 示談書に「見舞金○○円を受領」とのみ記載

  • 後に後遺障害等級が認定され、追加慰謝料請求

  • 裁判所の判断:

    • 「見舞金は慰労目的の任意金銭」と評価

    • 清算条項が存在しなかったため、追加請求が認められた


ケース2:見舞金を示談金に含めるか争われた事例

  • 示談書に「見舞金を含め本件事故に関する請求を完済」と記載

  • 後に通院費の追加請求を主張

  • 裁判所の判断:

    • 清算条項を重視

    • 「全額清算」と解釈され、追加請求は否定



清算条項との関係が争点になったケース

清算条項の有無や文言が、見舞金の法的評価を左右します。

  • 明確に「清算済み」と書かれた場合→ 後からの追加請求は基本的に認められない

  • 「慰労金として任意の支払い」と明記されている場合→ 追加請求が認められる可能性が高い

  • 曖昧な表現(例:受領済み、全て解決したような印象)→ 裁判で解釈争いが発生し、被害者・加害者で判断が分かれる



「追加請求が認められたケース/否定されたケース」の違い

分類

説明

裁判例の傾向

追加請求が認められたケース

見舞金は慰労目的で、清算条項が明確でない

文言が明確で「任意金銭」と記載、示談成立前、受領時期も確認可能

追加請求が否定されたケース

見舞金を示談金に含めると明記、全額清算条項あり

曖昧さがなく、清算条項が優先されるため、後から請求不可

判断が分かれたケース

文言が曖昧、受領時期・意図が不明確

裁判所の解釈次第で、追加請求の可否が左右される



まとめ

  • 見舞金の表記は裁判や紛争で争点になりやすい

  • 清算条項の有無・文言・受領時期が、追加請求可否を左右する

  • 「任意金銭であることを明記」しておくと、後からの請求権を守りやすい

  • 曖昧な表記は、裁判で解釈争いを招き、トラブル長期化の原因になる


結論として、示談書に見舞金を記載する際は、文言と清算条項の関係を明確に整理することが、後の法的トラブル回避に不可欠です。



  12.示談書の文言別にみる「追加請求トラブル」発生リスク分析


交通事故の示談書で使用する文言は、後から追加請求ができるかどうかに直結します。ここでは、実務でよく使われる文言を整理し、追加請求のリスクや裁判所での評価傾向を分析します。



実務で使われがちな示談書文言の類型化

示談書で見舞金や解決金を表現する場合、以下のような文言がよく使われます。

類型

例文

見舞金として支払う

「本金○○円は慰労金として任意に支払う」

解決金として支払う

「本金○○円を本件事故に関する解決金として支払う」

本件解決のための一切の金銭として

「本金○○円をもって本件事故に関する全ての請求を清算する」

この文言の違いによって、追加請求トラブルの発生リスクや、裁判所での評価が大きく変わります。



「見舞金として支払う」

内容

  • 被害者の慰労を目的とした任意の支払い

  • 損害賠償や慰謝料とは別扱い


追加請求リスク

  • 低め。文言が明確であれば、後から慰謝料や治療費を請求可能


裁判所の評価傾向

  • 「任意金銭」として評価され、清算条項がなければ追加請求が認められるケースが多い

  • 実務上もトラブルが少ない



「解決金として支払う」

内容

  • 事故の解決を目的とした金銭

  • 但し、清算条項の有無が曖昧な場合がある


追加請求リスク

  • 中程度。

  • 「解決金」と書かれているだけだと、裁判所によっては示談の一部とみなされる可能性あり


裁判所の評価傾向

  • 清算条項や受領時期によって評価が分かれる

  • 文言が曖昧な場合は追加請求を認めるか否かで争点になりやすい



「本件解決のための一切の金銭として」

内容

  • 示談書で最も強力に「清算済み」を示す文言

  • これを使うと、見舞金・慰謝料・治療費など全てを含むことを示唆


追加請求リスク

  • 高め。

  • 文言通り解釈されると、後から追加請求はほぼ認められない


裁判所の評価傾向

  • 清算条項の存在を重視

  • 「全額清算」と評価されるため、被害者側が追加請求するのは困難



文言別リスクまとめ

文言

追加請求リスク

裁判所の評価傾向

見舞金として支払う

任意金銭として追加請求認められる傾向

解決金として支払う

清算条項・文言次第で追加請求可否が分かれる

本件解決のための一切の金銭として

清算済みと評価され、追加請求は否定されやすい



まとめ

  • 文言選びが示談書の法的効果を左右する

  • 「見舞金として支払う」は最も安全で、後からの追加請求が可能

  • 「解決金」「一切の金銭」は、文言や清算条項の書き方次第で、追加請求トラブルに直結する

  • 実務では、文言を正確に定め、専門家に確認することがトラブル回避の鍵


示談書の文言は小さな言葉の違いでも大きな影響を及ぼします。特に見舞金や解決金を扱う場合は、後からの追加請求の可否を意識して慎重に記載することが重要です。



  13.見舞金の支払時期と示談成立時期のズレが生む法的評価の違い


交通事故で見舞金を受け取る際、支払時期と示談成立のタイミングのズレによって、後から追加請求できるかどうかの法的評価が変わります。ここでは、実務上よくあるタイミング別に整理し、リスクと争点を解説します。



見舞金の支払タイミング別整理

1. 示談前に支払われる場合

  • 特徴:事故直後や通院中に、加害者や保険会社から先に見舞金を受領

  • リスク

    • 清算条項がない場合は、任意金銭として扱われ、後から慰謝料や治療費の追加請求が可能

    • ただし受領書や示談書に「全て清算」と書くと、追加請求は否定される可能性

  • 争点

    • 「任意金銭か?清算済みか?」の解釈が裁判で争われやすい


2. 示談交渉中に支払われる場合

  • 特徴:示談交渉が進行中に、加害者が誠意として一部を支払うケース

  • リスク

    • 文言が曖昧だと、示談書作成後に「見舞金は示談金の一部」と主張されることがある

    • 追加請求が争点になりやすく、裁判での解釈次第で認められるか否かが分かれる

  • 争点

    • 支払時点で示談が未成立であること

    • 文言次第で「清算済み」と評価されるかどうか


3. 示談成立と同時に支払われる場合

  • 特徴:示談書にサインすると同時に見舞金を受領

  • リスク

    • 示談書に「全て清算」と書かれている場合は、後から追加請求がほぼできない

    • 見舞金の性質を「任意金銭」と明確に区別しないと、示談金に含まれると評価される

  • 争点

    • 文言の明確さ

    • 清算条項の有無

    • 支払タイミングの正確な記録


4. 示談成立後に支払われる場合

  • 特徴:示談書締結後に追加で見舞金を受領

  • リスク

    • この場合は原則として、示談とは別の任意金銭として評価される

    • ただし、「示談書に関連する金銭」と認定されると、追加請求や減額のトラブルになることもある

  • 争点

    • 支払時期の明確化

    • 受領書や領収書に「慰労目的であること」を明記することが重要



各タイミングごとの法的評価まとめ

支払タイミング

清算済みと評価されるリスク

追加請求を巡る争点

示談前

低~中

受領文言、示談書未作成の確認

示談交渉中

文言の曖昧さ、示談成立の有無

示談成立と同時

清算条項・文言の明確さ

示談成立後

示談と別扱いか、受領書の但し書き



まとめ

  • 支払タイミングによって法的評価が大きく変わる

  • 示談成立前や交渉中は、任意金銭として後から請求できる余地がある

  • 示談成立と同時の支払いは、文言次第で清算済みと評価されるリスクが高い

  • 示談成立後の支払いは比較的安全だが、明確な文言で区別しておくことが重要


結論として、見舞金の受領時期と示談成立のタイミングを正確に把握し、文言や受領書の書き方を工夫することが、追加請求トラブルを防ぐ鍵になります。



  14.「見舞金」と「解決金・示談金」を裁判所はどう読み分けているか


交通事故の示談書では、「見舞金」なのか「解決金・示談金」なのかの区別が裁判で非常に重要になります。裁判所は文言や金額だけでなく、当事者の認識や清算条項の有無を総合的に判断します。ここでは、裁判例や実務書をもとに、評価の違いを整理します。



見舞金とされたケース

特徴

  • 「慰労金」「お見舞い」「任意支払い」と明記されている

  • 清算条項が存在しない

  • 支払時期が示談成立前や交渉中


裁判所の評価

  • 任意金銭として評価され、後から損害賠償請求が可能と判断される傾向が強い

  • 裁判例では、後遺障害慰謝料や通院費の追加請求を認めるケースが多数


  • 示談書に「見舞金○○円を受領」とのみ記載

  • 後日、後遺障害慰謝料の請求を裁判で認められた



損害賠償金の一部と評価されたケース

特徴

  • 「解決金」「本件事故に関する一切の金銭」「清算済み」と記載

  • 文言が示談金としての性格を強調

  • 支払時期が示談成立時または成立直後


裁判所の評価

  • 清算条項の存在を重視し、追加請求を否定するケースが多い

  • 金額が妥当で、当事者が全額清算の認識を共有していた場合、特に追加請求は困難


  • 「本件解決のための全額清算金として○○円受領」と明記

  • 後日、通院費の追加請求を主張したが裁判で認められなかった



裁判所が重視している判断要素

裁判例や実務書から、裁判所が見舞金と示談金を読み分ける際に重視するポイントを整理すると次の通りです。

判断要素

説明

金額

小額で慰労の意味合いが強い場合は見舞金と評価されやすい

表現

「慰労」「お見舞い」と明記されると見舞金、「解決金」「全額清算」と書かれると示談金と評価

清算条項の有無

「一切清算済み」と明記されると追加請求不可とされる

当事者の認識

支払者・受領者双方が「任意の慰労金」と認識していたか、「示談の一部」と認識していたかが重要



まとめ

  • 見舞金は裁判所で任意金銭として評価されることが多く、追加請求の余地がある

  • 解決金・示談金としての表記は清算済みと評価され、追加請求が否定されやすい

  • 文言、金額、清算条項、当事者の認識の4点を明確に整理することで、後のトラブルを防げる


結論として、示談書作成時には**「見舞金なのか示談金なのか」を明確にし、文言と清算条項の扱いを慎重に決めることが、後の追加請求トラブルを回避する鍵**です。



  15.実務家が実際に避けている「見舞金NG表現」集


示談書で「見舞金」と書く場合、表現の選び方によって後から追加請求トラブルになるリスクがあります。実務家は過去の判例や交渉経験から、特に問題になりやすい表現を避ける傾向があります。ここでは、その具体例と理由を整理します。



実務上避けられている表現例

NG表現

問題点

「慰謝料を含む見舞金として支払う」

見舞金なのか慰謝料なのか曖昧で、後から清算済みと評価されやすい

「本件に関する一切の見舞金」

「一切」の文言が清算条項と同等に解釈される可能性がある

「示談金の一部としての見舞金」

解決金との混同が生じ、追加請求を否定されるリスクが高い

「後日請求は行わないことを前提に支払う」

任意金銭と認められず、追加請求の権利放棄と解釈される場合がある



なぜNGなのか

  1. 文言が曖昧

    • 「見舞金」と「慰謝料」「解決金」が混在していると、裁判所がどの金銭を清算済みと判断すべきか迷う。

  2. 清算済みと誤解されやすい

    • 「一切」「全て」といった表現は、裁判所に清算済みと評価されるリスクが高い。

  3. 後のトラブルを招きやすい

    • 曖昧な表現は、示談後に追加請求されるか否かで争点になり、紛争が長期化するケースがある。



過去のトラブル事例

  • 事例1:「慰謝料を含む見舞金」と記載した示談書

    • 後日、通院費と後遺障害慰謝料を請求したところ、裁判所が「示談金の一部と評価」として一部認めなかった。

  • 事例2:「本件に関する一切の見舞金」と記載

    • 金額が少額でも、「清算済み」と解釈され、追加請求がほぼ不可能になった。



判例評価の傾向

  • 「見舞金」と明確に区分されている場合は、任意金銭と認められ、後からの損害賠償請求は可能

  • 「慰謝料・解決金・一切の金銭」と混同される表現は、清算済みと評価されやすく追加請求が否定される

  • 文言の曖昧さがあると、裁判所は当事者の認識や支払タイミングを重視して判断



交渉現場での実務経験

  • 実務家は、見舞金の表現を**「慰労目的の任意金銭」と限定**して書くことが多い

  • 支払者・受領者双方が誤解しないように、但し書きで目的や清算対象外であることを明記

  • 交渉現場では「見舞金=示談金の一部」と誤解されやすいため、表現は慎重に選ばれる



まとめ

  • 「見舞金」の表現は、ほんの少しの言葉の違いで法的評価が大きく変わる

  • 実務では、曖昧な表現や「一切」などの文言は避け、任意金銭として明確に区分することが重要

  • 過去の判例や交渉経験から、文言の正確さが後の追加請求トラブル回避に直結することが確認されている


結論として、示談書における見舞金の記載は、言葉の選び方と但し書きの工夫がトラブル防止の鍵となります。



  16.見舞金を巡る紛争で「本当に争点になったポイント」ランキング


交通事故で見舞金を受け取った後、追加請求や減額トラブルが発生するケースは少なくありません。実務で実際に紛争になった事例を分析すると、「金額」だけでなく、法的評価や当事者の認識に関する要素が争点になりやすいことが分かります。ここでは、頻出論点をランキング形式で整理します。



第1位:文言の明確さ

  • 争点内容:示談書や受領書に「見舞金」とだけ書かれている場合、後日裁判で「任意金銭なのか示談金なのか」が争点になる

  • 実務例

    • 「慰謝料を含む見舞金」と記載 → 後から示談金に含まれると解釈され追加請求が否定されるケース

  • ポイント

    • 文言を曖昧にしない

    • 「慰労目的の任意金銭」と明記することで、後の紛争リスクを減らせる



第2位:清算条項の有無

  • 争点内容:示談書に「一切清算済み」と書かれているかどうかで、追加請求可能か否かが大きく変わる

  • 実務例

    • 「本件事故に関する全ての金銭を受領」と記載 → 後日請求できず紛争化

    • 清算条項なしで「見舞金○○円を受領」とだけ書いた → 追加請求が認められた

  • ポイント

    • 清算条項がある場合は追加請求が難しい

    • 逆に「清算条項なし」と明記すれば、争点が減る



第3位:支払タイミング

  • 争点内容:見舞金の支払タイミング(示談前・交渉中・成立時・成立後)によって法的評価が変わる

  • 実務例

    • 示談成立前に受領 → 任意金銭として評価される

    • 示談成立と同時に受領 → 清算済みとして評価される可能性が高い

  • ポイント

    • 支払タイミングと文言をセットで確認することが重要



第4位:当事者の認識

  • 争点内容:支払者・受領者双方が見舞金を任意の慰労金として認識していたか、示談金として認識していたか

  • 実務例

    • 受領者が「示談金の一部」と認識していた場合、裁判所は追加請求を否定する傾向

  • ポイント

    • 文言だけでなく、当事者の意思確認も重要



第5位:金額の大きさ

  • 争点内容:意外と争点になりにくい

  • 実務例

    • 高額でも「慰労目的」と明記されていれば、裁判で追加請求が認められることがある

  • ポイント

    • 金額よりも文言やタイミング、認識の方が法的評価に影響



まとめ:争点の可視化

ランキング

争点

争点になりやすい理由

1

文言の明確さ

「見舞金」だけでは任意金銭か示談金か判断できない

2

清算条項の有無

「一切清算済み」と書かれると追加請求不可

3

支払タイミング

示談前・交渉中・成立時で法的評価が変わる

4

当事者の認識

双方の意図が裁判で重視される

5

金額

高額でも文言次第で追加請求可能な場合あり


実務上のポイント

  • 見舞金紛争では、金額よりも文言・タイミング・清算条項・当事者認識が争点になりやすい

  • 示談書作成時には、文言を明確にし、支払タイミングや清算条項を整理し、双方の認識を確認することが重要


これにより、見舞金を巡るトラブルを未然に防ぎ、追加請求や減額争いのリスクを最小化できます。



   契約書作成は弁護士・行政書士どっちに依頼すればいい?


契約書を作成する際、「弁護士と行政書士、どちらに依頼すればよいのか?」と悩む方は多いでしょう。どちらの専門家も契約書作成の業務を行いますが、その役割や対応範囲には違いがあります。本記事では、専門家に依頼するメリットや具体例を交えながら、どちらを選ぶべきかを解説します。



専門家に依頼するメリット

1. 契約のリスクを防げる

契約書には、当事者同士の合意内容が明確に記載されます。しかし、素人が作成すると、法律的に不備があったり、トラブルが発生したときに対応しきれなかったりするリスクがあります。専門家に依頼することで、契約の抜け漏れを防ぎ、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。


具体例

たとえば、フリーランスが企業と業務委託契約を結ぶ際、報酬の支払い期限や業務範囲の記載が不明確だと、後々「こんなはずじゃなかった」と揉める原因になります。専門家に依頼すれば、報酬の支払い遅延時のペナルティや、契約解除の条件など、重要な事項を適切に盛り込んだ契約書を作成できます。


2. 自社や個人に適した契約内容にできる

契約書の雛形(テンプレート)はインターネット上にもありますが、それをそのまま使うと、自社のビジネスモデルに合わなかったり、不要な条項が含まれていたりすることがあります。専門家は依頼者の事情をヒアリングし、最適な契約書を作成してくれます。


具体例

例えば、飲食店のオーナーがテナント契約を結ぶ際、一般的な賃貸借契約書だけでは、営業時間の制限や原状回復義務について十分にカバーされていないことがあります。専門家に相談すれば、こうした細かい点も考慮した契約書を作成でき、トラブルを未然に防げます。



行政書士と弁護士の違いは?

契約書作成を依頼できる専門家には、行政書士と弁護士の2種類があります。それぞれの違いを理解することで、自分に適した専門家を選びやすくなります。


行政書士:契約書作成の専門家

行政書士は、主に「契約書の作成」を専門とする国家資格者です。法律に基づいた正確な契約書を作成し、行政手続きや許認可申請にも対応できます。


具体例

・事業者間の業務委託契約書の作成 ・飲食店や美容サロンなどのテナント契約書の作成 ・売買契約書や合意書の作成

ただし、行政書士は「紛争が発生した場合の代理交渉」や「法廷での弁護」は行えません。トラブルが発生した際の対応まではできないため、契約内容に不安がある場合は、弁護士に相談する必要があります。


弁護士:法律トラブルに対応できる専門家

弁護士は、契約書の作成だけでなく、契約に関する紛争対応や訴訟の代理もできる法律の専門家です。トラブルが発生した際のリスクを考慮し、より強固な契約書を作成できます。


具体例

・企業間の買収、合併契約書の作成と交渉 ・高額な不動産売買契約の作成とリーガルチェック ・契約違反が起きた際の法的対応

弁護士に依頼すると、契約書の作成だけでなく、万が一の紛争時にも対応してもらえるというメリットがあります。ただし、弁護士の費用は行政書士より高額になることが一般的です。


専門家に依頼する際の費用と流れ

費用の相場

依頼する専門家や契約書の種類によって、費用は異なります。一般的な相場は以下のとおりです。

専門家

費用の目安

行政書士

契約書作成3万~10万円、リーガルチェック1万~3万

弁護士

契約書作成10万~30万円、紛争対応10万円以上

行政書士は比較的リーズナブルな価格で契約書を作成できますが、紛争対応はできません。一方、弁護士は費用が高めですが、契約のリスク管理を徹底できるというメリットがあります。



依頼の流れ

  1. 専門家を選ぶ:契約内容や将来的なリスクを考慮し、行政書士か弁護士のどちらに依頼するか決める。

  2. 相談・ヒアリング:依頼者の状況を詳しく聞き、契約書の目的や必要な条項を確認する。

  3. 契約書の作成・修正:専門家が契約書を作成し、依頼者と確認しながら修正を加える。

  4. 最終確認・納品:完成した契約書を納品し、必要に応じて公証役場での認証を行う。


具体例

たとえば、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際、

  1. 行政書士に相談し、業務範囲や報酬条件をヒアリング。

  2. 契約書のドラフトを作成し、内容を確認。

  3. 必要に応じて修正し、最終版を納品。

  4. 依頼者が契約書に署名し、取引先と締結。

このような流れで進めるため、契約の重要性を理解しながら進めることができます。


まとめ

契約書作成を専門家に依頼することで、契約のリスクを防ぎ、スムーズな取引を実現できます。

  • 行政書士は契約書の作成が得意で、費用を抑えられるが、紛争対応はできない。

  • 弁護士は契約書作成に加えてトラブル対応も可能だが、費用は高め。

契約内容や想定リスクに応じて、適切な専門家を選びましょう。


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